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膵・消化管神経内分泌腫瘍

すい・しょうかかんしんけいないぶんぴつしゅよう

1.膵・消化管神経内分泌腫瘍について

1)膵・消化管神経内分泌腫瘍とは

膵・消化管神経内分泌腫瘍は、膵臓と消化管に発生する神経内分泌腫瘍(NENねん:Neuroendocrine neoplasm)の1つです。消化管の発生部位としては、直腸が多いとされています。

膵・消化管神経内分泌腫瘍は、発生部位や進行度のほか、以下のように分類されます。

(1)悪性度の違いによる分類(WHO分類)

細胞の増殖能力(核分裂の過程にある細胞の数や目印となるタンパク質のKi67値)と組織の形状によって、神経内分泌腫瘍(NETねっと:Neuroendocrine tumor)と、神経内分泌がん(NECねっく:Neuroendocrine carcinoma)の2つに分けられます。さらにNETはNET-G1、NET-G2、NET-G3に分類されます。(図1)

図1 悪性度の違いによる分類
「図1 悪性度の違いによる分類」の画像

(2)ホルモン症状の違いによる分類

ホルモンが過剰に作られる機能性(症候性)と、ホルモンによる症状を認めない非機能性(非症候性)に大きく分かれます。また、機能性(症候性)は、関連するホルモンの種類によってさらに細かく分類されます(表1)。

また、まれですが、遺伝的な素因が発生に関連している場合には、遺伝子の種類によっても分類されることがあります(多発性内分泌腫瘍症1型、フォンヒッペル・リンドウ病、神経線維腫症1型、結節性硬化症といった分類があります)。

2)症状

膵・消化管神経内分泌腫瘍の症状は、機能性(症候性)と非機能性で異なります。

(1)機能性(症候性)神経内分泌腫瘍

機能性(症候性)神経内分泌腫瘍は、過剰に作られるホルモンの種類によって症状が異なります(表1)。

表1 機能性(症候性)神経内分泌腫瘍の種類と症状
機能性(症候性)
神経内分泌腫瘍の
種類
症状 関連するホルモン・
機序
インスリノーマ 低血糖症状(めまい、空腹感、手足のふるえなど)
食事の摂取で症状が回復する特徴があります
インスリンが過剰に増える
ガストリノーマ 胃酸の分泌亢進こうしんによる、腹痛や胸やけ、
なかなか治らない消化性潰瘍、食道炎、下痢など
ガストリンが過剰に増える
グルカゴノーマ 壊死性遊走性紅斑、貧血、体重減少、糖尿病など グルカゴンが過剰に増える
VIPオーマ 大量の水様性下痢(1日3L以上の下痢)、低カリウム血症
(手足のだるさ、こわばり、脱力感、筋肉痛、呼吸困難感など)
VIP(血管作動性腸管ペプチド)が過剰に増える
セロトニン産生腫瘍 皮膚の赤み、下痢、喘息、心疾患 アミン、ペプチドが過剰に増える

(2)非機能性(非症候性)神経内分泌腫瘍

ホルモンによる症状はありませんが、腫瘍が大きくなるにつれて腹部に腫瘤しゅりゅう(しこり)が触れることがあります。腹痛や黄疸おうだん(皮膚や白目の部分が黄色に染まる状態)などの症状が出てくる人もいます。

2.検査

がんの疑いがあるときや治療中・治療後に受けることの多い検査についての情報は、「がんの検査について」をご参照ください。

3.治療

膵・消化管神経内分泌腫瘍の治療に関する情報が掲載されています。

海外の医療事情に基づく情報が含まれており、日本では認められていない治療や薬、行われない補完代替療法等の情報も含まれています。
がんの診断から治療までの流れなどについては「8.関連する情報」、手術・薬物療法・放射線治療などの主な治療法に関する情報は「診断と治療」をご覧ください。「妊孕性(にんようせい)」には、妊娠や出産に関する情報を掲載しています。

4.療養

「症状を知る/生活の工夫」には、がんの治療に伴う症状や自宅での生活の工夫などに関する情報を掲載しています。

がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。

「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。

5.臨床試験

国内で行われている膵・消化管神経内分泌腫瘍の臨床試験が検索できます。

がんの臨床試験を探す チャットで検索
入力ボックスに「膵・消化管神経内分泌腫瘍」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。

がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 消化管の希少がん、肝臓・胆のう・膵臓の希少がん
「カテゴリで検索」では、広い範囲で検索します。そのため、お探しのがんの種類以外の検索結果が表示されることがあります。

  • 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
  • がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
検索の前に、がんの臨床試験についてこちらをご確認ください。
「がんの臨床試験を探す」の使い方のコツや注意事項がまとめてあります。

6.患者数(がん統計)

神経内分泌腫瘍のうち、消化管神経内分泌腫瘍は、新たに診断される人が10万人あたり4人、膵神経内分泌腫瘍は、新たに診断される人が10万人あたり1人と少ないがんです。

7.相談先・病院を探す

情報や病院などが見つからないときにはご相談ください。

電話相談窓口を知りたいときには
全国数カ所の病院に設置されている希少がんホットラインが紹介されています。
がんの相談窓口や病院を探したいときには
病院の探し方について相談したいときには
診療経験のある病院を探したいときには
上のリンク先の「3.対応施設」のがん相談支援センターにお問い合わせいただくと、相談員が施設を検索します。

8.関連する情報

がんの治療を始めるにあたって、参考となる情報です。

これからの治療や生活のことを考える上で、知っておいていただきたい情報を掲載しています。
がんの診療の流れやセカンドオピニオンなどに関する情報を掲載しています。
ご家族や身近な人ががんと診断された人に向けた情報を紹介しています。

9.参考資料

  1. 日本臨床腫瘍学会編.新臨床腫瘍学 改訂第5版.2018,南江堂.
  2. 日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)編.膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン2019年【第2版】.2019年,金原出版.
更新・確認日:2021年02月01日 [ 履歴 ]
履歴
2021年02月01日 関連情報に「がんの臨床試験を探す」へのリンクを追加しました。
2021年01月25日 「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン2019年【第2版】」により、内容を更新しました。
2020年11月04日 関連情報に「神経内分泌がん」「希少がんセンター」へのリンクを追加しました。
2019年05月09日 新規掲載しました。
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