1.大腸がんについて
大腸がんは、罹患する人(かかる人)が増加しており、わが国のがんによる死亡原因の多くを占めています。
早期の大腸がんは自覚症状がないことが多いですが、血便、腹痛、便の性状や回数が変化したなどの症状がある場合には検診を受診せず、すぐに医療機関を受診する必要があります。
2.科学的根拠に基づく大腸がん検診
1)大腸がん検診の方法
大腸がんの死亡率を減少させることが科学的に認められ、大腸がん検診として推奨できる検診方法は「便潜血検査」です。2日分の便を採取し、便に混じった血液を検出する検査です。がんやポリープなどの大腸疾患があると大腸内に出血することがあり、その血液を検出する検査です(通常は微量で、目には見えません)。
2)大腸がん検診の対象年齢
大腸がん検診が推奨される年齢は40歳以上の健常者です。
3)大腸がん検診の検診間隔
毎年定期的に受診することが推奨されています。
4)大腸がん検診の精密検査
大腸がん検診における精密検査の第一選択は、全大腸内視鏡検査です。
がんやポリープがあっても出血が止まる場合があり、便潜血検査の再検査では「異常なし」の結果が出てしまい、発見のチャンスを失う可能性があります。
検診で「異常あり」という結果を受け取った場合は、便潜血検査の再検査は行わず、必ず全大腸内視鏡検査を受けてください。
(1)全大腸内視鏡検査
精密検査の第一選択は全大腸内視鏡検査です。下剤で大腸を空にしたあとに、内視鏡を肛門から挿入し、直腸から盲腸までの大腸の全部位を観察し、がんやポリープなどの病変の有無を確認する検査です。必要に応じて組織を採取し悪性かどうか診断します。大腸の奥まで観察することが困難な場合は、ほかの検査方法が用いられることがあります。がんやポリープに対する診断精度が非常に高いですが、まれに出血や腸に穴が開く(穿孔)などの偶発症があります。また比較的高度な技術を必要とする検査のため、多くの受診者に行うことはできません。検診として、死亡率減少効果は証明されているものの、検診法として広く行った場合には、上記のような不利益があるため、現時点では対策型検診(住民検診)では推奨されていません。現時点では精密検査のための検査法です。
(2)大腸のX線検査(大腸内視鏡検査との併用法)
大腸全体を内視鏡で観察することが困難な場合には、内視鏡が届かない奥の大腸をX線検査で調べます。大腸のX線検査は、下剤で大腸を空にしたあとに、肛門からバリウムを注入し、空気で大腸をふくらませて大腸全体のX線写真をいろいろな方面から撮影する検査です。
(3)大腸CT検査
肛門からガスを注入し大腸を拡張させ、X線で撮影する検査です。この撮影により得られた大腸の3次元画像や通常のCT画像を基に、がんやポリープがないか調べます。
2023年03月29日 | 「2.科学的根拠に基づく大腸がん検診」を更新しました。 |
2019年09月02日 | 「がん検診について」から「大腸がん検診」の内容を分割し、更新しました。 |
2016年04月08日 | 「がん検診について」の「5.がん検診の効果とは?」「6.部位別がん検診の実際」について、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年 一部改正)」に従って、更新しました。 |
2011年08月03日 | 「がん検診について」(大腸がん検診の項目含む)を更新しました。 |
2006年10月01日 | 「がん検診について」(大腸がん検診の項目含む)を掲載しました。 |