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子宮体がん(子宮内膜がん)

子宮体がん(子宮内膜がん) 全ページ表示

子宮体がん(子宮内膜がん)について

1.子宮について

子宮は女性の骨盤内にある臓器で、大きさは成人女性で鶏の卵程度です。子宮は、上部の袋状の「子宮体部たいぶ」と、子宮の入り口にあたる「子宮頸部けいぶ」に分けられ、子宮頸部はちつにつながっています。子宮頸部の周囲にはじんたいなどの組織があり、子宮を支えています。子宮体部の左右からは卵管と呼ばれるくだが伸びていて、子宮の左右にある卵巣から放出される卵子の通り道になっています。なお、卵管と卵巣をまとめてぞくともいいます(図1)。

子宮は妊娠したときに胎児を育てる器官です。筋肉でできており、子宮体部の内側は子宮内膜と呼ばれる粘膜でおおわれています。子宮内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの作用を受けると、受精卵の着床に備えて増殖して厚くなりますが、受精卵が着床しなければはがれおちます。これを月経といい、初経から閉経するまでのあいだ、およそ4週間に一度の周期で繰り返します。

2.子宮体がん(子宮内膜がん)とは

子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。子宮体がんのほとんどは子宮内膜から発生する子宮内膜がんであるため、一般的に「子宮体がん」とは子宮内膜がんのことをいいます。このページでは、子宮内膜がんについて解説しています。子宮頸がんについては、「子宮頸がん」のページをご覧ください。

子宮体がんは、進行すると子宮頸部や腟、リンパ節、卵巣、卵管に広がります。さらに、膀胱や直腸に広がったり、肺や肝臓など離れた臓器に転移したりすることもあります。

子宮頸がんについての情報を掲載しています。
子宮体部にできる悪性腫瘍の1つである子宮肉腫(平滑筋肉腫など)について紹介しているページです。

3.症状

最も多い自覚症状は出血です。月経ではない期間や閉経後に出血がある場合は注意が必要です。出血の程度には、おりものに血が混ざり、褐色になるだけのものもあります。進行すると、下腹部の痛み、性交時の痛み、腰痛、下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。

少しでも気になる症状があるときには、ためらわずに婦人科を受診しましょう。

4.関連する疾患

子宮の病気の1つに、子宮内膜が正常よりも厚く増殖した状態となる子宮内膜増殖症があります。増殖した子宮内膜に異型がみられる(内膜の細胞や構造が正常と異なった形をしている)場合は、子宮内膜異型増殖症と呼ばれます。子宮内膜異型増殖症からは、将来、子宮体がんが発生する可能性が高いことが分かっており、すでに一部にがんができていることもあります。このため、子宮内膜異型増殖症は子宮体がんの前がん病変(がんになる前の状態)とされています。

子宮内膜異型増殖症と診断された場合、一般的には単純子宮全摘出術を行いますが、一定の条件のもとで、にんようせい(妊娠するための力)を温存する治療を検討することがあります。詳しくは、関連情報をご覧ください。

また、子宮体部にできる良性腫瘍に子宮筋腫(子宮平滑筋腫)があります。子宮筋腫は幅広い年齢層でよくみられる疾患です。多くの場合、定期的な検査を受ければ特に治療の必要はありませんが、腫瘍のサイズが大きい、急に大きくなった、症状があり生活に影響が出るなどの場合には治療を行うこともあります。

更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2023年09月12日 「2.子宮体がん(子宮内膜がん)とは」を更新しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年07月13日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 検査

子宮体がんの疑いがある場合は、子宮内膜の病理検査を行います。病理検査で子宮体がんであることが分かった場合には、内診・直腸診、超音波断層法検査(エコー検査)、CT検査、MRI検査などを行い、がんの位置や、がんがどこまで広がっているかを調べます。

がんの検査について、大まかな流れや心構えなどの基本的な情報を掲載しています。

1.病理検査・病理診断

1)細胞診

ちつから子宮内に細いチューブやブラシのような器具を挿入して、子宮内膜を軽くこすって細胞を少し採取し、異型細胞(細胞のかたちが正常ではなく、がんの可能性がある細胞)があるかどうかを顕微鏡で調べます。この検査で異型細胞が見つかった場合には組織診を行い、がんかどうかを確定します。細胞を採取する際、個人差はありますが、チクッとした痛みを感じる場合があります。また、検査のあとに数日間、おりものが茶色っぽくなったり、出血したりすることがあります。

