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膵臓がん

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膵臓がんについて

1.膵臓について

膵臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの細長い形をした臓器です(図1)。体の右側のふくらんだあたりを膵頭部すいとうぶ(頭部)といい、十二指腸に接しています。体の左側の幅が狭くなっているあたりは膵尾部すいびぶ(尾部)といい、すぐ近くに脾臓ひぞうがあります。膵臓の真ん中は体部たいぶといいます。膵臓全体には、膵管すいかんというくだが通っています。

膵臓には2つの役割があります。食物の消化を助ける膵液をつくり分泌すること(外分泌機能)と、血糖値の調節をするインスリンなど、いろいろなホルモンをつくり分泌すること(内分泌機能)です。膵液は膵管によって運ばれ、主膵管しゅすいかんという1本の管に集まります。主膵管は、十二指腸乳頭部で、肝臓から胆汁たんじゅうを運ぶ総胆管そうたんかんと合流して十二指腸につながります。

図1 膵臓と周囲の臓器の関係
図1 膵臓と周囲の臓器の関係の図

2.膵臓がんとは

膵臓がんは、多くは膵管に発生し、そのほとんどは腺がんという組織型(がんの種類)です。膵臓がんは小さいうちから膵臓の周りのリンパ節や肝臓に転移しやすく、おなかの中にがん細胞が散らばって広がる腹膜播種が起こることもあります。

ほかに膵管にできる病気として、膵管内乳頭粘液性腫瘍すいかんないにゅうとうねんえきせいしゅよう(IPMN:Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)があり、ここから膵臓がんが発生したり、別の部位に膵臓がんが発生したりすることがあります。その他、膵臓にできる腫瘍には、神経内分泌腫瘍などがありますが、通常の膵臓がん(腺がん)とは性質が異なります。

親子・兄弟姉妹で、膵臓がんにかかった人が複数いる場合は、発生要因もご覧ください。
肝臓、胆道、膵臓に発生する希少ながんのうち、主な組織型について掲載されています。

3.症状

膵臓は、がんが発生しても小さいうちは症状が出にくく、早期の発見は簡単ではありません。進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、黄疸おうだん、腰や背中の痛みなどが起こります。その他、急に糖尿病が発症することや悪化することがあり、膵臓がんが見つかるきっかけになることもあります。ただし、これらの症状は膵臓がん以外の理由でも起こることがあります。また、膵臓がんであっても起こらないことがあります。

更新・確認日:2023年10月06日 [ 履歴 ]
履歴
2023年10月06日 「2.膵臓がんとは」に「希少な肝胆膵がん」の希少がんセンターへのリンクを追加しました。
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」より、内容を更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年10月14日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

膵臓がん 検査

腹痛や食欲不振などの何らかの症状、膵臓がんの危険因子となる疾患(糖尿病や慢性膵炎など)の有無や、血液検査、超音波検査の結果などから膵臓がんが疑われる場合には、造影CT検査、腹部MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)を受けます。これらの検査によって診断が確定できなかった場合には、内視鏡的ないしきょうてき逆行性ぎゃっこうせい胆管たんかん膵管すいかん造影ぞうえい(ERCP)などを受けます。また、可能な限り細胞や組織を採取して、病理検査が行われます(図2)。

がんの進行の程度である病期(ステージ)を診断する検査では、必要に応じて、造影CT、造影MRI、EUS、PET、審査腹腔鏡しんさふくくうきょうが行われることがあります。

図2 膵臓がんの診断の流れ
図2 膵臓がんの診断の流れの図
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2022年版.2022年,金原出版より作成

1.血液検査(血中膵酵素)

血液中の膵酵素の値が増加していないかを調べる検査です。膵酵素とは膵臓で作られる酵素で、アミラーゼ、エラスターゼ1などがあります。膵臓がんがあると、膵酵素が血液中に漏れ出て、血中膵酵素の値が高くなることがあります。しかし、がんがあっても値が高くならないことや、他の病気によって高くなることもあります。

2.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行う検査です。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞などに反応した細胞によって作られます。しかし、腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかどうかは確定できません。また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。

