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子宮体がん(子宮内膜がん)(しきゅうたいがん[しきゅうないまくがん])

更新・確認日:2019年07月11日 [ 履歴 ]
履歴
2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年07月13日 「4.疫学・統計」を更新しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
診療の流れ、セカンドオピニオンなど、本格的に治療を始める前に知っておいていただきたい情報については以下の「治療にあたって」をご参照ください。

1.子宮について

子宮は女性の骨盤内にある臓器で、大きさは成人女性で鶏の卵程度です。子宮は、下部の筒状の「子宮頸部(けいぶ)」と、上部の袋状の「子宮体部(たいぶ)」に分けられます。子宮頸部の下は腟(ちつ)につながり、子宮体部の左右からは卵管が出ています。また、子宮の左右には卵巣があります。基靱帯(きじんたい)は、子宮頸部の周囲にある組織(子宮傍組織)の1つで、子宮を支えています(図1)。
子宮は、妊娠したときに胎児を育てる器官です。筋肉でできており、内側は子宮内膜と呼ばれる粘膜でおおわれています。子宮内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの作用を受けると、受精卵の着床に備え、増殖して厚くなり、妊娠しなければはがれおちます。これを月経といい、この周期は閉経するまで通常4週間隔で繰り返されます。
【図1 子宮の構造と周囲の臓器】
図1 子宮の構造と周囲の臓器
図1 子宮の構造と周囲の臓器の図
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2.子宮体がん(子宮内膜がん)とは

子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。子宮体がんは、子宮内膜から発生することから、子宮内膜がんとも呼ばれます。
この他に、子宮の筋肉の層から発生する腫瘍があり、良性のものを子宮筋腫といい、悪性のものを子宮肉腫(がん肉腫や平滑筋肉腫など)といいます。子宮肉腫は子宮体がんと比べて発生頻度はまれで、悪性腫瘍ですが子宮体がんとは異なるものです。
ここでは、子宮体がん(子宮内膜がん)について解説します。

3.症状

子宮体がんで、最も多い自覚症状は出血です。月経ではない期間や閉経後に出血がある場合は注意が必要です。出血の程度には、おりものに血が混ざり、褐色になるだけのものもあります。他には、排尿時の痛みや排尿のしにくさ、性交時の痛み、下腹部の痛みなどの症状があり、進行した場合は腹部膨満感(おなかが張る感じ)があらわれることもあります。
これらのような気になる症状がみられたら、早めに婦人科を受診し、早期発見につなげましょう。

4.組織型分類(がんの組織の状態による分類)

子宮体がんは、がんの組織の状態により、類内膜(るいないまく)がん、漿液性(しょうえきせい)がん、明細胞(めいさいぼう)がんなどの組織型に分類されます。この中で最も多いのは類内膜がんです。漿液性がんと明細胞がんは悪性度が高いとされています。

5.関連する疾患

子宮の病気の1つに、子宮内膜が異常に分厚く増殖した状態となる子宮内膜増殖症があります。増殖した細胞が正常ではない場合は、子宮内膜異型増殖症と呼ばれます。子宮内膜異型増殖症を発症すると、子宮体がんが発生する可能性が高かったり、すでにがんになっていたりすることがわかっています。

6.患者数(がん統計)

子宮体がんは、日本全国で1年間に約16,000人が診断されます。子宮体がんと診断される人は40歳ごろから増加して、50歳から60歳代でピークを迎えます1)2)

7.発生要因

子宮体がんは、エストロゲンという女性ホルモンの刺激が長期間続くことが原因で発生する場合と、エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合があります。
エストロゲンが関係していると考えられる原因には、出産経験がないこと、閉経が遅いこと、肥満、エストロゲンを産生する腫瘍があげられます。その他に、乳がんの治療で使われるタモキシフェンや、更年期障害の治療で使われるエストロゲンを補充する薬を単独で使用することが、子宮体がんの発生に関係しているといわれています。ただし、エストロゲンについては、黄体ホルモンを併用することによって、子宮体がんの発生する危険性が高くならないことがわかっています。
エストロゲンとは関係ない原因には、糖尿病、血縁者に大腸がんになった人がいること、遺伝性腫瘍の1つであるリンチ症候群があります。若くして大腸がんや子宮体がんになった家族や親戚がいる場合は、「遺伝性腫瘍・家族性腫瘍」もご参照ください。