2)組織診

細胞診で異常があった場合に、がんかどうかを確定させる目的で行う検査です。子宮体がんの可能性が高いなどの場合には、はじめから組織診を行うこともあります。細いスプーンやチューブのような形をした器具を使って子宮内膜から細胞のかたまりを掻き取り、顕微鏡でさらに詳しく調べます。子宮内膜の全面を採取する場合は、痛みを伴うので麻酔をかけて行います。この検査で子宮体がんかどうかを確定し、がんであった場合、組織型(がんの種類)とグレード(がんの悪性度)を診断します。

2.内診・直腸診

内診では、医師が腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や大きさ、形、硬さに加えて、周囲の組織と癒着がないかなども調べます。直腸診をすることもあり、直腸やその周囲に異常がないかを、肛門から指を入れて調べます。

3.子宮鏡検査

がんの位置や形状を直接確認するため、内視鏡を腟から子宮体部たいぶに入れて見ることがあります。病理診断と組み合わせて行う場合が多く、直径3mm程度の細いカメラを使います。

4.超音波断層法検査(エコー検査)

体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像にして調べる検査です。がんと周囲の臓器との位置関係を調べます。子宮体がんでは主に、超音波を発する器具を腟に入れて子宮体部の中の様子を調べる経腟超音波検査をします。経腟超音波検査では、おなかに器具を当てて子宮の様子を調べる経腹超音波検査よりも器具が子宮に近いため、はっきりとした画像が得られます。

5.CT検査・MRI検査

CT検査は、Xエックス線を使って体の内部の様子を画像にして調べる検査です。MRI検査では磁気を使います。CTやMRIを使った検査では、リンパ節、付属器ふぞくき(卵巣・卵管)、膀胱や直腸などの隣接する臓器、肺や肝臓などの離れた臓器への転移があるかどうかを調べます。

特にMRI検査では、がんが子宮の筋肉にどの程度まで入り込んでいるか、卵巣に病変があるかどうかも調べることができます。

また、CT検査やMRI検査ではリンパ節転移や遠隔転移の有無の判断が難しい場合は、CT検査とPET検査を併用したPET-CT検査を補助的に活用することがあります。

6.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行います。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。しかし、腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかどうかは確定できません。また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。

子宮体がんでは、現在のところ、診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。

細胞診、内診などの検査を受けるにあたって

細胞診や内診などの検査について何か気になることや分からないこと(検査が初めて、痛みを感じやすいなど)があれば、検査の前の問診で医師や看護師に伝えておきましょう。

検査中は、おなかのあたりにカーテンが引かれていることがほとんどですが、医師や看護師がそばにいます。強い痛みや違和感があるときには、我慢せずに伝えてください。

緊張したり不安になったりすることもあるかもしれませんが、より負担なく検査を受けられるよう、医師や看護師から声がかけられますので、それに合わせて深呼吸や、足の力を抜くなどするとよいでしょう。

更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2023年07月13日 「●細胞診、内診などの検査を受けるにあたって」を追加しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年12月13日 「子宮体癌取扱い規約」2012年4月(第3版)に準じて内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年01月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 治療

子宮体がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができますので、必要なときは担当医に相談しましょう。

子宮体がんは子宮の奥に発生するため、手術の前に正確な進行期を判断することが難しいがんです。このため、子宮体がんの治療では、手術が可能な場合にはまず手術を行い、手術により得られた情報に基づいて、その後の治療法を決めていきます。

1.進行期と治療の選択

治療は、がんの進行の程度を示す進行期(ステージ、病期と呼ぶこともあります)やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。

1)進行期

子宮体がんの進行の程度は、「進行期」として分類します。進行期は、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。

子宮体がんの進行期は、がんが子宮体部たいぶの壁にどの程度深く入っているか、子宮頸部けいぶちつ、リンパ節、卵巣や卵管などへの広がりがあるか、膀胱や直腸などの隣接する臓器への広がりがあるか、肺や肝臓などの離れた臓器への転移があるかなどで分類します。

子宮体がんではまず手術を行い、手術で摘出した組織を調べ、がんがどこまで広がっているかを確認して進行期を決定します(表1)。なお、手術によって決定した進行期は、手術の前にCT検査やMRI検査、PET-CT検査などの画像診断から推定された進行期とは、一致しないことがあります。

表1 子宮体がんの進行期分類(日産婦2011、FIGO2008)
表1 子宮体がんの進行期分類(日産婦2011、FIGO2008) 表1 子宮体がんの進行期分類(日産婦2011、FIGO2008) 表1 子宮体がんの進行期分類(日産婦2011、FIGO2008) 表1 子宮体がんの進行期分類(日産婦2011、FIGO2008)
日本産科婦人科学会・日本病理学会編.子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版.2022年,金原出版.
日本婦人科腫瘍学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版.2023年,金原出版.より作成