膵臓がんでは、CA19-9、SPan-1、DUPAN-2、CEA、CA50などを血液検査で測定します。

3.超音波(エコー)検査

体の表面にあてた超音波プローブ(探触子)から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像化して観察する検査です。がんの位置や形、臓器の形や状態、周辺の血流の様子などを確認するために行われます。検査での痛みはなく、その場で画像を確認することができます。

なお、CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査といった他の検査での画像診断が十分に行われる場合、超音波検査は行わないことがあります。

4.CT検査

X線を体の周囲から当てて、体の断面を画像にする検査です。がんの有無や広がりを見たり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認したりするために行われます。膵臓がんでは、がんの位置や形を細かく映し出すために造影剤を使います。

5.MRI検査

強力な磁力と電波を使い、磁場を発生させて行われる検査です。体の内部のさまざまな方向の断面を画像にすることができ、がんと正常な組織を区別して映し出します。がんの有無や広がりを見たり、他の臓器への転移を確認したりするために行われます。より詳しく調べるために造影剤を使うことがあります。

MR胆管膵管撮影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)

胆管や膵管の状態を詳しく調べる検査です。MRIを撮影し、コンピューターを使って胆道、膵管を画像にします。内視鏡や造影剤を使わずに、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同様の画像を作ることができます。体への負担が少ないので、ERCPの代用として行われることが多くなっています。

6.超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography)

先端に超音波プローブをつけた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸から膵臓の病変を確認する検査です。体の外からプローブをあてるよりもずっと近い距離から膵臓を観察できるため、詳細な画像を作ることができます。病変部に針を刺して組織を採取する超音波内視鏡下穿刺せんし吸引生検(EUS-FNA)が行われることもあります。

7.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)

口から内視鏡を入れ、先端を十二指腸まで進めた後、十二指腸乳頭(膵管と胆管の出口)に細い管を通して造影剤を注入し、膵管や胆管をX線撮影する検査です。この際、膵管内の細胞を採取する膵液細胞診検査が行われることもあります。他の検査で診断が確定しなかった場合に行われることがある重要な検査ですが、急性膵炎などの合併症を起こすことがあります。

8.病理診断(細胞診・組織診)

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断を確定するための検査です。超音波内視鏡検査(EUS)を使った超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)や、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を使った膵液細胞診検査などで採取された組織や細胞を、顕微鏡を使って診断します。

9.PET検査

放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞など細胞分裂が盛んな部位に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にする検査です。膵臓がんが疑われている状態で、膵臓がんかどうかをより詳しく調べる目的で実施する検査としては勧められていません。膵臓がんの診断が確定し、他の臓器への転移などについて確認する目的などで行われることがあります。

10.審査腹腔鏡

肝臓への転移や腹膜播種が疑われる場合に行われることがある検査です。正確な病期(ステージ)を診断することを目的に行われます。全身麻酔をしておなかに小さな穴を開け、腹腔鏡と呼ばれる細い内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察します。

更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」より、内容を更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2016年12月07日 「膵癌取扱い規約 第7版(2016年)」より、「2.病期(ステ−ジ)」を更新しました。
2014年10月14日 「2.病期(ステ−ジ)」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

膵臓がん 治療

膵臓がんの治療には、手術、薬物療法、放射線治療、緩和ケアがあります。がんが切除できる場合は、手術のみ、もしくは手術と薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療(集学的治療)を行います。切除できない場合は、主に薬物療法や薬物療法と放射線治療を組み合わせた治療を行います。がんの進行の状態によっては、緩和ケアのみを行う場合があります。

1.病期と治療の選択

治療法は、がんの進行の程度を示す病期やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。

1)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。なお、膵臓がんではステージのことを進行度ということもあります。

膵臓がんでは0期~Ⅳ期まであり、がんの大きさ、周囲への広がり、リンパ節や他の臓器への転移があるかどうかによって決まります(表1、2)。全身の状態を調べたり、ステージを把握する検査を行ったりすることは、治療の方針を決めるためにとても重要です。

