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軟部肉腫(成人)(なんぶにくしゅ(せいじん))

更新・確認日:2018年07月09日 [ 履歴 ]
履歴
2018年07月09日 「4.発生要因」「5.予防と検診」を追加しました。
2016年02月22日 タブ形式への移行と、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編「軟部腫瘍診療ガイドライン2012」「米国がん合同委員会(AJCC)による病期分類(第7版)」「国際対がん連合(UICC)による病期分類(第7版)」より、内容の更新をしました。
2007年10月30日 内容を更新しました。
1997年04月01日 掲載しました。

1.軟部肉腫とは

軟部肉腫とは、軟部組織から発生した悪性腫瘍のことです。軟部組織とは、肺や肝臓などの臓器と骨や皮膚を除いた、筋肉、腱(けん)、脂肪、血管、リンパ管、関節、神経を指します。軟部肉腫は、手足、胴体、頭頸部(とうけいぶ)、おなかの中など、体のいろいろな部位に発生します。
図1 軟部肉腫
図1 軟部肉腫の図

2.症状

軟部肉腫の大部分は、皮下や筋肉の中にこぶのようにあらわれます。症状としては痛みのない腫瘤(しゅりゅう)や腫れですが、痛みがないために放置してしまうことも多く、受診したときには腫瘤が大きくなっていることがあります。

太ももなど筋肉の厚い場所に発生すると、太もも全体が大きく腫れたようになることもあります。手足にできた腫瘍が大きくなると関節が曲がらなくなったり、座ることができなくなったりすることもあります。また、皮膚の色が変わったり、潰瘍(かいよう)になったりすることもあります。

3.疫学・統計

軟部肉腫は、推定罹患(りかん)率が10万人に3.6人と、まれです。

軟部肉腫の種類はさまざまあり、分類が30種類以上あります。種類によって、よく発症する年齢や発生する部位が異なります。発生率が高いものとしては、脂肪肉腫、粘液線維肉腫(ねんえきせんいにくしゅ)および未分化/分類不能肉腫、平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)があります。
※悪性線維性組織球腫は、WHO分類の改定により、粘液線維肉腫および未分化/分類不能肉腫に再分類されています。

年齢別でみると、高齢者では粘液線維肉腫および未分化/分類不能肉腫と平滑筋肉腫、中~高齢者では脂肪肉腫と線維肉腫、若年者では滑膜肉腫(かつまくにくしゅ)と悪性末梢神経鞘腫瘍(あくせいまっしょうしんけいしょうしゅよう)が多くみられます。また、小児の軟部肉腫の大部分は横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)が占めています。男女別では男女同数または男性にややできやすい腫瘍が多いのですが、平滑筋肉腫、滑膜肉腫などは女性に多い傾向がみられます。

発生部位は、肉腫の種類により違いがみられます。脂肪肉腫と粘液線維肉腫および未分化/分類不能肉腫は特に太ももに多く、滑膜肉腫は大きな関節の近くに発生します。平滑筋肉腫は後腹膜(こうふくまく)や腸間膜(ちょうかんまく)などのおなかの中に発生することが多く、横紋筋肉腫は頭頸部や膀胱(ぼうこう)の近くに多く発生します。線維肉腫はいろいろな部位に発生しますが、比較的胴体に多くみられます。

4.発生要因

軟部肉腫の発生要因はほとんど明らかになっていません。まれではありますが、治療などの目的で用いられる放射線の影響で、軟部肉腫を発生する危険性が高くなることがわかっています。また、肝血管肉腫については、化学物質である塩化ビニルにさらされる環境により、発生する危険性が高くなることがわかっています。

5.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

2)検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、軟部肉腫については、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わったあとの検査は、ここで言う検診とは違います。
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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2016年02月22日 タブ形式への移行と内容の更新をしました。
1997年04月01日 掲載しました。

1.腫瘍の診療の流れ

この図は、腫瘍の「受診」から「経過観察」への流れです。大まかでも、流れがみえると心にゆとりが生まれます。ゆとりは、医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう。あなたらしく過ごすためにお役立てください。

