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子宮体がん(子宮内膜がん)

子宮体がん(子宮内膜がん) 療養

1.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

経過観察は、治療終了から1~3年までは3~6カ月ごと、4~5年までは6~12カ月ごとを目安に行います。通院時には、体調の変化など自覚症状についての問診や内診(直腸診含む)とともに、再発リスクなどにより、細胞診、血液検査、超音波断層法検査(エコー検査)、胸部Xエックス線検査やCT検査などを必要に応じて行うことがあります。再発が疑われる症状があった場合には、CT検査やMRI検査、PET-CT検査などの画像検査を行います。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。

1)手術や放射線治療後の日常生活

手術後には、排尿のトラブルや便秘、リンパ浮腫などが起こることがあります。また、閉経前に両側の卵巣を切除したり、放射線治療によって卵巣の機能が失われたりすると、女性ホルモンが減少し、ほてりや発汗など更年期障害と同様の症状(卵巣らんそう欠落けつらく症状しょうじょう)が起こることがあります。放射線治療を受けたあと数カ月から数年たってから、消化管や尿路、ちつなどに影響が出ることもあります(晩期合併症)。

(1)排尿のトラブル

排尿に関係する神経はじんたい(子宮頸部けいぶの周囲にある組織の1つ)の中を走っているので、基靱帯を広く切除する広汎こうはん子宮全摘出術をした場合に排尿障害が起こりやすくなります。症状は、尿がたまった感じが分かりにくい、尿を出しにくい、尿が全部出しきれない、尿がもれるなどです。個人差はありますが、多くは手術後数週間から数カ月である程度は改善します。しかし、手術前とまったく同じ状態に回復することは難しいので、尿をためすぎない、強くおなかを押して無理やり出さない、一定の間隔で排尿するなど日常生活での注意が必要です。泌尿器科の医師の診察や治療が必要になる場合もあります。

(2)便秘

排尿のトラブルと同様、広汎子宮全摘出術をした場合に起こりますが、排尿のトラブルよりも頻度は低く、比較的短期間で回復します。多くの場合、食事の調整や下剤の服用で対処できますが、大腸外科、肛門科の医師の診察や治療が必要な場合もあります。

(3)リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ節を切除した場合に起こることがあります。リンパ液は手足の先から胸部へと一方向に流れています。リンパ液の通り道であるリンパ節とリンパ管を切り取ることによって、リンパ液の通り道が少なくなり、足や下腹部がむくみやすくなります。

現在のところ、リンパ浮腫の確実な予防法はありませんが、自分でできる工夫には、適度に体を動かしてリンパ液の流れを促すことや、適切な体重を維持すること、スキンケアを行い感染を予防することなどがあります。周囲の人の力を借りながら、無理をせずに日常生活を送りましょう。また、リンパ浮腫を早く見つけて治療をするためには、自分の体のどこにむくみが生じやすいかを知り、むくんでいないかを確認することが大切です。リンパ浮腫外来などの専門家がいる医療機関もありますので、担当医に相談した上で利用するのもよいでしょう。

リンパ浮腫について、自分でできる工夫や医療者に相談すべきタイミングなどについて紹介しています。
リンパ浮腫外来(リンパ浮腫の専門家のいる外来)を検索することができます。

(4)卵巣欠落症状

閉経前に両側の卵巣を切除する手術を受けたり、放射線治療で卵巣の機能が失われたりした場合、女性ホルモンが減少し、更年期障害と同様の症状が起こりやすくなります。この症状を卵巣欠落症状といいます。具体的には、ほてり、発汗、食欲低下、だるさ、イライラ、頭痛、肩こり、動悸どうき、不眠、腟からの分泌液の減少、骨粗しょう症、脂質異常症(高脂こうし血症けっしょう)などの症状があらわれます。症状の強さや発症する期間は人によって異なりますが、特に年齢が若いと症状が強くなる傾向があります。症状を軽くするためには、血行をよくしたり、精神的にリラックスしたりすることも大切です。つらいときは我慢しないで担当医に伝えましょう。症状を和らげるため、必要に応じてホルモン補充療法薬や漢方薬などが処方されます。

(5)放射線治療の晩期合併症

放射線治療を受けたあと数カ月から数年たってから起こる合併症があります。これを晩期合併症といいます。晩期合併症には、消化管からの出血や閉塞、穿孔せんこう(穴が開くこと)、直腸腟ろう(直腸と腟がつながって腟から便がもれる症状)などがあります。また、尿路の障害として、出血、感染、膀胱尿管腟ろう(膀胱や尿管と腟がつながって腟から尿がもれる症状)などが起こることがあります。そのほかに、腟が狭くなったり、腟の壁同士がくっついたりすることなどがあります。対処方法は症状により異なります。気になる症状があらわれたら放置せず、治療を受けた病院か婦人科の専門医のいる医療機関に相談しましょう。

2)薬物療法中の日常生活

支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。

通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など、今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めるとよいでしょう。

3)食事や運動について

手術や放射線治療などで卵巣の機能が失われたり、内分泌療法薬を使用したりすると、女性ホルモンが減少するため骨密度が低くなり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。カルシウムやビタミンDを多く含む食べ物を積極的にとるとともに、適度な運動を心がけてください。心配であれば骨密度を測定するのもよいでしょう。

また、閉経前に卵巣の摘出手術を行った場合、心血管疾患や脂質異常症なども起こりやすくなります。食事や運動などで、予防や改善に努めることが大切です。食事では、健康的な内容を心がけ、栄養バランスに注意し、楽しく気持ちよく食べましょう。運動は、体力の回復に合わせて散歩などから始め、少しずつ運動量を増やしましょう。ただし、退院直後は体力が低下しているので、しばらくは、疲れたらすぐに横になるなど、無理をしないことが大切です。

4)性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

なお、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、治療の影響により腟分泌物の減少や、腟を切除することによる性交障害が起こることもあります。

子宮体がんでは、子宮や卵巣を切除することが治療の基本となるため、性生活に不安を感じることがあるでしょう。家族や夫婦関係のことなど、女性としてのつらい気持ちや悩み、心配事が重なることは少なくありません。今の自分の気持ちを落ち着いて整理する、担当医や看護師などの医療者に伝える、自分と似た経験をした人の話を患者会などで聞くといったことが役立つかもしれません。パートナーや家族と一緒に話し合ってみるのもよいでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、あまり否定的になりすぎないことも大切です。

がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報を掲載しています。
がんの治療の種類ごとの、性生活への影響と対処方法などについての情報を掲載しています。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。
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