2)組織型、グレードと術後再発リスク分類

子宮体がんの性質は、組織型(がんの種類)やグレード(がんの悪性度)で決まります。手術後に、手術で採取したがんの組織型やグレードとがんの広がりの程度から、術後の再発リスクを予測します。

(1)組織型

子宮体がん(子宮内膜がん)は、顕微鏡下でのがんの組織の見え方によって、いくつかの組織型に分類されます。主な組織型として、類内るいないまくがん、漿しょう液性えきせいがん、明細胞めいさいぼうがんなどがあり、組織型により予後が異なることが分かっています。そのほか、まれにがん肉腫などがあります。

(2)グレード(Gジー

グレードは、がんの悪性度の高さを示すものです。類内膜がんは、悪性度の低い順にグレード1(G1)、グレード2(G2)、グレード3(G3)に分けられます。漿液性がんと明細胞がんは悪性度が高く、一般的にグレード分類は行われません。

(3)術後再発リスク分類

子宮体がんでは、一般的にまず手術を行い、がんが再発しやすいかどうかの再発リスクを術後に調べます。

子宮体がんは、組織型やグレードにより、予後のよい順に「類内膜がんでグレードが1または2」「類内膜がんでグレード3」「漿液性がん・明細胞がん」に分けられます。手術後には、この組織型とグレードによる分類(図2縦軸)とがんの広がり(図2横軸)から、再発リスクを低、中、高のいずれかに分類し、術後の治療方針を決めていきます。

図2 術後再発リスク分類
図2 術後再発リスク分類
日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン2023年版.2023年,金原出版.より作成

3)治療の選択

子宮体がんの治療では、手術が可能であれば、子宮と両側のぞく(卵巣・卵管)を取り除く手術を行うことが基本です。手術後の治療は、がんの進行の程度や術後再発リスク分類に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。

図3は、子宮体がんの標準治療を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。

なお、担当医から複数の治療法を提案されることもあります。治療を選ぶにあたって分からないことは、まず担当医に確認することが大切です。治療を選ぶにあたっての悩みや困りごとは、がん相談支援センターで相談することもできます。

図3 子宮体がんの治療の選択
図3 子宮体がんの治療の選択
日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン2023年版.2023年,金原出版.より作成

妊娠や出産について

子宮体がんの標準治療は、子宮と卵巣・卵管の摘出です。しかし、一定の条件を満たした場合には、子宮や卵巣・卵管を残し、将来の妊娠の可能性を残すことができる場合があります。その条件とは、子宮内膜異型増殖症(子宮体がんの前がん病変)、またはがんが子宮内膜にとどまっているグレード1の類内膜がんの場合です。いずれの場合も子宮内膜の組織全体を採取して、条件にあてはまるかよく確認します。

この条件にあてはまり、将来子どもをもつことを強く希望している場合には、にんようせいを温存すること(妊娠するための力を保つこと)が選択肢となる場合があります。子宮体がんの場合は、黄体おうたいホルモン療法と呼ばれる薬物療法を行い、子宮と卵巣・卵管を残します。ただし、妊孕性温存治療では、将来の妊娠の可能性を残すため、通常であれば切除する部分を残すことになりますので、再発などのリスクを考慮しなければなりません。また、黄体ホルモン療法では、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症などの重篤な血栓症などが起こる可能性もあります。妊孕性温存治療を検討するときには、がんの状態や再発、合併症などのリスクについて十分理解した上で、自分の希望を伝えて、担当医とよく相談することが必要です。

2.手術(外科治療)

子宮体がんの治療の第一選択は手術です。手術によりがんを取り除くと同時に、がんの広がりを正確に診断して進行期を決定します。また、手術で取り除いたがんの病理検査を行い、術後の再発リスクを判断します。手術によって決定した進行期と術後再発リスク分類から、放射線治療や薬物療法などの治療をさらに行う必要があるかどうかを判断します。

手術方法は、基本的に開腹手術です。切除する範囲はがんの広がりによって異なります。がんが進行していると広い範囲を切除する必要がありますが、広い範囲を切除すると合併症も起こりやすくなるため、十分に検討して適切な手術方法を選択します。

