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乳がん(にゅうがん)

更新・確認日:2017年07月19日 [ 履歴 ]
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2017年07月19日 1.手術(外科治療)に関連情報「乳がん 手術リハビリテーションクリニカルパス」を掲載しました。
2015年03月23日 タブ形式への移行と、「臨床・病理 乳癌取扱い規約2012年(第17版)」「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版」より、内容の更新をしました。
2011年07月15日 内容を更新しました。
1997年10月01日 掲載しました。

1.手術(外科治療)

乳がんの治療では、手術によってがんを取りきることが基本となります。手術は大きく分けて、乳房を残す「乳房部分切除術」と乳房を全部切除する「乳房切除術」とがあります。

1)乳房部分切除術

腫瘍から1~2cm離れたところで乳房を部分的に切除します。乳房部分切除術はがんを確実に切除し、患者さんが美容的に満足できる乳房を残すことを目的に行います。乳房部分切除術を受けられる条件については明確なものはなく、がんの大きさや位置、乳房の大きさ、本人の希望などにもよるので、手術を担当する医師とよく相談することが重要です。

しこりが大きい場合は、術前薬物療法によって腫瘍を縮小させてから手術を行います。

手術中では、切除した組織の断端(切り口)のがん細胞の有無を顕微鏡で調べて、確実にがんが切除できていることを確認する必要があります。がんが手術前の予想よりもはるかに広がっている場合は、手術中に乳房を全部切除する乳房切除術に変更するか、もしくは、再手術で乳房切除術を行うこともあります。

通常、手術後に放射線照射を行い、残された乳房の中での再発を防ぎます。

2)乳房切除術

乳がんが広範囲に広がっている場合や複数のしこりが離れた場所に存在する多発性の場合は、最初から乳房を全部切除する乳房切除術を行います。

3)乳房再建術

乳房切除術後に、患者さん自身のおなかや背中などから採取した組織(自家組織)またはシリコンなどの人工物を用いて、新たに乳房をつくることを乳房再建といいます。乳頭を形成することもできます。再建の時期については乳がんの手術と同時に行う場合(一次再建)と、数カ月から数年後に行う場合(二次再建)とがあります。再建手術は主に形成外科医が担当します。従来は自家移植の場合にのみ公的医療保険が適用されていましたが、現在はシリコン・インプラントなどの人工物を使う場合にも、保険の適用が拡大されています。しかし、現在でも、手術の内容や、病院によっては自費診療の場合があります。まずは担当医に再建の希望を伝え、よく相談しましょう。

4)わきの下のリンパ節郭清(腋窩リンパ節郭清)

がん細胞はリンパ液の流れに乗って、周辺のリンパ節に入り込む、転移を起こすことが知られています。しかし、現在の手術前の検査ではリンパ節にがんが転移しているかどうかは正確にはわかりません。そこで、乳がんの手術では、リンパ節郭清(かくせい)を行い、転移の有無を調べてきました。リンパ節郭清を行うと、手術のあとに、腕が上がりにくい、しびれる、むくみといった症状が起こることがあります。このため、今日では手術前にリンパ節転移が明らかな場合にのみ、わきの下のリンパ節郭清が行われます。

領域リンパ節については「乳がん 基礎知識-3.症状 3)乳房周辺のリンパ節の腫れ」をご覧ください。

手術前にリンパ節転移が明らかでない場合には、センチネル(見張り)リンパ節生検が行われます。
【センチネルリンパ節生検について、もっと詳しく】
がん細胞が最初に転移するリンパ節があり、これをセンチネル(見張り)リンパ節といいます(図7)。このリンパ節を摘出し、顕微鏡で検査を行い、転移がみられなければ、これ以外のリンパ節を取り除く手術(リンパ節郭清)を省略しても、再発率に影響がないことがわかっています。

センチネルリンパ節転移が1個でも陽性の場合には、腋窩リンパ節郭清を行っているのが現時点での標準治療です。しかし、近年、術前の身体診察や超音波検査などの画像検査で腋窩リンパ節転移が陰性とされていた場合では、術後の薬物療法や放射線治療をしっかり行うことで、腋窩リンパ節郭清を省略できる可能性が報告されています。

