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がん登録とは

  • 法律に基づいてがんに関するデータの収集・管理・分析を行う制度です
  • 日本人ががんと診断される確率や日本で多いがんを明らかにすることができます
  • 診療の現状を見直して、がん対策やがん医療の研究を効果的に進めることにつながります

このページでは、がん登録の概要やその活用、よくある質問と答えを紹介します。

1.がん登録について

1)がん登録は、法律に基づいてがんに関するデータを収集・管理・分析する制度です

がん登録は「がん登録等の推進に関する法律」に基づいて、がんの診断や治療などに関するデータを収集・管理・分析する制度のことです。がん登録によって、毎年の罹患数(新たに診断されたがんの数)や生存率(診断から一定期間後に生存している人の割合)などが分かります。

2)がん診療を行うすべての医療機関で診断されたがんのデータを収集します

がん登録で収集するデータは、がんと診断された人の個人情報(氏名、性別、生年月日など)や、がんの種類、治療の内容などです。

(1)医療機関でがんに関するデータを抽出します

日本にあるがん診療を行うすべての医療機関では、がんと診断された個人のがんの種類・診断日・治療等の決められたデータを抽出して、がんの種類や進行の程度等について整理し、所在地の都道府県のがん登録室に届け出ます。都道府県は届出のあったデータを登録します。これを「全国がん登録」と呼びます。

がん診療連携拠点病院等の約850の病院では、「全国がん登録」に届け出る情報をさらに詳細に各病院のデータベースにも登録します。これを「院内がん登録」と呼びます。

(2)都道府県および国でデータを整理します

各都道府県のがん登録室と国から委託を受けた国立がん研究センターは、病院から届いたデータを整理して、がんと診断された個人ごとに、がんや治療に関する情報をまとめます。さらに国から委託を受けた国立がん研究センターは、がんと診断された個人の治癒や生存の状況を把握するために、厚生労働省が提供する死亡情報と病院から届いたデータを個人ごとにまとめ、「全国がん登録システム」で一元管理しています(図)。

また、国立がん研究センターでは、医療機関ごとの診療実績を把握するために、「院内がん登録」の情報を集計しています。

図 がん登録のしくみ
図 がん登録のしくみ

3)データ収集・管理・分析にあたって、個人情報は厳重に守られます

データの収集・管理・分析にあたっては、個人のプライバシーや権利が侵害されることのないよう、個人情報の保護や管理、罰則の規定が厳しく定められており、外部監査が定期的に行われています。データを取り扱うことができるのは、専門の研修を受けた人に限られています。また、データは厳重なセキュリティのもと、国立がん研究センターが管理するクラウド上に保管されています。報告書や調査・研究成果などの形でデータを公表するときには匿名化するため、個人が特定されることはありません。

2.がん登録で収集したデータの公表と活用の例

1)収集したデータは国のウェブサイトやがん情報サービスで公開されます

収集したデータは、国や都道府県単位でまとめられ「全国がん登録罹患数・率報告」として毎年公表されるほか、日本の省庁が公表する統計データが閲覧できるポータルサイト「政府統計の総合窓口e-Stat」にも掲載されています。がん情報サービスでは、「全国がん登録」で収集したデータにもとづき、「がん統計」ページで「最新がん統計」や「がん種別統計」などを公開しています。

病院単位で収集した「院内がん登録」のデータは報告書としてまとめられるほか、がん情報サービスで集計結果を検索できるシステムなどとして公開しています。また、「相談先・病院を探す」の「病名から病院を探す」では病院ごとの治療の実施件数等が検索できます。

2)収集したデータはさまざまな形で活用されます

がん登録で収集したデータは、立場によって異なる形で活用できます。ここからは、(1)がんと診断された人や家族等、(2)病院、(3)国・都道府県等の行政機関、(4)研究者それぞれの立場でのデータ活用の例を紹介します。

(1)がんと診断された人やその家族等:病院を選ぶときなどに参考にできます

がん情報サービスでは、「院内がん登録」により病院単位で集計した情報をもとに、「院内がん登録全国集計」「院内がん登録生存率集計」を公表しています。また検索システムとして、「院内がん登録 全国集計 結果閲覧システム」「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」「病名から病院を探す」「希少がんの病院を探す」を公開しています。

これらを用いて、病院別にがんの種類や進行度別の診療数、行われた治療、生存率などの詳しい情報を知ることができます。この情報は治療を受ける病院を選ぶとき、特に患者数が少ないがんの場合に参考にできます。

診療を受ける病院を選ぶにあたって分からないことや心配なことがあるときは、医師やがん相談支援センターに相談できます。また、「施設別がん登録件数検索システム」を運用している病院のがん相談支援センターでは、主に病院別のがんの診療数を調べてもらうことができます。詳しくは、関連情報「がん種別の診療数で病院を探す」をご覧ください。

