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患者さんの手記

がんの再発、私たちの体験

このページには、がんが再発した患者さんの体験談をもとにした、がんの再発がわかったときの思いにまつわる手記を掲載しています。たくさんの方々のさまざまな向き合い方を通して、今度はあなた自身の向き合い方を見つけてみてください。

基本的な情報収集が大切、患者体験談も参考に

私は担当医の先生から、大腸がんの手術後の説明の中で、リンパ節への転移がみられ、遠隔転移の可能性が高いことを告げられました。翌年に肝臓、翌々年に肺への転移がみつかり切除、その後化学療法を受けました。入退院を繰り返す中で、症状を特段感じなくても、がんの再発・転移が進行していることを、身をもって体験する事となりました。

知ることの怖さもありますが、まず、不安を和らげる上でも基礎知識に触れることが肝要かなと思います。特に、治療後の定期受診の必要性については、患者体験談も参考になることが多かったです。

私自身は、予想以上に体調が回復してきたな、と感じてきましたので、もう大丈夫だと思い、特にそれ以上の情報を収集しませんでした。今は、一般向けに再発・転移に関する読みやすい書籍もあります。医療者との意思疎通の上でも、基礎的な理解は、助けになると思います。

「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」(2013年)より

つらい経験から立ち直った私

最初にがんになったとき、私は絶対に治すんだと心に決めて、大きな手術もつらい抗がん剤治療も必死で耐え抜きました。十分すぎるほど頑張ったつもりでいました。

がんの再発がわかったとき、その頑張りが否定されたように感じました。

あのつらい治療は何だったのか?という無力感。あれだけ頑張ったのにまだ頑張れと言うの?という悔しさ。もっとつらい治療を受けなければならないのか?という恐怖。

何よりも、せっかく伸びてきた髪がまた治療で抜けてしまうのが嫌で嫌でどうしようもなくて、逃げ出したい気持ちでした。

あれから4年。逃げ出す勇気もなかった私は医師の指示どおりに治療を受け、肉体的にも精神的にもつらい思いをしましたが、日々を生きる中には楽しいことや笑えることも少なからずありました。抜けた髪はロングまで伸びました。今では、つらい経験をした分を取り返すつもりでいます。

(岐阜県、27歳、女性)

「もしも、がんが再発したら 患者必携 本人と家族に伝えたいこと」(2012年)より

がんで失ったもの以上に得たものがある

初発から6年たったときにがんが再発した。特に問題なく5年を経過し一安心していた中での出来事だった。

「複数臓器に遠隔(えんかく)転移しているので、手術はできない。根治(こんち)することは不可能で、延命を目指しての治療」と医者から言われた。

その後、セカンドオピニオン、サードオピニオンと見解を求めたが、どれも同じものだった。初発のときとは比べものにならない大きなショックを受けた。初発のときには考えなかった死を意識した。残された家族はどうなるのかとこれほど心配したことはなかった。それでも、何とかなると少しだけの希望は持ちたいと思った。それから9年、がんで失ったものは多い。でもそれ以上に得たものがある。そう感じられる今がある。

(東京都、54歳、男性)

「もしも、がんが再発したら 患者必携 本人と家族に伝えたいこと」(2012年)より

「今」を、「自分」を大切にして生きよう

再発を知ったときは、かなりのショックを受けました。CTには、素人目にもわかるほど、多数の転移巣(てんいそう)が映っていました。がんの再発がどういうことを意味するのか、理解していたこともあり、初めてがんの告知を受けたときとは比べものにならないほどの大きなダメージを受けました。

それでも、医師の前では、説明に耳を傾け、自分の状況を冷静に受け止めようと努めました。やり場のないその気持ちをやっとの思いで抱えて、病院の駐車場の自分の車に乗り込んだときは、せきを切ったように涙が溢(あふ)れました。家族に心配をかけたくない私は、幼なじみに電話して、「私、死んじゃうんだよ」と泣きながら繰り返し訴えました。電話を切った後も、世界一不幸な人になった気分で、しばらく動けませんでした。

今、私のスケジュール帳には、仕事・患者会活動、もちろん遊びにいくこと、いろいろ毎日予定がぎっしり。再発する以前にもましてアクティブな自分であることを嬉しく思います。それは、普段は意識していなくても、がんという病気になったことを契機に、自然と「今」を、「自分」を大切にして生きようと思っているからかもしれません。私は今、がんとともに生きている自分が、一番好きです。

(広島県、52歳、女性)

「もしも、がんが再発したら 患者必携 本人と家族に伝えたいこと」(2012年)より

繰り返す再発にもまいらずに向き合う

私は、9年前に食道と咽喉(いんこう)に多重がんが見つかった。私の食道と喉(のど)には「前がん細胞」が多数あり、それらが次々にがん化する、咽喉と食道の両方で「局所再発」が止まらない状態にある。また最近新たに、口腔(こうくう)と胃にもがんが発見された。

現在までに咽喉7回、食道8回、口腔1回、胃1回、計17回もがんが発見された。最初のころは主治医から「もっと多く見つかっている先輩もいますから頑張りましょう!」と元気づけられた。しかし今では「当病院の記録更新ですね!」とからかわれている。本人は、必死であり笑えない。精神的にも疲労困憊(ひろうこんぱい)しがちである。

これまでのところ、がんは比較的初期段階で発見、対処できているが、発見が遅れると厄介だ。だんだん、選択肢も狭くなりつつある。多発がんの根治療法が発見される日を待ちつつ、精神的にまいらないよう、努めて淡々と治療と向き合うようにしている。

(東京都、58歳、男性)

「もしも、がんが再発したら 患者必携 本人と家族に伝えたいこと」(2012年)より

治療の進歩と明日を信じて

がんの治療は日進月歩。今日使えなかった薬が明日は使えるようになっているかもしれない。今日できなかった治療が、明日はできるようになっているかもしれない。今日より明日はずっと、きっとよい日と信じて、私は、前向きに歩いていきたいと思います。

(広島県、52歳、女性)

「もしも、がんが再発したら 患者必携 本人と家族に伝えたいこと」(2012年)より

更新・確認日:2023年03月10日 [ 履歴 ]
履歴
2023年03月10日 「がんの再発、私たちの体験」を「症状を知る/生活の工夫」から「資料室」に移動しました。
2023年02月08日 「がんの再発、私たちの体験」のPDFを再構成してウェブページで公開しました。
2019年04月23日 「患者必携サイト」から移設しました。
2013年10月15日 普及新版(2013年9月発行)の内容に更新しました。
2012年02月01日 掲載しました。
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