1.胚細胞腫瘍について
1)胚細胞腫瘍とは
胚細胞腫瘍は、生殖細胞から発生する腫瘍です。精巣胚細胞腫瘍(精巣腫瘍の大部分)や卵巣胚細胞腫瘍のように生殖器に発生するものと、生殖器以外に発生するもの(性腺外胚細胞腫瘍)があります。生殖器以外の発生部位としては、胸部(縦隔)、腹部(後腹膜や仙骨部)、脳(松果体や神経下垂体部)などがあります。
精巣などに発生した胚細胞腫瘍は、主に病理検査の結果によってセミノーマと非セミノーマの大きく2つに分類されます。卵巣や頭蓋骨の中に発生した胚細胞腫瘍の場合には、ジャーミノーマと非ジャーミノーマの大きく2つに分類されます。分類によって治療方法が異なります。
2)症状
発生する部位によって症状は異なります。
- 精巣:痛みを伴わない精巣の腫れ(ねじれや出血、炎症がある場合には痛みを伴うこともある)
- 卵巣:腹痛や下腹部のしこりなど
- 縦隔:胸の痛みや咳、動作時の息切れなど
- 仙骨:排尿障害やお尻のしこりなど
- 脳:松果体では頭痛や嘔吐、下垂体では視野の異常や多尿、食欲低下、成長障害など
2.検査
がんの疑いがあるときや治療中・治療後に受けることの多い検査についての情報は、「がんの検査について」をご参照ください。
3.治療
胚細胞腫瘍の治療に関する情報が掲載されています。
4.療養
「症状を知る/生活の工夫」には、がんの治療に伴う症状や自宅での生活の工夫などに関する情報を掲載しています。
がんと診断されてからの仕事については「がんと仕事」、医療費や利用できる制度、相談窓口などのお金に関する情報は「がんとお金」をご参照ください。また、「がん相談支援センター」でも相談することができます。
「地域のがん情報」では、各都道府県等が発行しているがんに関する冊子やホームページへのリンクを掲載しています。併せてご活用ください。
5.臨床試験
国内で行われている胚細胞腫瘍の臨床試験が検索できます。
がんの臨床試験を探す チャットで検索
※入力ボックスに「胚細胞腫瘍」と入れて検索を始めてください。チャット形式で検索することができます。
がんの臨床試験を探す カテゴリで検索 脳・神経・眼の希少がん、胸部の希少がん、腹部の希少がん、男性特有の希少がん、女性特有の希少がん
※「カテゴリで検索」では、広い範囲で検索します。そのため、お探しのがんの種類以外の検索結果が表示されることがあります。
- 臨床試験への参加を検討したい場合には、今おかかりの担当医にご相談ください。
- がんの種類によっては、臨床試験が見つからないこともあります。また、見つかったとしても、必ず参加できるとは限りません。
6.患者数(がん統計)
胚細胞腫瘍には精巣・卵巣・性腺外などの種類がありますが、いずれも新たに診断される人が、1年間に10万人あたり数人かそれ以下と少ないがんです。精巣腫瘍は20から30歳代、卵巣胚細胞腫瘍は10から20歳代と、比較的若年層に多い腫瘍です。
7.相談先・病院を探す
情報や病院などが見つからないときにはご相談ください。
8.関連する情報
がんの治療を始めるにあたって、参考となる情報です。
9.参考資料
- Tamaki T, et al. The burden of rare cancer in Japan: Application of the RARECARE definition. Cancer Epidemiol. 2014; 38 (5): 490-495.
- 日本泌尿器科学会編.精巣腫瘍診療ガイドライン2015年版.2015年, 金原出版.
- 日本婦人科腫瘍学会編.卵巣がん治療ガイドライン2015年版.2015年, 金原出版.
- John K Chan, et al. The influence of conservative surgical practice for malignant ovarian germ cell tumors. Journal of Surgical oncology, 2008; 98 (2): 111-116.