膵臓がんの病期の分類には、日本では「膵癌取扱い規約(日本膵臓学会編)」(表1)、または「TNM悪性腫瘍の分類(UICC)」(表2)が用いられ、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。

Tカテゴリー:原発腫瘍の大きさや周囲への広がりの程度
Nカテゴリー:リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:他臓器などへの転移(遠隔転移)の有無

原発腫瘍とは、原発部位(がんがはじめに発生した部位)にあるがんのことで、原発巣ともいわれます。

表1 膵臓がんの病期(日本膵臓学会)
表1 膵臓がんの病期(日本膵臓学会)の表
日本膵臓学会編.膵癌取扱い規約 第7版 増補版.2020年,金原出版.より作成
表2 膵臓がんの病期(UICC第8版)
表2 膵臓がんの病期(UICC第8版)の表
UICC日本委員会TNM委員会訳「TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版(2017年)」(金原出版)より作成

2)治療の選択

治療法は、がんの進行の程度に基づいた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。

図3は、膵臓がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

図3 膵臓がんの治療の選択
図3 膵臓がんの治療の選択の図
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2022年版.2022年,金原出版より作成

膵臓がんではまず、手術ができるかどうかについて検討し、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」のどの状態であるかを調べます(図3)。手術ができる場合は、手術のみ、もしくは手術と薬物療法を組み合わせた治療を行います。

がんが膵臓周辺の大きな血管を巻き込んでいたり、別の臓器に転移していたりして手術ができない場合は、薬物療法や化学放射線療法を行います。また、痛みや食欲の低下といった症状に応じ、支持・緩和療法を行います。

妊娠や出産について

がんの治療が、妊娠や出産に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊孕性にんようせい温存治療(妊娠するための力を保つ治療)が可能か、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

2.手術(外科治療)

膵臓がんの治療では、手術でがんを切除できると考えられる「切除可能」である場合、できる限り手術をします。手術には、膵頭すいとう十二指腸切除術、膵体尾部すいたいびぶ切除術、膵全摘術があります。

手術方法により異なりますが、一般的には、膵体尾部よりも膵頭部の切除のほうが、腸とつなぎ合わせる部位が多いため、回復に時間がかかります。また、がんの位置によっては、腸の動きを調整する神経も一緒に切除するため、下痢を起こしやすくなります。切除する膵臓の範囲によっては、糖尿病や消化吸収障害などが起こり、治療が必要になることがあります。

がんが周囲の血管を巻き込んでいるなどの理由で、手術でがんを取り切れるか判断が難しい「切除可能境界」である場合は、化学療法や化学放射線療法を行った後、治癒につながる切除が可能かどうかをあらためて検討した上で、手術を行うことがあります。

1)膵頭十二指腸切除術

膵頭部を中心にがんがある場合、十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除します。がんが胃の近くにある場合は胃の一部を、がんが血管を巻き込んでいる疑いがある場合は血管の一部も切除します。

これまでは、胃の2/3の切除を伴う膵頭十二指腸切除術(PD)が広く行われていました。最近では、できるだけ切除する範囲を少なくする、胃のすべてを残す幽門輪ゆうもんりん温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)や胃の大部分を残す亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)に変わりつつあります(図4、5)。切除後は、残った膵臓を小腸につなぎ合わせ、膵液が小腸に流れるようにします(再建手術)。同様に、胆管と小腸、胃と小腸もつなぎ合わせます。

図4 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)で切除する範囲
図4 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)で切除する範囲の図
図5 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)で切除する範囲
図5 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)で切除する範囲の図

手術後は、切除した部分や、つなぎ合わせた部分から胆汁や膵液が漏れることがあり、感染、腹膜炎、出血が起こることがあります。また、一時的に胃からの食べ物の排出が遅れることによって、食事がうまく食べられなかったり、吐き気が起こったりすることがあります。その場合には、状態が回復するまで点滴や中心静脈栄養などで水分や栄養を補うことがあります。感染によって胆管炎が起こった場合には、抗菌薬で治療します。

