ゲノムとは、遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体を意味します
ゲノムは体をつくるための、いわば設計図のようなもので、一人一人違っています。
がんゲノム医療は、遺伝子情報に基づくがんの個別化治療の1つです
がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異(※1)を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。
(※1)遺伝子変異:細胞の中の遺伝子がなんらかの原因で後天的に変化することや、生まれもった遺伝子の違い
がんゲノム医療は、一部が保険診療として、標準治療がないまたは終了したなどの条件を満たす場合に行われています
一部のがんの治療では、すでに標準治療として、がんの組織などを用いて1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、遺伝子の変化に対応した薬の選択がすでに行われています。
一方、「がんゲノム医療」として、多数の遺伝子を同時に調べる検査である「がん遺伝子パネル検査」(がんゲノムプロファイリング検査)は、その一部が保険診療として、標準治療がないまたは終了したなどの条件を満たす場合に行われています(図1)。
図1 がんゲノム医療としてのがん遺伝子パネル検査
がん遺伝子パネル検査は、合う薬があるかどうかを調べる検査です
「がん遺伝子パネル検査」の結果、遺伝子変異が見つかり、その遺伝子変異に対して効果が期待できる薬がある場合には、臨床試験などを含めてその薬の使用を検討します。
がん遺伝子パネル検査を受けても必ず治療法が見つかるわけではありません
- 検査の結果、遺伝子変異が見つからない場合もあります。
- 治療選択に役立つ可能性がある遺伝子変異は、約半数の患者さんで見つかります。
- 遺伝子変異があっても、使用できる薬がない場合もあります。自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結びつく人は、全体の10%程度といわれています。