これを受け、リンパ節におけるがんの転移の大きさによって、郭清をするかどうか、替わりに放射線治療をするかどうかを決める病院もあります。長期的成績が出ていないため、いまだに慎重な判断が必要な状況です。転移がある場合にリンパ節郭清をするかどうかは、手術後の治療方針との兼ね合いで決められる場合もありますので、詳しくは担当医にご質問ください。
図7 センチネル(見張り)リンパ節
図7 センチネル(見張り)リンパ節
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乳がんの手術は、治療の範囲が乳腺とわきの下の周囲に限られているので、内臓の機能(呼吸や消化、排泄など)への影響はあまりなく、麻酔による影響からの回復や痛みの調節が落ち着けば、少ない安静期間で起き上がったり、立ち上がったりすることができるようになります。手術当日の夕方にトイレまで歩けることもあります。乳房や胸の筋肉を切除した場合などでは、治療した側の腕の運動をしばらく控え、安静を保つ必要があります。

手術直後には、手術の創(きず)から出る血液や体液などを排出するドレーンという管が体に付けられています。創の状態が安定したら、管を抜きます。抜糸(最近では抜糸を必要としない縫い方や抜糸が不要のテープ、医療用接着剤を使用する病院も多くなってきています)のころには、創そのものからの痛みはかなり治まっています。
【手術に伴う主な合併症について、もっと詳しく】

(1)腕や肩を動かしにくい

治療した側の腕が上がらない、腕を回せない、腕がだるい、痛む、しびれる、腋の皮膚が突っ張るといった症状がみられることがあります。リンパ節や脂肪組織、皮膚、筋肉など、切除した範囲が大きいとこれらの症状が起こりやすくなります。

胸の筋肉を切除した場合にはしばらく安静が必要ですが、必ずしも安静が必要でないときに、「腕を動かすと痛い」「違和感が気になる」といって動かさないでいると、肩や腕の関節や筋肉がこわばって動かしにくくなることがあります。担当医に相談の上、段階的に運動を取り入れていきましょう。指や手などの曲げ伸ばし運動から始め、手術後1週目ころからは、腕の横振り、前後振り運動、続いて、腕を背中に回したり、肩を回したりする運動など、無理のない範囲で少しずつ行います。退院後どのように運動をしていけばよいのか、適切な方法を入院中に担当医や看護師に聞いておきましょう。

乳房切除術後のリハビリテーション」のページもご参照ください。

(2)腕や手がむくむ

手術でリンパ節を切除したり、リンパ節に放射線治療を行ったりしたあとに、腕や手がむくむことがあります。むくみの前ぶれとして、手術をした側の腕や胸、肩、背中に重苦しさを自覚する場合が多いようです。

これはリンパ浮腫(ふしゅ)といって、リンパの流れが悪くなり、リンパ液が腕や手にたまった状態になっています。こうしたむくみは手術のあとに起こることが多いのですが、しばらくたってからあらわれることもあります。手のけがや細菌の感染をきっかけにむくみが強くなることもあります。

手術を受けた側の腕では、けがや虫刺され、やけどなどに注意し、重いものを長時間持たないようにしたほうがよいとされています。しかし、あまり安静にしすぎるのもよくないとされていますので、適度に動かすようにしましょう。痛みや腫れは自分で感じにくいこともあるので、意識して自分の目で見て確認するとよいでしょう。また、皮膚の清潔と潤いを保つことも大切です。

リンパ浮腫があるときには、横になるときなどに腕や肩の位置が高くなるようにすると、むくみが軽くなることがあります。リンパ浮腫の予防には、きつめのサポーターのような機能のある弾性スリーブやバンデージ(弾性包帯)などの弾性着衣を着用したり、リンパの流れを改善するマッサージを行ったりすると、むくみや腫れの症状が改善することがあります。検査のための採血や治療のための注射も、できる限り治療を受けた側と反対の腕で行います。この他、日常生活の注意点や工夫、日常的に行えるリンパ浮腫対策を、退院前に担当医や看護師に確認しておきましょう。急な腫れや、赤くなって熱を帯びている場合は、担当医に早めに診てもらいましょう。

乳房切除術後のリハビリテーション」「リンパ浮腫」のページもご参照ください。

(3)手術の傷あとが怖い、見るのがつらい

手術のあと、「傷あとが怖い」「見るのがつらい」「形が変わってショック」と感じられる患者さんは少なくありません。手術の前に担当医から説明され、ある程度心の整理や覚悟があっても、実際に鏡の前で見るとつらい気持ちになるのは自然なことです。おなかや手などの手術の傷と違い、やわらかい胸の手術の傷は凹凸や左右の違いなどが目立つ場合もあります。

また、乳房の大きい人では、左右のバランス感覚に変化が起こり、不安定な感じを覚えることがあります。

傷の色や形は、手術後少しずつ、周りの皮膚になじむようになってきます。治療後間もない時期には、傷の状態も含めて医師などに診てもらうとよいでしょう。看護師や担当医は手術後の経過について、豊富な経験をもっています。あなたの気持ちや治療後の状態に応じた助言を受けることができるでしょう。

