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乳がん(にゅうがん)

更新・確認日:2018年06月13日 [ 履歴 ]
履歴
2018年06月13日 「5.発生要因」「6.予防と検診 1)予防」を更新しました。
2017年05月11日 「5.疫学・統計 1)乳がんの統計」に男性乳がんの記載を追加しました。
2016年09月02日 「5.疫学・統計 2)乳がんの発生要因」を更新しました。
2015年11月04日 「3.症状 1)乳房のしこり」に葉状腫瘍の記載を追加しました。
2015年08月25日 「5.疫学・統計」の罹患データを2011年で更新しました。
2015年03月23日 タブ形式への移行と、「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版」より、内容の更新をしました。
2011年07月15日 内容を更新しました。
1997年10月01日 掲載しました。

1.乳房について

乳房(にゅうぼう)は母乳(乳汁)をつくる乳腺と、乳汁を運ぶ乳管、それらを支える脂肪などからなっています(図1)。乳腺には腺葉と呼ばれる15~20個の組織の集まりがあり、腺葉は乳管と多数の小葉(しょうよう)から構成されています。乳腺でつくられた乳汁は乳管を通って乳管洞にためられます。
図1 乳房の構造
図1 乳房の構造の図

2.乳がんとは

乳がんの多くは乳管から発生し、「乳管がん」と呼ばれます。小葉から発生する乳がんは、「小葉がん」と呼ばれます。乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理検査)すると区別できます。この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多くはありません。

乳がんは、しこりとして見つかる前に、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺、胸膜、肝臓、脳など)に転移して見つかることがあります。乳がんの種類や性質によって、広がりやすさ、転移しやすさは、大きく異なります。

3.症状

乳がんが見つかるきっかけとしては、マンモグラフィなどによる乳がん検診を受けて疑いを指摘される場合や、あるいは自分で症状に気付く場合などが多いようです。

自分で気付く症状としては、以下のようなものがあります。

1)乳房のしこり

乳がんが進行すると腫瘍が大きくなり、注意深く触るとしこりがわかるようになります。ただし、しこりがあるからといって、すべてが乳がんというわけではありません。例えば、乳腺症、線維腺腫、葉状腫瘍などでもしこりの症状があらわれます。葉状腫瘍はまれな腫瘍ですが、線維腺腫に似た良性のものから、再発や転移を起こしやすい悪性のものまでさまざまです。これらは乳がんとは異なりますが、しこりが気になる場合は専門医に診てもらいましょう。

2)乳房のエクボなど皮膚の変化

乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、エクボのようなひきつれができたり、乳頭や乳輪部分に湿疹(しっしん)やただれができたり、時にはオレンジの皮のように皮膚がむくんだように赤くなったりします。乳頭の先から血の混じった分泌液が出ることもあります。

乳房のしこりがはっきりせず、乳房の皮膚が赤く、痛みや熱をもつ乳がんを「炎症性乳がん」と呼びます。炎症性乳がんのこのような特徴は、がん細胞が皮膚に近いリンパ管の中で増殖してリンパ管に炎症を引き起こしているためです。

痛み、むくみや腫れといった症状は乳がん以外の病気、例えば良性腫瘍の1つである線維腺腫(せんいせんしゅ)、乳腺症、細菌感染が原因の乳腺炎や蜂窩織炎(ほうかしきえん)などでも起こることがあるので、詳しい検査をして乳がんであるかどうか調べる必要があります。

3)乳房周辺のリンパ節の腫れ

乳がんは乳房の近くにあるリンパ節である、わきの下のリンパ節(腋窩[えきか]リンパ節)や胸の前方中央を縦に構成する胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)や鎖骨上のリンパ節に転移しやすく、これらのリンパ節を乳がんの「領域リンパ節」と呼びます。腋窩リンパ節が大きくなると、わきの下などにしこりができたり、リンパ液の流れがせき止められてしまうため、腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕がしびれたりすることがあります。
腋窩リンパ節はレベルI、II、IIIのグループに分けられます。(図2)。
レベルI:小胸筋外縁より外側のリンパ節
レベルII:小胸筋の後ろまたは大胸筋と小胸筋の間のリンパ節
レベルIII:鎖骨下の小胸筋内縁より内側のリンパ節

