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胆道がん((たんどうがん)
胆管たんかんがん(肝内かんない胆管がんを含む)・胆のうがん・十二指腸乳頭部じゅうにしちょうにゅうとうぶがん)

更新・確認日:2020年09月24日 [ 履歴 ]
履歴
2020年09月24日 「胆のうがん」「胆管がん」を統合して、タイトルを「胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)」に変更しました。「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版(2019年)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」「TNM悪性腫瘍の分類 第8版(2017年)」により、内容を全面的に更新しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。

1.胆道について

胆道は、胆管、胆のう、十二指腸乳頭という3つの部分に分けられます(図1)。
胆管は、肝臓の中に張り巡らされた細い管(肝内胆管)として始まり、それらが木の枝が幹に向かうように合流しながら次第に太くなって、肝門部という肝臓からの出口で一本にまとまります。これを総肝管といいます。総肝管は、胆のうとつながる胆のう管が合流して総胆管となり、膵臓の中を通って、膵液を運ぶ膵管とともに小腸の一部である十二指腸につながります。このつなぎ目が十二指腸乳頭です。なお、肝臓の中の胆管を肝内胆管、肝臓の外の胆管を肝外胆管ともいいます。
胆道は、肝臓でつくられる胆汁たんじゅうという消化を助ける液を小腸に送る働きをしています。食べたものが十二指腸に届くと、胆のうに一時的にためられて濃縮された胆汁が、胆のう管、総胆管を通って十二指腸に送り出され、小腸での脂肪の消化を助けます。胆汁にはビリルビンという黄色の色素が含まれます。これが便と混じって排泄はいせつされるため、正常な便の色は茶褐色になります。
図1 胆道と周囲の臓器
図1 胆道と周囲の臓器の図

2.胆道がんとは

胆道がんは、胆道にできるがんの総称で、発生した部位によって分類されます(図1)。胆管がんは、がんが発生した場所が肝臓の中か外かによって肝内胆管がんと肝外胆管がんに分類されます。さらに、肝外胆管がんは、胆管のどの部分に発生したかによって肝門部領域胆管がんと遠位胆管がんに分類されます。
肝内胆管がんは肝臓に発生するため、原発性肝がんに分類されますが、原発性肝がんの大部分を占める肝細胞がんと区別するために、胆管細胞がんともよばれます。肝臓の中に発生しますが、肝細胞がんとは性質が異なり、検査や治療法には肝外胆管がんと共通するものもあります。そこで、肝内胆管がんについてもこのページで説明します。
胆道がんは、周囲のリンパ節、肝臓、肺などの臓器に転移したり、膵臓などの周囲の臓器に浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)したりすることがあります。

3.症状

胆道がんの症状には、黄疸おうだん、右わき腹の痛み、体重減少などがあります。
肝外胆管がんや十二指腸乳頭部がんでは、黄疸がよくみられます。黄疸は、胆管の内部ががんによって狭窄きょうさく(狭くなること)したりつまったりして、黄色の色素であるビリルビンを含む胆汁が血液の中に流れ込むことにより起こります。皮膚や白目が黄色くなったり、尿の色が茶色っぽく濃くなったりするほか、皮膚にかゆみが出ることもあります。一方、十二指腸に排出されるビリルビンの量が減るため、便の色が白っぽくなることもあります。黄疸のほかに、みぞおちや右わき腹の痛み、発熱、全身のだるさ、食欲不振、体重減少などの症状が出ることもあります。
肝内胆管がんや胆のうがんは、早期には症状が出ないことが多いがんです。進行すると黄疸がみられることがあり、胆のうがんではみぞおちや右わき腹の痛みが出ることもあります。ただし、このような痛みは胆石症などのがん以外の病気によって出ることもあります。
胆道がんでは、がんの発生した部位によって、出やすい症状や症状の出るタイミングが異なります。少しでも気になる症状がある場合には、内科または消化器科を受診しましょう。

4.患者数(がん統計)

