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精巣(睾丸)腫瘍(せいそう(こうがん)しゅよう)

更新日:2012年10月26日 [ 更新履歴 ]    掲載日:1996年08月28日
更新履歴
2012年10月26日 更新履歴を追加しました。内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

1.臨床病期と治療

精巣腫瘍は進行が速く、転移用語集アイコンしやすいという特徴があります。そのため、精巣腫瘍が疑われる場合には、まず病気のある側の精巣を摘出する手術を行います。そして、手術で取り出した組織を顕微鏡で調べる(病理診断用語集アイコン)と同時にCT用語集アイコンなどの画像診断によって、腫瘍の種類と病期用語集アイコンを確定します。腫瘍がセミノーマであるか非セミノーマであるかによって、その後の治療方針と予後(病気や治療などの経過についての見通し)が異なります。下の図は、腫瘍の種類と病期、行われる治療との関係を大まかに示したものです。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください(図2)。
図2 精巣腫瘍の治療方針
図2 精巣腫瘍の治療方針
日本泌尿器科学会編「精巣腫瘍診療ガイドライン2009年版」(金原出版)より作成
【治療成績】
化学療法用語集アイコンの発達により、転移のある場合でも精巣腫瘍の治療成績は比較的良好です。一般的にはII期以上の患者さんでも70〜80%が治るとされており、最も抗がん剤用語集アイコンの治療効果が高い固形腫瘍と考えられています。また、体力のある比較的若年者に多いため、しっかりした抗がん剤治療ができることも治療成績の向上に結び付いていると考えられています。
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2.セミノーマの治療

1)I期

まず、病気のある方の精巣の摘出手術(高位精巣摘除術)を実施します。I期は、精巣のみに腫瘍がとどまっている段階であり、通常はそのまま経過観察となります。しかし、画像診断などで転移が見つからない場合でも1〜2割の患者さんでは、すでに目に見えない転移が起きていることがあります。そのような場合は、1年から2年以内に再発用語集アイコンする可能性が高くなります。これに対し予防的に放射線治療用語集アイコンや化学療法を実施することにより、再発率が低下することが報告されています。一方、定期的に検査を受けていれば、再発した場合でも抗がん剤治療によりほぼ100%治すことができます。予防的な放射線治療や化学療法を実施した場合、多少なりとも副作用用語集アイコンがありますので、一概にどの方法が優れているとはいえません。担当医とよく相談して治療方法を選択することをお勧めします。

2)IIA期

腹部大動脈周囲のリンパ節へ大きさ5cm未満の転移がある状態です。この状態でも、セミノーマであれば90%以上の確率で根治が可能です。治療法としては、リンパ節転移を摘出する手術を行うことがありますが、目に見えない転移を生じている可能性も高く、放射線治療あるいは抗がん剤用語集アイコンによる化学療法を行うことが一般的です。セミノーマでは、化学療法による治療を実施した場合、画像上転移が完全に消失しなくても、3cm以下に縮小すれば、腫瘍細胞が残存している可能性は低く、手術は実施しなくてもよいとの考え方が、一般的になりつつあります。また、残存腫瘍の有無の確認のために、PET検査用語集アイコンが有効との報告もあります。

3)IIB期およびIII期

この病期には、精巣に関しては、他の病期と同様の高位精巣摘除術が行われます。しかし、転移巣に対しては、転移した腫瘍が大きい場合は、その周囲の組織ごと手術で切除しなければならず、正常部位へのダメージが大きいので、基本的に抗がん剤による化学療法が行われます。

導入化学療法(精巣腫瘍に対し有効性が確立された標準的化学療法シスプラチン・エトポシド・ブレオマイシンの3剤併用療法(BEP療法))終了の段階で画像診断を行って、腫瘍が消失していれば、そのまま経過観察となります。たとえIII期であっても、セミノーマの場合導入化学療法を完遂できれば完治が期待できます。しかし、副作用のため、化学療法が予定通りに実施できなかった場合や、骨や脳に転移がある場合など、治療が非常に困難なこともあります。化学療法の結果、腫瘍が完全になくならなかった場合でも、腫瘍マーカー用語集アイコンが正常の範囲に戻っていれば、追加の手術を行って、可能な限り病巣を全て取り去ることが勧められています。手術で切除した組織を検査した結果がん細胞が見つかった場合には、さらに化学療法が追加されます。なお、セミノーマに対する化学療法では腫瘍の大きさが明らかに小さくなることが多く、IIA期と同様に追加手術を行わずに経過観察となることもあります。

3.非セミノーマの治療

1)I期

非セミノーマの場合も、まず高位精巣摘除術が行われます。非セミノーマはセミノーマと違い、放射線治療が有効でないかわりに、I期の再発率は非セミノーマよりも低いことが知られています。そのため、精巣腫瘍の病理診断において、脈管侵襲(精巣から静脈やリンパ管用語集アイコン側に広がっているかどうかということ)がなく、また5年間以上の長期にわたって通院、検査を続けることが可能な場合には、経過観察とするのが一般的となります。脈管侵襲がある場合には、再発の危険性が高いため、化学療法を追加することがあります。

2)IIA期およびIII期

これまで述べてきたように、非セミノーマでは放射線治療の効果が期待できないため、初期治療として選択されることはありません。従って転移のある非セミノーマの場合、精巣を摘出した後は、抗がん剤による化学療法が治療の中心となります。なお、非セミノーマの一部には、抗がん剤で完全に消滅させることが難しい奇形腫という成分が存在します。また、奇形腫は特有の腫瘍マーカーを持たないため、非侵襲的(ひしんしゅうてき)な検査だけでは完全に腫瘍が消えたかどうかを判断できません。そのため、奇形腫を含む可能性のある非セミノーマでは、化学療法後に腫瘍マーカーが正常な範囲に戻った段階において、大動脈周囲の後腹膜リンパ節を切除する手術を追加することが一般的です。一方、転移のある精巣腫瘍の2〜3割では、導入化学療法だけでは腫瘍マーカーが正常になるほどの効果が得られず、別の抗がん剤の組み合わせによる化学療法(救済化学療法)が行われることがあります。現在、さらにその次の治療法として、大量化学療法や新規抗がん剤による治療が行われています。

4.難治性精巣腫瘍の治療

化学療法を実施しないと完治が期待できない転移のある精巣腫瘍を、進行性あるいは難治性精巣腫瘍といいます。難治性精巣腫瘍に対しては、図4のアルゴリズム(正しい治療を実施するための具体的手順)に基づいて治療を進めていくのが一般的です。しかし、化学療法の副作用で予定通りの治療ができなくなったり、導入化学療法で腫瘍マーカーの値が正常化しなかったりする場合などは、治療はかなり困難となります。また、腫瘍マーカーが陰性化したとしても、化学療法後の残存腫瘍切除術は非常に難易度の高い手術となる場合が多く、高度な技術と経験が必要とされます。従って難治性精巣腫瘍の患者さんは主治医とよく相談し、病状および治療計画を十分理解された上で治療を受けられることを強くお勧めします。また、疑問点があれば、他院の専門医に話を聞きに行くセカンドオピニオン用語集アイコンも有効な手段ですが、精巣腫瘍の進行は速いので、迷っているうちに治療のタイミングを逃さないように早急に行動することが大切です。
【図3 進行性・難治性精巣腫瘍の治療アルゴリズム】
図4 進行性・難治性精巣腫瘍の治療アルゴリズム
日本泌尿器科学会編「精巣腫瘍診療ガイドライン2009年版」(金原出版)より作成
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