- 日時
- 2019年11月14日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 原発性肺がんに対する術式選択におけるFDG-PETの有用性
(岐阜大学医学部附属病院/静岡県立静岡がんセンター発信)
司会 岐阜大学医学部附属病院 呼吸器外科 教授 岩田 尚
肺がんにおいて腫瘍学的悪性度を示しているFDG—PETが、今後、増加していく原発性肺がんに対する積極的縮小手術の適応においてどのように関わっていくのかについて議論したい。
1.原発性肺がんにおける積極的区域切除術の現状
岐阜大学医学部附属病院 呼吸器外科 教授 岩田 尚
JCOG0802/WJOG4607L試験の一部結果が学会報告および論文発表され、今後小型肺がんに対する区域切除の適応が益々高まるものと考えられる。区域切除は積極的に根治性を目指した手術において、肺葉切除と同等の成績である。本邦の区域切除の局所再発率は0-5%であり、欧米の報告にある7.7%(VATS) and 12.7%(open)に比較して極めて良好である。今後、増加していく区域切除において、より良好な成績を維持していくため、小型肺がんの腫瘍学的悪性度をしっかり把握することは重要である。
2.リンパ節転移と予後予測におけるFDG-PETの役割と組織型の違い
静岡県立静岡がんセンター 呼吸器外科部長 大出 泰久/呼吸器外科レジデント 松本 光善
FDG-PETは病期診断に幅広く用いられ、リンパ節転移や予後との相関性についての報告も散見されるが、未だ議論の余地が多い問題である。腺がんと扁平上皮がんの集積の違いについてもいくつか報告があるが、組織型を一緒にして検討していることが多いのが現状である。今回我々は、腺がんと扁平上皮がんのそれぞれにおいて、FDG-PETによるリンパ節転移と予後予測について検討したので、その結果とそれをどう活かしていくのかを考察し、報告する。
3.臨床病期I期原発性肺癌(第7版)に対するTLGを用いた悪性度の評価と術式選択の可能性
岐阜大学医学部附属病院 呼吸器外科 講師 白橋 幸洋
FDG-PETにおけるSUV max値は、腫瘍内の最も糖代謝が高値である1ボクセルのみの値であり、一部でも糖代謝が高度の組織があれば高値を示す特徴がある。近年一定のSUV閾値を定め、それを超える領域の体積値を算出したmetabolic tumor volume(MTV)やMTVに平均SUVをかけて得られるtotal legion glycolysis(TLG)といった新しいPETパラメータの報告が散見されるようになった。今回臨床病期I期の原発性肺がんに対しTLGを用いた悪性度の評価と術式選択の指標になりうるかどうかを検討した。