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あなたの心に起こること

更新・確認日:2019年04月23日 [ 履歴 ]
履歴
2019年04月23日 「患者必携サイト」から移設しました。
2013年08月27日 掲載しました。
このページは、書籍「患者必携」シリーズの内容を抜粋して掲載しています。
がんが再発したことがわかったとき、怒り、喪失感、無力感、悲しみ、罪悪感など耐え難い気持ちが押し寄せてきたことでしょう。多くの人にとって再発の診断は、初発の診断よりももっとつらい出来事です。すべてを放り出してしまいたいという気持ちになる人も大勢います。いつも明るくしている必要はありませんし、元気なふりをする必要もありません。

がんの再発を経験しながらも元気に過ごしている人を見ると、「自分もそうならなければ」という焦りを感じることもあるかもしれません。周囲の人から「いつまでも気落ちしていても仕方がない」と思われていると感じるときもあるでしょう。でも、あなたが今、計り知れない大きな衝撃を受けながらも、生きていること、持ちこたえていることそのものがとても重要なことなのです。落ち込んでも、逃げ出しても、誰かに怒りを向けていたとしても、それも無理のないことです。そのような中でもあなたが踏みとどまっていることの強さをまずあなた自身が認めてください。いつもの「きちんとした」「前向きな」「優しい」「配慮できる」あなたでいられないとしてもどうかあなた自身を責めないでください。多くの人があなたと同じように感じているのです。

1.新たな気持ちと消えない不安─自分の気持ちと上手に付き合うためのヒント─

現在、元気に活動している人であっても、再発がわかった直後には大きく落ち込んだと振り返っています。でも、時間の差はありますが、多くの人が気持ちを誰かに伝えたり、時間の経過とともに新しい気持ちがわいてきたといいます。そして、常に不安はなくならない、と言う人もたくさんいます。
不安を感じながらも、同時に意味や希望を感じながら、再発がんとうまく付き合って毎日生活している体験者はたくさんいます。
今はとてもそんな気持ちになれない、と思っても焦る必要はありません。無理に元気を出す必要もありません。あなたと同じような気持ちを体験した人が今、別の新たな気持ちを持てるようになった、ということが励みになるかもしれません。

2.消えない不安や恐れを感じるとき

がんが再発したことを受け入れるのはつらいことです。事実を受け止めるためにも時間が必要ですし、その事実を受け入れた上で必要なことを調整するにはさらに時間が必要になる場合もあります。しかし、必要以上に長い時間をかけてしまうと、治療の選択肢を話し合ったり、必要な治療を受ける時期を逃してしまうこともあります。焦る必要はありませんが、あなたが信頼する人と話すことで、時間の経過とともに心を落ち着け、次に向かう力を持てることもあります。

多くの人ががんや治療の痛み、副作用のこと、治療により外見が変化すること、家族やお金のこと、仕事のことなど、さまざまなことで悩んだり、怖いと感じたりしています。これまでにはなかったたくさんの新しい問題に直面しなければならない状況は、患者さんにとって大きな負担になります。

がん相談支援センターの相談員や看護師、担当医など医療の専門家も、あなたのがんのこと、治療のこと、生活上の困り事など、それぞれの専門に応じた相談に乗ることができます。

相談することによって、先の見通しがつくようになり、不安が和らぐと言う人もいます。あなたと同じように不安や恐れを感じている人はたくさんいます。ひとりで抱え込まないで、医療の専門家に相談してみてください。
がんが再発すると、心や体にも大きな影響があります。再発に伴って生じるさまざまなことに対処することは大きな負担ですし、時には打ちのめされたと感じることもあるでしょう。
がんや治療による痛み、薬の副作用も、不安になったり落ち込む原因になります。

がんの再発を経験した人のほとんどは不安を感じるものです。また、完全に不安を消してしまうことは難しいものです。
しかし不安な気持ちをひとりでずっと抱えていることはとてもつらいことですし、心身の状態が悪化することもあります。不安な気持ちによって日常生活に影響が出るようであれば、ぜひ医療者に話してください。薬の処方や専門の相談先を紹介するなど、あなたの力になる方法を一緒に考えることができます。