胆のうがんは、日本全国で1年間に約8,200人が診断されます。男女別でみると男性では1年間に約3,600人、女性では約4,600人と女性にやや多い傾向があります。肝外胆管がんと十二指腸乳頭部がんは、合わせて、日本全国で1年間に約14,500人、男女別でみると男性では1年間に約8,500人、女性では約5,900人が診断されます。
※部位不明の胆道のがんなども含みます。肝内胆管がんは含みません。

5.発生要因

膵胆管合流異常症などが、胆のうがんを発生するリスクを高めることがわかっています。また、印刷工場で使用される化学物質ジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパンへの高濃度曝露が、胆管がんを発生するリスクを高めると考えられています。その他の胆道がんについては、危険因子はわかっていません。
※がん情報サービスの発生要因の記載方針に従って、主なものを記載しています。記載方針については関連情報をご覧ください。

6.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、胆道がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをお勧めします。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の診療としての検査は、ここでいう検診とは異なります。

7.「胆道がん」参考文献

1)厚生労働省ウェブサイト;がん登録 全国がん登録 罹患数・率 報告 平成29年報告;2020年(閲覧日2020年9月15日) https://www.mhlw.go.jp/
2)日本肝癌研究会編.臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版.2019年, 金原出版.
3)日本肝胆膵外科学会・胆道癌診療ガイドライン作成委員会編.エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版.2019年, 医学図書出版.
4)日本肝胆膵外科学会編.臨床・病理 胆道癌取扱い規約 第6版. 2013年, 金原出版.
5)Brierley JDほか編.TNM悪性腫瘍の分類 第8版.2017年,金原出版.
6)日本肝胆膵外科学会ウェブサイト;肝内胆管がんと肝良性腫瘍,胆管がん,胆のうがん,乳頭部がん;2017年(閲覧日2020年9月15日) http://www.jshbps.jp/
7)日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学(改訂第5版).2018年,南江堂.
更新・確認日:2020年09月24日 [ 履歴 ]
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2020年09月24日 「胆のうがん」「胆管がん」を統合して、タイトルを「胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)」に変更しました。「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版(2019年)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」「TNM悪性腫瘍の分類 第8版(2017年)」により、内容を全面的に更新しました。
胆道がんの診断のためには、まず血液検査と腹部超音波(エコー)検査を行います。胆管の内部が狭窄きょうさくしたり、胆汁たんじゅうがたまった部分が拡張したりしている場合には、CT検査やMRI検査などを行い、がんがあるかどうかやその広がりを調べます。さらに詳しく調べる必要がある場合には、内視鏡を使った検査や生検、細胞診を行うことがあります(図2)。
図2 胆道がんの検査の流れ
日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 2019年(改訂第3版)」(医学図書出版)より作成

1.血液検査

血液中のビリルビン(胆汁の色素)やALP、γガンマ-GTP(胆道や肝臓の機能を示す酵素)の量が増加していないかを調べます。胆管の内部が狭窄して胆汁の流れが悪くなると、これらの数値があがります。

2.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的につくられる物質です。胆道がんでは、CA19-9やCEAを血液検査で測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇しないこともありますし、逆にがんがなくても上昇することもあります。

3.腹部超音波(エコー)検査

臓器の形や状態、がんの位置や形、周辺の血流の様子などを確認するための検査です。胆道がんでは、胆管の狭窄や胆汁がたまった部分の拡張が見られることがあるので確認します。体の表面に超音波プローブ(探触子たんしょくし)をあて、体内の臓器からはね返ってくる音波を画像にします。検査での痛みはなく、その場で画像にできます。生検や細胞診の際に利用することもあります。

4.CT検査

がんの有無や広がり、胆管が拡張している場所やその程度、リンパ節や他の臓器への転移を確認するための検査です。X線を体の周囲からあてて、体の断面を画像にします。短時間でがんの位置や形を細かく映し出すことができます。より詳しく調べる場合には、造影剤を使用します。

5.MRI検査

がんの有無や広がり、他の臓器への転移を確認するための検査です。磁気を使用して体の内部を映し出し、さまざまな角度からの断面を画像にします。がんと正常な組織を区別してはっきりと確認できます。より詳しく調べるために造影剤を使う場合もあります。
胆道がんでは、MRIの技術を使って胆管や胆のうの状態を調べる、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)という検査を行うことがあります。

