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肝臓がん(肝細胞がん)

肝臓がん(肝細胞がん) 治療

肝細胞がんの治療には、手術、アブレーション、肝動脈(化学)塞栓そくせん療法、薬物療法、放射線治療などがあります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。気になることがあれば、遠慮せずに、医療者やがん相談支援センターに相談しましょう。

1.ステージと治療の選択

治療を選択する際には、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、体の状態、肝機能がどのくらい保たれているか(肝予備能かんよびのう)などを調べます。肝細胞がんは多くの場合、肝臓に慢性的な病気が同時に起こっている状態のため、治療の際には肝予備能を保つことが大切です。そのため、まず肝予備能を評価します。肝細胞がんでは、がんそのものだけでなく、肝臓がどの程度働いているかによって選択できる治療法が変わります。そのため、同じステージのがんでも、人によって提案される治療法が異なることがあります。

1)肝予備能かんよびのうの確認

肝予備能は、「肝障害度」や「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」で確認します。
肝障害度は、肝機能の状態によって、3段階に分かれます(表1)。Child-Pugh分類は、肝硬変の程度を把握するために用いることがあります(表2)。

どちらの分類方法でも、AからCへと進むにつれて、肝障害の程度は強まります。

表1 肝障害度
表1 肝障害度
日本肝癌研究会編.臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第7版.2025年,金原出版より作成
表2 Child-Pugh分類
表2 Child-Pugh分類
日本肝癌研究会編.臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第7版.2025年,金原出版より作成

2)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。なお、肝細胞がんではステージのことを進行度ということもあります。

肝細胞がんのステージは、がんの個数、がんの大きさ、がんが肝臓内にとどまっているか、肝臓以外の臓器に転移があるかによって決まります。

ステージは、日本の「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約(日本肝癌研究会編)」(表3)と、国際的に使われている「TNM悪性腫瘍の分類(UICC)」(表4)の2種類があり、医師はこれらを用いて説明をしています。

分類法によって、同じステージでもがんの状態が異なることもあるため、注意が必要です。なお、肝細胞がんの場合は、がんの進行の程度と併せて肝予備能も考慮し、治療法を選択します。

自分がどのステージにあてはまるかということは、今後の治療方針を考える上でとても重要です。ステージの詳細については担当医に聞いてみましょう。

表3 肝細胞がんの病期分類(日本肝癌研究会)
表3 肝細胞がんの病期分類(日本肝癌研究会)
日本肝癌研究会編.臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第7版.2025年,金原出版より作成

「TNM悪性腫瘍の分類(UICC)」(表4)は次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。

Tカテゴリー:原発巣の広がり
Nカテゴリー:領域リンパ節(原発巣の近くにあるリンパ節)への転移の有無
Mカテゴリー:遠隔転移(がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移)の有無

原発巣とは、原発部位(がんが初めに発生した部位)にあるがんのことです。

表4 肝細胞がんの病期分類(UICC第8版)
表4 肝細胞がんの病期分類(UICC第8版)
James D.Brierleyほか編.TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版.2017年,金原出版より作成
がんのステージ(病期)は、検査によって確認します。

3)肝予備能・肝細胞がんの状態と治療の選択

治療は、標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。なお、肝細胞がんは、多くの場合、肝臓に慢性的な病気が同時に起こっている状態のため、治療の際には、肝予備能を保つことが大切です。そのため、まずChild-Pugh分類を用いて肝予備能を評価し、治療法を選択します。

図2は、肝細胞がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

なお、担当医から複数の治療法を提案されることもあります。治療を選ぶにあたって分からないことは、まず担当医に確認することが大切です。また、担当医が提案した以外にも治療法がないか知りたいときや、担当医の意見を別の角度から検討したいときにセカンドオピニオンを聞くこともできます。担当医に確認する前に、治療の生活への影響など不安に思うこと、悩みや困りごとなども含め、がん相談支援センターで相談することもできます。

図2 肝予備能・肝細胞がんの状態と治療の選択
図2 肝予備能・肝細胞がんの状態と治療の選択
日本肝臓学会 編.肝細胞癌診療ガイドライン2025年版.2025年, P.90.金原出版.より一部改変して転載

