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がん検診

子宮頸がん検診について

1.子宮頸がんとがん予防

1)子宮頸がんの早期発見のために

子宮頸がんはわが国の女性では罹患する人(かかる人)が多く、20歳代後半から増加しはじめ、特に30~50歳代で多くなります。最もがんに近い前がん状態であるCIN3を含めると、20歳代と30歳代の女性では最も罹患する人が多いがんです。

子宮頸がんの発生は、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)の感染が関連しています。多くの場合、ウイルスが検出されるのは一時的で自然に検出されなくなると言われていますが、持続的に検出される状態では、数年~数十年の時間をかけて、前がん病変を経て、子宮頸がんになります。

検診でがんを早期に発見して治療することにより、子宮頸がんで亡くなることを防ぐことができます。また、検診で前がん病変(がんになる前の状態)を発見することにより、子宮頸がんの罹患を防ぎます。早期に発見できることで、妊娠の可能性を残すために子宮を温存できることもあります。ただし、がんになるとは限らない前がん病変も発見してしまう場合があり(過剰診断)、それが検診の不利益となります。

検診は自覚症状がないうちに受けることが大事です。早期の子宮頸がんや前がん状態は自覚症状がないことがほとんどです。

子宮頸がんの大部分が性交渉で感染するHPVが関与していることが分かっていますので、20歳以上で性交渉が一度でもあれば、子宮頸がん検診を受けることが勧められます。性交渉がない期間が続いていても発病のリスクがありますので検診を受けることが必要です。

一方、HPVの感染と無関係の子宮頸がん(頸部腺がんの一部)については細胞診による検診でも検出することが困難です。もちろんHPV検査でも検出できません。

性交渉の経験がない方については、子宮頸がん検診を受ける利益を示す証拠はこれまで示されていません。問診の際に性交渉の経験による検診の必要性について説明がされますので、受けるかどうかを相談することができます。

不正出血がある場合(月経(生理)以外に出血がある、閉経したのに出血があるなど)や、月経が不規則などの症状がある場合には、子宮頸がん以外の病気(子宮体がん)の可能性もあるので、検診ではなく、すぐに医療機関を受診してください。

2)HPVワクチンによる子宮頸がん予防

子宮頸がん検診での早期発見とともに、HPVワクチンによっていくつか種類のHPV感染を予防でき、子宮頸がんの多くを予防します。

HPVは性交渉で感染するとされており、ワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられています。日本では小学校6年~高校1年相当の女性が定期予防接種の対象です。しかしワクチンで完全に感染を防げるわけではありません。また、HPVワクチンでは一度感染したHPVを排除することはできません。20歳になり、性交渉が一度でもあれば定期的に子宮頸がん検診を受けることが大事です。

3)子宮頸がんの治療後の検診について

子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍で子宮を摘出した場合は、経過観察が終了しても、子宮頸部がないため検診の検査自体ができません。気になる症状がある場合には、検診を受けるのではなく、治療を担当した主治医にご相談ください。

子宮体部を摘出し子宮頸部を残す手術(外科治療)を行った場合分娩ぶんべん時の大出血による緊急手術など)は、残存子宮頸部から子宮頸がんが発生する可能性があり、検診の対象になります。一方、前がん状態で子宮頸部の手術を行った場合は、詳しい検査のための通院が必要で、検診を受けてはいけない期間があります。いつ検診を再開してよいかは主治医とご相談ください。

2.子宮頸がん検診の方法

1)対象年齢と受診間隔

20歳から、2年に1度定期的に受診してください。
検診の利益(子宮頸がんで亡くなることを防ぐ)と、不利益(偽陰性、偽陽性、過剰診断、偶発症など)のバランスの観点から、上記の対象年齢と受診間隔を守って、以下の「2)検診項目」にある検査を定期的に受けることが大事です。

がん検診の利益と不利益について説明しています。

2)検診項目

細胞診(医師による細胞の採取)

子宮頸部(子宮の入り口)を、医師が専用のブラシやへらでこすって細胞を採り、異常な細胞がないか顕微鏡で調べる検査です。自己採取法は、細胞が採取できていない場合が多いので、実施は控えてください。

月経(生理)中は避けて検査を受けてください。

妊娠中の検査は望ましくありませんが、もし受診するのであれば妊娠のごく初期がよいとされています。妊娠が進んだあとの検査では子宮の入り口から出血しやすくなりますし、万が一病気が発見されたあとの治療や検査のスケジュールを考えると、ごく初期の受診が妥当です。事前によく医師とご相談ください。

3.子宮頸がん検診の判定後の流れと精密検査

1)検診の判定

(1)がんの疑いなし(精密検査不要)と判定された場合

「がんの疑いなし(精検不要)」と判定された場合、次回(2年後)のがん検診を受けてください。不正出血や月経が不規則などの症状があらわれた場合は、次回の検診を待つのではなく、すぐに医療機関を受診しましょう。

(2)がんの疑いあり(要精密検査)と判定された場合

「がんの疑いあり(要精検)」と判定された場合には、必ず精密検査を受けてください。子宮頸がんがあっても症状が出ないことがよくあります。「次回の検診まで待とう」、「症状がないから大丈夫」などと自己判断せず、必ず精密検査を受けてください。

2)精密検査の方法

一般的な精密検査はコルポスコープ(ちつ拡大鏡)下の組織診・細胞診・HPV検査などを組み合わせて行います。精密検査で前がん病変が見つかった時には、状態によって治療を行う場合もありますし、治療をせずに医療機関で経過観察になる場合もあります。治療や経過観察中で通院中の方は、婦人科への受診を続けてください。経過観察の方ががん検診を再開するのは経過観察終了後ですので、医師に終了を確認してください。

(1)コルポスコープ下の組織診

コルポスコープを使って子宮頸部を詳しく見ます。異常が疑われる部位の組織を採取して、がんや前がん状態がないかどうかを診断します。

(2)HPV検査

子宮頸部から細胞を採取し、HPVに感染しているかどうかを調べる検査です。細胞診の判定結果がASC-US(意義不明な異型扁平へんぺい上皮細胞)だった場合にのみ、コルポスコープ検査が必要かどうかを判断するために行われることがあります。

(3)細胞診

細胞診を半年ごとに繰り返して(異常がなければ3回、1.5年)様子をみる場合があります。一度で終わることはありません。また、コルポスコープ下の組織診と同時に行う場合もあります。

こちらのちらしでは、働く世代の方に向けて、各がん検診について知っていただきたいポイントを、コンパクトにまとめています。

こちらのちらしと動画では、働く世代の方に向けて、適切ながん検診の受け方とその内容について解説しています。

作成協力

こちらのページは、国立がん研究センター研究開発費「働く世代におけるがん検診の適切な情報提供に関する研究(2021-A-22)」の研究成果を基に作成されました。

更新・確認日:2023年12月25日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月25日 内容を更新しました。
2023年03月27日 「2.科学的根拠に基づく子宮頸がん検診」の「1)子宮頸がん検診の方法」の内容を更新しました。
2021年10月04日 「最新がん統計」にあわせて、(子宮頸がんに罹患する人の)女性で近年増加傾向にある年代を更新しました。
2019年09月02日 「子宮がん検診の勧め」「子宮がん検診Q&A」を統合し、内容を更新しました。
2012年01月20日 更新しました。
2004年05月17日 掲載しました。
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