更新・確認日:2020年09月08日 [
履歴 ]
履歴
2020年09月08日 |
「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。 |
2017年07月25日 |
「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。 |
2014年10月14日 |
「4.疫学・統計」を更新しました。 |
2013年04月12日 |
内容を更新しました。タブ形式に変更しました。 |
2006年10月20日 |
内容を更新しました。 |
1995年12月25日 |
掲載しました。 |
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。
1.膵臓について
膵臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器です(図1)。右端のふくらんだ部分を膵頭部(頭部)といい、十二指腸に囲まれています。左側の幅が狭くなっている部分は膵尾部(尾部)といい、脾臓に接しています。膵臓の真ん中は体部といいます。膵臓全体には、膵管という細長い管が、膵臓を貫いて網の目のように走っています。
膵臓には2つの役割があります。食物の消化を助ける膵液をつくり分泌すること(外分泌機能)と、血糖値の調節などをするインスリンなどのホルモンをつくり分泌すること(内分泌機能)です。膵液は膵管によって運ばれ、主膵管という1本の管に集まります。主膵管は、十二指腸乳頭で、肝臓から総胆管を通って運ばれてくる胆汁と合流して十二指腸へと流れていきます。膵臓は、前から見て胃の後ろに位置しています。
2.膵臓がんとは
膵臓がんは膵臓にできるがんで、多くは膵管の細胞から発生します。その他、膵臓にできる腫瘍には膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)、神経内分泌腫瘍などがありますが、膵臓がんとは異なる疾患とされています。
3.症状
膵臓は、がんが発生しても症状が出にくく、早期の発見は簡単ではありません。進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こります。その他、急な糖尿病の発症や悪化がみられることがあり、膵臓がんを見つけるきっかけになることもあります。ただし、これらの症状は膵臓がん以外の理由でも起こることがあり、膵臓がんであっても起こらないことがあります。
4.患者数(がん統計)
膵臓がんは、日本全国で1年間に約41,000人が診断されます。男女別にみると男性では1年間に約21,200人、女性では約19,800人とやや男性に多い傾向があります。50歳ごろから増加しはじめます。
5.発生要因
血縁のある家族に膵臓がんになった人がいること、糖尿病や慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)にかかっていること、喫煙などが、膵臓がんを発生するリスクを高めることがわかっています。
6.予防と検診
1)予防
日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
特に男性では、膵臓がんを予防するためには、禁煙することが効果的であるといわれています。
2)検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、膵臓がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の診療としての検査は、ここでいう検診とは異なります。
7.「膵臓がん」参考文献
1)厚生労働省ウェブサイト;がん登録 全国がん登録 罹患数・率 報告 平成29年報告;2020年(閲覧日2020年9月1日)https://www.mhlw.go.jp/index.html
2)日本膵臓学会ウェブサイト;膵癌診療ガイドライン2019 改訂;2020年(閲覧日2020年9月1日)http://www.suizou.org/index.htm
3)日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.患者・市民・医療者をつなぐ膵がん診療ガイドライン2019の解説.2020年,金原出版.
4)日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2019年版 第1版.2019年,金原出版.
5)日本膵臓学会編.膵癌取扱い規約 第7版.2016年,金原出版.
6)日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学 改訂第5版.2018年,南江堂.
7)UICC日本委員会TNM委員会訳.TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版.2017年,金原出版.
8)Koyanagi YN,et al.Smoking and Pancreatic Cancer Incidence:A Pooled Analysis of 10 Population-Based Cohort Studies in Japan.Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.2019;28(8):1370-1378.
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