8.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
しかし、子宮体がんについては、現在、指針として定められている検診はありませんが、一部の自治体では子宮体部の細胞診による検診を行っているところもあります。気になる症状がある場合には、婦人科を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。
なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わった後の検査は、ここでいう検診とは違います。

9.「子宮体がん」参考文献

1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録2015年全国推計値,2019年
2)厚生労働省.がん登録 全国がん罹患数 2016年速報,2019年
3)日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン2018年版,金原出版
4)日本産科婦人科学会・日本病理学会編.子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版.2017年,金原出版
5)日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学 改訂第5版.2018年,南江堂
6)日本産科婦人科学会・日本女性医学学会編.ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版,日本産科婦人科学会事務局
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2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年12月13日 「子宮体癌取扱い規約」2012年4月(第3版)に準じて内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

1.子宮体がんの検査

子宮体がんの疑いがある場合は、子宮内膜の細胞の病理検査・病理診断や、内診・直腸診を行い、がんがあるかどうかを確認します。がんの位置や、がんがどこまで広がっているかを調べるためには、子宮鏡検査や画像検査を行います。

2.検査の種類

1)病理検査・病理診断

(1)細胞診

腟(ちつ)から子宮内に細いチューブやブラシのような器具を挿入して、子宮内膜の細胞を少し採取し、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べます。細胞を採取する際、個人差はありますが、チクッとした痛みを感じる場合があります。また、検査のあとに数日間、おりものが茶色っぽくなったり、出血したりすることがあります。

(2)組織診

細胞診で異常があった場合には、細いスプーンやチューブのような形をした器具を使って、疑わしい部分の子宮内膜の組織を削り取ったり吸い取ったりして採取し、顕微鏡でさらに詳しく調べます。子宮内膜の全面を採取する場合は、痛みを伴うので麻酔をかけて行います。この検査で組織型と悪性度を調べ、子宮体がんであるかの確定診断をします。

2)内診・直腸診

内診では、腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や大きさ、形、硬さに加えて、周囲の組織と癒着がないかなども調べます。直腸診をすることもあり、直腸やその周囲に異常がないかを、肛門から指をさし入れて調べます。
用語集
癒着 

3)子宮鏡検査

がんの位置や形状を直接確認するため、内視鏡を腟から子宮体部に入れて見ることがあります。病理診断と組み合わせて行う場合が多く、直径3mm程度の細いカメラを使います。

4)画像検査

診察や検査の結果、がんの存在が確定した場合や、がんである可能性が高いと判断された場合に、画像診断を行い、がんの大きさや広がり、転移があるかどうかなどを調べます。

(1)超音波(エコー)検査

体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像にして調べる検査です。がんと周囲の臓器との位置関係を調べます。子宮体がんでは主に、超音波を発する器具を腟に入れて子宮体部の中の様子を調べる、経腟超音波検査をします。

(2)CT検査・MRI検査

CT検査は、X線を使って体の内部の様子を画像にして調べる検査です。MRI検査では磁気を使います。CTやMRIを使った検査では、リンパ節転移の有無、肺や肝臓などへの遠隔転移の有無、周辺臓器へがんがどの程度広がっているかを調べます。
特にMRI検査では、がんが子宮の筋肉にどの程度まで入り込んでいるか、卵巣に病変があるかどうかも調べることができます。
また、CT検査とPET検査を併用したPET/CT検査を、リンパ節転移や遠隔転移の有無の診断のために補助的に活用することがあります。