早期の子宮体がんでは、腹腔鏡手術や、手術用ロボットを遠隔操作して行うロボット手術などの内視鏡手術が可能な場合もあります。内視鏡手術には、手術によるきずが小さくてすむ、術後の痛みが少なく回復が早い、入院期間の短縮が見込めるなどのメリットがありますが、がんが進行している場合には行うことができません。また、2023年12月時点で保険適用となるのはⅠA期の場合のみです。さらに、内視鏡手術が行える施設には子宮体がんの治療や内視鏡手術に十分な経験のある常勤の医師がいる、緊急手術に対応できる体制がある、などの基準があり、すべての病院で受けられるわけではありません。手術の方法については、担当医とよく相談しましょう。

1)手術の種類

手術の種類には、切除範囲により、(1)単純子宮全摘出術、(2)準広汎こうはん子宮全摘出術、(3)広汎子宮全摘出術があります。

子宮体がんでは、卵巣に転移しやすいことや、卵巣がんも同時に発生することが多いことから、原則として両側の付属器(卵巣・卵管)も摘出します。また、進行期を正確に知り、術後の治療方針を決めるために、骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節を郭清(取り除く)してリンパ節転移の有無も確認します。ただし、リンパ節郭清によって下肢のリンパ浮腫(むくみ)などの合併症が発症することがあります。類内膜がんのグレード1またはグレード2で、術前にⅠA期と推定される場合には、リンパ節への転移の可能性がとても低いため、リンパ節郭清を行わないこともあります。推定される進行期や組織型によっては、進行期を正確に知るために、大網だいもう(胃から垂れ下がって大腸と小腸をおおっている膜)の切除を検討することもあります。

(1)単純子宮全摘出術

最も狭い範囲を切除する方法で、開腹して子宮と両側の付属器(卵巣・卵管)を摘出します。腟壁の一部を切除することもあります。手術の前の診断で、腟や子宮の周りの組織にがんがなく、子宮体部にとどまっていると推定される場合に行います。類内膜がんのグレード1またはグレード2で、術前にⅠA期と推定される場合には、リンパ節への転移の可能性がとても低いため、リンパ節郭清を行わないこともあります。子宮と卵巣・卵管を摘出するため、妊娠することはできなくなりますが、性交渉は可能です。

図4 単純子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲
図4 単純子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲の図

(2)準広汎子宮全摘出術

子宮を支える組織(じんたい)と腟壁の一部を含め、子宮と両側の付属器(卵巣・卵管)を摘出します。膀胱の神経の大部分を温存することができるため、尿が出にくくなるといった術後の排尿のトラブルは広汎子宮全摘出術と比べて少なくなります。子宮と卵巣・卵管を摘出するため、妊娠することはできなくなりますが、性交渉は可能です。

図5 準広汎子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲
図5 準広汎子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲の図

(3)広汎子宮全摘出術

最も広い範囲を切除する方法です。子宮とともに、卵管、卵巣、腟および子宮の周りの組織を含めた広い範囲を摘出します。また、骨盤内のリンパ節も一緒に切除するリンパ節郭清を行います。同時に、腹部傍大動脈リンパ節郭清を行う場合もあります。子宮と卵巣・卵管を摘出するため、妊娠することはできなくなります。

広い範囲を切除するため、がんを完全に取りきることができる可能性は高くなりますが、リンパ浮腫、排尿のトラブルなどが起こることもあります。腟が短くなりますが、性交渉は可能です。

図6 広汎子宮全摘出術の範囲
図6 広汎子宮全摘出術の範囲の図

2)手術後の合併症

術後はしばらくきずが痛むため下腹部に力を入れることが難しく、移動などに困難を感じることがあります。また、排尿のトラブルや、便秘、腸閉塞などが起こることもあります。リンパ節を切除した場合にはリンパ浮腫(足や下腹部のむくみ)が起こることがあります。このほか、閉経前に卵巣を切除した場合には卵巣らんそう欠落けつらく症状しょうじょう(ほてりや発汗など更年期障害と同様の症状)などが起こることもあります。合併症のあらわれ方や症状は人それぞれで、治療法によっても異なります。詳しくは、関連情報「子宮体がん(子宮内膜がん) 療養 2.日常生活を送る上で」をご覧ください。

3.放射線治療

放射線による治療では、高エネルギーのXエックス線やガンマ線でがん細胞にダメージを与え、がんを小さくします。

手術前の推定進行期がⅠ期またはⅡ期で、がんを手術で取りきれると考えられるが、ほかにかかっている病気や高齢、肥満などの理由で手術ができないときに、治癒を目的とした根治的放射線治療を検討することがあります。また、手術後に再発予防を目的とした術後放射線治療、がんの進行や転移による痛みなどの症状を和らげることを目的とした緩和的放射線治療を行うこともあります。