病院を選ぶ際に知ってほしいことや病院を選ぶポイントなどに関する情報を掲載しています。
がん相談支援センターについて詳しく紹介しています。
院内がん登録データを用いた、病院ごとのがん種別の診療数を検索する方法や「施設別がん登録件数検索システム」を運用している施設を紹介しています。
院内がん登録データを集計した報告書や生存率の集計値を掲載しています。
院内がん登録データを用いた、がんや病院の検索システムを公開しています。

(2)病院:がん診療の状況を把握し、よりよい診療に活用します

「院内がん登録」を行っている病院は、その病院の院内がん登録データを分析することで、がんの診断や治療の結果などを把握し、見直すことができます。また他の病院のデータと比較することで、その病院の特徴を踏まえて、よりよいがん診療に役立てることができます。

(3)国・都道府県等の行政機関:地域の実態に応じたがん対策を進めるために活用します

国や都道府県等の行政機関は、全国がん登録データにもとづく各地域のがん罹患率や生存率、院内がん登録データにもとづく各地域の病院におけるがん診療の評価などをもとにがん対策を進めます。例えば、全国にがん診療連携拠点病院をどれくらい整備すればよいのか、この県に〇〇がんを治療できる医師は何人くらい必要か、どの年代の人にどのようながん検診を実施するのが効果的か、といった計画や対策を立てるときに活用します。

(4)研究者:がんに関わるさまざまな研究のデータとして利用します

研究者は、がん登録データをさまざまな研究に利用しています。例えば、罹患数や生存率の長期的な変化や地域による違いの分析、環境や生活習慣によるがん罹患リスクの検証などがあります。これらの研究は、他の研究や統計のデータを併用して行われることもあります。

なお、令和7年4月1日からはがん登録データの予後に関する情報の利用範囲が広がりました。また、国や都道府県が整理した情報について、一定の要件のもと、複数の医療機関や研究グループが共同でも活用できるようになりました。これによって医療や治療の効果などの詳しい研究ができるようになり、がん予防・がん医療・がんとの共生に関する検討や政策が促進され、よりよいがん医療や支援を受けることにつながることが期待されています。

3.がん登録Q&A

ここからは、がん登録の届出や登録データに関する基本的な質問と答えを掲載しています。統計資料や算出方法などに関しては、がん情報サービスのがん統計ページに掲載している「がん統計に関するQ&A」をご覧ください。

  • Q1誰が届出や登録を行いますか?

    A1

    都道府県への届出は「がん登録実務者」か、医師等の医療関係者や都道府県が実施する研修を受講してがん登録の専門知識を身につけた者が行います。「全国がん登録システム」への登録はがん登録実務者と同様の専門知識を持つ都道府県の担当者が行います。がんと診断された本人や家族が届出や登録を行うことはありません。

    がん登録実務者は、国立がん研究センターが主催する研修を受講し認定試験に合格した人で、解剖学や臨床医学、登録ルールなどのがん登録に関する専門的な知識を日々アップデートし、登録情報の精度の維持に努めています。

  • Q2どのようなデータが登録されますか?

    A2

    日本にあるがん診療を行うすべての医療機関では26項目を都道府県に届け出ます。がん診療連携拠点病院等が行う「院内がん登録」では、26の基本項目にさらに詳細な項目を追加し、合わせて105項目のデータを登録しています。登録内容の例は以下の通りです。

    1. がんと診断された個人や病院(病院等の名称、患者氏名、性別、生年月日、住所)等の情報
    2. がんの発見経緯、病名告知の有無、体のどの部分にどのようながんができたか(部位、進展度、ステージ)等の情報
    3. どのような治療が行われたか(外科的治療の有無、放射線療法の有無、化学療法の有無、経過観察の選択の有無)等の情報
    4. どの病院から紹介されたのか(紹介元施設、主治医情報、診療科情報)等の情報
  • Q3登録に必要な手続きはありますか?登録されたくないとき、登録内容を知りたいときはどうすればよいですか?

    A3

    がんと診断された本人が行う手続きはありません。法律に基づく制度であるため、がんと診断された場合は個人の同意を得ずに必ず登録されます。診断を受けた病院、都道府県、国立がん研究センターいずれも登録内容の問い合わせにはお答えすることができませんが、個人情報は厳重に守られていますのでご安心ください。

更新・確認日:2025年09月16日 [ 履歴 ]
履歴
2025年09月16日 「がん登録」の構成を変更し、更新しました。これに伴い、「全国がん登録」と「院内がん登録」の掲載を終了しました。
2023年03月15日 「全国がん登録とは」「6.ちらし「『全国がん登録』をご存知ですか」のご案内」を削除しました。
2023年03月13日 「院内がん登録とは」構成を変更し、更新しました。
2022年04月13日 「全国がん登録とは」「7. 全国がん登録についてのよくある質問と答え」を更新しました。
2021年10月05日 「全国がん登録とは」「1.全国がん登録とは何ですか」を更新しました。
2021年07月29日 「全国がん登録とは」「7. 全国がん登録についてのよくある質問と答え」を更新しました。
2021年07月01日 掲載しました。
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