5)腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんの種類により特徴的に産生される物質で、血液検査などにより測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇を示さないこともありますし、逆にがんがなくても上昇を示すこともあります。
現在のところ、子宮体がんでは診断や治療効果の判定に使用できるような、特定の腫瘍マーカーはありません。
更新・確認日:2019年07月11日 [ 履歴 ]
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2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2016年02月12日 5年相対生存率データを更新しました。
2016年01月27日 「子宮体がん治療ガイドライン2013年版」より、「子宮体がんの病期と治療方法」の図を更新しました。
2014年10月03日 5年相対生存率データを更新しました。
2013年12月13日 「子宮体がん治療ガイドライン2009年版」に準じて内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

1.病期と治療の選択

治療方法は、がんの進行の程度や体の状態などから検討します。がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」として分類します。病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的です。

1)病期(ステージ)

子宮体がんの病期は、がんの大きさだけでなく、子宮の筋肉の層内にがんがどの程度深く入っているか、リンパ節転移や肺などへの遠隔転移があるかどうかで分類されています。
子宮体がんでは、手術で摘出したものを病理学的に診断した結果をもとに、がんがどの程度広がっていたかを調べて決定する、手術進行期分類を用いています(表1)。このため、手術前に推定される臨床病期とは一致しないことがあります。最初の治療で手術をしなかった場合は、CT検査やMRI検査、PET/CT検査などの画像診断により病期を推定します。
表1 子宮体がんの手術進行期分類(日産婦2011、FIGO2008)
表1 子宮体がんの手術進行期分類(日産婦2011、FIGO2008)の表
日本産科婦人科学会・日本病理学会編「子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年)」(金原出版)より作成

2)術後の再発リスク分類

手術後の治療方針を決めるために、手術で採取したがん細胞の組織型や悪性度と、がんの広がりから再発のリスクを予測します。
子宮体がんは、組織型や悪性度により3つのグループに分けられます。具体的には、再発の低い順に、「類内膜(るいないまく)がんのうち悪性度が比較的低いもの」「類内膜がんのうち悪性度が高いもの」「漿液性(しょうえきせい)がん・明細胞(めいさいぼう)がん」の3つです。
手術後は、これら3つのどのグループに所属するのかと、子宮の筋肉の層、血管、リンパ管、子宮頸部、子宮の周りへのがんの広がりから、再発リスク分類のうち、低リスク、中リスク、高リスクのどれに当てはまるか予測した上で治療方針を決めていきます(図2)。
図2 組織型や悪性度とがんの広がりによる術後の再発リスク分類
図2 組織型や悪性度とがんの広がりによる術後の再発リスク分類の図
日本婦人科腫瘍学会編「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」(金原出版)より作成
用語集
再発 

3)治療の選択

子宮体がんの治療では、手術により、子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を取り除くことが基本です。手術後は、病期の確定と、術後の再発リスク分類による判定を行い、結果に応じて治療法を選択します。
図3は、子宮体がんに対する治療方法を示したものです。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。
図3 子宮体がんの治療の選択
図3 子宮体がんの治療の選択の図
日本婦人科腫瘍学会編「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」(金原出版)より作成
子宮体がんの標準治療は、子宮と卵巣・卵管の摘出です。しかし、一定の条件を満たした場合には、卵巣や子宮を残すことが可能になる場合があります。将来子どもをもつことを希望している場合には、妊よう性温存治療(妊娠するための力を保つ治療)が可能かどうかを、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

・卵巣を残すことが可能になる場合

年齢が若く、類内膜がんで悪性度が低いこと、筋肉の層への広がりが浅いこと、そして卵巣を残すことによるリスクについて説明を受け、納得ができている場合です。

・子宮を残すことが可能になる場合

早期がんまたは類内膜がんで悪性度が低いことに加えて、黄体(おうたい)ホルモン(卵巣から分泌される女性ホルモン)によって成長が抑制される性質をもったがんの場合です。
卵巣や子宮を残すかどうかの検討は、担当医とよく話し合い、卵巣や子宮を残すことのできる条件が限られていることや、デメリットなどを十分理解した上で行うことが大切です。

2.手術(外科治療)