抜糸して腫れが治まり、痛みがなければ、担当医に相談の上、既製のパッドや補正下着などを上手に取り入れてみるのもよいかもしれません。担当医や看護師などの医療スタッフに相談してみましょう。こすれたり、ずれたりすることがないか、試着して体に合ったものを選びましょう。もちろん、「見た目はほとんど気にならない、気にしない」とおっしゃり、特に何もしないで療養生活を送る人も少なくありません。一方、乳房を元に近い形に再建する技術も進歩しています。がんの手術後に続いて行われることもあります。多くの場合は、手術後の傷の状態や、放射線治療など別の治療の影響が落ち着くのを待って行われ、皮膚や筋肉の一部を移植する、人工物を埋め込むなど、再建の方法を検討した上で手術が行われます。
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関連情報
乳がん 手術リハビリテーションクリニカルパス
クリニカルパスとは、入院中の患者さんの検査や治療、療養に関する予定を記載した計画表のことで、計画的に安全な医療を進める手助けとなります。

2.放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線や電子線を体の外から照射して行われます。がん細胞を通過した放射線は、細胞の増殖を阻害し、がんを小さくする効果があります。放射線治療は放射線照射を行った部分だけに効果を発揮する局所療法です。

乳がんでは、乳房部分切除術のあと、温存した乳房やリンパ節での再発の危険性を低くするために、放射線治療が行われることが多くなっています。また、再発した場合に、がんの増殖や骨転移に伴う痛み、脳への転移による神経症状などを改善するために行われることもあります。

放射線を照射する範囲や量は、放射線治療を行う目的、病巣のある場所、病変の広さなどによって選択されます。多くの場合、外来での治療が可能です。

副作用は主に放射線のあたる部位にあらわれます。治療中や治療終了直後に、皮膚が日焼けをしたように赤くなることがあるので、強くこすったり、かいたりしないようにします。皮膚の赤みは治療終了後1週間から2週間でほとんど改善します。治療後に皮膚が熱をもったり、黒ずんだりカサカサになることがありますが、多くは1年から2年で元に戻ります。治療が終了して数カ月以内に遅れて出る副作用として、肺に炎症が起こることがあります。咳(せき)や微熱が続くときは担当医に伝えるようにしましょう。

3.薬物療法

薬物療法には、「手術や他の治療を行ったあとにその効果を補う」「手術の前にがんを小さくする」「根治目的の手術が困難な進行がんや再発に対して、延命および生活の質を向上させる」などの目的があり、病期(ステージ)、リスクなどに応じて行われます。どのような薬物をどのように組み合わせて治療を行うかは、がんの広がりや性質、病理検査の結果などによって検討されます。その際、どの薬剤を使うかは「サブタイプ分類」により、がん細胞の特性に合わせた薬物療法が選択されます(表4)。また、しこりの大きさやリンパ節転移の有無に加え、がん細胞の増殖に関わる要因から再発の危険を予測することができます。そのため、再発の危険性が高い場合、より再発抑制効果の強い治療を行い、そのリスクの低減を図ります。ルミナルA型は再発の危険性が低いため、化学療法をほとんど必要としないことが多くなっています。
表4 サブタイプ分類による術前・術後薬物療法選択
サブタイプ分類 選択される薬物療法
ルミナルA型 内分泌(ホルモン)療法、(化学療法)
ルミナルB型(HER2陰性) 内分泌(ホルモン)療法、化学療法
ルミナルB型(HER2陽性) 内分泌(ホルモン)療法、分子標的治療、化学療法
HER2陽性 分子標的治療、化学療法
トリプルネガティブ 化学療法
副作用については、予防や対策を講じながら治療を進めていきます。主な副作用としては、脱毛、手足のしびれ、不眠などがあります。また薬によっては、卵巣機能障害があらわれ、不妊の長期的な副作用がみられる場合もあるので、乳がんの治療後の生活も含めて検討する必要があります。妊娠・出産については以下もご参照ください。

平成24年度厚生労働科学研究費補助金(第3次対がん戦略事業)乳癌患者における妊孕(にんよう)保持支援のための治療選択および患者支援プログラム・関係ガイドライン策定の開発班編「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」(PDF:3.1MB
外部サイトへのリンク厚生労働省 若年乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラム 若年乳がん
「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」はこちらのサイトでもダウンロードできます。