6.内視鏡を使う検査

1)上部消化管内視鏡検査

いわゆる胃カメラです。十二指腸乳頭に病変がある場合には、内視鏡を口から十二指腸下降部まで入れて観察します。がんが疑われる場合は組織を採取して、生検を行います。

2)超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography)

腫瘍のある位置やがんかどうか、がんの広がりの範囲を診断するための検査です。先端に超音波プローブを付けた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸など体の内側からがんやその周囲の状態を調べます。病変を近い位置から観察できるので、体の表面から行う超音波検査よりも鮮明な画像が得られます。

3)内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)

胆管の狭窄ががんによるものかどうかや、胆管内部のがんの広がり、胆のう管や総肝管への浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)などを調べる検査です。内視鏡を口から入れ、十二指腸乳頭からカテーテルを通し、胆管内に造影剤を注入してX線で撮影します。

4)管腔内超音波検査(IDUS:Intraductal Ultrasonography)

胆管壁内のがんの深さや広がりを調べる検査です。胆管内に細い超音波プローブを通して、胆管内の様子を観察します。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)に引き続いて行われます。

5)経口胆道鏡検査(POCS:Peroral Cholangioscopy)

口から胆管内に細い内視鏡カメラを入れて、胆管内でのがんの広がりを直接観察したり、組織を採取して生検を行い正確に診断したりする検査です。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同じ経路を使って行います。

7.PET・PET-CT検査

進行がんでの他の臓器への転移などについて確認するための検査です。放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にします。CT検査やMRI検査など他の検査では診断がはっきりしない場合に追加で行われる検査です。PET-CT検査では、PET検査の画像とCT検査の画像を重ね合わせることにより、がん細胞の有無や位置を診断します。

8.生検・細胞診

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断をはっきりと決めるために行う検査です。がんが疑われる部位から組織や細胞を採取して顕微鏡で調べます。画像検査では判断できない場合や、がんが広がっている範囲を把握するために行うことがあります。胆管がんでは、ほとんどの場合、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)や経口胆道鏡検査(POCS)などの内視鏡を使った検査や胆道ドレナージ(胆管がつまることによってたまった胆汁を通す処置)の際に一緒に行います。また、手術中に行うこともあります。
更新・確認日:2020年10月14日 [ 履歴 ]
履歴
2020年10月14日 「9.生存率」を、院内がん登録(肝外胆管がん、胆のうがん)のデータに更新しました。
2020年09月24日 「胆のうがん」「胆管がん」を統合して、タイトルを「胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)」に変更しました。「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版(2019年)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」「TNM悪性腫瘍の分類 第8版(2017年)」により、内容を全面的に更新しました。
胆道がんの治療法には、手術、薬物療法、放射線治療があります。胆道がんでは、がんを取り除くには手術が最も有効と考えられています。そのため、まず手術ができるかどうかを検討し、手術ができない場合は薬物療法を中心とした治療を行います。

1.病期と治療の選択

治療法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。

1)病期(ステージ)

病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的で、胆道がんでは早期から進行するにつれて0期〜IV期まであります。
病期は、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決めます。
Tカテゴリー:がんの大きさや周囲への広がりの程度
Nカテゴリー:領域リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移の有無
病期を知ることは、治療の方針を決めるためにとても重要です。胆道がんの病期は、肝内胆管がん(表1)、肝門部領域胆管がん(表2)、遠位胆管がん(表3)、胆のうがん(表4)、十二指腸乳頭部がん(表5)に分けて分類されています。
表1 肝内胆管がんの病期分類
日本肝癌研究会編「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」(金原出版)より作成
表2 肝門部領域胆管がんの病期分類
UICC日本委員会TNM委員会訳「TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版(2017年)」(金原出版)より作成
表3 遠位胆管がんの病期分類
UICC日本委員会TNM委員会訳「TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版(2017年)」(金原出版)より作成
表4 胆のうがんの病期分類
UICC日本委員会TNM委員会訳「TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版(2017年)」(金原出版)より作成
図3 胆のうの構造
図3 胆のうの構造の図
表5 十二指腸乳頭部がんの病期分類
UICC日本委員会TNM委員会訳「TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版(2017年)」(金原出版)より作成

