子どもは、がんの疑いがあるときから入院して、検査を受けることが多いです。また、診断された後は、すぐに治療が必要な場合もあり、病院での生活が長くなることがあります。小児がんの子どもは、発育や時間の経過に伴って、がんそのものや、治療の影響による合併症が起こる可能性があり、医療との関わりは長期にわたります。子どもや親、家族は、困ったり悩んだりする場面に直面することもあるでしょう。
ここでは、主に小児がんの子どもの親や家族に向けて、受診先を決める際の情報や、小児がんの相談に関する情報について、入院中、退院後、さらに治療を終えてからの時期に分けて、紹介しています。
1.まずは小児がん拠点病院の「がん相談支援センター」へ
子どもにがんが疑われ、どうしてよいか分からないなどをはじめ、不安や困りごとなどがある場合は、まずは小児がん拠点病院※の「がん相談支援センター」に相談してみましょう。小児がん拠点病院の「がん相談支援センター」には、小児がんに関する専門的な研修を受けた相談員がいます。「がん相談支援センター」は、どなたでも、どんなことでも、その病院にかかっていなくても、無料で相談できます。また、電話での相談もできます。
※「小児がん拠点病院」については「2.受診先の病院を決めるにあたって」をご覧ください。
小児がん拠点病院のがん相談支援センターの探し方
小児がん拠点病院のがん相談支援センターは、がん情報サービスの「相談先・病院を探す 小児がんの病院を探す」から探すことができます。
2.受診先を決めるにあたって
子どものがんは、大人のがんと同じ病名であっても、大人の治療とは異なる場合があります。小児がんと診断された場合は、小児がんの医療を専門に行っている病院で治療を受けるようにしましょう。また、できれば子どもの成長・発達に配慮した設備や、子どもを専門にみている医療者など、療養の環境が整っている病院がよいでしょう。
1)小児がん拠点病院・小児がん連携病院について
わが国には、小児がんの子どもや家族等が安心して医療を受けられるよう、質の高い医療と支援を提供する「小児がん拠点病院」があります。2023年4月現在、15カ所の医療施設が、厚生労働大臣によって小児がん拠点病院に指定されています。さらに、小児がん拠点病院はその地域の実状を踏まえて、「小児がん連携病院」を指定し、これらの病院と連携して小児がんの診療を行っています(図)。
小児がん連携病院は、提供する診療内容に応じて、類型1~3に分けられています。詳しくは、「小児がん連携病院の類型について もっと詳しく」をご覧ください。小児がん連携病院を受診する場合は、その病院ではどのような医療が受けられるか、類型の情報も得ておくとよいでしょう。小児がん連携病院は、次の「2)小児がん拠点病院等の探し方」で検索できます。
2)小児がん拠点病院等の探し方
小児がん拠点病院等は、国立成育医療研究センターや国立がん研究センターのウェブサイトから探すことができます。両センターは、小児がん拠点病院や小児がん連携病院を取りまとめる小児がんの中央機関として、厚生労働大臣から指定されています。
国立成育医療研究センターのウェブサイトから探す
国立成育医療研究センターの小児がん事業のページから、小児がん拠点病院や小児がん連携病院を探すことができます。「全国の小児がん診療施設の情報」には、小児がん診療施設ごとに、診療実績などが細かく掲載されています。詳しくは関連情報をご参照ください。
国立がん研究センターがん情報サービスから探す
国立がん研究センターがん情報サービスの「相談先・病院を探す」からは、小児がんの種類から病院を探すこともできます。「病名から病院を探す」の「病名(がんの種類)から探す」にある[小児]の項目から、腫瘍の種類を選びます。詳しくは関連情報をご参照ください。
3.どんな相談ができるのか ―入院から治療後の相談―
ここでは、入院中、退院後、治療を終えてからの経過にそって、どのような相談ができるのか、誰に相談したらよいか、紹介しています。
1)入院しているときの相談
小児がんの治療は、長い入院生活を余儀なくされることがあります。病院には、医師や看護師のほか、子どもやがんの看護を専門にする看護師、保育士や子どもの療養生活を支援する医療者、公認心理師、社会福祉士など多くの職種の人たちがいます。
治療について分からないときは
