1.胸腺腫と胸腺がんについて
1)胸腺腫と胸腺がんとは
胸腺腫と胸腺がんは、胸腺の上皮細胞から発生する腫瘍です。胸腺は、胸骨の裏側、心臓の上前部(前縦隔)にあり、骨髄などで作られたT細胞というリンパ球(白血球の一種)を成熟させる働きをもつ臓器です。小児期までは大きくなりますが、その後は小さくなっていき、成人になるころにはほぼ脂肪と置き換わります。
胸腺腫と胸腺がんは性質が異なりますが、共に悪性の腫瘍として扱われています。胸腺腫は、腫瘍細胞が増殖するスピードが比較的ゆっくりしていて、周りへ広がっていくことはあっても、離れた場所への転移はすぐには発生しません。一方で、胸腺がんは、増殖のスピードが速く、離れた場所へも転移しやすいといった性質があります。
2)症状
胸腺腫と胸腺がんは、周囲の組織に直接影響を与えるほど大きくならない限りは無症状です。どちらも大きくなると、咳、胸痛、呼吸困難などの症状が出ます。また血液の流れを止めるような部位に腫瘍が発生した際は、顔面や首に、うっ血や浮腫(むくみ)などの症状があらわれます。
また、胸腺腫になった人は、免疫系などに関連した他の病気(重症筋無力症、低ガンマグロブリン血症、多発筋炎など)をもっている場合があり、これらの症状から病気が見つかることもしばしばあります。
3)さらに詳しい情報
胸腺腫と胸腺がんは、診断される人が人口10万人あたり6人未満のがんです。このように、診断される人が少ないがんのことを希少がんといいます。胸腺腫と胸腺がんや治療に関する詳しい情報は、国立がん研究センター希少がんセンターのウェブサイトで公開されていますので、関連情報をご確認ください。
2.相談先・病院を探す
希少がんの電話相談窓口や病院の探し方に関する情報は下記のページをご覧ください。
なお、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されています。がんや治療、仕事やお金、生活の工夫や利用できるサポートなど、困ったときにはどのようなことでも相談できます。情報や病院などが見つからないときにもご相談ください。
3.検査・治療や療養などに関する一般的な情報
がんの診断から治療までの流れや治療などに関する情報は下記のページをご覧ください。
作成協力
国立がん研究センター希少がんセンター
2024年07月05日 | 「肺癌取扱い規約第8版[補訂版]」「肺癌診療ガイドライン 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2022年版」「患者さんと家族のための肺がんガイドブック 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2023年版」より内容を確認し、構成を変更して更新しました。 |
2024年01月18日 | 「6.患者数(がん統計)」を更新しました。 |
2021年02月01日 | 関連情報に「がんの臨床試験を探す」へのリンクを追加しました。 |
2019年05月13日 | 関連情報にPDQ®の情報を追加しました。 |
2019年04月25日 | 「1.胸腺腫と胸腺がんとは」「2.症状」「3.患者数(がん統計)」を更新し、1ページにまとめました。 |
2012年12月18日 | 内容を更新しました。タブ形式に変更しました。 |
1996年04月10日 | 掲載しました。 |