2)膵体尾部切除術

膵体尾部のがんの場合、膵臓の体部と尾部を切除します。通常は脾臓ひぞうも摘出します。消化管は切除しないので、消化管同士をつなぎ合わせる再建手術は必要ありません(図6)。

図6 膵体尾部切除術で切除する範囲
図6 膵体尾部切除術で切除する範囲の図

手術後は、膵臓を切離した部分から膵液が漏れることがあり、感染、腹膜炎、出血が起こることがあります。また、胃から食べ物が一時的に排出されなくなることによって、食事がうまく食べられなかったり、吐き気が起こったりすることがあります。その場合には、状態が回復するまで点滴や中心静脈栄養などで水分や栄養を補うことがあります。

脾臓を摘出した場合には、肺炎球菌などの細菌に対する抵抗力が落ちるため、肺炎球菌ワクチンの予防接種が勧められています。

3)膵全摘術

がんが膵臓全体に及ぶ場合は、膵臓をすべて摘出します。膵臓をすべて摘出することによって、インスリンなどのホルモンや消化酵素が分泌されなくなります。そのため、糖尿病や消化吸収障害、脂肪肝などが起こります。糖尿病に対しては、定期的にインスリンを使用します。また、消化吸収障害、脂肪肝に対しては、膵液のかわりになる消化剤を服用します。

3.放射線治療

膵臓がんの放射線治療には、治療の効果を高めることを目的とした化学放射線療法と症状緩和を目的とした放射線治療の2つがあります。

1)化学放射線療法

放射線治療と化学療法(細胞障害性抗がん薬による治療)を組み合わせた治療法です。遠隔転移はないと判断されるものの、がんが膵臓近くの重要な血管を巻き込んでいることが明らかで、手術ができない局所進行切除不能膵臓がんの場合に行われます。

化学療法と組み合わせることで治療の効果を高めることが期待でき、局所進行切除不能膵臓がんに対する標準治療の1つとして勧められています。なお、粒子線治療(重粒子線治療、陽子線治療)が受けられる場合がありますが、実施される施設は限られています。希望する場合は担当医に相談しましょう。

そのほかに、手術ができない膵臓がんでは、痛みを和らげるために行われることがあります。

2)痛みの緩和を目的とした放射線治療

手術ができない局所進行切除不能膵臓がんや、遠隔転移がある膵臓がんの場合に、痛みを和らげるために行われることがあります。また、骨転移による痛みを和らげる治療として行うことが勧められています。

3)放射線治療の副作用

放射線を当てる場所や放射線の量などによって症状は異なりますが、一般的には、皮膚の色素沈着、吐き気・嘔吐おうと、食欲不振、白血球の減少などがあらわれます。まれに胃や腸の粘膜が荒れて出血することで、黒い便が出ることもあります。

4.薬物療法

膵臓がんの薬物療法では、主に細胞障害性抗がん薬を使います。なお、病状や治療の状況によって、がん遺伝子検査が行われることがあり、その結果によっては、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使う場合があります。

細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的にして、がんを攻撃する薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを防ぐ)薬です。

薬物療法で使用する薬の組み合わせは複数あります。どの種類の薬を使うかは、治療の目的、がんの状態や臓器の機能、薬物療法に伴って起こることが想定される副作用などについて、本人と担当医が話し合って決めていきます。薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者に尋ねてみましょう。

薬物療法で使われる薬の種類に関する情報は以下のページをご覧ください。

1)術前補助化学療法・術後補助化学療法

手術でがんを切除可能な場合、手術の前や後に、一定期間薬物療法を受けると、再発しにくくなることや、生存期間が延長することが示されています。そのため、手術の前後にそれぞれ有効性が確認された異なるレジメン(薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画のこと)での薬物療法を行います。使う薬の種類は、細胞障害性抗がん薬です。なお、病期が0期の場合には、手術の前後に薬物療法は行いません。

2)手術できない場合・手術後再発した場合の薬物療法

(1)一次化学療法

手術ができない場合や、手術後に再発した場合にも、がん自体の進行を抑え、延命および症状を和らげることを目的とした薬物療法を行います。また、放射線治療と組み合わせた化学放射線療法を行うこともあります。細胞障害性抗がん薬を単独、または組み合わせて使います。