薬剤が高額であったり、投与期間が長かったりで、医療費が高額となる場合があります。治療の方針について担当医から話を聞いた上で、医療費について不安のある場合には、ご相談ください。がん相談支援センターなどでも、利用可能な高額療養費制度など確認することができます。

1)内分泌(ホルモン)療法

卵巣機能が活発な女性では、主に卵巣から女性ホルモンが分泌(ぶんぴ)されています。50歳前後で閉経を迎えたあとの女性では、卵巣からの女性ホルモンの分泌は停止し、そのかわりに副腎皮質から分泌される男性ホルモンを原料として、「アロマターゼ」と呼ばれる酵素の働きによって女性ホルモンがわずかに産生されます。閉経後の女性では閉経前に比べ、女性ホルモンが1/100程度に減少します。

乳がんは「ホルモン受容体」(エストロゲン受容体[ER]とプロゲステロン受容体[PgR])のあるものとないものに分けることができます。ホルモン受容体陽性というときには、(1)エストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性、(2)エストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陰性、(3)エストロゲン受容体陰性/プロゲステロン受容体陽性の3つの組み合わせがあります。

手術後に、ホルモン受容体のある乳がんかどうか、がんの組織を詳しく調べます。「ホルモン受容体」のある乳がんでは、女性ホルモンががんの増殖に影響しているとされています。内分泌(ホルモン)療法は女性ホルモンの分泌や働きを妨げることによって乳がんの増殖を抑える治療法で、ホルモン受容体のある乳がんであれば効果が期待できます。

内分泌療法には抗エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト(黄体ホルモン放出ホルモン抑制剤)などが使われます。乳がんの術後や転移性乳がんに用いられる抗エストロゲン剤は、女性ホルモンのエストロゲン受容体への結合を阻害します。選択的アロマターゼ阻害剤の作用機序(薬理学の用語で、薬物が生体に作用する仕組み)は、閉経後の女性に対してアロマターゼの働きを抑え、女性ホルモンの産生を抑えます。閉経前の女性の場合は、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑えるLH-RHアゴニスト(黄体ホルモン放出ホルモン抑制剤)を併用することがあります。その他にも、プロゲステロン製剤などを使用する場合もあります。

治療の目的や使う薬の種類によって治療期間や効果の目安は変わりますが、手術後に行う場合は5年間から10年間の投与が目安となります。

副作用については、化学療法に比べて軽いといわれていますが、顔面の紅潮やほてり、のぼせ、発汗、動悸(どうき)などの更年期障害のような症状が出る場合もあります。これらの症状の多くは治療を開始して数カ月から数年後には治まりますが、症状によっては使用するホルモン剤の種類を変更したり、症状を和らげる薬を投与したりすることもあります。また薬剤によっては高脂血症、血栓症、骨粗しょう症のリスクが高まることが知られているので、そのようなリスクを少なくするための治療を併用することもあります。
【内分泌療法の薬剤について】
薬剤
薬効分類名 投与方法 適応 特徴的な副作用
アロマターゼ阻害薬(非ステロイド性)
アナストロゾール
レトロゾール
経口 術前
術後
転移再発
閉経後が対象となります。術前内分泌療法を行った場合、術後は術前に使われていた薬剤を続けます 骨粗しょう症、関節症状(関節痛、関節のこわばり)、脂質異常症など
心血管イベントの上昇も可能性が指摘されています
アロマターゼ阻害薬(ステロイド性)
エキセメスタン 経口 術前
術後
転移再発
閉経後が対象となります。術前内分泌療法を行った場合、術後は術前に使われていた薬剤を続けます 骨粗しょう症、関節症状(関節痛、関節のこわばり)、脂質異常症など
心血管イベントの上昇も可能性が指摘されています
LH-RHアゴニスト
ゴセレリン酢酸塩
リュープロレリン酢酸塩
皮下
注射
術後
転移再発
閉経前が対象となります ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、頭重感、骨塩量の減少、性欲減退
選択的エストロゲン受容体モジュレーター
タモキシフェンクエン酸塩 経口 術後
転移再発
閉経前、閉経後に関わらず用いられます ホットフラッシュ、静脈血栓症、帯下増加、不正性器出血、卵巣腫大、中性脂肪増加、脂肪肝、肝機能障害など
子宮体がん、子宮内膜増殖症
トレミフェンクエン酸塩 経口 転移再発 閉経後が対象となります ホットフラッシュ、静脈血栓症、中性脂肪増加、肝機能障害など
選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター
フルベストラント 筋肉
注射
転移再発 閉経後が対象になります ホットフラッシュ、関節痛、吐き気、注射部位の疼痛(とうつう)・感染など
メドロキシプロゲステロン酢酸エステル
抗悪性腫瘍経口黄体ホルモン製剤 経口 転移再発 閉経前、閉経後に関わらず用いられます 血栓症、肥満、糖尿病、高血圧、食欲増進など
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2)化学療法

