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正社員向けのQ&A(抜粋)

お金と健康保険(正社員向け)

  • Q63 療養中ですが退職することになりました。現在は健康保険と厚生年金保険に加入していますが、退職後の社会保険はどのようになるのでしょうか?また、退職後に傷病手当金の支給を受けることはできるのでしょうか?

    正社員
    非正規雇用者
    A63

    退職前に、会社の人事・労務部署に相談してみましょう。

    年金

    退職したときに60歳未満であれば、厚生年金を抜けて国民年金に加入しなければなりません。

    健康保険

    退職前に2カ月以上継続して勤務していた場合、社会保険は、任意継続被保険者として健康保険を継続することが可能です。継続の場合は、以前の健康保険組合の給付を最大2年間利用することができます。ただし、任意継続被保険者の申請は退職してから20日以内に手続きをする必要があります。
    任意継続の手続きをしない(またはできない)場合は、市町村の国民健康保険に加入するか、またはご家族の被扶養者として健康保険に加入することになります。

    傷病手当金

    職場を退職する日から1年以上さかのぼってその会社の健康保険制度に加入し、退職日以前から傷病手当金を受給していた場合、傷病手当金などの継続給付を受給できる場合があります。会社の人事担当部門や健康保険組合に確認してみましょう。

  • Q64 入院による減収に加えて、治療費がかさんで家計が苦しくなりました。家計を支える制度にはどんなものがありますか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A64

    高額療養費制度

    所得に応じて、一定限度額以上の医療費が免除される制度があります。医療機関や薬局の窓口で支払った金額が同じ月(月の初めから終わりまで)で一定限度額(自己負担額)を超えた場合に、その超えた金額が払い戻されます。払い戻される金額は、年齢や所得によって決まります。入院時の食費負担や差額ベッド代などは含みません。治療を受けるご本人が同居親族の扶養家族になっている場合は、扶養者が高額療養費の申請をする必要があります。
    自己負担額以上の医療費の払い戻しまでには少なくとも3カ月程度かかるため、あとから払い戻されるとはいえ、 一時的な負担はかかります。70歳未満の方(70歳以上の一部の方を含む)であれば、「限度額適用認定証」という書類を取得して支払窓口で提示すれば、入院外来の両方の治療費の支払いを自己負担額内ですませることができます。この制度を利用するには事前申請と認定が必要になりますので、受給の手続きなどは、勤務先の人事労務担当者や、加入している健康保険の事務所に確認してください。国民健康保険の方は、自治体の保険窓口で手続きできます。

    医療費控除

    確定申告を行って医療費(交通費や装具などを含む)を申告すれば、所得控除を受けることができます。治療に関連してどこまでの費用が医療費控除の対象になるかは、国税庁の「タックスアンサー」(巻末参照)などで確認してください。

    傷病手当金制度

    健康保険に加入している場合は、傷病手当金制度が使えます。連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった場合、4日目から標準報酬日額の2/3が1年6カ月までの間支給されます。相談先は以下のとおりです。
    ※原則として、支給開始日以前12カ月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1。

    【健康保険の場合】

    勤務先の人事労務担当者や、加入している健康保険組合にご確認ください。

    【国民健康保険の場合】

    加入している国民健康保険組合や自治体の窓口にご確認ください。加入している組合や自治体によっては傷病手当金制度があります(無い場合もあります)。

  • Q65 治療費が高すぎて、支払えなくなりそうです。患者が治療費を借りられるような制度はないでしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A65

    高額療養費の貸付制度というものがあります。この制度についての手続きは勤務先の人事労務担当者へご確認ください。 

    国民健康保険に加入の場合も、各自治体によって高額療養費の貸付制度や、受任払い制度などが利用できる場合があります。受任払い制度とは、医療機関への支払いが困難な方に対し、国民健康保険から直接医療機関へ支払うことにより、申請者の一時的な金銭負担を軽減するための制度です。詳細はお住まいの自治体の国民健康保険の窓口にお問い合わせください。

  • Q66 健康保険の高額療養費が支払われませんでした。どこに相談や確認をすればいいでしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A66

    健康保険の窓口で確認をしてください。手続きのタイミングで支払いに時間差が生じる場合があります。

    また、ご自身が1カ月に支払った治療費の合計金額を確認してみてください。高額療養費の計算方法上、複数の病院で診察を受けて治療費を支払っている場合は、高額療養費制度の対象になる額に到達しない場合もあります。このとき、各病院で21,000円以上(70歳未満の方の場合)の支払いがあれば、自己負担額を1カ月単位で合算することができます。

    高額療養費の計算では入院時の食費負担や差額ベッド代は含まれません。また計算期間は同じ月(月の初めから月の終わりまで)となります。
    高額療養費が支給されず、その理由や根拠に納得がいかない場合は、不服申し立て(審査請求)をすることもできます。

  • Q71 以前傷病手当金を受給したことがあります。今回、再発治療のため再び休業することになりました。傷病手当金を再度受け取ることは可能でしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    A71

    以前に傷病手当金を受給したときと同一の傷病を理由とする場合、以前の傷病手当金の受給を開始した日から1年6カ月以内であれば、再度傷病手当金を受給することができます。1年6カ月を超えていたら、再受給はできません。

    また、今回の再発が以前とは別の傷病だと保険者が認めた場合には、前回からの経過期間とは無関係に、新たに受給ができる場合があります。勤務先の人事部門や健康保険組合などに相談してみてください。