なお、がん遺伝子検査の結果、BRCA遺伝子に生まれつき変異がある場合には、白金製剤と呼ばれる種類の細胞障害性抗がん薬を使って治療した後に、分子標的薬を使った維持療法(細胞障害性抗がん薬の効果を維持するために行う治療)を行うこともあります。

(2)二次化学療法(一次化学療法が効かなくなった場合に用いる薬物療法)

一次化学療法が効かなくなり、がんが進行した場合には、それまでの治療で使っていないほかの薬で治療を行います。

なお、二次化学療法では、がん遺伝子検査の結果によって、使用する薬の種類を検討します。MSI検査高度陽性(MSI-High:遺伝子に入った傷を修復する機能が働きにくいために起こる状態)と、腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High:がん細胞のゲノムに起こった遺伝子変異が多い状態)の場合は、免疫チェックポイント阻害薬を使うことがあります。また、NTRK融合遺伝子陽性(正常なNTRK遺伝子の一部が他の遺伝子と何らかの原因で融合した遺伝子変異)の場合には、この遺伝子変異がある場合に有効であることが分かっている種類の分子標的薬を使うこともあります。

3)薬物療法の副作用

細胞障害性抗がん薬は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため、しびれ、口内炎、吐き気、脱毛、下痢などの症状や、血液中の白血球や血小板などの数が少なくなる骨髄抑制、肝機能や腎機能が悪化するなどの副作用が起こることがあります。

副作用の有無や程度は人により異なりますが、最近は副作用を予防する薬も開発され、特に吐き気や嘔吐は、以前と比べて予防できるようになってきました。しかし、副作用が強い場合には、治療の休止や変更も検討します。担当医から治療の具体的な内容をよく聞き、不安な点や分からない点は十分に話し合った上で、納得できる治療を選びましょう。

分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、薬ごとにさまざまな副作用があらわれます。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらいいか、特に気を付けるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医に確認しておきましょう。

5.免疫療法

免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2023年3月現在、膵臓がんの治療に効果があると科学的に証明されている方法は、MSI-Highの場合と、TMB-Highの場合に免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。その他の免疫療法で、膵臓がんに対して効果が証明されたものはありません。

なお、免疫チェックポイント阻害薬を使用する方法は、薬物療法の1つでもあります。免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法に関する情報は、関連情報「膵臓がん 治療 4.薬物療法」をご覧ください。

6.合併症に対する治療

1)黄疸おうだんや胆管炎に対する治療

膵頭部には胆管が通っています。がんによって胆管が狭くなることや、ふさがることが原因で、胆汁が肝臓から十二指腸へ正常に流れずにたまることがあります。その結果、肝機能障害や黄疸のほか、細菌が感染して胆管炎が起こることがあります。上腹部の痛みや高熱、黄疸が出た場合には担当医に相談しましょう。

たまった胆汁を排泄するために、管を胆道に挿入する「胆道ドレナージ」を行うことがあります。胆道とは、胆汁の通り道である胆管、胆のう、十二指腸乳頭の総称です。胆道ドレナージには以下の方法がありますが、通常は体の負担が少ない内視鏡的胆道ドレナージが推奨されます。

  • 内視鏡的胆道ドレナージ(ERBD):狭くなった胆管に、内視鏡を用いて、プラスティックや金属でできた管(ステント)を挿入して、胆管を広げる方法
  • 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD):内視鏡を用いて、鼻から胆管にチューブを挿入する方法
  • 経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD):おなかの皮膚から肝臓を経由して胆管にチューブを挿入し、胆汁を体の外に出す方法
  • 超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD):超音波内視鏡を用いて、胆管と十二指腸または胃をつなぐステントを挿入する方法

なお、EUS-BDは、がんの浸潤や手術後の影響などでERBDでステントを挿入することができない場合に行われることがある新しい方法です。そのため、熟練した技術や専用の器具が必要で、外科や放射線科、内視鏡科の医師によるチーム体制が整った施設でのみ行われるべきとされています。