Child-Pugh分類がAまたはBで、がんが肝臓内にとどまっている場合の治療は、がんの大きさや数によって肝切除、アブレーション、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が中心となります。放射線治療や薬物療法、肝移植が選択肢になることもあります。遠隔転移(肝臓以外の臓器にがんが転移すること)がある場合には、薬物療法を選択します。Child-Pugh分類Cの場合は、肝移植を選択することもあります。

妊孕性にんようせいの温存について

がんの治療が、性別にかかわらず妊孕性(子どもをつくる力)に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊孕性を温存することが可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

禁煙について

喫煙を続けることは、がんの治療の効果を下げる原因になると考えられています。喫煙している場合には、治療が始まる前に少しでも早く禁煙しましょう。なお、手術までに禁煙できていないときは、手術が延期になることもあります。禁煙治療を希望する場合は、まずはがんの治療の担当医に相談しましょう。

セカンドオピニオンについて

担当医が提案した以外にも治療法がないか知りたいときや、担当医の意見を別の角度から検討したいときにセカンドオピニオンを受けることもできます。セカンドオピニオンについての詳細は、担当医やがん相談支援センターに確認しましょう。セカンドオピニオンの依頼先や依頼方法が分からない場合には、がん相談支援センターでも相談できます。

2.手術(外科治療)

手術を行うかどうかは、Child-Pugh分類がAまたはBで肝障害度に基づく肝機能の評価がよい場合、切除後に肝臓の量をどれだけ残せるかによって判断します。また、肝硬変の程度がChild-Pugh分類Cでは肝移植が勧められています。

1)手術の種類

(1)肝切除

がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除く治療法です。多くの場合、がんが肝臓にとどまっており、3個以下の場合に行います。がんの大きさには特に制限はなく、10cmを超えるような巨大なものであっても、切除が可能な場合もあります。

また、がんが脈管(門脈、静脈、胆管)へ広がっている場合でも、肝切除を行うことがあります。ただし、腹水がある場合は、肝切除後に肝不全(肝臓が機能しなくなること)になる危険性が高いため、通常は肝切除以外の治療を行います。

切除の方法は、がんがある場所や肝機能に応じて、小さい範囲での切除から、広い範囲での切除までさまざまです。がんがある場所やがんの数によっては、おなかに小さな穴をいくつかあけ、そこから手術器具などを挿入して行う腹腔鏡ふくくうきょう下肝切除やロボット支援下肝切除が可能な場合があります。しかし、肝臓の広い範囲を切除する場合において完全に確立した方法ではありません。そのため、開腹手術と腹腔鏡下肝切除やロボット支援下肝切除の経験を十分にもつチームがある医療機関で行われるべきであるとされています。

腹腔鏡下肝切除やロボット支援下肝切除を希望する場合には、担当医と十分に相談しましょう。そのほかに、看護師などの医療スタッフや、全国の「がん診療連携拠点病院」などに設置されているがん相談支援センターに相談することもできます。

(2)肝移植

肝臓をすべて取り出して、ドナー(臓器提供者)からの肝臓を移植する治療法で、日本では、主に近親者から肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」が行われています。なお近年は、脳死後のドナーから肝臓を提供してもらう「脳死肝移植」も行われています。

肝細胞がんに対する肝移植は、ミラノ基準、または5-5-500基準を満たす場合に行うことがあります。ミラノ基準とは、(a)脈管への広がり・肝臓以外への転移がない、(b)がんが1つなら5cm以下、(c)がんが複数なら3個以下で3cm以下という基準です。5-5-500基準とは、遠隔転移や脈管への広がりがなく、がんが5cm以内かつがんの数が5個以内かつAFP500ng/mL以下という基準です。

下記のリンク先で、ご自身で検索できるサイトと、「施設別がん登録件数検索システム」についてご案内しています。「施設別がん登録件数検索システム」をご利用になる場合は、「3.対応施設」のがん相談支援センターにお問い合わせいただくと、相談員が診療経験のある病院を探すお手伝いをします。

2)手術の合併症

肝臓は血流が豊富な臓器であるため、手術中または手術後に出血することがあります。また、肝臓の切除面から胆汁が漏れる胆汁漏たんじゅうろうや、肝切除後に残った肝臓の機能が大きく低下する肝不全などが起こることがあります。
出血した場合は、輸血と再手術による止血が必要になることがあります。
胆汁漏は、通常、ドレーン(体液を外に流すためのチューブ)を付けたままにして胆汁を体の外に流したり、抗菌薬で治療したりすることで症状が改善しますが、まれに再手術が必要になることがあります。
肝不全は重大な合併症で、肝臓が機能しない状態のことです。重症化した場合は、生命に関わる可能性があります。肝不全にならないよう、手術を考える時点で肝臓の機能に応じて十分な肝臓の量を残すようにしますが、ごくまれに起こることがあります。