次に、あなたが不安を感じていることを示す兆候(ちょうこう)の代表例をあげますので、参考にしてください。
  • 気持ちが非常に緊張し、神経が高ぶる
  • 早鐘(はやがね)のような心臓の鼓動(こどう)がする
  • 汗をたくさんかく
  • 呼吸が乱れ、また息が正常に戻るのが遅い
  • ある感情によってのどが詰まるような、あるいは胃が締め付けられる感じがある
  • 怖いと感じる

3.悲しみや落ち込みを感じるとき

悲しみや落ち込みは、大きな病気に直面したときに誰もが経験する心の自然な反応です。治療を再び受けなければならないことや生活が変わってしまうことについて悲しく感じることは当たり前のことです。四六時中明るくしている必要はありませんし、元気なふりをする必要もありません。落ち込んだときには、落ち込んだ状態のまま静かにしていたいと思う人もいます。つらいときでも生活に楽しみを見出すことが役に立つと考える人もいます。その人の気持ちに沿った方法があります。

ただ、悲しみや絶望感があなたの気持ちの大部分を占め、落ち込みの兆候が2週間以上続くときは、医師に相談してください。適応障害や気分障害(うつ状態)かもしれません。
症状によっては、通常の気持ちの落ち込み以外の身体的な問題が原因であることも考えられます。

いずれにしても、医師にこうした問題が起きていることを知らせることは重要です。
  • 家族、友人、趣味、あるいはかつて楽しんだことに興味がわかない
  • 無力で絶望的だと感じる、あるいは人生は意味がないと感じる
  • 食欲が減退する
  • 短気で不機嫌だと感じる
  • 頭で、ある一定の考えをまとめることができない
  • 長時間、あるいは毎日何回も泣く
  • 自分を傷つけること、あるいは自殺することを考える
  • 「神経過敏(しんけいかびん)」になっていると感じる、いろいろな想いが巡る、またはパニック発作がある
  • 睡眠問題がある(眠れない、悪夢を見る、眠りすぎるなど)

4.怒りやいらだちを感じるとき

怒りやいらだちを感じることもあるでしょう。「なぜ私に?」 という思いが怒りになることもありますし、がんや医師、家族に対して腹を立てることもあるでしょう。怒りを感じたら、自分がなぜ怒っているのかについて考えてみましょう。怒りは、恐れ、パニック、いらだち、苦悩、あるいは絶望感などの感情から生じることがあります。

怒りの原因を突きとめることは難しい場合もありますが、なぜ怒りがわいているのか、いらだちを感じるのか考えてみることは、怒りやいらだちを解消することに役立ちます。また、怒りを感じることはあなたに力、「エネルギー」があることの証しでもあり、このエネルギーは体を動かすことや、絵を描いたり、歌を歌ったり、文章を書いたりなど別の形でも表現することができます。

5.自責の念にかられたら

これまでの自分の生活習慣や行動ががんの再発を引き起こしたのではないかと考える人も多いでしょう。そして、さまざまな理由から自分を責めたり、罪悪感などの気持ちを感じるものです。
  • 他人が健康であることをうらやみ、このように感じることを恥じる
  • 家族や友人がどのように感じているかについて悩む
  • ある種のライフスタイルを選択したことに関して自分を責める
  • 最初の治療が成功しなかったことに自責の念を感じている
  • 医師の再診察を受けるのが遅すぎたのではないかと思っている、あるいは医師の指示に正しく従わなかったのではないかと恐れている
再発してしまったことは本当に残念なことですが、現在開発されている治療があなたのがんの再発を防ぐことができなかったのであり、あなたが何かをしたから、もしくはしなかったから、治療が失敗したわけではありません。がんが再発する人と再発しない人がいる理由はまだわかっていません。このことを心にとめながら、次のことを心がけてみてください。
  • やり直すことではなく、今できることを考える
  • あなたの時間とエネルギーをかけたいと思うことに集中する
  • 今までの自分の人生を後悔しない、責めない
自分の悩みや自分を責める気持ちを身近な人と分かち合いたいと思う人もいますが、大事な人を混乱させたことに自責の念を感じたり、自分がほかの人の負担になることを悩んだりする人もいます。でも、多くの家族やあなたの近しい人は、あなたの力になること、手助けができることを望んでいます。これまでの経験を分かち合ってお互いに支え合うときがきたのだと考える人もたくさんいます。大切な人を世話することは自分の人生の中でとても重要なことだと感じる人、生活の優先順位を見直すよい機会になったと感じる人も大勢います。

