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全ページ表示がんの冊子でんし冊子肝細胞がん(かんさいぼうがん)

更新・確認日:2018年04月19日 [ 履歴 ]
履歴
2018年04月19日 「肝癌診療ガイドライン2017年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2015年03月02日 「1.肝細胞がんとは」「2.肝がんと肝炎ウイルス」「3.症状」を更新しました。
2012年10月25日 更新履歴を追加しました。
2012年10月04日 タブ形式に変更しました。
2011年12月05日 内容を更新しました。
1996年05月23日 掲載しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。

1.肝臓について

肝臓は腹部の右上にあり、成人で800〜1,200gと体内最大の臓器です(図1)。
肝臓の主な役割は、食事から吸収した栄養分を取り込んで体に必要な成分に変えることや、体内でつくられた有害物質や体外から摂取された有害物質を解毒し、排出することです。また、脂肪の消化を助ける胆汁もつくります。胆汁は、胆管を通して消化管に送られます。
図1 肝臓と周辺の臓器の構造
図1 肝臓と周辺の臓器の構造の図

2.肝細胞がんとは

肝細胞がんは、肝臓の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものです。同じ肝臓にできたがんでも、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは「肝内胆管がん(胆管細胞がん)」と呼ばれています。肝細胞がんと肝内胆管がんは、治療法が異なることから区別されています。

ここでは、肝細胞がんについて解説します。なお、一般的には「肝がん」というと「肝細胞がん」のことを指します。

●肝細胞がんの再発・転移について

肝細胞がんは、多くの場合肝臓内に再発します。また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。

●転移性肝がんについて

肝臓以外の臓器にできたがんが肝臓に転移してきたものを転移性肝がんといいます。肝細胞がんとは区別され、治療は転移をする前の原発の部位(最初に発生したがん)に準じて行います。
関連情報
胆管がん

3.症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査のときなどに、たまたま肝細胞がんが発見されることも少なくありません。健康診断などで肝機能の異常や肝炎ウイルスの感染などを指摘された際には、受診するようにしましょう。
肝細胞がんが進行した場合は、腹部のしこり・圧迫感、痛みなどを訴える人もいます。

4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)

肝細胞がんでは、高分化、中分化、低分化の3段階に分け、さらに未分化がんを区別します。未分化がんや低分化のがんは、細胞が活発に増殖する傾向がみられます。
また、肝細胞がんでは組織型分類の他に、肉眼分類があります。がんの断面を肉眼で観察して、がんとそうではない部分の境目(境界)がはっきり見えるかどうか、境界が不規則かどうかなどによって、分類します。がんが発生して間もない段階では、境界ははっきり見えません。

5.関連する疾患

肝細胞がんでは、肝機能に影響を与える慢性肝疾患(脂肪肝、肝硬変など)を伴っていることが多くみられます。脂肪肝とは、肝細胞の中に脂肪が過剰にたまっている状態のことです。肝硬変とは、肝炎ウイルスや脂肪肝などによって、長期間にわたり炎症を起こした結果、肝臓が硬くなってしまった状態のことをいいます。

6.統計

肝細胞および肝内胆管のがんと新たに診断される人数は、1年間に10万人あたり32.2人で、男性に多い傾向があります。50歳代から増加を始め、80歳前後でピークを迎えます1)

7.発生要因

肝細胞がんの発生する主な要因は、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの持続感染(長期間、体内にウイルスが留まる感染)です。肝炎ウイルスが体内に留まることによって、肝細胞の炎症と再生が長期にわたって繰り返され、それに伴い遺伝子の突然変異が積み重なり、がんになると考えられています。

ウイルス感染以外の要因としては、多量飲酒、喫煙、食事性のアフラトキシン(カビから発生する毒素の一種)、肥満、糖尿病、男性であることなどが知られています。最近では、肝炎ウイルス感染を伴わない肝細胞がんが増加してきているという報告もあり、その主な要因として、脂肪肝が注目されています。

8.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

肝細胞がんの予防は、「肝炎ウイルスの感染予防」と「ウイルス感染者に対する肝がん発生予防」が柱となります。

B型肝炎ウイルスは、ワクチンで感染予防ができます。また、B型肝炎およびC型肝炎ウイルス感染者に対しては、ウイルスの排除や増殖を抑える薬を用いた抗ウイルス療法が、肝細胞がんの予防として勧められています。

ウイルス感染を早期に知ることも重要な予防の1つですので、地域の保健所や医療機関で一度は検査を受けましょう。また、B型肝炎およびC型肝炎ウイルスに感染した方、また、肝炎ウイルス感染を伴わない肝硬変と診断された方は、3〜6カ月間隔での腹部超音波検査など、定期的な検査を受けることが勧められています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、肝細胞がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することが勧められます。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の検査は、ここで言う検診とは異なります。

9.「肝細胞がん」参考文献

1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録2013年全国推計値,2017年
2)日本肝臓学会編.肝癌診療ガイドライン2017年版,金原出版
3)日本肝癌研究会編.臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版.2015年,金原出版
4)UICC日本委員会TNM委員会訳.TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版.2017年,金原出版
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