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地域相談支援ワークショップ in 島根 「がん患者のくらしを支える縁結び」 開催記録

更新・確認日:2015年03月02日 [ 履歴 ]
履歴
2015年03月02日 掲載しました。
開催日時:平成27年2月14日(土)13時00分~16時30分
場所:松江テルサ1階 テルサホール

■プログラム

開会あいさつ
基調講演
「働き暮らせる地域をつくる~がんの特色と他文脈との共通点」
高橋 都(国立がん研究センターがん対策情報センター)
島根県「がん患者の就労等に関するアンケート調査」結果報告
黒崎 知(島根県健康推進課)
シンポジウム
テーマ「就労を支えるためにできること」
シンポジスト    梶谷 泰子さん(がん患者さん/国民宿舎さんべ荘)
田平 勉さん(国民宿舎さんべ荘 専務取締役)
坂根 親雄さん(坂根社会保険労務士事務所 社会保険労務士)
鈴宮 淳司(島根大学医学部附属病院 腫瘍センター長 医師)
槇原 貴子(島根大学医学部附属病院 がん専門相談員)
渋谷 功志(益田赤十字病院)
オブザーバー 高橋 都(国立がん研究センターがん対策情報センター)
閉会あいさつ

■概要

会場風景 写真
平成27年2月14日(土)、島根県がん診療ネットワーク協議会がん相談部会他主催による地域相談支援ワークショップin島根「がん患者のくらしを支える縁結び~がんになっても安心して働き暮らせる地域であるために~」が松江テルサ(松江市)にて開催されました。

このワークショップは、「がん相談支援センターを地域につなげる新企画」として国立がん研究センターがん対策情報センターが募集し、応募された中から平成26年度パイロットとして採用されたものです。
若尾文彦センター長 写真
当日は柿本可奈恵さん(松江赤十字病院)、萬代由喜子さん(島根県立中央病院)の総合司会により、若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)のあいさつで始まりました。

若尾センター長からは、国のがん対策推進基本計画に「がんになっても安心して暮らせる社会の実現」が掲げられ、その中でがん患者さんの就労は重要なテーマであること、しかし、内閣府の調査では2週に1回の通院でも65%の人が就労は難しいと答えるなど「がんになると就労が難しい」というイメージがあること、だからこそこの会の副題でもある「がんになっても安心して働き暮らせる地域であるために」それぞれの立場でどのようなことができるか、有意義な意見交換を期待しているとのあいさつがありました。
島根大学附属病院 井川院長 写真
続いて、島根大学附属病院の井川院長より、島根大学病院はじめ、県内のがん診療連携拠点病院では、先進医療についても、また緩和ケア病棟をはじめ生活を支える医療についても積極的に取り組んでいること、また島根大学病院では、就労しながら受診をする患者さん負担軽減を目指して、今後はより就労しながら受診しやすく、相談しやすい体制をとっていきたいと考えていること、今日の話を参考に、より患者さんの生活全体のサポートができるようになっていきたい、というあいさつがありました。
高橋都部長 写真
その後、鈴宮淳司協議会会長(島根県がん診療ネットワーク協議会・島根大学医学部附属病院)の司会で、高橋都部長(国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ研究部)による基調講演「働き暮らせる地域をつくる~がんの特色と他文脈との共通点」が行われました。

基調講演では、冒頭にがんと就労というテーマは、副題にもあるとおり、がんという病気の特徴もありながら、ほかの疾患や障害、さらには子育てや介護といった人生の課題など、ほかの多くの文脈とも共通する要素も多く、それらを踏まえて考えていく必要があるという副題の意図が説明されました。
講演においては
  • 現在、がんになる方の3分の1は、18歳から64歳の生産年齢人口であり、今後、定年延長などにより69歳ぐらいまで働くようになることを考えると、実に半数近くの人が働く世代にがんに罹患しているという現状、がんの患者さんの絶対数が多いこと
  • がん対策が進んだことで「がんと就労」についてメディアにも取り上げられるようになったが、調査結果からも依然として多くの人が、がんがまれで治らない病気であると考える傾向があることが明らかになっており、そのためにがんになったことですぐに就労は無理であると考えてしまう傾向があると推察されること
  • がん一般として考えるのではなく、目の前のその人の今、1年後、3年後を、それぞれの立場で具体的に一緒に考えることが重要であること といった、がんと就労を考える際に必要となる基本的な視点が解説されたのち、雇用する側である企業、治療を担当する医療者、そして患者や家族の立場でそれぞれが何をしていくことができるか、必要であるかというポイントの解説がありました。
黒崎知さん 写真
基調講演に続き、島根県が実施したがん患者の就労等に関するアンケート調査の結果が、黒崎知さん(島根県健康推進課がん対策推進室)から報告されました。平成26年に行われたがん患者さんと事業所を対象にした調査では、特に事業所からの回収率は4割近くと極めて高く、関心の高さがうかがわれること、患者さんの7割以上が仕事を続けたいと回答していること、相談したいと思った人の3割は相談する場所がなかったと回答していること、回答した事業所の6割が従業員10人未満、9割が50人未満の中小企業であること、私傷病休暇・休職制度がある事業所は3割にとどまること、8割以上の事業所が仕事と治療が両立できる職場づくりの必要性を感じていること、そしてそのためには「代替要員の確保」が課題と感じていること、また、がん患者への就業上の配慮や他社での取り組み事例などについてリーフレット等で情報提供が求められている、といった現状が紹介されました。
会場風景 写真
休憩をはさんで行われたシンポジウムは、景山晴美さん(島根県立中央病院)、奥公明さん(松江赤十字病院)の司会で進行しました。