    Column
    働くことは「原動力」でした

    3週ごとの抗がん剤治療中は体がつらかったので、堂々と休みたい~という心境になることもありました。正社員の方に「もっと休みなさい」と言われましたが、根本的にパートと正社員では立場が違います。正社員は堂々と休めるけれどもパートはわずかな有給休暇の他は休んだらお給料が減るだけです。時には「何でこうまでして働かなくちゃいけないか」と思ったこともありました。

    でも、やはり、人の輪の中にいて、頼られ、必要とされることは自分にとってよかったと思います。やらねばならないことが目の前にある。家族関係と似ているかもしれないです。「自分ががんばらなくちゃ」と思うことが励みにもなります。〈仕事しなきゃ〉という気持ちや職場に出ようとする頑張りが、結果的に自分を突き動かす原動力になったような気がします。

    〈女性 診断時53歳 乳がん パート〉
  • Q72 傷病手当金の申請方法と準備するべきものについて教えてください。

    正社員
    非正規雇用者
    A72

    必要な書類

    • 傷病手当金支給申請書
      「傷病手当金支給申請書」には、医師の証明印(必須)と勤務先の証明印(退職後を除き必須)が必要です。
    • 出勤簿のコピー(提出先によっては不要)
    • 賃金台帳のコピー(提出先によっては不要)

    申請方法

    • 協会けんぽ:全国健康保険協会 各都道府県支部 に郵送
    • 健保組合や共済組合:加入組合によって異なります。勤務先の担当者に問い合わせてください。
  • Q73 傷病手当金の受給期間中に時短勤務することは可能でしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    A73

    受給期間中に時短勤務で就労した場合、時短勤務で支給された金額が傷病手当金の額を超えていなければ、その差額が支給される場合があります。

  • Q74 治療費のために、親の年金や貯金を使わせてもらっています。不安と罪悪感でいっぱいなのですが…。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A74

    どうぞ、ご自身を責めないでください。今は、ご家族への感謝を伝えることと、前向きに療養することが、一番大切だと思います。体調が安定したときに、恩返しをする機会がきっとあります。

  • Q75 治療後に体に障害が残りました。障害者手帳が交付されることはありますか。また、障害年金を受給することができるでしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A75

    主治医、もしくは通院している病院のソーシャルワーカーに相談すれば、身体障害者として認定されそうかどうか、また障害年金の受給の可否について、ある程度判断できます。その上で、申請することになれば、専門医の診断などが必要になります。手続きについては、病院の医療ソーシャルワーカーや各自治体の障害者福祉担当部署に問い合わせてみましょう。

    障害年金は障害の程度によって支給の有無や支給額が異なる場合があります。医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士、あるいは年金事務所が相談に乗ってくれます。

  • Q76 発病前に生命保険に入っていなかったため、将来が不安です。今からでも契約できる生命保険はあるでしょうか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A76

    生命保険で何を保障してほしいのかを明確にしましょう。多くの場合、すでに発症している病気では保障の対象外となりますが、既往症としてがんがあっても加入できる生命保険はいくつかの会社から売り出されていますので、探してみるとよいでしょう。契約前に、既往症に関する条項はしっかりと文面を確認しましょう。

    なお、申告時に既往症で事実と違うこと(例えばがんの既往症がないなど)を書き、それが生命保険会社にわかると、生命保険は支払われない可能性もあり、それまでに支払った保険代も戻ってきません。

    Column
    父の死から学ぶ

    働き盛りの50代前半で父はがんになりました。

    息子の立場としては、「早すぎる死」が残念でなりませんでしたが、がん告知を受ける前から、父は貯金と生命保険で、治療費や残された家族の生活費を準備していてくれていたことに助けられました。
    父は、妹の結婚を知らずに他界しましたが、闘病中にもかかわらず、妹の結婚資金を少しずつ貯金しており、そのことは彼の死後に知りました。

    彼の死から学んだことは、いつか「病」はやってくるであろうということ。そして、いざという時に自分の大切な人たちが困らないよう、健康なときから準備しておくということです。ですから、身の丈にあった生命保険に加入しておくことは、決して悪いことだとは思いません。

    私は、中小企業の経営者の立場からも、従業員に「会社ができることには限界があること」と「自分の身は自分で守ること」を機会があるたびに話しています。

    〈男性 40代 遺族〉
  • Q77 休職期間中、社会保険料は免除されますか?

    正社員
    非正規雇用者
    A77

    休職期間中でも社会保険料の免除はありません。傷病手当金や休職給を受給している場合は、その金額から社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、場合によっては雇用保険料)を納付する必要があります。

  • Q78 経済の負担が大きい1人親家庭が相談できる場所や、頼れる制度はありますか。

    正社員
    非正規雇用者
    自営業者
    求職者
    A78

    地方自治体(都道府県や市町村)は、1人親家庭に向けた支援制度や相談窓口を提供しています。子育てや生活支援、就業支援、経済支援など、さまざまな支援制度がありますので、まずは、お住まいの自治体が提供するサービスを探してみましょう。通院先の医療ソーシャルワーカーも相談に乗ってくれるかもしれません。特に1人親家庭に向けた職業紹介事業をする会社もあります。

更新・確認日:2019年03月26日 [ 履歴 ]
履歴
2019年03月26日 冊子第3版の内容に更新しました。
2014年12月22日 冊子第2版の内容に更新しました。
2013年10月25日 掲載しました。
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