1.検査の目的
CT(Computed Tomography)検査は、治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査です。
2.検査の方法
CT検査は、X線を使って行います。
体の周囲からX線をあてて、体の中の吸収率の違いをコンピューターで処理し、体の断面を画像にします。断面にする画像の厚みの設定は、撮影する部位や検査の目的に応じて適切に決められています。検査の目的によっては、造影剤を使用する場合があります。

3.検査の実際
CT検査は、ベッドの上にあおむけになった姿勢で行います。検査の際はベッドが自動で動き、トンネル状の装置の中に入ります。撮影部位によっては、息を止めることがあります。検査全体にかかる時間は10~15分程度です。
造影剤を使用する場合には、検査を受ける数時間前から食事はできません。造影剤を静脈から注射したときに体が熱いと感じることがありますが、一時的なものですので心配ありません。副作用として、吐き気やかゆみ、くしゃみ、発疹などの症状が100人に数人程度、また、血圧低下、呼吸低下などのショック症状が1000人に1人未満に起こることがあります。造影剤は尿によって排泄されるため、検査の後には水分を多めに取ることが大切です。
これまでに造影剤による副作用の症状が出たことのある人、喘息やアレルギーがある人、糖尿病の薬を飲んでいる人、腎機能が悪い人、授乳中の人は、造影剤の使用に注意が必要な場合がありますので、主治医や担当医に伝えてください。
4.検査の特徴
CT検査は、5~15分程度の検査時間で、広範囲な画像を細かく撮影することができます。
5.検査を行う主ながん
CT検査は、血液のがんも含めて、ほぼすべてのがんで検査することがあります。
6.Q&A
-
Q1CT検査による被ばくが心配です。体への影響はありませんか?何度撮っても大丈夫なのでしょうか?
A11回のCT検査で受ける放射線量は5~30mSv程度です。
※Svとは、放射線が人間にあたったときにどれだけ健康に影響があるかを評価するために使う単位です。通常、人の健康に影響することが確認されている放射線量は100mSv以上です。
放射線による被ばくが心配になるかもしれませんが、日常生活の中でも身の回りに存在する放射線を受けています。例えば、東京からニューヨークまで飛行機を利用すると、0.11~0.16mSvの放射線を受けます。また、日本においては、1年間の日常生活の中で受ける放射線の線量は平均2.1mSvといわれています。
不要な検査を繰り返すことはよくありませんが、医師が必要と判断した場合には検査を行い、がんの発見や治療の効果を確認することが大切です。ただし、妊娠している人、妊娠している可能性のある人は、胎児が放射線の影響を受けやすいため、必ず医師に伝えて相談してください。
作成協力