がん細胞は、正常細胞と違い、際限なく増殖し続けるという性質があります。化学療法は抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)により、細胞増殖を制御しているDNAに作用したり、がん細胞の分裂を阻害したりすることで、がん細胞の増殖を抑えます。

(1)術前化学療法

手術を行うことが困難な場合や、しこりが大きいために乳房部分切除術ができない場合には、3カ月から半年ほどの化学療法を行い、腫瘍を縮小させてから手術を行う方法があります。これを術前化学療法といいます。この方法によって、手術や乳房部分切除術を受けられる人が増えています。術前化学療法で腫瘍が十分に縮小しない場合は、乳房切除術を行ったり、必要に応じて放射線治療や内分泌(ホルモン)療法を追加したりすることもあります。

(2)術後化学療法

早期の乳がんでは、多くの場合、転移・再発を防ぐ目的で、手術後に化学療法を行います。手術後に化学療法を行う目的は、どこかに潜んでいる微小転移を死滅させることです。手術後の化学療法によって、再発率、死亡率が低下することが報告されています。作用が異なる複数の抗がん剤を使用することによって、がん細胞をより効果的に攻撃できることが明らかになったことから、術後化学療法においては複数の抗がん剤を組み合わせて使用します。

(3)主な副作用

化学療法は正常な体にとっても毒であるため、各副作用があります。最近は化学療法の副作用に対する予防法や対策が進歩していることもあり、外来通院しながら治療を受けることが多くなっています。特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、あるいは血球をつくる骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、脱毛、口内炎、下痢が起こったり、白血球血小板の数が少なくなったりすること(参照:白血球減少血小板減少)があります。その他、全身のだるさ、吐き気、手足のしびれや感覚の低下、筋肉痛や関節痛、皮膚や爪の変化、肝臓の機能異常などが出ることもあります。
【化学療法の副作用について、もっと詳しく】
●吐き気
吐き気や嘔吐(おうと)が出やすい抗がん剤としてはアンスラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシン)やシクロホスファミドがあります。投与24時間以内に起こる急性期の吐き気、24時間から7日目くらいまでの間に起こる遅発性の吐き気、治療前に治療のことを考えて吐き気が出る予期性の吐き気があります。点滴や内服の吐き気止めを組み合わせて、しっかり予防しながら治療を行っていきます。

●骨髄抑制
骨髄抑制とは、白血球や血小板、赤血球が減ることです。一般的には抗がん剤投与後7日から10日で減り始め、10日目から14日目が最低値となり、3週間目くらいに回復していきます。白血球の一成分である好中球が低下している時期に発熱を起こした場合(発熱性好中球減少症)、抗菌薬で治療を行ったり、場合によっては好中球を増やす薬の注射をしたりすることがあります。免疫力が低下している時期の発熱は、危険な感染を見越した対処がなされます。貧血や血小板低下が高度に起こっている場合には輸血することがあります。

●脱毛
脱毛はアンスラサイクリン系(ドキソルビシン、エピルビシン)やタキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル、ナブパクリタキセル)でよく認められる副作用です。治療後2週目から3週目に急に抜け始めることが多いです。眉毛やまつげも抜けることがあります。脱毛の副作用が強い薬を使用する場合、あらかじめ、医療用かつら(ウィッグ)などを用意しておくことで、心の準備をしておくとよいでしょう。

