腎細胞がんは、多くの場合、腹部超音波(エコー)検査やCT検査で見つかりますが、確定診断のためにはCT検査が必要です。何らかの理由でCT検査を行うことができない場合などにはMRI検査を行うこともあります。また、これらの画像検査で診断ができない場合には、必要に応じて生検を行うことも増えてきています。血液検査は、全身状態や腎臓の機能を調べるために行います。
1.超音波(エコー)検査
がんのある場所や、がんの形・大きさ、がんの周辺の臓器との関係などを確認するために行う検査です。超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射の様子を画像にします。
2.CT検査
一般的には、診断のために、造影剤を使ったCT検査を行います。造影剤を静脈から急速に注入し、短時間にたくさんの画像を撮影することで、がんがあると考えられる部位の血液の流れを観察する検査です。また、肺への転移がないかを調べる目的で、胸部のCT検査も行います。
3.MRI検査
がんの大きさや周囲臓器への広がり(浸潤)、がんかどうかを診断する検査です。強力な磁石と電波を利用して調べます。腎機能に障害がある、アレルギーがあるなどの理由で、CT検査で使われる造影剤が使えない場合や、CT検査や超音波検査のみでは診断が難しい場合に行います。
4.生検
がんかどうかや、がんの悪性度などを調べる検査です。細い針を刺して組織の一部をとり、組織の状態を顕微鏡で詳しく調べます。いろいろな画像検査を行ってもはっきりとした診断ができない場合に、必要に応じて行うことを検討します。
5.骨シンチグラフィ
骨の痛みなどの症状や、血液検査の結果などから、骨への転移の可能性が高いと考えられる場合に行うことを検討します。
6.PET検査
がんの再発や、他の部位への転移を診断するために、他の画像検査をしてもはっきりと診断できない時の補助的な検査として行われることがあります。
7.血液検査
体の状態を把握するための検査です。腎細胞がんでは、白血球や血小板の数が多い、総タンパク・アルブミンの値が低い、CRP・LDH・アルカリフォスファターゼ・AST・ALT・クレアチニン・カルシウムの値が高いといった、異常が見られることがあります。
8.腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行います。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。しかし、腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかどうかは確定できません。また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。
なお、腎細胞がんでは、現在のところ、診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。