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Q1 手術のあと、どれくらいの期間、リンパ浮腫に気をつける必要がありますか?
A1手術でリンパ節を切除した場合は、手術直後にリンパ浮腫が起こることもあれば、10年を過ぎてから起こることもあります。手術した側の腕や脚のむくみには、生涯気をつける必要があります。
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Q2 リンパ浮腫は、治りますか?
A2リンパ浮腫は、弾性着衣を用いた治療や手術を受けることによって、治療することができます。しかし、必ず治るという治療法は、今のところありません。進行すると、関節を曲げづらくなり、むくんだ部分が重くなり、生活にも影響します。そのため、早い段階から適切な治療を受けて、むくみを軽くすることが大切です。
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Q3 リンパ浮腫を予防する方法は、ありますか?
A3リンパ浮腫の予防には、「体を動かしてリンパ液の流れを促す」、「保湿などのスキンケアを行い、皮膚からの感染を予防する」、「肥満を予防する」、「体に負担を掛けないようにする」といった方法があります。しかし残念ながら、完全に予防することはできません。
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Q4 リンパ浮腫を予防するための食べ物はありますか?
A4リンパ浮腫を予防する食べ物はありません。バランスのよい食事を心がけてください。また、肥満はリンパ浮腫の原因の1つであるため、肥満にならないように気をつけましょう1,5)。
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Q5 リンパ浮腫の予防のために、マッサージを自分でしてもよいですか?
A5むくみがない場合の予防効果は認められていません。リンパ浮腫に対するマッサージは、用手的リンパドレナージという治療としてのマッサージで、専門的な教育を受けた医療者が医師の指示のもとに行うものです。また、必要に応じて、医療者の指導のもとでセルフマッサージを行います。
なお、普通のマッサージや美容目的のリンパドレナージとは異なりますので、自己判断では行わないようにしましょう1)。 -
Q6 リンパ浮腫に用いる弾性ストッキングなどは、保険は使えますか?
A6がんの手術後のリンパ浮腫に対する弾性包帯や弾性着衣(腕に装着するスリーブやグローブ、弾性ストッキング)などは、申請すると療養費支給の対象となります。その場合には、一部の購入費用が戻ってきます。担当の医師にご相談ください。
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Q7 リンパ節の周りの治療をしました。運動やスポーツをするとリンパ浮腫になりやすくなりますか?
A7手術した側の腕や脚を激しく動かすことで、リンパ浮腫になることもあります。がんの治療の場所や範囲によって、できるスポーツは異なります。どの程度の運動までなら大丈夫か、担当の医師に相談しましょう。リンパ浮腫の予防には、ゆっくりとした動きで、呼吸を整えながら行う運動が効果的です。また、普段の生活の中でもできるだけ体を動かすよう心がけてください。
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Q8 リンパ浮腫が生じたら、どこに相談すればいいですか?
A8まず、担当の医師に相談しましょう。その上で、リンパ浮腫外来などの専門家がいる医療施設にかかりましょう。
参考文献
- 日本リンパ浮腫学会編.リンパ浮腫診療ガイドライン2018年版,金原出版
- 日本乳癌学会編.乳癌診療ガイドライン1治療編2018年版,金原出版
- 日本婦人科腫瘍学会編.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第2版.2016年,金原出版
- 日本がんサポーティブケア学会 リンパ浮腫部会編.Q&Aで学ぶ リンパ浮腫の診療.2019年,医歯薬出版
- American Cancer Societyウェブサイト.https://www.cancer.org/, What Is Cancer-related Lymphedema?; 2016(閲覧日:2019年9月26日)
- Cancer.Netウェブサイト.https://www.cancer.net/, Lymphedema; 2019(閲覧日2019年9月26日)
作成協力
この「リンパ浮腫Q&A」は、厚労科研(H29がん対策‐一般‐005)での患者・家族から尋ねられた質問や疑問についての調査結果を基に作成しました。調査は、全国がんセンター協議会および全国がん診療拠点病院等のがん相談支援センターのご協力により実施しました。