B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変がある人、ウイルス感染を伴わない肝硬変と診断された人は、3~6カ月ごとの定期的な超音波(エコー)検査や腫瘍マーカー検査を受けることが勧められています。
肝細胞がんが疑われたときや定期的に受ける超音波(エコー)検査でしこりが見つかった場合、腫瘍マーカーの値が上昇した場合などには、CT検査かMRI検査による画像検査を受けます。なお、CT検査やMRI検査などの画像検査で悪性か良性かの区別が難しい場合には、病変の一部を採って詳しく調べる生検が行われることがあります。
治療方針を検討する際には、血液検査で肝機能を調べます。また、肝硬変によって食道静脈瘤や胃静脈瘤ができていないかどうかや、静脈瘤からの出血の危険性を調べるために、内視鏡検査を受けることもあります。
1.超音波(エコー)検査
体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像化して観察する検査です。がんの大きさや個数、がんと血管の位置、がんの広がり、肝臓の形や状態、腹水の有無を調べます。ただし、がんの場所によっては、検査が難しいことや、皮下脂肪が厚い場合は、十分な検査ができないことがあります。
その人の体の状態や、がんがある部位によっては、血管から造影剤を注入して検査することもあります。
2.腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行います。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。
肝細胞がんでは、血液中のAFP(アルファ・フェトプロテイン)やPIVKA-Ⅱ(ピブカ・ツー)、AFP-L3分画(AFPレクチン分画)を測定します。腫瘍が小さい場合は、2種類以上の腫瘍マーカーを測定することが推奨されています。
がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査の結果も併せて、医師が総合的に判断します。例えば、肝炎や肝硬変、肝細胞がん以外のがんがある場合にも値が高くなることがあるため、同時に画像診断も行われます。
3.CT検査・MRI検査
がんの性質や分布、転移や周囲の臓器への広がりを調べるために、造影剤を使ったCT検査やMRI検査を受けます。
CT検査は、X線を使った検査で、体の断面を画像にすることができます。MRI検査は、強力な磁力と電波を使い、磁場を発生させて行われる検査で、体の内部の断面をさまざまな方向から画像にすることができます。MRI検査はX線を使わないため、放射線被ばくがありません。
2022年06月23日 | 「肝癌診療ガイドライン2021年版 第5版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版」より、内容を更新しました。 |
2018年04月19日 | 「肝癌診療ガイドライン2017年版」「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版(2015年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。 |
2015年03月02日 | 「1.検査」「2.病期(ステージ)・障害度分類」を更新しました。 |
2012年10月25日 | 更新履歴を追加しました。 |
2012年10月04日 | タブ形式に変更しました。 |
2011年12月05日 | 内容を更新しました。 |
1996年05月23日 | 掲載しました。 |