2)治療の選択

治療法は、がんの進行の程度に応じた標準治療を基本として、体の状態、年齢、本人の希望なども含めて総合的に検討し、担当医と患者がともに決めていきます。
図4は、胆道がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。胆道がんと診断されたら、手術の可能性について、肝胆膵外科などの胆道の手術を専門とする外科医に相談する必要があります。

(1)手術ができるかどうかについて

胆道がんでは、手術ができるかを判断するとき、一般的に次のような点を考慮します。
・手術に耐えられる体の状態であること
・遠隔転移がないこと
・肝臓の切除が必要な場合は、手術後の肝臓の機能が十分あると予測できること
遠隔転移がなくても、最初にがんができた場所や周囲への広がりなどの状態によっては、手術で切除することが技術的に難しいこともあります。このような場合、手術ができるかどうかの判断が、施設ごと、医師ごとに異なることもあります。診断や治療選択などについて、違う医療機関の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞いてみたいときは、遠慮せずに担当医に相談してみましょう。

(2)手術ができない場合の治療

手術ができない場合には薬物療法を行います。遠隔転移がない場合には放射線治療を検討することもあります。痛みや症状の緩和などを目的として、薬物療法や放射線治療、胆道ドレナージ(内ろう[胆道ステント]や外ろう)を行う場合もあります。
図4 胆道がんの治療の選択
日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 2019年(改訂第3版)」(医学図書出版)より作成

(3)妊娠や出産について

がんの治療が、妊娠や出産に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊よう性温存治療(妊娠するための力を保つ治療)が可能か、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

2.胆道ドレナージ

胆道にがんができると、多くの場合、がんで胆道がつまり、胆汁たんじゅうの流れがせき止められます。胆汁が流れなくなると、腸での消化や吸収が不十分になったり、黄疸おうだんの症状が出たり、手術や薬物療法などの治療を安全に進めることが難しくなったりすることがあります。このため、胆道がつまった場合には、たまった胆汁を通すための処置を行うことがあります。この処置のことを胆道ドレナージといいます。ドレナージとは「水などをある場所から導き出す」という意味です。
ドレナージには、外ろうと内ろうの2つの方法があります(表6)。外ろうは、チューブを使って胆汁を鼻やおなかから体の外に出し、ボトルやプラスチックバッグにためて回収する方法です(図5、6)。内ろうは、ステントというプラスチックや金属の管を胆管の中に置き、胆汁を本来の流れ道である腸の中に流す方法です(図5)。チューブやステントを胆道がつまっている箇所まで入れる方法には、内視鏡の技術を使う方法と、おなかの皮膚から刺し入れて肝臓を通す方法があります。
表6 胆道ドレナージの方法
表6 胆道ドレナージの方法の図
図5 胆道ドレナージの経路
図5 胆道ドレナージの経路の図
図6 外ろうによる胆汁の回収方法
図6 外ろうによる胆汁の回収方法の図

●外ろうの注意点

胆汁が逆流しないように容器の位置を低く保ち、チューブが抜けたり折れたりしないようにするなどの注意が必要です。チューブが抜けてしまった場合はすぐに病院に連絡しましょう。また、胆汁の色や量に気を配り、変化があったら早めに担当医に相談しましょう。

●内ろう(胆道ステント)の注意点

外ろうの場合のような日常生活の制限はない反面、体内のステントが抜けたりつまったりしても気付きにくいという欠点があります。腹痛や発熱、黄疸の症状が出た場合には、何らかのトラブルが起きている可能性がありますので、病院に連絡しましょう。

3.手術(外科治療)

