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膵臓がん

膵臓がん 検査

腹痛や食欲不振などの何らかの症状、膵臓がんの危険因子となる疾患(糖尿病や慢性膵炎など)の有無や、血液検査、超音波検査の結果などから膵臓がんが疑われる場合には、造影CT検査、腹部MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)を受けます。これらの検査によって診断が確定できなかった場合には、内視鏡的ないしきょうてき逆行性ぎゃっこうせい胆管たんかん膵管すいかん造影ぞうえい(ERCP)などを受けます。また、可能な限り細胞や組織を採取して、病理検査が行われます(図2)。

がんの進行の程度である病期(ステージ)を診断する検査では、必要に応じて、造影CT、造影MRI、EUS、PET、審査腹腔鏡しんさふくくうきょうが行われることがあります。

図2 膵臓がんの診断の流れ
図2 膵臓がんの診断の流れの図
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2022年版.2022年,金原出版より作成

1.血液検査(血中膵酵素)

血液中の膵酵素の値が増加していないかを調べる検査です。膵酵素とは膵臓で作られる酵素で、アミラーゼ、エラスターゼ1などがあります。膵臓がんがあると、膵酵素が血液中に漏れ出て、血中膵酵素の値が高くなることがあります。しかし、がんがあっても値が高くならないことや、他の病気によって高くなることもあります。

2.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行う検査です。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞などに反応した細胞によって作られます。しかし、腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかどうかは確定できません。また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。

膵臓がんでは、CA19-9、SPan-1、DUPAN-2、CEA、CA50などを血液検査で測定します。

3.超音波(エコー)検査

体の表面にあてた超音波プローブ(探触子)から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像化して観察する検査です。がんの位置や形、臓器の形や状態、周辺の血流の様子などを確認するために行われます。検査での痛みはなく、その場で画像を確認することができます。

なお、CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査といった他の検査での画像診断が十分に行われる場合、超音波検査は行わないことがあります。

4.CT検査

X線を体の周囲から当てて、体の断面を画像にする検査です。がんの有無や広がりを見たり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認したりするために行われます。膵臓がんでは、がんの位置や形を細かく映し出すために造影剤を使います。

5.MRI検査

強力な磁力と電波を使い、磁場を発生させて行われる検査です。体の内部のさまざまな方向の断面を画像にすることができ、がんと正常な組織を区別して映し出します。がんの有無や広がりを見たり、他の臓器への転移を確認したりするために行われます。より詳しく調べるために造影剤を使うことがあります。

MR胆管膵管撮影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)

胆管や膵管の状態を詳しく調べる検査です。MRIを撮影し、コンピューターを使って胆道、膵管を画像にします。内視鏡や造影剤を使わずに、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同様の画像を作ることができます。体への負担が少ないので、ERCPの代用として行われることが多くなっています。

6.超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography)

先端に超音波プローブをつけた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸から膵臓の病変を確認する検査です。体の外からプローブをあてるよりもずっと近い距離から膵臓を観察できるため、詳細な画像を作ることができます。病変部に針を刺して組織を採取する超音波内視鏡下穿刺せんし吸引生検(EUS-FNA)が行われることもあります。

7.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)

口から内視鏡を入れ、先端を十二指腸まで進めた後、十二指腸乳頭(膵管と胆管の出口)に細い管を通して造影剤を注入し、膵管や胆管をX線撮影する検査です。この際、膵管内の細胞を採取する膵液細胞診検査が行われることもあります。他の検査で診断が確定しなかった場合に行われることがある重要な検査ですが、急性膵炎などの合併症を起こすことがあります。

8.病理診断(細胞診・組織診)

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断を確定するための検査です。超音波内視鏡検査(EUS)を使った超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)や、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を使った膵液細胞診検査などで採取された組織や細胞を、顕微鏡を使って診断します。

9.PET検査

放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞など細胞分裂が盛んな部位に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にする検査です。膵臓がんが疑われている状態で、膵臓がんかどうかをより詳しく調べる目的で実施する検査としては勧められていません。膵臓がんの診断が確定し、他の臓器への転移などについて確認する目的などで行われることがあります。

10.審査腹腔鏡

肝臓への転移や腹膜播種が疑われる場合に行われることがある検査です。正確な病期(ステージ)を診断することを目的に行われます。全身麻酔をしておなかに小さな穴を開け、腹腔鏡と呼ばれる細い内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察します。

更新・確認日:2023年02月20日 [ 履歴 ]
履歴
2023年02月20日 「膵癌診療ガイドライン2022年版」より、内容を更新しました。
2020年09月08日 「膵癌診療ガイドライン2019年版」より、内容の更新をしました。
2017年07月25日 「膵癌診療ガイドライン 2016年版」より、内容の更新をしました。4タブ形式に変更しました。
2016年12月07日 「膵癌取扱い規約 第7版(2016年)」より、「2.病期(ステ−ジ)」を更新しました。
2014年10月14日 「2.病期(ステ−ジ)」を更新しました。
2013年04月12日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月20日 内容を更新しました。
1995年12月25日 掲載しました。
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