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精巣(睾丸)腫瘍(せいそう(こうがん)しゅよう)

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  • 転移・再発
更新日:2013年03月26日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年08月28日
更新履歴
2013年03月26日 内容を更新しました。
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

1.手術(外科治療)

1)高位精巣摘除術(こういせいそうてきじょじゅつ)

精巣腫瘍の患者さんに対して、基本的に全員に実施される手術です。精巣は、血管と精子の通る精管が束になった精索(せいさく)という管でおなかの中につながっています。精巣腫瘍は、この精索を通り転移することが多く、精巣を摘出する際には精巣だけでなく、この精索の上の方まで取り除きます。この手術方式が、高位精巣摘除術といわれています。

2)後腹膜リンパ節郭清術(こうふくまくりんぱせつかくせいじゅつ)

後腹膜リンパ節とは、おなかの大血管周囲にあるリンパ節です。精巣腫瘍ははじめにこのリンパ節に転移を起こすことが多いため、転移のないI期の場合でも、再発を防ぐ目的でこの部分のリンパ節とその周りの組織を取り去る手術が行われることがあります。この手術を後腹膜リンパ節郭清術といいます。また、最初から後腹膜リンパ節に転移がある場合は、化学療法によってがん細胞を十分に死滅させてからこの手術を実施します。精巣腫瘍に対する化学療法後の後腹膜リンパ節郭清は難易度の高い手術の1つとされていますので、場合によっては症例数の多い専門病院で受けられることをお勧めします。

3)転移巣切除術

精巣腫瘍は早期に肺に転移することもありますし、脳や肝臓への転移が認められることもあります。セミノーマの場合は、化学療法や放射線治療の追加で転移巣を含めて完治することがあります。しかし、非セミノーマの場合は異なり、化学療法でがん細胞を死滅させても、画像診断で転移が残存していた場合は、転移巣から再発してくる可能性が高いので、可能な限り摘出手術を実施した方がよいとされています。

4)手術後の射精障害について

後腹膜リンパ節郭清術を受けた後に、逆行性射精という障害を起こすことがあります。逆行性射精とは、射精したときの感覚に変化はないのに、精液が外に出てこないという状態です。精巣腫瘍は若年者に多いため、男性不妊症の原因となる逆行性射精が問題になります。 手術の範囲によって状況が異なり、必ず射精障害が発生するとは限りません。また、障害の程度にも個人差があります。病気の広がりによっては、射精機能を残すような神経温存手術も可能です(ただし、特殊な手技なので実施施設は限られています)。また、逆行性射精があっても、残された精巣の機能が正常であれば、精巣から直接精子を採り出すことによって、多くの場合妊娠は可能です。病気を完全に治すために、必要な手術と逆行性射精のリスクについて、手術前に担当医から十分な説明を受け、パートナーとも話し合ってください。
【治療前の精子保存について、さらに詳しく】
精巣腫瘍に対する治療では、腫瘍がある側の高位精巣摘除術が標準として行われています。通常であれば反対側の精巣は温存されるので、造精機能(精子を造り出す機能)は維持されます。しかし両側の精巣を切除する場合や、手術後に放射線治療や化学療法を行う場合は、精子の凍結保存という方法も考えられます。抗がん剤治療の前に精子を保存するのは、化学療法後最低2年間は正常な精子はできなくなるとされ、特に大量の抗がん剤を使用した場合は、造精機能が完全に失われる場合もあるからです。特殊な方法で精子を凍結保存することによって、数年間保存することが可能で、必要な場合に体外受精に使用することができます。また、精子自体が少ない疾患を伴っている場合は、精巣内の精子採取術を行うこともあります。担当医とよく相談してみましょう。
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2.化学療法(抗がん剤治療)

1)化学療法の適応

明らかな転移のないI期でも、再発の可能性が高い場合や、転移のあるII期以上の多くは、化学療法が行われます。 精巣腫瘍は化学療法の効果が非常に高いとされ、転移のある場合でも、化学療法を中心とした集学的治療により根治が期待できる数少ない悪性腫瘍の1つです。ただし、転移のある非セミノーマの場合、術後の化学療法(参照:術後補助療法)のみでは治らない場合も多く、化学療法後の残存腫瘍に対する再手術が必要となることもあります。また、明らかな転移のないI期でも、転移や再発の可能性が高い場合は、化学療法が実施される場合があります。

化学療法では、多くの場合複数の作用の異なる抗がん剤を組み合わせて治療を行います。治療の効果を把握するために、画像検査により腫瘍の縮小の有無や、血液検査による腫瘍マーカーの値の変化を調べていきます。治療に用いる抗がん剤によって、起こる副作用は異なります。

2)抗がん剤の副作用

精巣腫瘍に対する化学療法は、根治を目指して実施する治療であり、比較的大量の抗がん剤を使用します。従って治療中の副作用は、他のがんにおける治療と比べてかなり強い部類に入ります。
【治療前の精子保存について、さらに詳しく】
抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼします。特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、血液を造り出すもとになる骨髄などの新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球赤血球血小板の数が少なくなったりすることがあります。その他、吐き気や心臓への影響として動悸(どうき)や不整脈が、また肝臓や腎臓に障害が出ることもあります。しかし現在では、抗がん剤の副作用による苦痛を軽くする方法や、対処のための薬剤の使用が実施されるようになり、以前のように重篤な副作用が出現することは減少しています。また、多くの副作用は、治療を終了あるいは中止することによって改善しますので、副作用が著しい場合には、治療薬の変更や治療の休止、中断などを検討することもあります。
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3.放射線治療

1)放射線治療の適応

図4 精巣腫瘍の放射線治療
(右の精巣腫瘍における治療例)
図4 精巣腫瘍の放射線治療(右の精巣腫瘍における治療例)
放射線治療は、腫瘍に放射線をあてることで腫瘍細胞を傷つけ、腫瘍を小さくする治療です。セミノーマでは放射線治療が特に有効とされ、I期のセミノーマの再発予防のためとII期のセミノーマの比較的小さなリンパ節転移に対して放射線治療が行われることがあります。一方、非セミノーマでは放射線治療の効果があまり期待できないため、初期治療として選択されることはありません。また、精巣腫瘍は転移しやすいがんであるため、照射した範囲以外には効果があらわれない放射線治療は、転移巣が大きく広がっている場合、通常は行われません。セミノーマI期では、腹部の傍大動脈領域から手術で腫瘍を取り除いた側の鼠径部(そけいぶ)へ、20〜30Gy(グレイ)の照射を行います(図4)。後腹膜転移巣が大きさ5cm以下のIIA期では、腫瘍を中心とした腹部を中心に、30〜36Gyの放射線照射が実施されることがあります。
【放射線治療に伴う主な副作用について、さらに詳しく】
副作用は、放射線が照射されている(された)部位に起こる皮膚炎・粘膜炎などや、照射部位によらず起こるだるさ、吐き気・嘔吐(おうと)、食欲低下、白血球減少などがあります。精巣腫瘍の場合は、下痢、直腸炎や膀胱炎などが起こることがあります。セミノーマは放射線の感受性が高いために、放射線の照射線量は他の腫瘍より低めに設定されることが多く、他のがんの放射線治療に比べて短期的な副作用は軽微な場合がほとんどです。しかし、若年者に多い腫瘍であることから、放射線の長期的副作用(晩期合併症)も十分に考慮するべきとの考えもあります。また、患者さんによって副作用の程度は異なります。
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