現在、わが国ではがんは死亡原因の第1位です。診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見、早期治療が可能となりつつあります。がん検診には、利益と不利益がありますが、正しい方法を正しく行うことにより、がんによる死亡を減少させることができます。
がん検診では、「がんの疑いあり(要精検)」か「がんの疑いなし(精検不要)」かを調べ、「要精検」の場合には精密検査を受けます
がん検診は、「がんがある」「がんがない」ということが判明するまでのすべての過程を指します。

国が推奨するがん検診は5種類です
がん検診は、科学的な方法によってがん死亡率の減少が検証されています。国が推奨するがん検診は次の5種類です。
- 胃がん検診
- 子宮頸がん検診
- 肺がん検診
- 乳がん検診
- 大腸がん検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことでがんによる死亡を減らすことです
検診は症状のない人が対象で、ターゲットとする病気を発見するために行われるものです。
多くのがんを見つけることだけが、がん検診の目的ではありません。
「がん検診」には不利益(デメリット)もあることから、症状のない人が受けたときに利益(メリット)が不利益を上まわる検診だけを受けましょう
「がん検診」の最大のメリットは、がんを早く見つけられることです。デメリットとしては、がんが100%見つかるわけではないことや不要な検査や治療を招くことがあることなどがあります。
がん検診Q&A
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Q1がん検診はどこで受けることができますか。
A1市区町村などの自治体から委託を受けた医療機関などで受けることができます。これらの検診は、対象となるどなたでも受診することが可能ですが、対象となる年齢や実施時期、検査を行う場所、費用負担は自治体によって異なります。詳しくは、お住まいの自治体のがん検診担当窓口にお尋ねください。
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Q2症状があった場合には、どうしたらいいですか。
A2がん検診は、症状のない人が行う検査のため、症状のある場合は、検診ではなく、必ず医療機関を受診し、診断のための適切な検査を受診してください。
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Q3がん検診の準備としては、どのようなことが必要ですか。
A3検査の準備が必要な場合と、不要な場合があります。
準備が必要な検診
胃がん検診の胃部X線検査および胃内視鏡検査は、検査当日は検査が終了するまで食事や飲み物がとれません。
大腸がん検診の便潜血検査は、検査のための採便を2日行います。
肺がん検診で重喫煙者が受診する喀痰検査は、3日間喀痰の採取が必要です。準備が不要な検診
肺がん検診の胸部X線検査、乳がん検診の乳房X線検査(マンモグラフィ)、子宮頸がん検診の子宮頸部細胞診では、特に準備は必要ありません。ただし、生理中の場合、子宮頸部細胞診は避けた方がよいとされています。
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Q4検査を受けるのに、苦痛や負担がありますか。
A4検査によっては、多少の痛みや不快感を伴うこともあります。
現在国で推奨されている検査方法の検査に要する時間は、いずれも通常は10~20分程度ですが、場合によっては長くかかることもあります。 -
Q5がん検診で精密検査が必要と判定されました。精密検査は本当に必要ですか。
A5精密検査が必要と判定されたら必ず精密検査を受けてください。
がん検診で精密検査が必要(要精検)と判定された場合、「がんの疑いがある」可能性があります。より詳しい検査を行い、本当にがんがあるかを調べる必要があります。「症状がない」「健康だから」といった理由で精密検査を受けないと、がんを放置してしまう可能性があります。 -
Q6精密検査はどこで受けたらよいでしょうか。
A6がん検診の種類によって、精密検査の方法が異なります。精密検査を受ける医療機関については、自治体や検診を受けた医療機関、かかりつけ医などにご相談ください。