1.膵臓について
膵臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器です(図1)。右端のふくらんだ部分を膵頭部(頭部)といい、十二指腸に囲まれています。左側の幅が狭くなっている部分は膵尾部(尾部)といい、脾臓に接しています。膵臓の真ん中は体部といいます。膵臓全体には、膵管という細長い管が、膵臓を貫いて網の目のように走っています。
膵臓には2つの役割があります。食物の消化を助ける膵液をつくり分泌すること(外分泌機能)と、血糖値の調節などをするインスリンなどのホルモンをつくり分泌すること(内分泌機能)です。膵液は膵管によって運ばれ、主膵管という1本の管に集まります。主膵管は、十二指腸乳頭で、肝臓から総胆管を通って運ばれてくる胆汁と合流して十二指腸へと流れていきます。膵臓は、前から見て胃の後ろに位置しています。
図1 膵臓と周囲の臓器の関係

2.膵臓がんとは
膵臓がんは膵臓にできるがんで、多くは膵管の細胞から発生します。その他、膵臓にできる腫瘍には膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)、神経内分泌腫瘍などがありますが、膵臓がんとは異なる疾患とされています。
3.症状
膵臓は、がんが発生しても症状が出にくく、早期の発見は簡単ではありません。進行してくると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こります。その他、急な糖尿病の発症や悪化がみられることがあり、膵臓がんを見つけるきっかけになることもあります。ただし、これらの症状は膵臓がん以外の理由でも起こることがあり、膵臓がんであっても起こらないことがあります。