リンパ節転移は一般にレベルIからレベルII、さらにレベルIIIへ進むとされています。手術前の触診や画像診断、またセンチネルリンパ節生検(詳しくは「乳がん 治療-1.手術 4)わきの下のリンパ節郭清(腋窩リンパ節郭清)」をご覧ください)で臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移を認めた場合は、レベルIIまでの郭清が標準とされています。
図2 乳房周辺の領域リンパ節および腋窩リンパ節のレベル区分
図2 乳房周辺の領域リンパ節および腋窩リンパ節のレベル区分の図

4)遠隔転移の症状

転移した臓器によって症状はさまざまであり、症状がまったくないこともあります。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、負荷がかかる部位に骨転移がある場合には骨折を起こす危険があります(病的骨折)。肺転移の場合は咳(せき)が出たり、息が苦しくなったりすることがあります。肝臓の転移は症状が出にくいですが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなったりすることもあります。また、痛みや黄疸(おうだん)が出ることもあります。

4.統計

わが国の2013年の乳がん死亡数は女性約13,000人で、女性ではがん死亡全体の約9%を占めます。2011年の女性乳がんの罹患(りかん)数(全国推計値)は、約72,500例(上皮内がんを除く)で、女性のがん罹患全体の約20%を占めます。

年齢階級別罹患率でみた女性の乳がんは、30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎え、その後は次第に減少します。

男性乳がんの罹患率は女性乳がんの1%程度で、女性に比べ5~10歳程度高い年齢層に発症します。

年次推移は、高齢になるほどがんの死亡率および罹患率は高くなるため、人口に対する年齢分布の年次推移を考慮し、仮想人口モデルで調整された年齢調整率(参照:年齢調整死亡率年齢調整罹患率)で比較されます。乳がんの年齢調整率の年次推移は死亡、罹患とも一貫して増加しており、出生年代別では最近の出生者ほど死亡率・罹患率が高い傾向にあります。

罹患率の国際比較では、東アジアに比べて欧米、特にアメリカ系白人で高く、アメリカの日系移民は日本在住者より高い傾向にあります。

5.発生要因

乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。体内のエストロゲンが多いこと、また、体内にエストロゲンを加える経口避妊薬の使用、閉経後のホルモン補充療法は乳がんの発生する危険性を高めます。

また、初経年齢が低い、閉経年齢が遅い、出産経験がない、初産年齢が遅い、授乳経験のないことが乳がんの発生する危険性を高めます。

生活習慣に関しては、飲酒、閉経後の肥満、身体活動度が低いことが乳がんの発生する危険性を高めます。

その他には、第一親等(自分の親または子)で乳がんになった血縁者がいる、良性乳腺疾患にかかったことがある、マンモグラフィで高濃度乳房であることがわかる、身長が高い、放射線による正常細胞への障害があることが、乳がんの発生する危険性を高めます。

6.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

その中でも乳がんを予防するためには、飲酒を控え、閉経後の肥満を避けるために体重を管理し、身体活動度を高めることがよいと考えられています。

2)検診

乳がんは早期発見により適切な治療が行われれば、良好な経過が期待できます。しこりなど自覚症状がある場合は速やかに受診することを勧めますが、無症状の場合でも、乳がん検診により乳がんが見つかることがあります。

乳がん検診については「乳がん検診の勧め」と「乳がん検診Q&A」もご参照ください。

各市区町村で行われている乳がん検診は、対象年齢や費用などさまざまです。またがん検診推進事業では、年度ごとに対象者を決めて無料クーポンを配布しています。配布内容については、各市区町村で異なります。詳しくは、お住まいの市区町村へお問い合わせください。
【参考文献】
  1. 日本乳癌学会編.臨床・病理 乳癌取扱い規約第17版.2012年,金原出版
  2. 日本乳癌学会編.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版,金原出版
  3. 日本乳癌学会編.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編2015年版,金原出版
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