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【多職種向け】 2019年

多地点合同メディカル・カンファレンス[2019-第16回]

(岩手県立中央病院/国立がん研究センター東病院発信)
司会(前半)岩手県立中央病院 緩和ケア科 鈴木 温先生
司会(後半)国立がん研究センター東病院 松本 禎久先生

今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合うプロセスであるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)は世界的にも重要とされ、研究も多く行われている。本邦においても、医療者対象の研修会やガイドラインの策定が行われており、2019年には「人生会議」という愛称がつけられるなど、医療現場を含めた社会全体への浸透が積極的に図られている。しかし、がん医療におけるACPをどのように推進するとよいのか苦慮している施設・医療従事者はいまだに多いと考えられる。カンファレンスでは、今後参加施設での活動に活かせるようにACPへの取り組みや注意点するべき点について議論したい。

1.ACP概論

国立がん研究センター東病院 緩和治療科 松本 禎久

ACPは、今後の治療・療養の目標や意向について、個人が家族や医療従事者とあらかじめ話し合うプロセスである。ACPは、近年国内外において重要なテーマとして議論されており、一般市民への普及が図られている。本発表では、カンファレンスのはじめにACPについて概説する。

2.患者中心のACPコミュニーケション促進のための問診票
 ~PROs及び医療行動経済学(ナッジ理論)アプローチ~

九州がんセンター 緩和治療科 大谷 弘行

ACPの本質は繰り返し行われるコミュニケーションであり、「時間(過去・現在・将来)」「患者の価値観・気がかり」「互いの信頼関係の構築」の3つのベクトルを意識した、先々のことを話す相互理解の過程である。しかし、がん医療において先々の話し合いは絶えず重い感情を伴う。また、行動経済学(2017年ノーベル賞)でいう「人間の損失回避性」という不合理的な判断の結果、「現状維持バイアス(まだ今のままで大丈夫)」、「現在バイアス(今は決めたくない)」「サンクコスト・バイアス(ここまでやって来たのだから続けたい)」などのバイアスによって、話し合いの「先延ばし」が生じる(JAMA Oncol,2015)。そこで、九州がんセンターでは、今話題の、①PROs (面と向かって言いづらいことでもさりげなく本音を引き出す問診票)の視点(Nat Rev Clin Oncol,2017; CA Cancer J Clin,2019)、②強制によってではなく自発的にACPコミュニーケションを促すきっかけ(ナッジ理論)を取り入れたアプローチ(N Engl J Med,2018)によって、ACPコミュニーケション促進を行っている。本発表では、その取り組みの紹介をする。

3.緩和ケア病棟のない急性期病院外来でのACP導入の取り組み

岩手県立中央病院 緩和ケア科 鈴木 温

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)への取り組みは、患者個人や各医療機関により多様化しており、急性期病院からの報告が散見される。緩和ケア病棟のない急性期病院である当院において、患者や家族の意向を尊重した治療や療養先を早期から検討するプロセスが重要である。当院の緩和ケア外来では、消化器がんの終末期患者に対してACPを導入した意思決定の支援を行っている。その取り組みについて紹介する。

更新・確認日:2023年08月30日 [ 履歴 ]
履歴
2023年08月30日 ビデオを削除いたしました。
2019年10月15日 ビデオを掲載しました。
2019年09月30日 抄録を更新しました。
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