腫瘍の疑い

  「体調がおかしいな」と思ったまま、放っておかないでください。なるべく受診しましょう。
   

受診

  受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。
   

検査・診断

  検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。
   

治療法の
選択

  腫瘍や体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。
   

治療

  治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。
   

経過観察

  治療後の体調の変化や腫瘍の再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

2.受診と相談の勧め

腫瘍という病気は、患者さんごとに症状のあらわれ方が異なります。また、症状がなく検診で腫瘍の疑いがあると言われることもあります。何か気にかかる症状があるときや、詳しい検査が必要と言われたときには、医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご自身で判断したり、何か見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、問題がないことを確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります。

がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターでは、腫瘍について知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしていますので、お気軽に訪ねてみてください。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談できます。対面だけでなく、電話などでも相談することができますので、わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

詳しくは、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」のページをご覧ください。

お近くのがん相談支援センターは「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。

3.腫瘍と言われたとき

腫瘍という診断は誰にとってもよい知らせではありません。ひどくショックを受けて、「何かの間違いではないか」「何で自分が」などと考えるのは自然な感情です。

病気がどのくらい進んでいるのか、果たして治るのか、治療費はどれくらいかかるのか、家族に負担や心配をかけたくない…、人それぞれ悩みは尽きません。気持ちが落ち込んでしまうのも当然です。しかし、あまり思い詰めてしまっては、心にも体にもよくありません。

この一大事を乗りきるためには、腫瘍と向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく必要があります。そこで、まずは次の2つを心がけてみませんか。

1)情報を集めましょう

まず、自分の病気についてよく知ることです。病気によってはまだわかっていないこともありますが、担当医は最大の情報源です。担当医と話すときには、あなたが信頼する人にも同席してもらうといいでしょう。わからないことは遠慮なく質問してください。
病気のことだけでなく、療養生活のこと、経済的なこと、薬のこと、食事のことのような身の回りのことに関しては、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士などが専門的な経験や視点であなたの支えになってくれます。
また、あなたが集めた情報が正しいかどうかを、あなたの担当医に確認することも大切です。

「知識は力なり」。正しい知識は、あなたの考えをまとめるときに役に立ちます。

2)病気に対する心構えを決めましょう

がんに対する心構えは、人それぞれです。積極的に治療に向き合う人、治るという固い信念を持って臨む人、なるようにしかならないと受け止める人などいろいろです。どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。そのためには、あなたが自分の病気のことをよく知っていることが大切です。病状や治療方針、今後の見通しなどについて担当医からよく説明を受け、いつでも率直に話し合い、その都度十分に納得した上で、自分なりの病気に対する向き合い方を探していきましょう。

自分自身の気持ちを伝えることは、自分らしく病気と向き合い、過ごしていくための第一歩です。あなたが自分の病状について理解した上で治療に取り組みたいと考えていることを、担当医や家族に伝えるようにしましょう。

率直に話し合うことが、担当医や家族との信頼関係を強いものにし、しっかりと支え合うことにつながります。
更新・確認日:2016年02月22日 [ 履歴 ]
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2016年02月22日 タブ形式への移行と、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編「軟部腫瘍診療ガイドライン2012」「米国がん合同委員会(AJCC)による病期分類(第7版)」「国際対がん連合(UICC)による病期分類(第7版)」より、内容の更新をしました。
2007年10月30日 内容を更新しました。
1997年04月01日 掲載しました。

1.検査

検査は大きく3つに分けられます。1つ目は、腫瘍の性質を調べる生検です。2つ目は、腫瘍の位置や広がりを検査するX線検査CT検査MRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどの画像検査です。3つ目は、身体機能を調べるための、血液検査、尿検査、超音波(エコー)検査、心電図検査などです。

1)生検

悪性腫瘍が疑われると、確実な診断をするために、病変に針を刺して組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる針生検を行います。超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査をガイドに用いて、針を刺せる適切な場所を見定め、局所麻酔を行いながら処置を行うこともあります。また針生検では組織採取量が少なく、診断には至らない場合や、確実な診断のためには外科的手術によって生検を行います。

生検は、その後の治療内容に関わってくる非常に重要な検査です。軟部肉腫は種類が多く、確実な診断には専門施設での生検や診断が必要です。

2)X線検査、CT検査、MRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどの画像検査

腫瘍の位置や広がり、リンパ節や肺、肝臓などへ転移がないかどうかを調べるために、X線検査、CT検査、MRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどの画像検査を行います。

