1.経過観察
治療後は、定期的に通院して検査を受けます。検査を受ける頻度は、がんのステージ(病期)や治療法によって異なります。
手術後は、回復の度合いや再発の有無を確認するために、定期的に通院して検査を受けます。通院の頻度は個別の状況により異なりますが、少なくとも手術後5年間は必要で、その後も継続して検査を受けることが勧められています。手術後2年間は3〜6カ月おきに、それ以降は6〜12カ月おきに受診します。
診察では、黄疸の有無や血糖、肝機能、腫瘍マーカーなどを調べるための血液検査と、腹部の超音波(エコー)、CT、MRIなどの画像検査を行います。
2.日常生活を送る上で
規則正しい生活は、体調の維持や回復によい影響をもたらします。禁煙、飲酒を控えること、バランスのよい食事、適度な運動などを日常的に心がけることが大切です。
症状や治療の状況により、日常生活の注意点は異なります。体調をみながら、担当医とよく相談して無理のないように過ごしましょう。
また、患者会や患者サロンなどでは、同じ病気や症状、障害、同じ治療を受けたなど、共通の体験をもつ人から生活などについて情報を聞くことができます。患者会や患者サロンなどの情報は、がん相談支援センターにもお問い合わせください。
1)手術後の日常生活
(1)消化のよい食事をとる、食事のとり方を工夫する
手術によって、脂肪の消化吸収に重要な胆汁や消化酵素を含む膵液が減少したり、分泌されなくなったりすることがあります。その結果、消化不良による下痢や脂肪肝などを起こしやすくなるので、食事はバランスよく、なるべく消化のよいものをとりましょう。下痢が続く場合には、主治医に相談し、消化を助ける薬の処方を受けることもできます。また、個々の状況にあった献立や調理の工夫、バイパス手術後の食事について、栄養士に相談することもできます。
食事のとり方の工夫には、例えば次のようなものがあります。
- 控えめの量から少しずつ:一度にたくさん食べると、消化や吸収が追い付かないことがあります。
- 場合によっては4食以上に分ける:一回の食事の量が少ないことで、3食では栄養が足りなくなることがあります。回数を増やすなどして栄養を補いましょう。
- 脂肪の多い食べ物は一度にとりすぎない:体調に合わせて食べましょう。
- タンパク質を多く含む食品(大豆製品や魚など)をとる。
- 香辛料は控えめにする。
- コーヒーは控えめにする:カフェインは消化や吸収に影響するため、飲みすぎないようにしましょう。
- アルコール(飲酒)については、医師に確認する。
(2)血糖値の変動に注意する
手術で膵臓を切除した場合、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が減少して、糖尿病になったり、糖尿病が悪化したりすることがあります。血糖値の変化は、手術からしばらくたってから起こることもあります。そのため、手術の直後は血糖値の変化がなくても、定期的な血糖測定を続ける必要があります。糖尿病が発症したり悪化した場合には、糖尿病の専門医などの診察を受ける必要があります。
膵全摘術を受けた場合には、インスリンが分泌されなくなるため、自分で注射を打ってインスリンを補います。注射の方法などは、退院前に担当医あるいは看護師、薬剤師から指導を受けます。
なお、退院後に自分で注射を打つことに不安を感じる場合には、それを支援するさまざまな仕組み(訪問看護によるサポートや訪問介護による見守り等)もあります。分からないことや心配なことは遠慮せず、担当医や看護師などの医療スタッフや、がん相談支援センターにご相談ください。
2)薬物療法中の日常生活
近年では、新しい薬の登場や副作用に対する治療とケアの進歩などにより、通院で薬物療法を行うことが増えています。通院による薬物療法には、自宅での生活を続けながら治療を受けられるメリットがあります。しかし、仕事や家事、育児、介護などを治療前と同じように担うことが難しくなることもあります。予想される副作用やその時期、対処法については、医師や薬剤師、看護師からの事前の説明をよく聞いて確認しておき、特に体調の悪いときには周囲にサポートを求めるなど、自分にできる工夫を探してみましょう。
通院は、疑問や不安に思うことを医療者に伝えるよい機会です。気付いたこと、気になることを日ごろからメモしておくと役立ちます。また、病院の受診が必要なのはどのようなときか、あらかじめ医療者に確認してみましょう。
3)性生活について
性生活によって、がんの進行に悪影響を与えることはありません。また、性交渉によってパートナーに悪い影響を与えることもありません。しかし、がんやがんの治療は、性機能そのものや、性に関わる気持ちに影響を与えることがあります。がんやがんの治療による性生活への影響や相談先などに関する情報は、「がんやがんの治療による性生活への影響」をご覧ください。
なお、薬物療法中やそのあとは、膣分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーが薬の影響を受けないように、コンドームを使いましょう。また、薬は胎児に影響を及ぼすため、治療中や治療終了後、子どもを望む場合でも一定期間は避妊しましょう。経口避妊薬などのホルモン剤を飲むときは、担当医と相談してください。
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