子宮体がんの治療の第一選択は手術です。手術によりがんを取り除くと同時に、がんの広がりを正確に診断し、放射線治療や薬物療法などを追加する必要があるかどうかを判断します。
手術方法は、基本的に開腹手術で、切除する範囲によって異なります。がんが進行していると切除する範囲を広げる必要がありますが、切除が広範囲にわたると合併症が起こることがあるため、十分に検討した上で適切な手術方法を選択します。
早期の子宮体がんでは、腹腔鏡下手術や手術用ロボットを遠隔操作して行うロボット支援下手術が可能な場合もあります。出血が少ない、入院が短期間になるなどのメリットがありますが、がんの進行の程度や、年齢、他にかかっている病気などによっては、行えない場合があります。手術の方法については、担当医とよく相談しましょう。

1)手術の種類

手術の種類には、(1)単純子宮全摘出術、(2)準広汎(こうはん)子宮全摘出術、(3)広汎子宮全摘出術があります。

(1)単純子宮全摘出術

開腹して子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を摘出します。手術進行期分類(表1)のI期でも再発のリスクが高いと想定される場合や、II期以上が疑われた場合には、骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行うこともあります。
図4 単純子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲
図4 単純子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲の図

(2)準広汎子宮全摘出術

子宮を支える組織の一部を含め、子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を摘出します。骨盤内と腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行うこともあります。
図5 準広汎子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲
図5 準広汎子宮全摘出術と両側付属器摘出術の範囲の図

(3)広汎子宮全摘出術

卵管、卵巣、腟および子宮周囲の組織を含めた広い範囲で、子宮を摘出します。この手術方法は、手術前の診断で、がんが子宮の頸部に及んでいる場合(II期およびIII期の一部)に行うことがあります。通常、広汎子宮全摘出術の場合は、骨盤内のリンパ節郭清を行います。同時に、腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合もあります。
図6 広汎子宮全摘出術の範囲
図6 広汎子宮全摘出術の範囲の図

2)手術後の合併症

子宮体がんでは、手術の範囲によって、治療後の経過が大きく異なります。術後はしばらく傷が痛むため、起き上がったり、立ち上がったりするときに、治療部分である下腹部に力を入れることが難しく、移動や、排尿・排便に苦労することがあります。傷の状態が安定し、痛みがとれてくると、少しずつ動ける範囲が広まります。その他には、足がむくんだり(リンパ浮腫)、更年期障害のような症状が現れたりすることがあります。気になる症状があるときには、担当医や看護師に相談してみましょう。

(1)排尿のトラブル

広汎子宮全摘出術などで子宮の周りの組織を含めて広範囲に切除する手術を行った場合、尿の排泄を調節する神経が傷ついたり、うまく働かなくなったりすることによって、排尿についての合併症が多く起こります。尿が出にくくなる、尿がたまっても尿意を感じない、尿が漏れるなどの症状がみられます。

(2)便秘

広汎子宮全摘出術などで子宮の周りの組織を含めて広範囲に切除する手術を行った場合、排尿障害と同じように、排便を調節する神経が傷ついたりうまく働かなくなったりすることによって、便秘になる場合があります。放射線治療を行った場合にも、しばらくしてから腸の動きが悪くなり、便秘になることがあります。
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(3)足がむくむ(リンパ浮腫)

骨盤内や足の付け根(鼠径部[そけいぶ])のリンパ節を取り除いた場合、両足から骨盤を通って心臓に向かうリンパの流れが滞り、下半身がむくむことがあります。このむくみを、リンパ浮腫といいます。治療後早期にあらわれることもありますが、数年たってから出ることも少なくありません。リンパ節を取り除いた後に、放射線治療を追加した場合は、よりむくみが出やすくなります。

(4)更年期障害のような症状

閉経前に両側の卵巣を切除する手術をした場合や、放射線治療で卵巣の機能が失われた場合、女性ホルモンが減少し、更年期障害に似た症状(卵巣欠落症状[らんそうけつらくしょうじょう])が起こりやすくなります。具体的には、ほてり、発汗、食欲低下、だるさ、イライラ、頭痛、肩こり、動悸(どうき)、不眠、腟からの分泌液の減少、骨粗しょう症、高脂血症(こうしけっしょう)などの症状があらわれます。症状の強さや発症する期間は人によって異なりますが、特に年齢が若いと症状が強くなる傾向があります。
症状を軽くするためには、血行をよくしたり、精神的にリラックスしたりすることが大切です。時間の経過とともに、症状は徐々に消えますが、つらいときは我慢しないで担当医に伝えましょう。必要に応じて症状を和らげる薬が処方されます。