がんの広がりや大きさに応じて、安全で、できるだけ完全にがんを取りきることのできる方法を検討します。胆道がんの手術は、ごく早期の場合を除いて切除範囲が大きくなることが多く、体への負担も大きくなりがちです。手術を検討する場合には、その手術でどのようなメリットがあり、どの程度のリスクがあるのか、担当医によく確認しましょう。

1)手術前の準備

がんのできた場所によっては、胆道にできたがんとともに肝臓の一部を切除することがあります。肝臓を広範囲に切除する必要がある場合には、手術の前に、残肝予備能ざんかんよびのう評価(切除後に残る肝臓の大きさや機能を予測すること)を行い、手術ができるかどうかを検討します。
肝臓を半分以上切除する場合には、手術後も肝臓の機能を維持するために、手術の前に門脈塞栓そくせん術(切除する側の肝臓の門脈をふさぎ、残す側の肝臓の血流を増やす手術)を行って、残す側の肝臓の容積をあらかじめ大きくすることもあります。また、肝臓を広範囲に切除する場合で、黄疸の症状があるときには、手術の前に胆道ドレナージを行います。

2)がんの種類別の手術法

(1)肝内胆管がん

がんが肝臓の右葉(自分側から見て右側の大きい部分)・左葉(左側の小さい部分)のどちらかのみにある場合には、がんとその周辺の肝臓の一部またはがんのある側を切除します(図7)。がんが左右の葉を越えて広がっている場合には、さらに大きく切除する拡大肝葉切除を行います。がんが肝門の近くにある場合には、肝外胆管や胆のうの切除と同時に、周囲のリンパ節郭清かくせいを行うこともあります。
図7 肝内胆管がんの切除範囲の一例(右肝切除)
図7 肝内胆管がんの切除範囲の一例(右側肝切除)の図

(2)肝門部領域胆管がん

がんを取りきることを目的として、胆管のほかに肝臓や胆のうなど周りの臓器の一部や、周辺のリンパ節も切除するのが一般的です(図8)。肝門部領域では、胆管、門脈、肝動脈が分岐していて構造が複雑なので、肝門部領域胆管がんの手術は難しい手術になります。切除後は、残した胆管と小腸の一部をつなぐなど、臓器の機能を回復するための再建手術を行います。
図8 肝門部領域胆管がんの切除範囲の一例(右肝切除・肝外胆管切除)
図8 肝門部領域胆管がんの切除範囲の一例(右肝切除・肝外胆管切除)の図

(3)遠位胆管がん

遠位胆管は膵臓を通っているため、遠位胆管にできたがんは膵臓へ広がることがあります。そのため、膵頭十二指腸切除を行って、胆管、胆のう、膵頭部すいとうぶ(十二指腸に接している側の膵臓)、十二指腸および連続する胃や腸の一部を切除するのが一般的です(図9)。周囲のリンパ節郭清も行います。切除後は、残した胆管や膵臓、胃を小腸とつなぎ合わせ、食物や消化液が小腸に流れるようにするなどの再建手術を行います。
図9 膵頭十二指腸切除術の範囲
図9 膵頭十二指腸切の範囲の図

(4)胆のうがん

がんが胆のう内部にとどまっている場合には、胆のうの摘出手術を行います(図10)。がんが胆のうの周囲まで広がっている場合には、その広がりに応じて、肝臓、胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節など周りの臓器の切除が必要になります。
図10 胆のう摘出手術の範囲
図10 胆のう摘出手術の範囲の図

(5)十二指腸乳頭部がん

十二指腸乳頭部がんの標準手術は膵頭十二指腸切除です(図9)。この手術では、十二指腸、膵頭部、肝外胆管、胆のう、周辺のリンパ節を切除します。連続している胃や小腸を切除することもあります。残った胆管を小腸に、膵臓を小腸や胃などにつなぎ合わせる再建手術を行います。

3)手術後の合併症

胆道がんの手術後の合併症には、肝不全、胆汁ろう、膵液漏、胸水、腹水、胆管炎などがあります。重い合併症の多くは手術後1週間以内に起こるので、注意深く経過を観察します。

