1.治療後の生活について考える
治療が完了したあとは、長期的なフォローアップ(経過観察)のために、定期的に検査を行います。定期検査は、晩期合併症、再発や転移の早期発見に役立ちます。早く気付くことができれば、その分早く対処できます。また、気持ちのサポートや日常生活を送る上でのアドバイスも受けることができます。
なお、小児科でがんの治療を受け始めた場合には、長期的なフォローアップのための通院でも、成人の診療科を受診するタイミングを考える必要があります。
また、AYA世代は、就学や就職、結婚などに伴う転居によって、通院先や担当の医師が変わることもあります。それに備えて、これまでにあなたが受けてきた検査や治療の記録を整理してまとめておくことが大切です。検査や治療の記録は、通院先や担当の医師が変わった場合に、適切な治療を受けるための助けになります。
検査や治療の記録は、これまで治療を受けていた病院からもらうことができます。また、治療が終わってからの通院の頻度や、治療後の生活について、わからないことや疑問に思うことなども、遠慮なく医療者に尋ねてみてください。
治療後のフォローアップや生活に関する医療者への質問の例
- どのくらいの期間、定期的に検査を受ける必要がありますか?
- 治療が終わってからは、どのような生活をしていけばよいですか?
2.家族や周りの人との関わり、お金、学校、仕事について考える
がんと診断されて、家族のこと、お金のこと、学校のこと、仕事のこと、将来のことなど、さまざまなことが頭をよぎり、心配になったかもしれません。また、心に大きな衝撃を受けて何も考えられないような気持ちになったり、さまざまなことで悩んだり、どうしていいかわからなくなることもあるでしょう。
1)家族や周りの人との関わり方について考える
親、兄弟、恋人・パートナー、子どもとの関わりは生活の中で切り離せないことです。どのように接したらよいのか悩んだときには、話しやすい医療者やがん相談支援センターのがん専門相談員に相談してみましょう。患者会などの同じような経験をしたことがある人と出会える場があるかについても、相談することが可能です。
家族や周りの人との関わり方に関する質問の例
- 家族や周りの人に、どうやって病気について伝えたらよいでしょうか?
- 家族や周りの人との関係に悩んでいます。どうしたらよいでしょうか?
- 家族や周りの人との関係について、同じように悩んだ経験がある人と話すことができる場はありますか?
2)お金について考える
治療を受けるにあたっては、お金が必要です。治療のための医療費や生活費などの経済的な問題に対して、公的な助成・支援制度、介護・福祉サービスを利用できることがあります。治療にかかるお金のことや、利用できる制度やサービスがあるかどうかなどについては、ソーシャルワーカーやがん相談支援センターのがん専門相談員などにも質問したり相談したりすることができます。
経済面に関する質問の例
- 治療費はどのくらいかかりますか?
- 治療費以外にお金はかかりますか?
- 医療費の負担を軽くする公的制度はありますか?
- 傷病手当金の受給や保険料の支払い減免、生活費の助成など、利用できる制度はありますか?
3)学校生活について考える
治療中や入院中は、これまでと同じように学校生活を送ることが難しくなるかもしれません。休学や復学、進学について、多くの人が悩んだり不安になったりします。そのようなときには、ひとりで悩まず、家族や友達、教職員、医療者など周りの人に相談してみてください。
学校生活との両立に関する質問の例
- 学校は休まないといけませんか?休むとすると、どのくらいの期間ですか?
- 病気や治療について、学校の先生にはどのように説明したらよいですか?
- 学校生活で気を付けることはありますか?
4)仕事について考える
これから就職する人、すでに仕事に就いている人、治療をしながらこれまでと同じように仕事を続けたいと考える人、一度休職してその後復職を計画する人など人それぞれです。新しく別の仕事に就きたいと考える人もいるかもしれません。
治療と仕事の両立に関することは、状況も選択も人によってさまざまです。仕事について考えるときには、自分の治療の状況や体の状態について担当の医師などの医療者にも確認し、知っておくことが大切です。
また、がん相談支援センターでは、治療と仕事の両立などこれからの働き方、職場への相談のしかた、就職活動、休職や復職などについても相談することができます。これからどのようにキャリアを積んでいくのかを考えるときには、他の人の体験が参考になるかもしれません。
仕事との両立に関する医療者への質問の例
- 仕事をする上で気を付けることや、制限されることはありますか?
- 入院期間はどのくらいですか?いつごろ復帰できますか?
- 職場や上司には、体の状態についてどのように伝えればいいでしょうか?