3.アブレーション

腹部の皮膚から針をがんに直接刺し、熱などの作用によって腫瘍を壊死させる治療で、手術に比べて体への負担が少ないことが特徴です。Child-Pugh分類のAまたはBのうち、がんの大きさが3cm以下、かつ、3個以下の場合に行われます。

肝細胞がんのアブレーションとして推奨されているのは、ラジオ波焼灼しょうしゃく療法(RFA)とマイクロ波凝固療法(MWA)です。ほかのアブレーションとしては、経皮的エタノール注入(PEI)などがあります。治療後は、数時間程度の安静が必要です。

1)ラジオ波焼灼療法(RFA)

腹部の皮膚から特殊な針をがんに直接刺し、通電して針の先端部分に高熱を発生させることで、局所的にがんを焼灼して(焼いて)死滅させる治療法です。治療の際は、針を刺す前に腹部の局所麻酔をします。また、がんを焼くときに生じる痛みを和らげるために鎮痛剤を使用したり、気持ちが落ち着き少しうとうとした状態になる鎮静薬を使用したりします。焼灼時間は10〜30分程度です。

2)マイクロ波凝固療法(MWA)

マイクロ波凝固療法(MWA)もラジオ波焼灼療法(RFA)と同様に、腹部の皮膚から特殊な針をがんに直接刺し、熱によってがんを死滅させる治療法です。

3)アブレーションの合併症

発熱、腹痛、出血、腸管損傷、肝機能障害などの合併症が起こることがあります。また、針を刺した場所に痛みややけどが起こることもあります。

4.塞栓そくせん療法

X線を使って体の中を透かして見ながら、鼠径部そけいぶ(足の付け根)や肘、手首の動脈から肝動脈まで入れたカテーテルを、標的となるがんの近くまで進めて行う治療で、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)があります。

Child-Pugh分類のAまたはBのうち、大きさが3cmを超えた1〜3個のがん、もしくは、大きさに関わらず4個以上のがんがあり、手術が難しくかつアブレーションの対象とならない場合に行われます。がんが広い範囲にある場合は、複数回に分けて行われます。

なお、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)のほかにも、カテーテルを用いて行う治療法として、細胞障害性抗がん薬を注入する肝動注化学療法(TAI)があります。

1)肝動脈化学塞栓療法(TACE)/肝動脈塞栓療法(TAE)

肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、鼠径部あるいは肘や手首の動脈からカテーテルを入れ、血管造影しながら先端を肝動脈まで挿入し、細胞障害性抗がん薬と肝細胞がんに取り込まれやすい造影剤を混ぜて注入したあと、肝動脈を詰まらせる塞栓物質を注入する治療法です。肝動脈を詰まらせることで、がんへの血流を減らし、細胞障害性抗がん薬によりがん細胞の増殖を抑えます。

肝動脈塞栓療法(TAE)は、鼠径部あるいは肘や手首の動脈からカテーテルを入れ、血管造影しながら先端を肝動脈まで挿入し、塞栓物質のみを注入する治療法です。肝動脈を詰まらせることで、がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさぎ、血流を減らします(図3)。

なお、①肝動脈化学塞栓療法(TACE)を2回行っても治療の効果が不十分か、肝臓内に新たにがんができたとき、②脈管にがんが広がったときや遠隔転移が起こったとき、③腫瘍マーカーが持続的に上昇するときのいずれかの場合には、肝動脈化学塞栓療法(TACE)のみでの治療を継続することは推奨されません。状況に応じた治療法の変更を検討します。

図3 塞栓療法(鼠径部からカテーテルを入れる場合)
図3 塞栓療法(鼠径部からカテーテルを入れる場合)

2)塞栓療法の副作用

治療後に、発熱、吐き気、腹痛、食欲不振、肝機能障害、胸痛などの副作用が起こることがあります。副作用の程度は、がんの大きさ、広がり、塞栓した範囲、肝機能によりさまざまです。予想される副作用について、あらかじめ担当医から十分な説明を聞いておき、副作用と思われる症状が出た場合にはすぐに担当医に連絡しましょう。なお、治療後は、数時間から半日程度の安静が必要です。

