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乳がん

乳がん 予防・検診

1.発生要因

乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。エストロゲンを含む経口避妊薬の使用、閉経後の長期のホルモン補充療法は、乳がんを発生するリスクを高めることが分かっています。

また、体内のエストロゲンに関連する要因として、初経年齢が低い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がないなどが、乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。

そのほか、飲酒、閉経後の肥満、運動不足といった生活習慣や、糖尿病の既往なども乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。

また、第一親等(自分の親または子)で乳がんになった血縁者がいる場合、乳がんのリスクが高いことが分かっています。乳がんを早期発見、早期治療するためにも、乳がん検診を欠かさず受けましょう。遺伝性乳がんの原因としては、BRCA1BRCA2という遺伝子の変異が知られていますが、これらの変異があるからといって必ずしも発症するとは限りません。遺伝医学などの専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を行うことが勧められます。施設などの情報は、がん相談支援センターで確認することができます。

危険因子については、がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載することを原則としています。記載方針については関連情報をご覧ください。

2.予防とがん検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。

中でも乳がんを予防するためには、飲酒を控え、閉経後の肥満を避けるために体重を管理し、適度な運動を行うことがよいと考えられています。

また、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に変異があることが分かった場合、遺伝医学の専門家のいる、遺伝カウンセリングの体制が整った施設において、リスク低減乳房切除術(乳がんのリスクを下げるために、がんを発症する前に乳房を切除する手術)を検討することがあります。加えて、これらの遺伝子は卵巣がん・卵管がんにも関連しているため、リスク低減卵管卵巣摘出術(卵巣がんのリスクを下げるために、がん を発症する前に両方の卵巣および卵管を切除する手術)についても検討することがあります。

なお、BRCA遺伝子に変異があるかどうかを調べるBRCA1/2遺伝子検査は、一定の条件を満たしていれば保険診療で受けることができます。条件については関連情報の「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために」をご覧ください。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けましょう。ほとんどの市区町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができます。
検診の内容は、問診とマンモグラフィ(乳房X線検査)です。問診では、現在の症状、月経に関することや妊娠の可能性の有無、自分や家族が乳がんにかかったことがあるか、過去の検診の受診状況、マンモグラフィを実施できるかどうかなどを確認します。検査の結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。

厚生労働省の指針では、がん検診の死亡率減少効果が確実で、検診の不利益(偶発症、過剰診断、偽陰性・偽陽性)が少ない検診だけが推奨されています。現時点で乳がん検診では、マンモグラフィが推奨されています。

新型コロナワクチンを接種する予定がある場合、乳がん検診としてのマンモグラフィや乳房超音波検査はワクチン接種前に受けるか、ワクチン接種後少なくとも6~10週間の間隔をあけるとよいとされています。ワクチン接種により腋窩えきかリンパ節が腫れることがあり、検診結果に影響が出るためです。ワクチン接種後すぐに乳がん検診を受ける場合は、検診の問診時にワクチンを接種したことを医師に伝えましょう。詳しくは関連情報の「乳がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応の手引き」をご覧ください。

なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。

3)ブレスト・アウェアネス

ブレスト・アウェアネスは、「乳房を意識する生活習慣」です。
乳房の状態に日ごろから関心をもちましょう。乳房の変化を感じたら速やかに医師に相談するという、正しい受診行動を身に付けることが大切です。
ブレスト・アウェアネスには、以下の4つのポイントがあります。

(1)ご自分の乳房の状態を知る
(2)乳房の変化に気を付ける
(3)変化に気付いたらすぐ医師へ相談する
(4)40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける

更新・確認日:2023年07月05日 [ 履歴 ]
履歴
2023年07月05日 「乳癌診療ガイドライン①治療編2022年版」「乳癌診療ガイドライン②疫学・診断編2022年版」より、内容を更新しました。
2023年03月29日 「2.予防と検診」に「3)ブレスト・アウェアネス」を追加しました。
2020年07月09日 「日本乳癌学会編 乳癌診療ガイドライン(1)治療編2018年版」「日本乳癌学会編 乳癌診療ガイドライン(2)疫学・診断編2018年版」「日本乳癌学会編 臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版(2018年)」により、内容を全面的に更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2019年06月10日 関連情報として「日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン」へのリンクを掲載しました。
2018年06月13日 「5.発生要因」「6.予防と検診 1)予防」を更新しました。
2017年05月11日 「5.疫学・統計 1)乳がんの統計」に男性乳がんの記載を追加しました。
2016年09月02日 「5.疫学・統計 2)乳がんの発生要因」を更新しました。
2015年11月04日 「3.症状 1)乳房のしこり」に葉状腫瘍の記載を追加しました。
2015年08月25日 「5.疫学・統計」の罹患データを2011年で更新しました。
2015年03月23日 タブ形式への移行と、「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版」より、内容の更新をしました。
2011年07月15日 内容を更新しました。
1997年10月01日 掲載しました。
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