(1)肝不全

肝臓を大きく切除した場合、肝臓の機能に障害が出て、黄疸、腹水、意識の低下などの症状が出ることがあります。
用語集
腹水 

(2)胆汁漏・膵液漏

胆道や膵臓の手術でつなぎ合わせた部分から、胆汁や膵液が漏れることがあります。胆汁漏は自然におさまることが多いのですが、腹膜炎の原因となることもあります。膵液には脂肪やタンパク質を溶かす働きがあるので、膵液が漏れると近くの血管を傷つけることがあります。

(3)胸水・腹水

胸、特に右胸や腹部に水がたまることがあります。自然に治ることもありますが、胸水の量が多く呼吸に影響が出るような場合には、胸水を抜いたり、減少させる薬剤を使用したりします。
用語集
胸水 

(4)胆管炎

胆管と腸をつなぐ手術を行った場合、つないだ場所が狭くなったり、腸の動きが悪くなったりして腸液が逆流し、胆管炎を起こすことがあります。胆管炎は退院後に起きる可能性もありますので、上腹部の痛みや高熱、黄疸が出た場合には担当医に相談しましょう。

4.薬物療法

がんの進行をできるだけ抑えることを目的として、薬物療法を行うことがあります。体内に入った薬は全身をめぐるので、転移したがんや、画像検査では確認できない小さながんに対する効果も期待できます。

1)手術ができない場合の薬物療法

手術によってがんを取りきることが難しい場合や、がんが再発した場合に、薬を使った治療を行います。薬物療法だけでがんを完全に治すことは困難ですが、がんの進行を抑えることにより、生存期間を延長したり、症状を和らげたりできることがわかっています。
胆道がんの薬物療法では、ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS1:ティーエスワン)を使用します。複数の薬を組み合わせることにより、より高い効果が出ることが知られています。標準治療には、次のようなものがあります。
●GC療法:ゲムシタビンとシスプラチンを併用
●GS療法:ゲムシタビンとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を併用
●GCS療法:ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を併用
※薬の名前は「一般名(商品名)」で示しています。薬の名前の記載方針については関連情報をご覧ください。

2)術後補助療法としての薬物療法

胆道がんの手術では、肉眼的には取りきれていても、顕微鏡で確認するとがん細胞が残っていたり、完全に取りきれているように見えても同じ場所から再発したりしてしまうことがあります。このため、手術の後に、薬物療法や薬物療法と放射線治療を併用した化学放射線療法を補助療法として行うこともあります。しかし、その効果は現時点では十分に証明されておらず、標準治療ではありません。

●薬物療法による副作用

食欲不振、吐き気、だるさ、脱毛、白血球減少、貧血、血小板減少などの副作用を伴うことがあります。
また、それぞれの薬に特有の副作用として、次のようなものがあります。
・ゲムシタビンによる間質性肺炎
・シスプラチンの長期投与による腎臓への負担や難聴、手足のしびれなど
・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤による皮膚の痛みや色素の沈着、下痢、口内炎、涙目など
頻度としては高くなくても、重症になると命に関わったり、いったん生じると改善しづらかったりするものもありますので、気になる症状が出たときには早めに担当医に相談しましょう。

5.放射線治療

胆道がんの手術では、肉眼的には取りきれていても、顕微鏡で確認するとがん細胞が残っていたり、完全に取りきれているように見えても同じ場所から再発したりしてしまうことがあります。このため、切除面にがん細胞が残っていたり、リンパ節への転移があったりした場合には、手術の後に、放射線治療や放射線治療と薬物療法を併用した化学放射線療法を補助療法として行うこともあります。しかし、その効果は現時点では十分に証明されておらず、標準治療ではありません。
また、手術ができないがんで、遠隔転移がない場合には、がんの進行を遅らせたり、内ろう(胆道ステント)がふさがってしまうのを防いだり、痛みを和らげたりすることなどを目的として放射線治療を行う場合があります。しかし、この効果も現時点では十分に証明されておらず、いずれの場合も標準治療ではありません。

6.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。
緩和ケアは、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげます。がんと診断されたときから始まり、がんの治療とともに、つらさを感じるときはいつでも受けることができます。
なお、支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くするための予防、治療およびケアのことを指します。本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。
関連情報
緩和ケア