5.薬物療法

肝細胞がんの薬物療法は、全身に作用する方法(全身薬物療法)と、肝臓に集中的に薬剤を投与する方法(肝動注化学療法など)があります。治療法は、がんの広がりや数、脈管(門脈、肝静脈など)への浸潤の有無、肝機能、全身状態などをもとに選択されます。

肝細胞がんでは、局所治療(肝切除やアブレーション、塞栓療法など)が適切だと判断されない場合は、全身薬物療法が標準治療となります。全身薬物療法は、体の状態を表す指標の1つであるパフォーマンスステータス(PS)が良好かつ肝臓の機能が良好なChild-Pugh分類Aの場合に行うことが勧められ、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が用いられます。

一方、肝細胞がんが4個以上の場合や脈管(門脈、肝静脈など)へ広がった場合などには、鼠径部あるいは肘や手首の動脈からカテーテルを入れ、血管造影しながら先端を肝動脈まで挿入し、細胞障害性抗がん薬を注入する肝動注化学療法(TAI)が行われることがあります。治療後には、吐き気、食欲不振、肝機能障害などの副作用が起こることがあります。

1)全身薬物療法で用いる薬の種類

一次治療(がんの診断後に初めて行う薬物治療)では、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を用います。自己免疫性疾患などのために、免疫チェックポイント阻害薬が使いづらい場合には、分子標的薬を用います。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。分子標的薬は、がん細胞に特徴的な分子を目印にしてがんを攻撃する薬で、がん以外への影響を抑えることができるのが特徴です。

一次治療の効果がみられない場合や、副作用のために治療を続けることが難しい場合には、別の種類の分子標的薬を二次治療として用いることがあります。

2)全身薬物療法の副作用

副作用は、使用する薬剤の種類や薬ごとに異なり、その程度も個人差があります。最近では副作用を予防する薬なども開発され、特に吐き気や嘔吐については、以前と比べて予防(コントロール)することができるようになってきました。しかし、副作用の種類や程度によっては、治療が継続できなくなることもあります。

肝細胞がんの全身薬物療法で使用される分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、薬ごとにさまざまな副作用があらわれます。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気を付けるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医によく確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、迷わずに担当医に伝えましょう。治療を継続するためには、副作用に適切に対処することが大切です。

また、副作用を予防したり、症状を緩和したりする支持療法が進歩したため、通院で薬物療法を行うこともあります。通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など、今までの日常生活を続けながら治療を受けることができる一方、いつも医師や看護師などの医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。通院時には疑問点や不安点などを医療者に相談しながら治療を進めるとよいでしょう。がん相談支援センターでも相談できます。

薬物療法の副作用について、薬の種類ごとに説明しています。
副作用に対する対応については、以下の情報をご確認ください。
医療用医薬品を製品名等で検索できるウェブサイトです。

6.免疫療法

免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2026年8月現在、肝細胞がんの治療に効果があると証明されている方法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法の1つでもあります。

インターネット上のウェブサイトなどのさまざまな媒体で、高額な自由診療による免疫療法の情報が掲載されていることもありますが、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法以外の免疫療法で、肝細胞がんに対して効果が証明されたものはありません。

また、免疫チェックポイント阻害薬を用いる治療であっても、肝細胞がんに対して保険適用されていない用法・用量で行われる自由診療については、有効性や安全性は確立していません。

7.放射線治療

1〜3個の肝細胞がんで、がんが血管に広がっているかの有無に関わらず、肝切除やアブレーションが難しい場合には、放射線療法が行われることがあります。主な方法として、体幹部定位放射線治療(SBRT)や粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)があります。

体幹部定位放射線治療(SBRT)は、病変に放射線を集中して照射する治療法です。Child-Pugh分類AまたはBのうち、5 cm以内で、1〜3個のがんがある場合に検討されます。

また、がんが大きく手術が不可能な場合は、重粒子線や陽子線による放射線治療(重粒子線治療、陽子線治療)が受けられる場合もありますが、治療ができる施設は限られていますので、希望する場合は担当医に相談しましょう。

なお放射線治療は、骨に転移したときの痛みの緩和を目的とした治療や、脳への転移に対する治療としては、行うことが勧められています。

8.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するかもしれません。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体のつらさや、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まります。つらさを感じるときには、がんの治療とともに、いつでも受けることができます。