副作用として、子宮体がんの放射線治療の場合、直腸炎、膀胱炎、小腸の閉塞へいそく(ふさがること)や下痢などが起こることもあります。また、治療が終わって数カ月から数年たって起こる症状(晩期合併症)もあります。副作用の程度は人によって異なります。詳しくは、関連情報「子宮体がん(子宮内膜がん) 療養 2.日常生活を送る上で」をご覧ください。

4.薬物療法

子宮体がんでは、手術後に、再発のリスクを減らすことを目的として点滴や飲み薬による薬物療法を行うことがあります。また、がんが手術で切除できない場合や、切除しきれない場合、がんが再発した場合にも薬物療法を行います。

1)細胞障害性抗がん薬

細胞障害性抗がん薬は、細胞の増殖の仕組みに注目して、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受けます。

子宮体がんでは、術後に再発のリスクが高いと判断された場合や、手術ができない場合、再発した場合に、細胞障害性抗がん薬を使います。一般的に、アントラサイクリン系もしくはタキサン系と呼ばれる薬と、白金製剤と呼ばれる薬とを組み合わせる併用療法が行われます。使用する薬は、がんの状態や副作用などを考えて決めていきます。

2)内分泌療法薬

1)の細胞障害性抗がん薬を複数用いる併用療法ができない場合や効果が不十分な場合に、黄体ホルモン薬を用いた内分泌療法を行うことがあります。

3)分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬

再発がんで、白金製剤を含む薬物療法を行ったことがある場合には、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた併用療法が行われます。また、同様の場合で、検査の結果から免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いことが期待できるときには、免疫チェックポイント阻害薬のみを用いることもあります。

4)薬物療法の副作用

子宮体がんの治療に用いられる細胞障害性抗がん薬の主な副作用には、吐き気や嘔吐、脱毛、末梢神経障害(手足のしびれ、運動障害、味覚障害、聴力障害など)、骨髄抑制(白血球数の減少による感染への抵抗力の低下)などがあります。また、内分泌療法薬の主な副作用には、血栓症(血管の中に血のかたまりができて血管がつまる病気)などがあります。

副作用については、使用する薬剤の種類や薬ごとに異なり、その程度も個人差があります。最近では副作用を予防する薬なども開発され、特に吐き気や嘔吐については、症状をコントロールすることができるようになってきました。

しかし、副作用の種類や程度によっては、治療が継続できなくなることもあります。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対処したらよいか、特に気をつけるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医によく確認しておきましょう。また、副作用と思われる症状がみられたときには、迷わずに担当医に伝えましょう。

5.免疫療法

免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2023年12月現在、子宮体がんの治療に効果があると証明されている方法は、再発がんに対する免疫チェックポイント阻害薬を使用する薬物療法のみです。その他の免疫療法で、子宮体がんに対して効果が証明されたものはありません。

なお、免疫療法の免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法の1つでもあります。

6.緩和ケア/支持療法

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。

緩和ケア/支持療法は、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアのことです。

決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まります。つらさを感じるときには、がんの治療とともに、いつでも受けることができます。がんやがん治療に伴うつらさや、それ以外の悩みについても、医療者やがん相談支援センターなどに相談することも大切です。

なお、がんやがんの治療によって外見が変化することがあります。支持療法の中でも、外見の変化によっておこるさまざまな苦痛を軽減するための支援として行われているのが、「アピアランス(外見)ケア」です。外見が変化することによる悩みや心配についても、医療者やがん相談支援センターに相談してください。

「さまざまな症状への対応」には、症状別に、がんそのものやがんの治療に伴って起こることがある症状や原因の説明、ご本人や周りの人ができる工夫などを紹介しているページへのリンクを掲載しています。
からだ・こころ・くらし、緩和ケア/支持療法、アピアランスケアに関する疑問や質問などは、がん相談支援センターにも相談できます。
アピアランス(外見)ケアに関する資料が紹介されています。

7.リハビリテーション

リハビリテーションは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために行われます。また、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われます。

1)排尿のトラブルに対するリハビリテーション

子宮を広範囲に切除した場合、排尿のトラブルや便秘が起こることがあります。排尿がうまくできない、またその可能性がある場合には、リハビリテーション治療(骨盤底筋筋力訓練)を検討することもあります。また、カテーテルを尿道から膀胱へゆっくり挿入し、カテーテルを通して尿を出す、間欠かんけつ導尿どうにょうほうを行うことがあります。