●卵巣機能障害
月経が一時的、もしくは完全に止まる可能性があります。それに伴ってホットフラッシュなどの更年期症状があらわれることがあります。

●その他
爪の色素変化や割れ、味覚障害も比較的多い副作用です。

副作用は化学療法の種類によって異なるだけでなく、症状の程度は患者さんによる個人差が大きい場合もあります。
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【化学療法の薬剤について】
薬剤
薬効分類名 投与方法 適応 特徴的な副作用
トポイソメラーゼ阻害薬(アンスラサイクリン系)
アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)
エピルビシン塩酸塩
静脈注射 術前
術後
転移再発
心筋障害、心不全、不整脈、急性骨髄性白血病(10年1.5%)、吐き気、脱毛、骨髄抑制
微小管作用薬(タキサン系薬剤)
パクリタキセル 静脈注射 術前
術後
転移再発
末梢(まっしょう)神経障害、脱毛、アレルギー症状、筋肉痛・関節痛、骨髄抑制
ドセタキセル 静脈注射 術前
術後
転移再発
骨髄抑制、脱毛、浮腫、発疹、アレルギー反応
アルブミン懸濁型パクリタキセル 静脈注射 転移再発 末梢神経障害、脱毛、アレルギー症状、筋肉痛・関節痛、骨髄抑制
その他の微小管作用薬
エリブリンメシル酸塩 静脈注射 転移再発 骨髄抑制、末梢神経障害、発熱、発熱性好中球減少症、骨髄抑制
代謝拮抗(きっこう)薬
テガフール・ウラシル配合物(UFT) 経口 転移再発 下痢、口内炎
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1) 経口 転移再発 吐き気、下痢、口内炎、涙流、嗅覚障害
カペシタビン 経口 転移再発 骨髄抑制、吐き気、脱毛、手足症候群、心障害、肝障害
フルオロウラシル(5-FU) 静脈注射 術前
術後
転移再発
骨髄抑制、下痢、口内炎、小脳失調、心筋虚血
ゲムシタビン塩酸塩 静脈注射 転移再発 骨髄抑制、間質性肺炎、倦怠(けんたい)感、発熱
アルキル化剤
シクロホスファミド水和物 経口
静脈注射
術前
術後
転移再発
急性腎機能障害、出血性膀胱炎、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、肺線維症
プラチナ系抗悪性腫瘍薬
カルボプラチン 静脈注射 HER2陽性乳がん
転移再発
吐き気、嘔吐、腎毒性、末梢神経障害、骨髄抑制
微小管作用薬(ビンカアルカロイド系)
ビノレルビン酒石酸塩 静脈注射 転移再発 倦怠感、骨髄抑制、便秘、静脈炎、腸管麻痺(まひ)、間質性肺炎、気管支けいれん
葉酸代謝拮抗薬
メトトレキサート 静脈注射 術後
転移再発
急性腎不全、粘膜障害、骨髄抑制、神経障害
トポイソメラーゼ阻害薬
塩酸イリノテカン 静脈注射 転移再発 下痢、骨髄抑制、脱毛
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3)分子標的治療

分子標的治療薬は、がんの増殖に関わっている分子を標的にして、その働きを阻害する薬です。

分子標的治療薬にはさまざまな薬剤があります。乳がんでは、細胞の表面にあり乳がんの増殖に関わっていると考えられているタンパク質(HER2:ハーツー)の働きを阻害する抗HER2薬が、手術の前後や再発した場合などに、腫瘍の性質に応じて使われています。病理検査でHER2が陽性であることがわかった場合に治療が検討されます。

分子標的薬はがん細胞だけを狙い撃ちに治療をするため、一般に副作用は軽いですが、寒気や発熱など特有の症状が出ることがあり、確認しながら治療していきます。
【分子標的治療の薬剤について】
薬剤
薬効分類名 投与方法 適応 特徴的な副作用
HER2ヒト化モノクローナル抗体
トラスツズマブ 静脈注射 術前
術後
転移再発
HER2過剰発現が確認された乳がんが対象となります 心障害、アナフィラキシー様症状、インフュージョンリアクション、悪寒、発熱、全身倦怠感
ペルツズマブ 静脈注射 転移再発 トラスツズマブとタキサン系抗がん剤と併用で使用します トラスツズマブに準じる、発疹、下痢
HER2ヒト化モノクローナル抗体コンジュゲート薬
T-DM1 静脈注射 転移再発 トラスツズマブ併用療法にも関わらず進行してしまった場合に使用します 吐き気、嘔吐、下痢、疲労感、肝機能障害、血小板減少
抗VEGFヒト化モノクローナル抗体
ベバシズマブ 静脈注射 転移再発 パクリタキセルと併用されることもあります ショック、アナフィラキシー、消化管穿孔(せんこう)、瘻孔(ろうこう)、創傷治癒遅延、出血、血栓塞栓(そくせん)症、高血圧性脳症、高血圧性クリーゼ、可逆性後白質脳症症候群、ネフローゼ症候群、骨髄抑制、感染症、うっ血性心不全、間質性肺炎、血栓性微小血管症
HER1、2チロシンキナーゼ阻害薬
ラパチニブトシル酸塩水和物 経口 転移再発 HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳がんが対象となります 下痢、発疹、爪周囲炎、皮膚障害
mTOR阻害薬
エベロリムス 経口 転移再発 ホルモン療法と併用されることもあります 口内炎、貧血、呼吸困難、高血糖、倦怠感、薬剤性肺炎、肝酵素上昇
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4)薬物療法の代表的なレジメン