CT検査は、X線を使った検査で、体の内部を描き出して腫瘍の広がりを調べます(図2)。腫瘍と血管の位置関係や、腫瘍による血液浸潤の有無の評価に有用です。最も転移を生じやすい肺の評価に有用です。

MRI検査は、磁気を用いて体の臓器や血管を撮影する検査で、腫瘍とまわりの筋肉や神経、血管などとの位置関係や腫瘍の広がりなどを調べます。手術にはMRI検査が必要になり、造影剤を用いることで腫瘍の広がりを評価します。

PET検査は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、細胞への取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出する検査です。一般的にはCT検査を併用したPET-CT検査を行います。リンパ節転移や遠隔転移の診断で補助的に活用することがあります。

骨シンチグラフィは骨への転移を調べるのに有用となることがあります。
図2 CT検査の様子
図2 CT検査の様子の図

3)血液検査、尿検査、超音波(エコー)検査、心電図検査など

軟部肉腫では、診断に有用とされる腫瘍マーカーはありまません。検査や治療に影響する腎臓の機能や肝臓の機能、貧血などの状態を血液検査、尿検査、超音波(エコー)検査で調べます。また心臓の機能を調べるために、心電図検査を行います。

2.病期(ステージ)

予後因子となる組織学的悪性度(腫瘍のたちの悪さ)、腫瘍の大きさ、腫瘍の発生深度(表在性、深在性)、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無により、病期(ステージ)が分類されます。American Joint committee on Cancer(AJCC:米国がん合同委員会)による第7版病期分類(表1)と、Union for International Cancer Control(UICC:国際対がん連合)による第7版病期分類(表2)では、組織学的悪性度の分類や腫瘍の発生深度の扱いが異なるのですが、この病期をもとに、年齢や全身状態を考慮して最も有効な治療法を決定します。
表1 AJCC system (7th ed.)※1
病期 腫瘍のサイズと深度※2 リンパ節転移※3 遠隔転移※4 組織学的悪性度
IA T1a、T1b N0 M0 Grade1
IB T2a、T2b N0 M0 Grade1
IIA T1a、T1b N0 M0 Grade2、3
IIB T2a、T2b N0 M0 Grade2
III T2a、T2b N0 M0 Grade3
Any T N1 M0 Any Grade※5
IV Any T Any N M1 Any Grade
※1 カポジ肉腫、デスモイド、先天性線維肉腫は除く
※2 T1:5cm以下、T2:5cmより大きい、a:浅在性、b:深在性、AnyT:サイズや深度に関わらない
※3 N0:所属リンパ節転移がない、N1:所属リンパ節転移がある、AnyN:リンパ節転移の有無に関わらない
※4 M0:遠隔転移がない、M1:遠隔転移がある
※5 悪性度に関わらない
Edge, S. B., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer.
表2 UICC system (7th ed.)※6
病期 腫瘍のサイズと深度※7 リンパ節転移※8 遠隔転移※9 組織学的悪性度
IA T1a、T1b N0 M0 低悪性度
IB T2a、T2b N0 M0 低悪性度
IIA T1a、T1b N0 M0 高悪性度
IIB T2a N0 M0 高悪性度
III T2b N0 M0 高悪性度
Any T N1 M0 Any Grade※10
IV Any T Any N M1 Any Grade
※6 カポジ肉腫、皮膚線維肉腫、線維腫症、血管肉腫、さらに硬膜、脳、管腔(かんくう)臓器、または実質臓器(乳腺肉腫を除く)から発生した肉腫は除く
※7 T1:5cm以下、T2:5cmより大きい、a:浅在性、b:深在性、AnyT:サイズや深度に関わらない
※8 N0:所属リンパ節転移がない、N1:所属リンパ節転移がある、AnyN:リンパ節転移の有無に関わらない
※9 M0:遠隔転移がない、M1:遠隔転移がある
※10 悪性度に関わらない
Sobin, L. H.,et al., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL.
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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1.臨床病期による治療選択

