- 日時
- 2019年11月28日(木)17:30~19:00
- テーマ
- AIを用いた内視鏡診断
(大阪国際がんセンター/愛知がんセンター発信)
司会 大阪国際がんセンター 石原 立
Deep learningを用いた物体認識の分野はここ10年で急速に進歩し、人を凌駕するレベルとなっている。医療分野にもこのAI技術が導入され、臨床応用されつつある。しかし、動画解析が必要となる内視鏡分野において、この技術がどこまで有用なのかはまだ十分に分かっていない。そこで本カンファレンスでは各施設におけるAI技術の開発状況を報告していただき、今後の展望について議論を行う予定である。
1.消化管内視鏡診断におけるAI活用の試み
~高効率な学習モデルと、日常診療データ収集の取り組み~
国立がん研究センター 東病院 消化管内視鏡科 堀 圭介
近年、消化管内視鏡診断に対する人工知能(AI)の応用技術は良好な成績が発表されつつある。一方、モデルの構築の為には大量の教師情報付きの画像情報が必要であり、既存のモデルには疑陽性率が高いなど解決すべき問題点も多い。転移学習、領域分割、データ拡張技術による高効率な学習スキームの構築、内視鏡学会との連携を通じた日常診療による継続的な学習、検証用データセット収集の試みを通じた問題解決につき提示したい。
2.食道がんのAI診断
大阪国際がんセンター 福田 弘武
当院では食道がんに対する人工知能(AI)による内視鏡診断研究を行っており、実臨床のプロセスに沿って①拾い上げ診断、②拡大内視鏡での質的診断、③深達度診断の過程に分けAI教育を行い、経験豊富な内視鏡専門医と比較検証した。拾い上げ診断で十分な感度を保ち、拡大診断で専門医よりも良い正診率を得ている。また、深達度診断についても専門医と同等の結果を得ており、AIは近い将来日常診療の優れたサポートツールとなりうる。
3.人工知能を用いたIPMN良悪性診断
愛知県がんセンター 消化器内科部 桑原 崇通
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は浸潤がんに進行する前に診断・治療を行うことが重要だが、画像診断のみの正診率は60-70%と高くはない。近年人工知能のアルゴリズムの一つであるdeep learningが急速に発達したため画像を、自動的に高精度で判別することが可能になってきた。当院では、IPMNの超音波内視鏡画像を人工知能に学習させ、その診断能の向上を試みており、その成果を報告する。