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肝臓がん(肝細胞がん)

肝臓がん(肝細胞がん)について

1.肝臓について

肝臓は腹部の右上にある体内最大の臓器で、重さは成人で1kg以上あり、体の右側部分の右葉と左側部分の左葉に分けられます。肝臓の下方からは、門脈(胃や腸から吸収した栄養を多く含む血液を肝臓に運ぶ静脈)が通っています。門脈から肝臓に流入した血液は、肝静脈を通って下大静脈に流れ出ていきます(図1)。

肝臓の主な役割は、門脈から流入した血液に含まれる栄養を代謝して体に必要な成分に変えること、代謝の際に生じた物質や摂取したアルコールなどの有害物質を解毒し排出すること、脂肪の消化を助ける胆汁を作ることです。

図1 肝臓と周辺の臓器の構造
図1 肝臓と周辺の臓器の構造の図

2.肝臓がん(肝細胞がん)とは

肝臓がんは、肝臓にできるがんの総称で、「肝がん」といわれることもあります。このうち、肝臓の主な細胞である肝細胞ががん化したものを肝細胞がんと呼びます。同じ肝臓にできたがんでも、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは「肝内胆管がん(胆管細胞がん)」と呼ばれ、区別されています。

なお、日本で発生する肝臓がんの90%以上は肝細胞がんであるため、一般的には「肝臓がん」とは「肝細胞がん」のことを意味します。このページでは、肝細胞がんについて解説します。肝内胆管がんについては、「胆道がん」のページをご覧ください。

肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコールが関係する肝臓の病気(アルコール関連肝疾患)、代謝などが関係する肝臓の病気(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響しているとされています。近年、C型肝炎の治療が大きく進歩したことから、肝臓がんの発生率は男女ともに減少傾向です。しかし、アルコール関連肝疾患などが関係する肝臓がんは増加傾向にあります。一方で、これらにあてはまらなくても肝細胞がんを発症することがあります。

肝細胞がんの再発は、肝臓内で起こることが多いです。また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。

転移性肝がん(肝転移)について

肝臓以外の臓器にできたがんが、肝臓に転移したものを転移性肝がん(肝転移)といいます。転移性肝がんは肝細胞がんとは区別し、原発巣(最初にできたがん)に準じた治療を行います。例えば、大腸がんが肝臓に転移した場合には、肝細胞がんの治療ではなく、大腸がんの治療方針に基づいて治療を行います。

3.症状

肝細胞がんは、初期には自覚症状がほとんどありません。肝機能が低下すると、皮膚や目が黄色くなる黄疸おうだん、むくみ、かゆみ、倦怠感けんたいかん(だるさ)などの症状があらわれることがあります。また、がんが進行した場合は、腹部にしこりや圧迫感、痛みがあらわれることがあります。

これらの症状は、慢性肝疾患(B型肝炎やC型肝炎、アルコール関連肝疾患、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、肝硬変など)によって起こることもあり、症状だけで肝細胞がんかどうかを判断することはできません。また、肝細胞がんであっても症状がないまま進行することもあります。

また、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、健診などで肝機能の異常を指摘されることもあります。肝細胞がんの発生に関係する肝臓の慢性的な炎症や肝炎ウイルスの感染などを指摘されたときには、まずは内科や消化器内科、または身近な医療機関を受診するようにしましょう。

肝炎情報センターウェブサイトでは、肝臓の病気・治療についての相談先や病院を検索することができます。

4.関連する疾患

慢性肝疾患(B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、アルコール関連肝疾患、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患など肝臓に慢性的な炎症や障害を引き起こす病気)は、長期間にわたって肝細胞の破壊と修復が繰り返されることで、肝硬変へ進行し、肝細胞がんが発生しやすくなることがあります。

なお、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患とは、脂肪が過剰にたまった肝臓(脂肪肝)が炎症を起こしている状態です。また、肝硬変とは、肝炎ウイルスや脂肪肝などによる炎症が長期間にわたって続いた結果、肝臓が硬くなった状態をいいます。

更新・確認日:2026年08月21日 [ 履歴 ]
履歴
2026年08月21日 「肝癌診療ガイドライン2025年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第7版」より、内容を更新しました。
2023年10月06日 「2.肝臓がん(肝細胞がん)とは」に「希少な肝胆膵がん」の希少がんセンターへのリンクを追加しました。
2023年07月21日 タイトルを「肝臓がん(肝細胞がん)」に変更し、「2.肝臓がん(肝細胞がん)とは」を更新しました。
2022年06月23日 「肝癌診療ガイドライン2021年版 第5版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。
2019年06月20日 「肝腫瘍〈小児〉」へのリンクを追加しました。
2018年04月19日 「肝癌診療ガイドライン2017年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2015年03月02日 「1.肝細胞がんとは」「2.肝がんと肝炎ウイルス」「3.症状」を更新しました。
2012年10月25日 更新履歴を追加しました。
2012年10月04日 タブ形式に変更しました。
2011年12月05日 内容を更新しました。
1996年05月23日 掲載しました。
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