軟部肉腫は治療の難しい腫瘍の1つであり、最初の治療での有効性により、患者さんの予後や治療後の生活に大きな違いが出ることもあります。したがって、軟部肉腫の治療は早期発見とともに、専門家のいる病院で治療することが大切です。悪性度の高い肉腫は手術だけではなく、薬物療法放射線治療、症状を和らげる対症療法を組み合わせた治療(集学的治療)を行うこともあります。

●治療の原則

治療を行う上で最も重要なのは、治療の目標をしっかりともつことです。根治、すなわち悪性腫瘍を治すことが目標となりますが、患者さんの状態によっては根治が望めない場合もあり、延命と症状緩和が目標となることもあります。治療には副作用や後遺症などの不利益もありますので、治療の目標、期待される効果と、予測される不利益をよく担当医と相談ください。

図3に、軟部肉腫の臨床病期と大まかな治療の流れを示しました。担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。

各治療については「軟部肉腫 治療」をご覧ください。
図3 軟部肉腫(成人)の臨床病期と治療
図3 軟部肉腫(成人)の臨床病期と治療の図
日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編
「軟部腫瘍診療ガイドライン2012」(南江堂)より作成

2.自分にあった治療を考える

治療方法は、すべて担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいということはありません。自分の生活や人生において何を大切にするのか考えることが大切です。家族や身近な人と相談してみることもよいかもしれません。

まずは、病状を詳しく把握しましょう。わからないことは、担当医に質問してみましょう。診断を聞くときには、病期(ステージ)を確認しましょう。治療法は、病期によって異なります。医療者とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認してください。

担当医と話すときの助けとして「わたしの療養手帳 自分に合った治療法は?患者必携サイトへのリンクもご参照ください。「患者必携 わたしの療養手帳」はさまざまな場合で必要なことを書きとめることができる手帳になっています。印刷もできますので、自分で記入してみて、わからないことや聞いてみたいことを整理してみましょう。

診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。

担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。セカンドオピニオンを聞きたいときは、担当医に話してみましょう。多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解していますので、快く資料を作ってくれるはずです。

セカンドオピニオンについては「セカンドオピニオンを活用する患者必携サイトへのリンクもご参照ください。

担当医以外でも、看護師など他の医療スタッフやがん相談支援センターのスタッフに相談することができます。あなたの抱えている問題点を整理し、一緒に考えてくれます。

がん相談支援センターについては「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」もご参照ください。
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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1.手術(外科治療)

手術は、軟部肉腫における治療の要です。腫瘍が局所にとどまっている場合、その局所の腫瘍を除去するために手術を行います。再発を最小限にするためにも、手術前に腫瘍の性質をよく調べ、切除する範囲を検討します。

腫瘍が徐々に成長するときに、腫瘍の周囲に反応層といわれる膜のようなものをつくります。一見、この膜は腫瘍とは関係ないように思われるかもしれませんが、この反応層の中にはすでに腫瘍細胞が入り込んでいます。したがって、反応層での切除は高い再発率を招きます。正しい切除法とは、反応層の外側で周囲の正常組織を十分含めて切除することです(広範切除)。また、リンパ節転移が疑われる場合にはリンパ節郭清(かくせい)を行うこともあります。

腫瘍を大きく切除したあとの再建技術は進歩してきており、別の部位の皮膚、筋肉、骨などを用いて、切除部位で細い血管を顕微鏡下でつないだり、静脈や人工血管を使って血管を移植したりすることにより、手足を残して機能を温存する患肢(かんし)温存術が広く行われるようになってきました。現在、多くの施設で患肢温存率は90%以上です。ただし、腫瘍が大きくなりすぎて血管や神経に浸潤している場合は、切離断術になることもあります。
【手術に伴う主な合併症について、もっと詳しく】
腫瘍の部位や広がりによっては、神経や手足を切断しなければならないことがあります。年齢や体の状態にもよりますが、比較的若くて体力のある患者さんの場合は、障害を受けていないほう(健側:けんそく)の機能の良好な手足と、義肢・補助具を使う訓練をすることによって、日常生活への支障を小さくすることができます。高齢者や体力の低下した患者さんの場合は、義肢や装具と松葉づえ歩行だけでなく、自立した日常生活を送るためにも、車いすの積極的な利用を考えるのもよいでしょう。