3.放射線治療

放射線による治療では、高エネルギーのX線やガンマ線でがん細胞を傷つけ、がんを小さくします。
手術後の再発予防を目的として、体の外から放射線を照射する外部照射、または、腟内から子宮の中に放射線を照射する腔内(くうない)照射を行います。
高齢者や他にかかっている病気などによって手術ができないとき、また、がんの進行や転移による痛みなどのがんによる症状や、止血の難しい出血をおさえるときに行うこともあります。
副作用として、子宮体がんの放射線治療の場合、直腸炎、膀胱炎、小腸の閉塞(へいそく:ふさがること)や下痢などが起こることもあります。治療が終わって数カ月から数年たって起こる症状(晩期合併症)もあります。患者さんによって副作用の程度は異なります。

4.薬物療法

子宮体がんでは、再発のリスクを減らすことを目的として、手術後に点滴や飲み薬による薬物療法を行うことがあります。また、手術でがんが切除できない場合や、切除しきれない場合、がんが再発した場合にも薬物療法を行います。

1)細胞障害性抗がん薬

再発のリスクが高いと判断された場合、手術ができない場合、再発した場合に、細胞障害性抗がん薬を使います。一般的に、ドキソルビシンとシスプラチンを併用するAP療法やパクリタキセルとカルボプラチンを併用するTC療法を行います。薬剤の選択は、患者さんの状態や副作用などを考えて決めていきます。

2)内分泌療法薬

再発リスクが高い場合の補助的な治療として行うことがあるほか、AP療法やTC療法の効果が不十分な場合やできない場合に、黄体ホルモン薬を用いた内分泌療法を行うことがあります。

5.緩和ケア/支持療法

緩和ケアとは、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法です。がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われ、希望に応じて幅広い対応をします。
なお、支持療法とは、がんそのものによる症状やがん治療に伴う副作用・合併症・後遺症による症状を軽くするための予防、治療およびケアのことを指します。
本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。

6.リハビリテーション

がんそのものや治療に伴う合併症や副作用などから、患者さんが受けるさまざまな身体的・心理的な障害の緩和や、能力の回復・維持を目的に行われています。

1)排尿のトラブルに対するリハビリテーション

子宮を含めて広範囲にわたり切除するため、排尿のトラブルや便秘が起こることがあります。排尿がうまくできない場合には、カテーテルを尿道から膀胱へゆっくり挿入し、カテーテルを通して尿を出す、間欠導尿法(かんけつどうにょうほう)を行うことがあります。

2)身体機能低下に対するリハビリテーション

子宮体がんの治療中や治療後は、身体活動が低下してしまうことが多くなり、肥満やクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の低下などの問題が起きやすくなります。特に肥満を伴う子宮体がんの患者さんには、運動療法が効果的であるといわれています。

7.臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。
現在行われている標準治療は、より多くの患者さんによりよい治療を提供できるように、研究段階の医療による研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきました。

●子宮体がんの臨床試験

現在国内で行われている臨床試験(医師・研究者が実施する臨床試験、および製薬企業や医師が実施する治験の一部)に関しては、「がんの臨床試験を探す」で情報を閲覧できます。
参加できる臨床試験があるかについては、担当医に相談してみましょう。

8.生存率

がんの治療成績を示す指標の1つとして、生存率があります。
生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間経過した時点で生存している割合のことで、通常はパーセンテージ(%)で示されます。
がんの治療成績を表す指標としては、診断から5年後の数値である5年生存率がよく使われます。
なお、生存率には大きく2つの示し方があります。1つは「実測生存率」と言い、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。他方を「相対生存率」と言い、がん以外の死因を除いて、がんのみによる死亡を計算した生存率です。
以下のページに、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターが公表している院内がん登録から算出された生存率を示します。ここでは、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供する目的で、5年生存率より新しいデータで算出をした3年生存率についても情報提供をしています。
※データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまる値ではありません。

