1.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。
再発や転移の早期発見、治療後の合併症・後遺症の早期発見、早期治療のため、CT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査の画像検査を行います。検査の種類や時期は、病気の状況をふまえた上で、担当医と相談しながら決めていきます。
一般的に、腎細胞がんは、治療後10年以上経過してからも再発を起こすことがあります。病院への定期通院が終わったあとも、健康管理の意味も含めて、健康診断や人間ドックなどを受けましょう。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。体調を見ながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
1)手術(外科治療)後の日常生活
片側の腎臓を摘出して腎臓が1つになったとしても、残った腎臓が正常に働いていれば、通常は生活に支障を来すことはありません。残った腎臓の機能を保つために、高血圧や糖尿病などに注意しましょう。
2)薬物療法中の日常生活
支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。
通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めるとよいでしょう。
3)食事について
腎臓の機能に問題がなければ、多くの場合、食事を制限する必要はありません。暴飲暴食を避け、消化のよいものを規則正しく食べましょう。腎臓に負担をかけないように、塩分をとりすぎないようにし、水分をしっかりとることが大切です。
4)他の病院で処方された薬の服用について
内服薬や、画像検査で使う造影剤の中には、腎臓の機能に影響を与える可能性のある薬剤もあります。他の医療機関で検査を受けたり、新たに処方された薬を服用したりするときは、事前に担当医に相談しましょう。
5)高血圧や糖尿病などの持病がある場合
高血圧や糖尿病といった腎臓そのものの機能を悪化させる病気を抱えている場合は、そうした病気を悪化させないために、日常生活での注意や服薬が必要になる場合があります。担当医の注意をよく聞いて生活するよう心がけてください。
6)性生活について
性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。
なお、薬物療法中やそのあとは、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後一定期間は避妊しましょう。なお、経口避妊薬などの特殊なホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。
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