1.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。
肝細胞がんと診断された人は、肝臓の別の場所に新しいがんが発生することがしばしばあるため、注意が必要です。再発の危険が高くなるため、頻繁かつ長期的な通院が必要となり、治療後は、3〜6カ月ごとに定期検査を行います。定期検査では、肝機能や腫瘍マーカーを調べるための血液検査に加え、必要に応じて、超音波(エコー)検査や造影超音波検査、造影CT検査、造影MRI検査などの画像検査を行います。また、PET検査、骨シンチグラフィなどを行う場合もあります。
なお、ウイルス性肝炎が原因で肝細胞がんになった場合は、手術や穿刺局所療法後に、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス療法を受けることで、再発を抑えられる可能性があるといわれています。がん治療後のウイルス性肝炎の治療については、担当医と相談しましょう。また、黄疸やむくみなどの症状を自覚したときにも相談しましょう。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
1)食事について
栄養のバランスを第一に、気持ちよく食べることが大切です。ただし、慢性肝疾患がある人は、肝機能を悪くする場合があるため、飲酒を避けることが重要です。また、むくみや腹水がある場合は、塩分を控えめにする必要があります。担当医や看護師、栄養士などに食事の注意点についてよく確認しておきましょう。
2)運動について
手術後約1カ月は、ゆっくり過ごすことが基本です。体力の回復に合わせて散歩などから始め、少しずつ運動量を増やしていきます。体力が回復し、肝機能も安定すれば、徐々に通常の生活に戻れます。ただし、激しい運動は担当医に相談してからにしましょう。
3)性生活について
性生活が、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。
性生活には支障はありませんが、治療中は避妊しましょう。なお、経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。
また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。性交渉による感染は、特にB型肝炎ウイルスに注意が必要で、C型肝炎ウイルスはまれとされていますが、肝炎ウイルスに感染している場合は、コンドームを使用しましょう。
以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。