レジメンとは、薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画です。患者さんのがん細胞の性質や現在の症状などから総合的に判断し、患者さんの同意の下で決められます。
【薬物療法の代表的なレジメンについて、もっと詳しく】
レジメン名
適応 用量スケジュール 特徴的な副作用
AC療法
術前
術後
転移再発
アドリアマイシン 40-60mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 500-600mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 4サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、体重増加、下痢、口内炎、白血球減少、好中球減少、心機能障害
EC療法
術前
術後
転移再発
エピルビシン 75-100mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 600-830mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 6-8サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、血管痛、感染、心機能障害
FEC療法
術前
術後
転移再発
5-FU 500mg/m2 1日目点滴
エピルビシン 100mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 500mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 4-6サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、口内炎、好中球減少、心機能障害
FAC療法
術前
術後
転移再発
5-FU 500mg/m2 1日目点滴
アドリアマイシン 50mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 500mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 4-6サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、口内炎、好中球減少、白血球減少、心機能障害
TAC療法
術前
術後
転移再発
ドセタキセル 60-75mg/m2 1日目点滴
アドリアマイシン 50mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 500mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 4-6サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、口内炎、好中球減少、白血球減少、発熱性好中球減少症、倦怠感、心機能障害
TC療法
術前
術後
転移再発
ドセタキセル 75mg/m2 1日目点滴
シクロホスファミド 600mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 4-6サイクル
好中球減少
(5%以上で認められた重症の副作用:発熱性好中球減少、倦怠感、発熱、感染症、下痢)
パクリタキセル毎週投与
術前
術後
転移再発
パクリタキセル 80mg/m2 1日目点滴
毎週投与 術前・術後療法では12サイクルが多い
転移再発では3週間投与1週間休みで継続することが多い
末梢神経障害、関節痛、筋肉痛、白血球減少、好中球減少、脱毛
パクリタキセル3週ごと投与
術前
術後
転移再発
パクリタキセル 175mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 術前・術後療法では4サイクルが多い
末梢神経障害、関節痛、筋肉痛、白血球減少、好中球減少、脱毛
アルブミン懸濁型パクリタキセル療法(ナブパクリタキセル療法)
術前
術後
転移再発
アルブミン懸濁型パクリタキセル 175mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 術前・術後療法では4サイクルが多い
末梢神経障害、白血球減少、好中球減少、脱毛
ドセタキセル療法
術前
術後
転移再発
ドセタキセル 60-75mg/m2 1日目点滴
1サイクル:21日 術前・術後療法では4サイクルが多い
好中球減少、脱毛、浮腫、発疹、アレルギー反応、発熱性好中球減少症
エリブリン療法
転移再発 エリブリン 1.4mg/m2 1日目と8日目に点滴
1サイクル:21日
好中球減少、末梢神経障害、発熱、発熱性好中球減少症、骨髄抑制
カペシタビン療法
転移再発 カペシタビン 1657mg/m2を1日目から21日目まで朝夕2回に分けて内服 1サイクル:28日
カペシタビン 2500mg/m2を1日目から14日目まで朝夕2回に分けて内服 1サイクル:21日
吐き気、嘔吐、骨髄抑制、下痢、口内炎、手足症候群
S-1療法
転移再発 S-1 体表面積ごとに80-120mg/日 を1日目から14日目まで朝夕2回に分けて内服
1サイクル:28日
吐き気、嘔吐、骨髄抑制、下痢、口内炎、涙流、嗅覚障害、手足症候群、色素沈着
ゲムシタビン療法
転移再発 ゲムシタビン 1250mg/m2 1日目、8日目、15日目に点滴
1サイクル:28日
骨髄抑制、肝機能障害、脱毛、吐き気、関節痛、筋肉痛、発熱、血尿、蛋白尿、間質性肺炎
ビノレルビン療法
転移再発 ビノレルビン 25mg/m2 1日目、8日目に点滴
1サイクル:21日
好中球減少、白血球減少、末梢神経障害、血栓性静脈炎、筋肉痛、脱毛
イリノテカン療法
転移再発 イリノテカン 100mg/m2 1日目、8日目、15日目に点滴
1サイクル:28日
下痢、好中球減少、脱毛
CMF療法
術後
転移再発
シクロホスファミド 100mg/m2 1日目から14日目まで内服
メソトレキセート 40mg/m2 1日目と8日目に点滴
5-FU 600mg/m2 1日目と8日目に点滴
1サイクル:28日 6サイクル
吐き気、嘔吐、脱毛、体重増加、口内炎、下痢
トラスツズマブ療法
術前
術後
転移再発
トラスツズマブ 初回8mg/kg、2回目以降6mg/kg 1日目点滴 1サイクル:21日
トラスツズマブ 初回4mg/kg、2回目以降2mg/kg 1日目点滴 1サイクル:7日
心機能低下(アンスラサイクリン系薬剤と一緒に投与すると心機能低下の出現頻度が10%以上になるため注意を要する)、インフュージョンリアクション
ペルツズマブ+トラスツズマブ+タキサン療法
転移再発 ペルツズマブ 初回840mg、維持用量420mg
1サイクル:21日
トラスツズマブ 初回用量8mg/kg、維持用量6mg/kg
1サイクル:21日
タキサン:ドセタキセル 75-100mg/m2 1サイクル:21日 6サイクルまたはパクリタキセル 80mg/m2 1日目点滴 毎週投与 12-18サイクル
下痢、疲労、悪心、発疹、インフュージョンリアクション、末梢神経障害
T-DM1療法
転移再発 T-DM1 3.6mg/kg 1日目に点滴
1サイクル:21日
好中球減少、貧血、肝機能障害、下痢
ラパチニブ+カペシタビン療法
転移再発 ラパチニブ 1250mg/日 1日1回空腹時 1日目から14日目まで内服
カペシタビン 体表面積ごとに1500-2400mg/日を1日目から14日目まで朝夕2回に分けて内服
ともに1サイクル:21日
下痢、吐き気、嘔吐、手足症候群、倦怠感、皮疹(ひしん)、貧血、血小板減少、リンパ球減少
パクリタキセル+ベバシズマブ療法
転移再発 パクリタキセル 90mg/m2 1日目、8日目、15日目に点滴
ベバシズマブ 10mg/kg 1日目、15日目に点滴
1サイクル:28日
パクリタキセルの副作用に加え、骨髄抑制、高血圧、蛋白尿、出血、血栓症、消化管穿孔、可逆性後白質脳症症候群、創傷治癒遅延
エベロリムス+エキセメスタン療法
転移再発 エベロリムス 10mg/日
エキセメスタン 25mg/日
連日内服
口内炎、全身倦怠感、下痢、吐き気、嘔吐、食欲低下、関節痛、薬剤性肺炎、不眠
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4.生活の質を重視した治療

がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族が自分らしく過ごしたりするための緩和ケアが重要です。

緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。緩和ケアでは、痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状だけに限らず、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、自分らしい生活を送ることができるようにすることなど、患者さんのニーズに応じて幅広い対応をします。

そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことなど、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。

痛みが強いときには、痛みの原因によって、医療用麻薬を含めた痛み止めを使ったり、痛みの原因となっているがんのある場所に対して放射線治療を行ったりして、つらさを和らげることができます。

詳しくはこちらの「がんの療養と緩和ケア-4.がんの痛みと緩和ケア」もご参照ください。

転移のある患者さんに対しては、痛みや骨折のリスクを減らす目的でビスフォスフォネート製剤やデノスマブといった薬剤が使われることがあります。ビスフォスフォネート製剤やデノスマブの有害事象には顎骨壊死(がっこつえし)があり、口腔ケアを心がけ、衛生状態を良好に保つことが重要です。投与前に歯科を受診することが必要です。

5.臨床試験

がんの治療は治療技術の進歩とともに変わっていきますが、その時点で得られている科学的な根拠から、最もよいと考えられる治療を「標準治療」と呼びます。ただし、標準治療は必ずしも「完全な治療」というわけではありません。新しい治療の有用性を科学的に検証する「臨床試験」によって、がんの治療をよりよいものにしていこうとする努力が世界各地で行われています。臨床試験の結果から、現在標準とされている治療より、よい治療であることが証明されれば、新たな標準治療が生まれます。現在の標準治療は、これまでに行われた臨床試験の積み重ねの中から生まれてきた治療法です。現在行われている臨床試験で採用されている治療法は、将来の標準治療となりうる治療であり、治療の選択肢の1つであると言えます。

現在国内で行われている乳がんの患者さんを対象とした臨床試験(医師・研究者が実施する臨床試験、および製薬企業や医師が実施する治験の一部)に関しては、「がんの臨床試験を探す 乳がん」で、開発の段階別に分類された情報を閲覧することができます。
 
【参考文献】
  1. 日本乳癌学会編.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(1)治療編(2)疫学・診断編2013年版,金原出版
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