これらのことについて身近な人と話すことが難しいと思う場合には、カウンセリングを受けたり、患者会などで提供している活動に参加することで気持ちが落ち着く場合もあります。いずれにしても、あなたの気持ちについて誰かと話したい場合には、医療者に知らせましょう。

6.孤独を感じるとき

多くの人があなたを支え、手助けをしてくれていても、あなたは孤独を感じることがあるかもしれません。それは次のような感情に近いものでしょうか。
  • あなたを愛しあなたを大切にしている人たちでさえ、あなたの気持ちや経験を理解してくれないと感じる
  • ほかの人たちから遠いところにいると感じる、あるいは、家族や友人はあなたにかかわることがつらいのではないかと考えてしまう
  • かつて行っていた多くのイベントや活動に参加できないことに気が付く
日によっては孤独を感じて特につらいと感じるかもしれませんが、そのときはぜひ、あなたはひとりではないことを思い出してください。ひとりでいるより誰かといたい思ったときには、おそらくあなたが大切にしている人たちは、あなたと同じようにあなたと話がしたい、離れていて寂しいと感じていることでしょう。

7.生活の中の楽しみや喜びに気付くとき

がんの再発をきっかけに、日常の小さなことを楽しむことの重要性に気が付いたと言う人もいます。これまでに行ったことのない場所に行ったり、中断していた趣味や仕事に取り組んだり、友人や家族と過ごす時間をふやしたりすることで充実した時間を過ごせる場合もあります。

つらい気持ちを抱えながらこれらのことをするのは最初は難しいかもしれませんが、毎日の中であなたがくつろげる時間、楽しめる時間に注意を払ってみてください。おいしいものを食べること、ペットを抱くこと、ゆっくりお風呂に入ること、親しい人と何でもない会話をすることなど、小さなことかもしれません。毎日の小さな楽しみを意識することで、気持ちが穏やかになったり、喜びを感じることができることもあります。

また、あなたにとって楽しいこと、特別なことはどんなことでしょうか。映画を見たり本を読んだりすること、美術館や博物館に行くこと、好きなスポーツ観戦をしたり散歩をすること、何でも構いません。あなたにとって楽しいことをできるときに取り入れてみましょう。
がんの再発は、非常に大きな衝撃ですが、がんの治療はあなたが最初にがんを患ったときよりも確実に進歩しています。

最近では、がんは長年にわたって付き合っていく慢性疾患であると考えられるようになってきました。がんとともに生きる人も以前よりずっと多くなっています。自分が望む生き方を自分の意思で選択することによって、毎日を充実させることができると感じている人もいます。次のようなことが役立つかもしれません。
  • これまでのように毎日の計画を立てる
  • がんにかかっているからといって、やりたいことを制限しない
  • 新しい目標を見つける

8.得たものに気付くとき

多くの場合、がんになることで、たくさんの変化や喪失感を体験することになります。治療によって体の一部を失う、髪の毛が抜ける、体重が減るといった体や容姿の変化や、食欲がなくなる、食事がとりにくくなる、疲れやすくなる、力がわいてこないなどの体調の変化、子どもを産むことが難しくなる、歩くことや動作に不自由が出るといった機能的な変化に否応なく直面させられることになります。これらの変化が、気力、自信、楽しみなどの気持ちや、仕事、収入、人との関係など生活上の事柄も失う原因になったと感じることもあります。

これらの今まで当然のようにできていたことができなくなる、自然に感じていたことが感じられなくなる経験は、いずれも大変つらいものです。またほかの人にはなかなか理解してもらえないと感じることもあるでしょう。

でも、失ったことを取り戻すのではなく、別の形で得たものがあると感じている再発がんの体験者はたくさんいます。失ったものを取り戻したいという気持ちは誰もが持つものです。

でも、少し見方を変えることで、気持ちが楽になったという人もいます。がんを経験した人の体験や、ほかの病気を経験した人の体験が参考になるかもしれません。
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