2)身体機能低下に対するリハビリテーション

子宮体がんの治療中や治療後は、身体活動が低下してしまうことが多くなり、肥満やクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の低下などの問題が起きやすくなります。特に肥満の人には、運動療法が効果的であるといわれています。筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動など、日常生活の中でできるトレーニングについて、医師に確認しましょう。

8.再発した場合の治療

再発とは、治療によって、見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣のあった場所やその近くに、がんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。

子宮体がんでは、子宮や腟などの骨盤内で起こる限られた範囲(局所)での再発のほか、がんが卵巣・卵管などに広がることが比較的多くあります。また、リンパ節、腹膜(内臓の表面をおおっている膜)、肺や肝臓に転移として再発することもあります。

子宮体がんが再発した場合の治療は、再発した場所やがんの広がりなどによって検討します。手術で切除した腟の断端(切り口)に再発した場合には、放射線治療を行います。腟の断端以外の骨盤内に再発した場合で、がんが手術で取り切れる場合には、手術を検討することもあります。切除が難しい場合には、薬物療法が選択肢になります。いずれの場合にも、体の状態や再発した時期、これまでの治療法なども考慮しながら治療の方針を決めていきます。

更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月12日 5年相対生存率データを更新しました。
2016年01月27日 「子宮体がん治療ガイドライン2013年版」より、「子宮体がんの病期と治療方法」の図を更新しました。
2014年10月03日 5年相対生存率データを更新しました。
2013年12月13日 「子宮体がん治療ガイドライン2009年版」に準じて内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 療養

1.経過観察

治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんの進行度や治療法によって異なります。

経過観察は、治療終了から1~3年までは3~6カ月ごと、4~5年までは6~12カ月ごとを目安に行います。通院時には、体調の変化など自覚症状についての問診や内診(直腸診含む)とともに、再発リスクなどにより、細胞診、血液検査、超音波断層法検査(エコー検査)、胸部Xエックス線検査やCT検査などを必要に応じて行うことがあります。再発が疑われる症状があった場合には、CT検査やMRI検査、PET-CT検査などの画像検査を行います。

2.日常生活を送る上で

規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。

症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なりますので、体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。

1)手術や放射線治療後の日常生活

手術後には、排尿のトラブルや便秘、リンパ浮腫などが起こることがあります。また、閉経前に両側の卵巣を切除したり、放射線治療によって卵巣の機能が失われたりすると、女性ホルモンが減少し、ほてりや発汗など更年期障害と同様の症状(卵巣らんそう欠落けつらく症状しょうじょう)が起こることがあります。放射線治療を受けたあと数カ月から数年たってから、消化管や尿路、ちつなどに影響が出ることもあります(晩期合併症)。

(1)排尿のトラブル

排尿に関係する神経はじんたい(子宮頸部けいぶの周囲にある組織の1つ)の中を走っているので、基靱帯を広く切除する広汎こうはん子宮全摘出術をした場合に排尿障害が起こりやすくなります。症状は、尿がたまった感じが分かりにくい、尿を出しにくい、尿が全部出しきれない、尿がもれるなどです。個人差はありますが、多くは手術後数週間から数カ月である程度は改善します。しかし、手術前とまったく同じ状態に回復することは難しいので、尿をためすぎない、強くおなかを押して無理やり出さない、一定の間隔で排尿するなど日常生活での注意が必要です。泌尿器科の医師の診察や治療が必要になる場合もあります。

(2)便秘

排尿のトラブルと同様、広汎子宮全摘出術をした場合に起こりますが、排尿のトラブルよりも頻度は低く、比較的短期間で回復します。多くの場合、食事の調整や下剤の服用で対処できますが、大腸外科、肛門科の医師の診察や治療が必要な場合もあります。

(3)リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ節を切除した場合に起こることがあります。リンパ液は手足の先から胸部へと一方向に流れています。リンパ液の通り道であるリンパ節とリンパ管を切り取ることによって、リンパ液の通り道が少なくなり、足や下腹部がむくみやすくなります。

現在のところ、リンパ浮腫の確実な予防法はありませんが、自分でできる工夫には、適度に体を動かしてリンパ液の流れを促すことや、適切な体重を維持すること、スキンケアを行い感染を予防することなどがあります。周囲の人の力を借りながら、無理をせずに日常生活を送りましょう。また、リンパ浮腫を早く見つけて治療をするためには、自分の体のどこにむくみが生じやすいかを知り、むくんでいないかを確認することが大切です。リンパ浮腫外来などの専門家がいる医療機関もありますので、担当医に相談した上で利用するのもよいでしょう。

