1.発生要因
子宮体がんには、エストロゲンという女性ホルモンに長期間さらされることが原因で発生するものと、エストロゲンとは関係ない原因で発生するものがあります。エストロゲンが関係している子宮体がんには類内膜がんが多く、関係していないがんには漿液性がんや明細胞がんが多いことが分かっています。
エストロゲンが関係している子宮体がんでは、エストロゲンにさらされている期間が長いほど発症リスクが高くなるとされ、原因として出産経験がない、閉経が遅い、肥満(脂肪細胞がエストロゲンを産生する)などがあげられています。また、糖尿病、遺伝性の腫瘍であるリンチ症候群などで子宮体がんのリスクが高くなることが分かっています。
なお、遺伝性腫瘍の家族歴があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。
2.予防とがん検診
1)予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
子宮体がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。
2)がん検診
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和5年一部改正)」でがん検診の方法が定められています。
しかし、子宮体がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません。不正出血など気になる症状がある場合には、婦人科を早めに受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。
なお、がん検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。症状をもとに受診して行われる検査や、治療後の経過観察で行われる定期検査は、ここでいうがん検診とは異なります。