がんの疑いがある場合は、問診や診察とともにさまざまな検査を行います。また、がんの検査は治療前だけでなく、治療中・治療後にも行います。検査の内容や回数は、疑いのあるがんの種類や状態によって、一人一人異なります。
自分がこれから受ける検査について、目的や方法を知っておくと、担当医からの検査の結果や病気の説明がより理解しやすくなります。説明をよく聞いて、分からないことや気になることがあれば、担当医や看護師に確認しましょう。
以下のページでは、さまざまながんの検査に関する情報を見ることができます。
がんの検査は、がんの種類によっても異なります。それぞれのがんの主な検査については関連情報「病名から探す」から、それぞれのがんの「検査ページ」をご覧ください。
検査は病気とあなた自身について調べることから始まります
がんの疑いがあるときは、最初に問診と診察を行います。問診は体質や症状のほか、診断の手がかりを得るために、生活習慣(喫煙や飲酒、職業など)や過去にかかった病気、現在かかっているほかの病気など、家族や血縁者も含めて詳しく確認します。診察は担当医が主な症状をもとに、目で見て(視診)、手で触れて(触診)、軽くたたいて(打診)、聴診器で聞いて(聴診)体の状態を調べます。
より詳しい情報を得るために、血液検査や画像検査などを行います。さらに必要に応じて、病理検査を行います。これらによって、がんかどうかを最終的に診断します。
また、がんと診断されたら、治療方針を検討するために、がんの広がりを調べる検査を行います。同時に心臓、呼吸、肝臓、腎臓の機能など全身の状態を調べ、治療を受けることができる状態かどうかを評価・判断します。
治療前だけでなく治療中にも検査を行い、治療効果の判定や副作用・合併症が起きていないかを確認します。主な治療が終わってからも、治療の効果が続いているか、転移や再発がないかなど経過観察のために検査を行います。
検査と診断にかかる時間は、適切な治療を行うために必要な時間です
がんの治療では、「効果を最大限に得ること」と「体への負担を最小限にすること」を同時に考える必要があります。そのため、検査はいくつかの段階を経て行うことが多くなります。得られる検査の結果も、それぞれの検査を担当する医師の意見を合わせて総合的に考える必要があるため、最終的な治療の判断には時間がかかります。
「検査が多く、治療の予定が決まるまでの期間が長すぎる」と感じたり「検査の結果を待っている間に、がんが進行してしまう」と不安になったりすることもあるかもしれません。しかし、多くのがんでは治療が始まるまでに急激に進行することは少ないと考えられています。治療を急ぐ場合は、担当医から説明がありますので過度に心配する必要はありません。
検査の結果がでるまでの間は、心も体も最善の状態で治療を受けることができるようにするための大切な準備期間になります。栄養をできるだけバランスよくとる、十分睡眠をとるなど心身の健康に努めるとよいでしょう。
がん検診について
「がん検診」は、がんに関する検査を行いますが、このページで紹介している「がんの検査」とは異なります。がんの早期発見を目指し、早期に治療することを目的として行うものです。住民検診、職域検診など国のがん対策として行う検診(公共的な医療サービス)と、人間ドックなどの検診(民間の医療機関などが任意で提供する医療サービス)があります。
国のがん対策として行われるがん検診(住民検診、職域検診)
市区町村が実施する住民検診に代表されるがん検診は、がんを早期発見して適切な治療を行い、がんで亡くなる人を減らすことを目的として、症状がない人に定期的に行うものです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和6年一部改正)」で検診方法が定められています。
その他のがん検診(人間ドックなど)
民間の医療機関などが任意で提供するがんスクリーニング検査やリスク検査などは、検査によってがんで亡くなる人がどれくらい減少するのかについての科学的データが十分ではなく、国が推奨するがん検診ではありません。
その他のがん検診を検討する場合は、次のことを考えてみてください。
- この検査でどんなことが分かるか。
- この検査で費用がどれくらいかかるか。
- 異常が見つかった場合、どのような対応をしてもらえるか。
もし迷っている場合は、今のご自身の年齢や健康状態を踏まえ、利益と不利益を十分に考えてから検査をうけるかどうかを決めましょう。
がん検診の詳細については、関連情報のページをご覧ください。
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