1.肺がんについて
肺がんはわが国のがんによる死亡原因の多くを占めるがんです。
早期の肺がんは自覚症状がないことが多いですが、血痰、長引く咳、胸痛、声のかれ、息切れなどの症状がある場合には検診を受診せず、すぐに医療機関を受診する必要があります。
また、たばこを吸う人は肺がんで死亡するリスクが、たばこを吸わない人に比べて、日本人男性では約5倍、女性では約4倍高くなり、たばこを吸う年数、本数が多いほど肺がんになりやすくなり、たばこは喫煙者本人のみならず、周りの人(受動喫煙者)の肺がんリスクも上げます。禁煙によってご自身と周りの人の肺がんリスクを下げることができます。
2.科学的根拠に基づく肺がん検診
1)肺がん検診の方法
肺がんの死亡率を減少させることができると科学的に認められ、肺がん検診として推奨できる検診方法は「胸部X線検査」と、「喀痰細胞診(たばこをたくさん吸う人のみ)」を組み合わせた方法だけです(喀痰細胞診は単独では行いません)。
「低線量の胸部CT検査」は死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診(住民検診)として実施することは現時点では勧められていません。
(1)胸部X線検査
胸のX線撮影を行う検査です。全体を写すため、大きく息を吸い込んでしばらく止めて撮影します。
肺のX線検査の放射線被ばくよる健康被害はほとんどないとされています。
(2)喀痰細胞診(痰の検査)
対象者は50歳以上、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人に推奨されます。現在喫煙されている方だけではなく、過去に喫煙していた方も対象になります。3日間起床時に痰をとり、専用の容器に入れて提出します。痰に含まれる細胞を調べます。
2)肺がん検診の対象年齢
肺がん検診が推奨される年齢は40歳以上の健常者です。
3)肺がん検診の受診間隔
肺がん検診は毎年定期的に検診を受診することが推奨されています。
4)肺がん検診の精密検査
肺がん検診における一般的な精密検査は胸部CT検査で、必要に応じて気管支鏡検査が追加されます。
(1)胸部CT検査
X線を使って肺の断面図を撮影し詳しく調べます。
(2)気管支鏡検査
気管支鏡を口や鼻から気管支に挿入して病変が疑われた部分を直接観察します。必要に応じて組織を採取し悪性かどうか診断します。
2023年03月29日 | 「2.科学的根拠に基づく肺がん検診」を更新しました。 |
2019年09月02日 | 「がん検診について」から「肺がん検診」の内容を分割し、更新しました。 |
2016年04月08日 | 「がん検診について」の「5.がん検診の効果とは?」「6.部位別がん検診の実際」について、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年 一部改正)」に従って、更新しました。 |
2011年08月03日 | 「がん検診について」(肺がん検診の項目含む)を更新しました。 |
2006年10月01日 | 「がん検診について」(肺がん検診の項目含む)を掲載しました。 |