リンパ浮腫について、自分でできる工夫や医療者に相談すべきタイミングなどについて紹介しています。
リンパ浮腫外来(リンパ浮腫の専門家のいる外来)を検索することができます。

(4)卵巣欠落症状

閉経前に両側の卵巣を切除する手術を受けたり、放射線治療で卵巣の機能が失われたりした場合、女性ホルモンが減少し、更年期障害と同様の症状が起こりやすくなります。この症状を卵巣欠落症状といいます。具体的には、ほてり、発汗、食欲低下、だるさ、イライラ、頭痛、肩こり、動悸どうき、不眠、腟からの分泌液の減少、骨粗しょう症、脂質異常症(高脂こうし血症けっしょう)などの症状があらわれます。症状の強さや発症する期間は人によって異なりますが、特に年齢が若いと症状が強くなる傾向があります。症状を軽くするためには、血行をよくしたり、精神的にリラックスしたりすることも大切です。つらいときは我慢しないで担当医に伝えましょう。症状を和らげるため、必要に応じてホルモン補充療法薬や漢方薬などが処方されます。

(5)放射線治療の晩期合併症

放射線治療を受けたあと数カ月から数年たってから起こる合併症があります。これを晩期合併症といいます。晩期合併症には、消化管からの出血や閉塞、穿孔せんこう(穴が開くこと)、直腸腟ろう(直腸と腟がつながって腟から便がもれる症状)などがあります。また、尿路の障害として、出血、感染、膀胱尿管腟ろう(膀胱や尿管と腟がつながって腟から尿がもれる症状)などが起こることがあります。そのほかに、腟が狭くなったり、腟の壁同士がくっついたりすることなどがあります。対処方法は症状により異なります。気になる症状があらわれたら放置せず、治療を受けた病院か婦人科の専門医のいる医療機関に相談しましょう。

2)薬物療法中の日常生活

支持療法が進歩したため、薬物療法の副作用を予防したり、症状を緩和したりできるようになりました。このため、通院で薬物療法を行うことが増えています。

通院での薬物療法は、仕事や家事、育児、介護など、今までの日常生活を続けながら治療を受けることができますが、体調が悪くても、無理をしてしまうことがあります。日常生活を送っていたとしても、治療により万全の体調ではないことを忘れないようにしましょう。また、いつも医療者がそばにいるわけではないため、不安に感じることもあるかもしれません。予想される副作用やその時期、対処法について医師や看護師、薬剤師に事前に確認し、通院時には疑問点や不安点などを相談しながら治療を進めるとよいでしょう。

3)食事や運動について

手術や放射線治療などで卵巣の機能が失われたり、内分泌療法薬を使用したりすると、女性ホルモンが減少するため骨密度が低くなり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。カルシウムやビタミンDを多く含む食べ物を積極的にとるとともに、適度な運動を心がけてください。心配であれば骨密度を測定するのもよいでしょう。

また、閉経前に卵巣の摘出手術を行った場合、心血管疾患や脂質異常症なども起こりやすくなります。食事や運動などで、予防や改善に努めることが大切です。食事では、健康的な内容を心がけ、栄養バランスに注意し、楽しく気持ちよく食べましょう。運動は、体力の回復に合わせて散歩などから始め、少しずつ運動量を増やしましょう。ただし、退院直後は体力が低下しているので、しばらくは、疲れたらすぐに横になるなど、無理をしないことが大切です。

4)性生活について

性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。

なお、薬物療法中やそのあとは、腟分泌物に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、治療の影響により腟分泌物の減少や、腟を切除することによる性交障害が起こることもあります。

子宮体がんでは、子宮や卵巣を切除することが治療の基本となるため、性生活に不安を感じることがあるでしょう。家族や夫婦関係のことなど、女性としてのつらい気持ちや悩み、心配事が重なることは少なくありません。今の自分の気持ちを落ち着いて整理する、担当医や看護師などの医療者に伝える、自分と似た経験をした人の話を患者会などで聞くといったことが役立つかもしれません。パートナーや家族と一緒に話し合ってみるのもよいでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、あまり否定的になりすぎないことも大切です。

がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報を掲載しています。
がんの治療の種類ごとの、性生活への影響と対処方法などについての情報を掲載しています。