子どもの治療に関しては、子どもの希望や意思を尊重しつつ、保護者が治療の選択をしていきます。治療について、病状や診断名、推奨される治療法などの説明を聞き、納得して治療を選択しましょう。分からないことや不安なことは、主治医に相談しましょう。
主治医から説明を受けたものの、別の医師から意見を聞きたいときや、主治医が提示した以外に治療方法がないか知りたいときなどは、セカンドオピニオンを聞くこともできます。
生活での気がかりがあるときは
病院で生活する子どもは、検査や治療に加え、思うように遊べなかったり、家族に会えなかったりします。幼稚園・保育所や学校、習い事や塾にも通えず、寂しい気持ちになることもあります。家族は、子どもに入院や病気のことを伝えることや、幼稚園・保育所や学校への連絡をどうしたらよいか、悩むこともあるかもしれません。
子どもの遊びや学習、子どもの発達、きょうだいや友だちとの関わり、幼稚園・保育所、学校などとの対応など、生活全般について、気になることや困りごとは、子どもの身近にいる看護師に相談しましょう。病院によっては、相談内容に応じて、保育士や子どもの療養を支援する医療者などがサポートします。
経済的な心配があるときは
家族は、子どもに付き添ったり、面会に通ったりするため、どうしても家庭のことや仕事に費やす時間が少なくなります。医療費もかかり、経済面の負担も大きくなります。
小児の医療助成制度の利用や親の就労などで心配なことは、病院のソーシャルワーカーやがん相談支援センターに相談できます。どのように相談するか、分からない場合は、看護師にお聞きください。
2)退院してからの相談
小児がんの治療は、入院してすべての治療を行う場合もあれば、退院して、通院で薬物療法や放射線治療を受ける場合もあります。
退院前に、家庭でどのようにすごしたらよいのか、生活で気を付けることはあるか、学校にはいつ頃戻れるかなど、分からないことは主治医に聞いておきましょう。
退院後、日常生活を送る中では、決められた通りに薬を飲めなかったり、急に体調が悪くなったり、食事や睡眠が十分にとれなかったりすることもあるでしょう。このような場合は、まずは、治療を受けた病院に連絡しましょう。
体のこと以外の、学校の勉強や友だちとの関係などの心配や悩みは、担任の先生や養護教諭などに相談してみましょう。がん相談支援センターにも相談できます。
3)治療を終えてからの相談
小児がんの治療後、数年から十数年、あるいはそれ以上がたってから、がんそのものや治療の影響によって、合併症が起こることがあります。これを「晩期合併症(晩期障害)」といいます。晩期合併症は、がんの種類や治療の内容、治療を受けたときの年齢などによっては、身長の伸びなど体の成⻑や発達、妊娠などに影響をおよぼす場合もあります。
晩期合併症を予防し、早期に適切な対応を受けるために、長期にわたって、定期的に医師の診察と検査を受ける必要があります。これは「長期フォローアップ外来」などと呼ばれる外来で行われています。自覚症状がなくても、長期フォローアップ外来を受診しましょう。
体調の変化や体の悩み、進学や就職、結婚、妊娠など、ライフステージの変化に伴う心配ごとは、長期フォローアップ外来の医師や看護師に相談しましょう。小児がん拠点病院以外のがん相談支援センターにも相談できます。
治療を受けた病院に長期フォローアップ外来がない場合や、引っ越しなどの理由で相談先がわからない場合は、小児がん拠点病院のがん相談支援センターに相談しましょう。
作成協力
2023年07月21日 | タイトルを「小児がんの病院・小児がんの相談」から「小児がんの相談・病院」に変更し、全体の内容を更新しました。 |
2023年03月10日 | 「小児がんの相談窓口」と「小児がんの関連リンク・参考資料」を再編し、タイトルを「小児がんの病院・小児がんの相談」に変更し、「世代別の情報」に掲載しました。 |
2021年07月01日 | 小児がん情報サービスから移動し、タイトルを「小児がんの相談窓口」として「制度やサービスを知る」に掲載しました。また「小児がんの関連リンク・参考資料」を「ライフステージ別の情報」掲載しました。 |
2014年04月22日 | 2013年7月発行の冊子とがん情報サービスの情報を再編集し、「さまざまな相談窓口」を小児がん情報サービスに掲載しました。 |