まず、都道府県拠点病院である島根大学附属病院相談員の槇原貴子さんから、平成26年4月に開所した「がん患者・家族サポートセンター」の紹介、また、患者さんからお話をきく中で明らかになった身体的、心理的、社会的な課題と、支えになったことについての具体例の紹介、社会保険労務士による就労相談会の取り組みに関する紹介がありました。

社会保険労務士による就労相談会で社労士として相談対応にあたった坂根親雄さん(坂根社会保険労務士事務所)からは、患者さんが思いの丈を話すことに耳を傾け寄り添うことの重要さの実感と、また10人以上を雇用する事業所では定めることが義務付けられている「就業規則」の基本的な知識について解説していただきました。

次に 実際にがんと難病、そしてがんの再発を経験しながらも就労を続けている梶谷泰子さん(国民宿舎さんべ荘)からは、がんの診断を受けたときに上司に退職を申し出たが、「今は退職など考えないで、病気をしっかり治すことに専念して帰ってきてほしい」と言ってもらえたことが支えとなったこと、がんの治療後に難病がわかり再度退職を考えたときにも同様に励ましてもらえたことで1年後に復職できたこと、復職にあたっては身体的な負担の少ない総務部に異動させてもらい、無理のないペースで働けるように時給制にしてもらったこと、復職の1年後にはがんが再発するという事態になったけれどもこれまでの支えで退職を考えることなく治療に向かえたこと、そして今、病を経験して得たものはたくさんある、自分のできることはやっていく、無理はしない、という心境にあるという体験をお話しいただきました。

それを受けて、梶谷さんが相談した上司である田平勉さん(国民宿舎さんべ荘)からは、従業員43人のうち、60歳以上が約半数、従業員の最高年齢は82歳という中山間地域の会社にとって、経験を積んだ従業員は極めて貴重な人材であること、梶谷さんのように病を経験しても元気に働いてくれる従業員がいてくれることが次に病を経験した人の支えになる宝になること、実際に最近大腸がんに罹患した従業員が退職を申し出た際にも梶谷さんが経験者としてサポートしたことで復職する気持ちを持てたという事例があること、そしてこうした事例が安心して働ける職場だと思ってもらえることにつながり人材不足になりがちな事業所にとって雇用の安定を確保でき、会社としてもメリットがあると考えているというお話がありました。
会場風景 写真
また、がん相談支援センターの相談員の渋谷功志さん(益田赤十字病院)からは、がん相談支援センターに寄せられる就労相談はごくわずかであること、その背景にはがん相談支援センターの周知不足があり、がん専門相談員のスキルアップが必要であると感じられているとの実感と、島根県がん診療ネットワーク協議会がん相談部会として、来年度に県が主導する予定である、企業向けのサポートブックの作成時のがん専門相談員としての積極的な貢献、院内外へのがん相談支援センターの周知、関係機関との連携強化、研修体制の強化を行うことで、「患者さんにとっての駆け込み寺であり、企業にとっても相談窓口の1つとなるような病院と企業をつなぐ窓口」になりたいという今後の取り組みの方針が示されました。

さらに、フロアからは内藤義博さん(島根県労働局職業安定課)より、ハローワークとしては現在、モデル事業として就職支援のノウハウを積み上げている状況で、今後そのノウハウを全国に展開していく予定であること、がん患者さんが仕事を探す際には、病気のことを含めて、具体的な状況をお話ししていただき、それにあうサービスを提供させていただく体制があることをご紹介いただきました。

医師として臨床にも携わる鈴宮協議会会長からは、医師として思いを寄せる気持ちはあるが診療時間の制約を理由に十分に対応できていなかった側面があるのではないか、相談窓口の紹介など、明日からの診療に直接役立つヒントが得られたという感想がありました。

基調講演を行った高橋部長からは、紹介されたさんべ荘のような、懐の深い企業のあり方は「島根モデル」として全国に発信して欲しい取り組みであり、がんを抱えながら働く方たちを支えるノウハウを企業の方のネットワークの中で蓄積されていく重要性を感じるとのコメントがありました。
鈴宮協議会会長 写真
過疎・高齢化、人口減といった島根県が抱える課題をポジティブにとらえられる事例を共有でき、これまではなかなかつながりのなかった分野の専門職の方たちとのつながりを得られたことが成果だと感じるという司会の奥さんのまとめがあり、鈴宮協議会会長からのこの島根モデルを全国に発信したいというあいさつでワークショップが閉会しました。

■資料

資料1 「がん患者のくらしを支える縁結び~がんになっても安心して働き暮らせる地域であるために~」プログラム(PDF:1.2MB
資料2 基調講演 「働き暮らせる地域をつくる~がんの特色と多文脈との共通点~」(PDF:4.5MB
資料3 「島根県就労アンケート結果報告」(PDF:1.2MB
資料4 シンポジウム資料「島根大学医学部附属病院『がん患者・家族サポートセンター』の紹介」「就労に関する患者さんの声より」「がん患者・家族サポートセンターでの就労相談会の取り組み」「国民宿舎さんべ荘の職場」(PDF:2.5MB
資料5 がん相談支援センターのご紹介(ビデオをみる)(iPhone、iPadで見る
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