以下の関連情報では、療養中に役立つ制度やサービスの情報を掲載しています。

がんと診断されてからの働き方についてQ&A形式で紹介しています。
がんの治療にかかる主な費用や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報について掲載しています。
治療で不安なこと、痛みやつらさ、治療費のことなど、がんに関するさまざまな相談に対応する窓口について紹介しています。
各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。
更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

現在行われている標準治療は、より多くの人によりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

子宮体がん(子宮内膜がん)の臨床試験を探す

国内で行われている子宮体がん(子宮内膜がん)の臨床試験が検索できます。

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臨床試験への参加を検討する際は、以下の点にご留意ください。

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、担当医にご相談ください。
  • がんの種類や状態によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
がんの臨床試験への参加を考えるときに、知っておきたい情報について掲載しています。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。
更新・確認日:2021年07月01日 [ 履歴 ]
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2021年07月01日 掲載しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 患者数(がん統計)

1.患者数

年に日本全国で子宮体がんと診断されたのは例(人)です。

2.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つに、生存率があります。生存率とは、診断からある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示します。がんの治療成績を表す指標としては、がんの診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。

以下のページに、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表している院内がん登録から算出された子宮体がんの生存率を示します。

生存率は、過去のある期間にがんと診断された人のデータから算出しています。治療法の進歩などにより、近年の状況やこれから治療を受ける人には当てはまらない可能性があります。

生存率の示し方にはいくつかあります。1つは「実測生存率」といい、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。これに対して、がん以外の死因の与える影響ができるだけ少なくなるように補正したのが「相対生存率」です。相対生存率は、複数のがん種や集団間で比較することができるため、がんの治療成績を示す指標として主に使われてきました。また、近年では、より正確にがん以外の死因を除いて計算できる「純生存率(Net Survival;ネット・サバイバル)」が国際的にも採用されるようになってきています。

以下のページでは、最新の病期別5年生存率(実測生存率およびネット・サバイバル)を確認することができます。
更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 内容を更新しました。
2023年07月05日 「2.生存率」の院内がん登録生存率集計結果閲覧システムのリンク先を更新しました。
2022年01月25日 「2.生存率」に院内がん登録生存率集計結果閲覧システムへのリンクを追加しました。
2021年07月01日 掲載しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 予防・検診

1.発生要因

子宮体がんには、エストロゲンという女性ホルモンに長期間さらされることが原因で発生するものと、エストロゲンとは関係ない原因で発生するものがあります。エストロゲンが関係している子宮体がんにはるいないまくがんが多く、関係していないがんには漿しょうえきせいがんやめいさいぼうがんが多いことが分かっています。

エストロゲンが関係している子宮体がんでは、エストロゲンにさらされている期間が長いほど発症リスクが高くなるとされ、原因として出産経験がない、閉経が遅い、肥満(脂肪細胞がエストロゲンを産生する)などがあげられています。また、糖尿病、遺伝性の腫瘍であるリンチ症候群などで子宮体がんのリスクが高くなることが分かっています。

なお、遺伝性腫瘍の家族歴があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

発生要因に関するがん情報サービスの記載方針を掲載しています。
リンチ症候群などの遺伝性の腫瘍についての情報を掲載しています。

2.予防とがん検診

1)予防

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。

子宮体がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。

2)がん検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和5年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。

しかし、子宮体がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。不正出血など気になる症状がある場合には、婦人科を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。

更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
履歴
2023年12月21日 内容を更新しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年07月13日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。

子宮体がん(子宮内膜がん) 関連リンク・参考資料

1.子宮体がんの相談先・病院を探す

がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院とは、専門的で質の高いがん医療を提供する病院として国が指定した病院です。これらの病院では、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」を設置しており、病院の探し方についても相談できます。

以下の「相談先・病院を探す」では、子宮体がんの診療を行うがん診療連携拠点病院などの病院やがん相談支援センターを探すことができます。また、診断や治療の実施状況や病院の種類などで絞り込んで検索することや、院内がん登録の件数などを確認することもできます。

2.参考資料

  1. 日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン2023年版.2023年,金原出版.
  2. 日本婦人科腫瘍学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版.2023年,金原出版.
  3. 日本産科婦人科学会・日本病理学会編.子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版.2022年,金原出版.
  4. 日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学(改訂第6版).2021年,南江堂.
  5. 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会編.ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版.2018年,日本産科婦人科学会事務局.

作成協力

更新・確認日:2023年12月21日 [ 履歴 ]
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2023年12月21日 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版」より、内容を更新しました。
2021年07月01日 「1.子宮体がんの相談先・病院を探す」を追加しました。
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年07月13日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
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