7.リハビリテーション

一般的に、治療中や治療終了後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師に確認しましょう。

8.臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。現在行われている標準治療は、より多くの患者さんにより良い治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。
現在国内で行われている臨床試験(医師・研究者が実施する臨床試験、および製薬企業や医師が実施する治験の一部)に関しては、「がんの臨床試験を探す」で情報を閲覧することができます。参加できる臨床試験があるかについては、担当医に相談してみましょう。

9.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示されます。がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。
なお、生存率には大きく2つの示し方があります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。他方を「相対生存率」といい、がん以外の死因を除いて、がんのみによる死亡を計算した生存率です。
「肝外胆管がん」「胆のうがん」の生存率として、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターが、がん診療連携拠点病院等を中心とするがん診療病院318施設の院内がん登録から算出したデータは以下のとおりです(表7、表8)。
【胆道がんの生存率について、さらに詳しく】
表7 肝外胆管がんの病期別生存率(対象:2010〜2011年に診断を受けた患者さん)
表7 肝外胆管がんの病期別生存率(対象:2010〜2011年に診断を受けた患者さん)の図
表8 胆のうがんの病期別生存率(対象:2010〜2011年に診断を受けた患者さん)
表8 胆のうがんの病期別生存率(対象:2010〜2011年に診断を受けた患者さん)の図
※データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではありません。
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10.転移・再発

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れなどに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。また、再発とは、治療により縮小したりなくなったりしたようにみえたがんが再び出現することをいいます。

1)転移

胆道がんは、周囲のリンパ節、肝臓、肺などの臓器に転移したり、膵臓などの周囲の臓器に浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)したりすることがあります。治療は転移の状況に合わせて行いますが、多くの場合薬物療法を検討します。骨に転移した場合は、痛みを和らげる目的で放射線治療を行うこともあります。

2)再発

がんを切除した部位やその近くに起こる局所再発のほか、腹膜にがんが散らばる腹膜播種はしゅとして見つかることがあります。再発の場合も薬物療法が治療の中心となります。
更新・確認日:2020年09月24日 [ 履歴 ]
履歴
2020年09月24日 「胆のうがん」「胆管がん」を統合して、タイトルを「胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)」に変更しました。「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版(2019年)」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版(2019年)」「TNM悪性腫瘍の分類 第8版(2017年)」により、内容を全面的に更新しました。

1.日常生活を送る上で

症状や治療の状況によって、日常生活の注意点は異なります。予想される症状や対処法について担当医に確認しておくことが大切です。特に胆道ドレナージを行った場合には、外ろうと内ろうのそれぞれに注意するポイントがあるため、よく確認しておきましょう。

1)食生活のポイント

食生活の基本は、できるだけ脂質を控え、消化の良いものをバランスよく食べることです。以下に胆道がんの治療後の食生活の一般的なポイントについてまとめました。治療内容や症状によって注意する点は異なりますので、食欲不振や下痢など気になる症状がある場合には担当医に相談しましょう。自分にあった献立や調理の工夫について相談したいときは、担当医から管理栄養士を紹介してもらうこともできます。
  • 食事は控えめの量から少しずつ、何回かに分けて:消化や栄養分の吸収に時間がかかることがあるため、1回の食事量を少なめにし、回数を増やすよう心がける
  • 脂肪分を取りすぎない:動物性脂肪を控え、植物性脂肪を取る
  • 大豆製品や魚など良質なタンパク質を取る
  • 香辛料やコーヒー、紅茶は控えめに
  • アルコールを取るときには、まず医師に確認する

2)性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。ただし、薬物療法中は避妊が必要な場合があります。

2.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。問診や血液検査、腫瘍マーカー検査などの検査を行います。
問診では、黄疸おうだんや腹部の痛み、食欲の変化などを確認します。気になる症状があるときは担当医に伝えましょう。血液検査では、ビリルビンなどの値を調べます。必要に応じて腹部超音波(エコー)検査やCT検査などの画像検査を行うこともあります。
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。