2)消化管や胆管の閉塞へいそくに対する治療

がんの切除ができない場合には、症状を改善する目的で、十二指腸ステント療法またはバイパス手術が行われることがあります。

十二指腸ステント療法では、膵臓がんによって胃や十二指腸が狭くなっている部分に、内視鏡を用いて、金属でできた管(ステント)を入れて広げ、食べ物の通り道をつくります(図7)。

バイパス手術では、十二指腸ががんでふさがっている場合には、胃と空腸(小腸の一部)をつなぐ胃空腸吻合ふんごうバイパス術を行うことがあります。また、胆管ががんでふさがっていて黄疸が出ている場合には、胆管と空腸をつなぐ胆管空腸吻合バイパス術を行うことがあります。

図7 十二指腸ステント術
図7 胃空腸吻合バイパスと胆管空腸吻合バイパスの図

7.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。

決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まります。つらさを感じるときには、がんの治療とともに、いつでも受けることができます。本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。

痛みがある場合には、鎮痛薬を使った治療が勧められています。また、神経ブロック(痛みを感じる原因となる神経の近くに針を刺し、薬剤を注入する治療)が可能な場合もあります。骨転移の痛みを緩和するための放射線治療も勧められています。

がんによって胆管が狭くなった場合は胆道ドレナージが、がんが浸潤することによって消化管が狭くなった場合には、ステントと呼ばれるチューブのような器具を入れる治療や手術を勧められることもあります。詳しくは、関連情報「膵臓がん 治療 6.合併症に対する治療」をご覧ください。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。

8.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われます。

一般的に、治療中や終了後は、体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示のもと、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などを、リハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師に確認しましょう。

9.再発した場合の治療

再発とは、治療によって、見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣やその近くに、がんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。

再発した場合には、それぞれの状況に応じて総合的に検討し、治療やケアの方針を決めていきます。

更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」より、内容を更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2020年02月27日 「5.生存率」の参照先を「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」としました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2016年12月07日 「膵癌診療ガイドライン2016年版」より、「図2 膵臓がんの臨床病期と治療 」を更新しました。
2016年02月10日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2014年10月14日 「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン2013年版」を反映しました。
2014年10月03日 「2.治療成績」の5年相対生存率データを更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

膵臓がん 療養

1.経過観察

手術後も、回復の度合いや再発の有無を確認するために、定期的に通院して検査を受けます。通院の頻度は個別の状況により異なりますが、少なくとも手術後5年間は必要で、その後も継続して検査を受けることが勧められています。術後2年間は3〜6カ月おきに、それ以降は6〜12カ月おきに受診します。

診察では、黄疸おうだんの有無や血糖、肝機能、腫瘍しゅようマーカーなどを調べるための血液検査と、腹部の超音波(エコー)、CT、MRIなどの画像検査を行います。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。体調をみながら、担当医とよく相談して無理のないように過ごしましょう。

1)手術後の日常生活

(1)消化のよい食事を取る、食事の取り方を工夫する

手術によって、脂肪の消化吸収に重要な胆汁や消化酵素を含む膵液が減少したり、分泌されなくなったりすることがあります。その結果、消化不良による下痢などを起こしやすくなるので、食事は、バランスよくなるべく消化のよいものを取りましょう。管理栄養士に相談することで、個々の状況にあった献立や調理の工夫を聞くことができます。また、バイパス手術後の食事についても相談できます。

食事の取り方の工夫には、例えば次のようなものがあります。

  • 食事は控えめの量から少しずつ:消化や吸収に時間がかかることがあります。
  • 少量ずつ何回かに分ける:一度にたくさん食べると消化吸収が追いつかないことがあります。3食以外にも間食を取り栄養を補いましょう。
  • 脂肪分を取りすぎない:動物性脂肪を控え、植物性脂肪を取りましょう。
  • 良質なタンパク質(大豆製品や魚など)を取る。
  • 香辛料は控えめにする。
  • コーヒー、紅茶は控えめにする。
  • アルコール(飲酒)については、医師に確認する。