9.転移・再発

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れなどに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。また、再発とは、治療の効果によりがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。

1)転移

子宮の壁の外側半分には血管が多く存在することから、子宮体がんが筋肉の層の深い部分に広がると、転移の可能性が大きくなります。子宮体がんでは、がんが卵巣・卵管に広がることが比較的多いのが特徴です。その他、リンパ節、腟、内臓の表面をおおっている膜である腹膜、肺に転移することもあります。
転移した場合は、薬物療法や放射線治療だけでなく、痛みや食欲の低下に対する治療を含め、患者さんの状態や症状に応じて、治療の方針を決めていきます。

2)再発

子宮体がんでは、子宮や腟などの骨盤内で起こる限られた範囲(局所)での再発のほか、肺や肝臓などの子宮から離れた臓器で転移として再発が見つかることがあります。
局所での再発の場合は、手術を行うこともありますが、薬物療法や放射線治療を行うことがほとんどです。再発といっても、それぞれの患者さんで病気の状態は異なります。がんの広がりや再発した時期、これまでの治療法などによって、今後の方針を決めていきます。
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2019年07月11日 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」より、内容の更新をするとともに、4タブ形式に変更しました。
2013年12月13日 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。
2006年10月01日 内容を更新しました。
2000年01月24日 掲載しました。

1.日常生活を送る上で

症状や、治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。ご自身の体調をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
また、退院後にも、排尿のトラブルや便秘の問題、リンパ浮腫などの合併症が続く場合があります。不快な症状が続くときには、担当医に相談しましょう。

1)食事について

手術や放射線治療などで卵巣の機能が失われたり、内分泌療法薬を使用したりすると、女性ホルモンが減少するため骨密度が低くなり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。カルシウムやビタミンDを多く含む食べ物を積極的にとるとともに、適度な運動を心がけてください。心配であれば骨密度を測定するのもよいでしょう。
子宮体がんでは、肥満になりやすいといわれています。健康的な内容の食事を心がけ、栄養のバランスに注意し、楽しく気持ちよく食べることが大切です。

2)運動について

退院直後は体力が低下しているので、しばらくは、疲れたらすぐに横になる、脚を高くして休むなど、無理をしないことが大切です。体力の回復に合わせて、散歩などから始め、少しずつ運動量を増やしましょう。

3)性生活について

子宮体がんでは、子宮や卵巣を切除することが治療の基本となるため、性生活に不安を感じることがあるでしょう。治療の影響で腟からの分泌物が減少する場合があります。また、腟を切除することによる性交障害が起こることもあります。
家族や夫婦関係のことなど、女性としてのつらい気持ちや悩み、心配事が重なることは少なくありません。今の自分の気持ちを落ち着いて整理する、担当医や看護師などの医療従事者に伝える、自分と似た経験をした患者さんの話を患者会などで聞くといったことが役立つかもしれません。パートナー(配偶者・恋人)や家族と一緒に、解決方法を話し合うのもよいでしょう。前向きな気持ちになれない日々が続くのも自然なことと捉えて、否定的になりすぎないことが大切です。

2.経過観察

治療を行った後には、体調や再発の有無を確認するために、定期的な通院が必要になります。
手術をした場合の通院の目安
●手術後3年目まで:1カ月から4カ月ごと
●手術後4年目と5年目:半年ごと
●それ以降:1年ごと
通院時には、体調の変化や合併症についての問診と、必要に応じて内診や、直腸診、細胞診、血液検査、X線検査、CT検査・MRI検査などの画像検査を行います。排泄に関する合併症がある場合には、泌尿器科や大腸外科、肛門科の医師の診察や、必要な治療を受ける場合もあります。
規則正しい生活を送ることで、体調の維持や回復を図ることができます。禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動など、日常的に心がけることが大切です。