1.発生要因
肝細胞がんが発生する主な要因は、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの持続感染(長期間、体内にウイルスがとどまる感染)です。肝炎ウイルスが体内にとどまることによって、肝細胞の炎症と再生が長期にわたって繰り返され、それに伴い遺伝子の変異が積み重なり、がんになると考えられています。
ウイルス感染以外の危険因子は、アルコール摂取、喫煙、肥満、脂肪肝、糖尿病があることです。また、男性や高齢であることも危険因子として知られています。
※危険因子については、がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載することを原則としています。記載方針については関連情報をご覧ください。
2.予防と検診
1)予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
さらに、肝細胞がんの場合は、「肝炎ウイルスの感染予防」が重要で、B型肝炎ウイルスは、ワクチンで感染を予防することができます。また、肝炎ウイルス感染を早期に知ることも「ウイルス感染者の肝臓がん発生予防」として重要ですので、地域の保健所や医療機関で一度は検査を受けましょう。
なお、 B型肝炎およびC型肝炎ウイルス感染が分かった場合には、肝細胞がんの予防として、肝炎が進行しないように、ウイルスの排除や増殖を抑える薬を用いた抗ウイルス療法を受けることが勧められています。
2)検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。
なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。
肝細胞がんについては、現在、国が推奨するがん検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。
ただし、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス感染による肝硬変や慢性肝炎がある人、肝炎ウイルスを伴わない肝硬変の人は、3~6カ月間隔での腹部超音波(エコー)検査などの定期的な検査を受けましょう。
2022年06月23日 | 「肝癌診療ガイドライン2021年版 第5版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。 |
2019年06月20日 | 「肝腫瘍〈小児〉」へのリンクを追加しました。 |
2018年04月19日 | 「肝癌診療ガイドライン2017年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。 |
2015年03月02日 | 「1.肝細胞がんとは」「2.肝がんと肝炎ウイルス」「3.症状」を更新しました。 |
2012年10月25日 | 更新履歴を追加しました。 |
2012年10月04日 | タブ形式に変更しました。 |
2011年12月05日 | 内容を更新しました。 |
1996年05月23日 | 掲載しました。 |