(2)血糖の変動に注意する

手術で膵臓を切除した場合、糖尿病を発症したり、もともとあった糖尿病が悪化したりすることがあります。その場合は糖尿病専門医の診察を受ける必要があります。

膵全摘術を行った場合には、血糖を下げるホルモンであるインスリンが分泌されなくなるため、自分で注射を打ってインスリンを補います。注射の方法などは、退院前に担当医あるいは看護師、薬剤師から指導を受けます。

なお、退院後に自分で注射を打つことに不安を感じる場合には、それを支援する様々な仕組み(訪問看護によるサポートや訪問介護による見守り等)もあります。分からないことや心配なことは遠慮せず、担当医や看護師などの医療スタッフや、がん相談支援センターにご相談ください。

2)薬物療法中の日常生活

近年、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりする支持療法が進歩したため、通院で治療を行うことが増えています。仕事や家事、育児など今までの日常生活を続けながら治療ができる一方で、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。

また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用や出現時期、その対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めると良いでしょう。副作用については家族や周りの人のサポートを得ながら、自分なりの対処法を見つけることも大切です。

3)性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

なお、薬物療法中やその後は、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」より、内容を更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 4タブ形式へ変更しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

膵臓がん 臨床試験

より良い標準治療の確立を目指して、治験などの臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの人により良い治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

膵臓がんの臨床試験を探す

国内で行われている膵臓がんの臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「膵臓がん」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 膵臓がん
国内で行われている膵臓がんの臨床試験の一覧が出ます。

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
検索の前に、がんの臨床試験についてこちらをご確認ください。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 内容を確認し、表記を一部変更しました。
2021年07月01日 掲載しました。

膵臓がん 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で膵臓がんと診断されたのは例(人)です。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

なお、生存率には大きく2つの示し方があります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。他方を「相対生存率」といい、がん以外の死因を除いて、がんのみによる死亡を計算した生存率です。

以下のページに、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表している院内がん登録から算出された生存率を示します。

データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではありません。

以下のページでは、最新の病期別生存率を掲載しています。
更新・確認日:2023年07月05日 [ 履歴 ]
履歴
2023年07月05日 「2.生存率」の院内がん登録生存率集計結果閲覧システムのリンク先を更新しました。
2023年02月20日 2019年の罹患データを確認し、更新しました。
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年07月01日 掲載しました。

膵臓がん 予防・検診

1.発生要因

血縁のある家族に膵臓がんになった人がいること、糖尿病や慢性膵炎、膵管内すいかんない乳頭にゅうとう粘液性ねんえきせい腫瘍しゅよう(IPMN)にかかっていること、喫煙や飲酒、肥満などが膵臓がんを発生するリスクを高めることがわかっています。

なお、両親、兄弟姉妹、子どものいずれかで膵臓がんになった人が2人以上いる場合を家族性膵がんといいます。家族性膵がんの家系の人は、そうでない人よりも膵臓がんが発生するリスクが高いことが分かっており、早期診断や治療のための調査や研究が行われています。心配なことは、まずはがん相談支援センターや身近な医療機関にご相談ください。遺伝を専門とする医師の診察や遺伝カウンセリングが受けられる場合もあります。

2.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。

特に男性では、膵臓がんを予防するためには、禁煙することが効果的であるといわれています。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、膵臓がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の診療としての検査は、ここでいう検診とは異なります。

更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」を確認し、更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年10月14日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。

膵臓がん 関連リンク・参考資料

1.膵臓がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

2.参考資料

  1. 日本膵臓学会編.膵癌取扱い規約 第7版 増補版.2020年,金原出版.
  2. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2022年版.2022年,金原出版.
  3. 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.患者・市民・医療者をつなぐ膵がん診療ガイドライン2019の解説.2020年,金原出版.
  4. UICC日本委員会TNM委員会訳.TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版.2017年,金原出版.

作成協力

更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「2.参考資料」を更新しました。
2021年07月01日 「1.膵臓がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2014年10月14日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。
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