緩和ケアは、診断時から行われるすべてのがん治療の土台です。体や心のつらさがある場合には、緩和ケアや支持療法を受けることで和らげることができます。つらい症状が和らぐと、がんの治療にも専念しやすくなります。がんやがん治療に伴うつらさを感じたときには担当医や看護師に伝えましょう。がん相談支援センターに相談することもできます。

肝細胞がんが進行した場合は、腹部にしこりや圧迫感、痛みがあらわれることもあります。また、黄疸おうだん(皮膚や目が黄色くなる)、腹水、むくみ、かゆみ、倦怠感けんたいかん(だるさ)などのさまざまな症状があらわれることや、食道静脈りゅうが悪化することがあります。このような症状や、本人にしか分からないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。

全国のがん診療連携拠点病院では外来、入院いずれの状況でも緩和ケアを受けることができます。必要時には地域の病院と連携して、自宅で緩和ケアを継続することも可能です。お住まいの地域の病院や在宅療養、利用できる制度、地域の緩和ケアに関する情報などについては、がん相談支援センターやソーシャルワーカーにご相談ください。

また、がんやがんの治療によって外見が変化することがあります。支持療法の中でも、外見の変化によって起こるさまざまな苦痛を軽減するための支援として行われているのが、「アピアランス(外見)ケア」です。外見が変化することによる悩みや心配についても、医療者やがん相談支援センターに相談できます。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
からだ・こころ・くらし、緩和ケア/支持療法、アピアランスケアに関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。がん相談支援センターのある病院に通っていなくても、どなたでも相談できます。
がんの治療による外見の変化と、それに対するアピアランスケアについて紹介しています。

9.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、今ある体の能力を維持、向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさを和らげる目的でも行われます。

一般的に、治療中や治療後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師に確認しましょう。

10.再発した場合の治療

再発とは、治療によって見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣(最初にできたがん)のあった場所やその近くに、がんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。肝細胞がんは、多くの場合、肝臓内で再発します。また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。

肝切除による治療後に初めて再発した場合は、90%以上が肝臓内での再発だといわれています。これは、がん細胞が肝臓内の血液の流れに乗って、肝臓内の別の場所に転移したり、肝切除後に残った肝臓から新しい肝細胞がんが発生したりするためと考えられています。再発した場合は、その人の体の状況や肝障害度に応じて、治療やその後のケアを決めていきます。

肝切除や局所療法による治療後に再発した場合で、肝臓以外の臓器に転移していない場合には、残っている肝臓の量や肝機能を考慮して、治療を検討します。基本的には、初回の治療方針と同じで、手術で切除するか、切除が難しい場合は、アブレーションや塞栓療法、薬物療法を行います。

肝移植後に再発した場合は、可能であれば手術で切除するか、切除が難しい場合は、薬物療法を行うことがあります。

更新・確認日:2026年08月21日 [ 履歴 ]
履歴
2026年08月21日 「肝癌診療ガイドライン2025年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第7版」より、内容を更新しました。
2023年07月21日 日本肝臓学会ウェブサイト「肝癌診療ガイドライン 2021年版」の薬物療法アルゴリズムとCQ39の変更内容を確認し、更新しました。
2022年08月18日 「図2 肝予備能・肝細胞がんの状態と治療の選択」を再掲載しました。
2022年07月28日 「図2 肝予備能・肝細胞がんの状態と治療の選択」を一時掲載中止としました。
2022年06月23日 「肝癌診療ガイドライン2021年版 第5版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2021年10月14日 「肝細胞癌ガイドライン2017年版 補訂版」より、内容を更新しました。
2020年02月27日 「6.放射線治療」以降の項目の順序を変更し、「10.生存率」の参照先を「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」としました。
2018年04月19日 「肝癌診療ガイドライン2017年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2015年03月02日 「1.手術(外科治療)」「2.穿刺せんし局所療法」「3.肝動脈塞栓そくせん療法、肝動注化学療法」「5.化学療法(抗がん剤治療)」を更新しました。
2013年03月26日 内容を更新しました。
2012年10月25日 更新履歴を追加しました。「3.肝動脈塞栓術、肝動注化学療法」の図を追加しました。
2012年10月04日 タブ形式に変更しました。
2011年12月05日 内容を更新しました。
1996年05月23日 掲載しました。
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