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胆道がん

胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 検査

胆道がんの診断のためには、まず血液検査と腹部超音波(エコー)検査を行います。胆管の内部が狭窄きょうさくしたり、胆汁たんじゅうがたまった部分が拡張したりしている場合には、CT検査やMRI検査などを行い、がんがあるかどうかやその広がりを調べます。さらに詳しく調べる必要がある場合には、内視鏡を使った検査や生検、細胞診を行うことがあります(図2)。

図2 胆道がんの検査の流れ
図2 胆道がんの検査の流れの図
日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 2019年(改訂第3版)」(医学図書出版)より作成

1.血液検査

血液中のビリルビン(胆汁の色素)やALP、γガンマ-GTP(胆道や肝臓の機能を示す酵素)の量が増加していないかを調べます。胆管の内部が狭窄して胆汁の流れが悪くなると、これらの数値があがります。

2.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的につくられる物質です。胆道がんでは、CA19-9やCEAを血液検査で測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇しないこともありますし、逆にがんがなくても上昇することもあります。

3.腹部超音波(エコー)検査

臓器の形や状態、がんの位置や形、周辺の血流の様子などを確認するための検査です。胆道がんでは、胆管の狭窄や胆汁がたまった部分の拡張が見られることがあるので確認します。体の表面に超音波プローブ(探触子たんしょくし)をあて、体内の臓器からはね返ってくる音波を画像にします。検査での痛みはなく、その場で画像にできます。生検や細胞診の際に利用することもあります。

4.CT検査

がんの有無や広がり、胆管が拡張している場所やその程度、リンパ節や他の臓器への転移を確認するための検査です。X線を体の周囲からあてて、体の断面を画像にします。短時間でがんの位置や形を細かく映し出すことができます。より詳しく調べる場合には、造影剤を使用します。

5.MRI検査

がんの有無や広がり、他の臓器への転移を確認するための検査です。磁気を使用して体の内部を映し出し、さまざまな角度からの断面を画像にします。がんと正常な組織を区別してはっきりと確認できます。より詳しく調べるために造影剤を使う場合もあります。

胆道がんでは、MRIの技術を使って胆管や胆のうの状態を調べる、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)という検査を行うことがあります。

6.内視鏡を使う検査

1)上部消化管内視鏡検査

いわゆる胃カメラです。十二指腸乳頭に病変がある場合には、内視鏡を口から十二指腸下降部まで入れて観察します。がんが疑われる場合は組織を採取して、生検を行います。

2)超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography)

腫瘍のある位置やがんかどうか、がんの広がりの範囲を診断するための検査です。先端に超音波プローブを付けた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸など体の内側からがんやその周囲の状態を調べます。病変を近い位置から観察できるので、体の表面から行う超音波検査よりも鮮明な画像が得られます。

3)内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)

胆管の狭窄ががんによるものかどうかや、胆管内部のがんの広がり、胆のう管や総肝管への浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)などを調べる検査です。内視鏡を口から入れ、十二指腸乳頭からカテーテルを通し、胆管内に造影剤を注入してX線で撮影します。

4)管腔内超音波検査(IDUS:Intraductal Ultrasonography)

胆管壁内のがんの深さや広がりを調べる検査です。胆管内に細い超音波プローブを通して、胆管内の様子を観察します。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)に引き続いて行われます。

5)経口胆道鏡検査(POCS:Peroral Cholangioscopy)

口から胆管内に細い内視鏡カメラを入れて、胆管内でのがんの広がりを直接観察したり、組織を採取して生検を行い正確に診断したりする検査です。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同じ経路を使って行います。

7.PET・PET-CT検査

進行がんでの他の臓器への転移などについて確認するための検査です。放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にします。CT検査やMRI検査など他の検査では診断がはっきりしない場合に追加で行われる検査です。PET-CT検査では、PET検査の画像とCT検査の画像を重ね合わせることにより、がん細胞の有無や位置を診断します。

8.生検・細胞診

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断をはっきりと決めるために行う検査です。がんが疑われる部位から組織や細胞を採取して顕微鏡で調べます。画像検査では判断できない場合や、がんが広がっている範囲を把握するために行うことがあります。胆管がんでは、ほとんどの場合、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)や経口胆道鏡検査(POCS)などの内視鏡を使った検査や胆道ドレナージ(胆管がつまることによってたまった胆汁を通す処置)の際に一緒に行います。また、手術中に行うこともあります。

更新・確認日:2020年09月24日 [ 履歴 ]
履歴
2020年09月24日 「胆のうがん」「胆管がん」を統合して、タイトルを「胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)」に変更しました。「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版(2019年)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」「TNM悪性腫瘍の分類 第8版(2017年)」により、内容を全面的に更新しました。
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