1.子宮体がんの検査
子宮体がんの疑いがある場合は、子宮内膜の細胞の病理検査・病理診断や、内診・直腸診を行い、がんがあるかどうかを確認します。がんの位置や、がんがどこまで広がっているかを調べるためには、子宮鏡検査や画像検査を行います。
2.検査の種類
1)病理検査・病理診断
(1)細胞診
腟から子宮内に細いチューブやブラシのような器具を挿入して、子宮内膜の細胞を少し採取し、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べます。細胞を採取する際、個人差はありますが、チクッとした痛みを感じる場合があります。また、検査のあとに数日間、おりものが茶色っぽくなったり、出血したりすることがあります。
(2)組織診
細胞診で異常があった場合には、細いスプーンやチューブのような形をした器具を使って、疑わしい部分の子宮内膜の組織を削り取ったり吸い取ったりして採取し、顕微鏡でさらに詳しく調べます。子宮内膜の全面を採取する場合は、痛みを伴うので麻酔をかけて行います。この検査で組織型と悪性度を調べ、子宮体がんであるかの確定診断をします。
2)内診・直腸診
内診では、腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や大きさ、形、硬さに加えて、周囲の組織と癒着がないかなども調べます。直腸診をすることもあり、直腸やその周囲に異常がないかを、肛門から指をさし入れて調べます。
3)子宮鏡検査
がんの位置や形状を直接確認するため、内視鏡を腟から子宮体部に入れて見ることがあります。病理診断と組み合わせて行う場合が多く、直径3mm程度の細いカメラを使います。
4)画像検査
診察や検査の結果、がんの存在が確定した場合や、がんである可能性が高いと判断された場合に、画像診断を行い、がんの大きさや広がり、転移があるかどうかなどを調べます。
(1)超音波(エコー)検査
体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像にして調べる検査です。がんと周囲の臓器との位置関係を調べます。子宮体がんでは主に、超音波を発する器具を腟に入れて子宮体部の中の様子を調べる、経腟超音波検査をします。
(2)CT検査・MRI検査
CT検査は、X線を使って体の内部の様子を画像にして調べる検査です。MRI検査では磁気を使います。CTやMRIを使った検査では、リンパ節転移の有無、肺や肝臓などへの遠隔転移の有無、周辺臓器へがんがどの程度広がっているかを調べます。
特にMRI検査では、がんが子宮の筋肉にどの程度まで入り込んでいるか、卵巣に病変があるかどうかも調べることができます。
また、CT検査とPET検査を併用したPET-CT検査を、リンパ節転移や遠隔転移の有無の診断のために補助的に活用することがあります。
5)腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカーとは、がんの種類により特徴的に産生される物質で、血液検査などにより測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇を示さないこともありますし、逆にがんがなくても上昇を示すこともあります。
現在のところ、子宮体がんでは診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。
細胞診、内診などの検査を受けるにあたって
細胞診や内診などの検査について何か気になることや分からないこと(検査が初めて、痛みを感じやすいなど)があれば、検査の前の問診で医師や看護師に伝えておきましょう。
検査中は、お腹のあたりにカーテンが引かれていることがほとんどですが、医師や看護師がそばにいます。強い痛みや違和感があるときには、我慢せずに伝えてください。
緊張したり不安になったりすることもあるかもしれませんが、より負担なく検査を受けられるよう、医師や看護師から声がかけられますので、それに合わせて深呼吸や、足の力を抜くなどするとよいでしょう。