1)痛みやむくみが出る

神経や手足の切離断術では、強い痛みが生じたり、数カ月痛みが持続したりすることがあります。痛みには鎮痛剤が処方されます。また神経や血管を切除した手足や切断した部位に体液が滞り、むくんだり、義肢や装具が合わなくなったりすることもあります。むくみの軽減には、むくんだ手足や切断した手足の先を包帯で圧迫したり、やさしくマッサージしたりするのが効果的です。看護師に説明を受けて、包帯の巻き方を練習しましょう。

2)幻肢(げんし)・幻肢痛が起こることがある

治療によって手足や神経を切断した場合、手術後、失った手足があたかもあるような感覚を覚えることがあります。これを「幻肢」といいます。幻肢痛は、幻肢に伴う不快な感覚や痛みのことで、しびれた感じがする、ピリピリする、チクチクするなど、人によって 痛みの表現はさまざまです。幻肢および幻肢痛は、手術による創(きず)の痛みが治まるころに始まり、新しい体のイメージができ上がる1~2年で消えるといわれています。幻肢痛を感じたときは担当医に相談しましょう。必要に応じて鎮痛剤や安定剤が処方されます。

3)股関節が硬くなる(外転・屈曲拘縮)

長期間にわたる寝たきりの生活や、足を切断して十分なリハビリをしないまま車いす生活を続けると、切断した部位の関節が外側を向いて硬くなる外転拘縮(がいてんこうしゅく)や、曲がったまま固まる屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく)を起こすことがあります。股関節がいったん外転・屈曲拘縮になってしまうと、起立歩行義肢を装着する際に支障を来すことがあるので予防が大切です。特に幼児や高齢者は股関節の外転・屈曲拘縮が起こりやすいので、担当医と相談しながら、関節を動かす訓練などで予防します。
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2.薬物療法

手術後の再発・転移の原因としては、いろいろな検査を行っても発見できないほどの小さな転移(微小転移)が残っていたことが考えられます。このような微小転移を治療するため、術前や術後に薬物療法を行うことがあります。また、肺転移巣やその他の転移巣の治療、あるいは手術ができない場合に、悪性腫瘍の進行をコントロールするために薬物療法を行うこともあります。

細胞障害性抗がん剤(以下、抗がん剤)は静脈からの点滴、あるいは内服(飲み薬)として投与され、血流に乗って全身に行き渡り、腫瘍細胞へ到達します(全身化学療法)。通常、抗がん剤は1種類投与されますが、場合によっては複数の抗がん剤を併用することもあります(多剤併用療法)。副作用には、吐き気、嘔吐(おうと)、食欲不振、脱毛などがありますが、症状を軽減する薬剤など、さまざまな支持療法が行われています。

3.放射線治療

腫瘍細胞を死滅させ、腫瘍を小さくするために行います。しかし軟部肉腫には、放射線治療が比較的効きにくいものが多く、放射線治療が第一選択になることはほとんどありません。補助療法として、手術後の再発を減らす目的で、腫瘍を切除したあとに放射線治療を行うことがあります。また、手術ができない場合や、手術前に腫瘍をできるだけ小さくして切除しやすくする場合や、手術後に腫瘍の取り残しが考えられる場合などに行うこともあります。また対症療法として、疼痛(とうつう)を緩和するために行うことがあります。

副作用として、皮膚、関節、骨の障害が照射した場所に起こることがあります。

4.その他の治療

軟部肉腫に対する免疫療法についての報告はさまざまありますが、まだ効果は明らかにされておらず、確立されたものはありません。臨床試験については「6.臨床試験」をご覧ください。

5.生活の質を重視した治療

悪性腫瘍自体の症状のほかに、痛み、倦怠(けんたい)感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を感じることもあるでしょう。時には、手術、化学療法、放射線治療が適応できない病状のときもあります。このような場合には、緩和ケアに専念することも1つの選択肢となります。

悪性腫瘍と診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持するために、悪性腫瘍に伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族が自分らしく過ごしたりするための緩和ケアが重要です。

緩和ケアは、悪性腫瘍が進行してからだけではなく、悪性腫瘍と診断されたときから必要に応じて行われるものです。緩和ケアでは、痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状だけに限らず、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、自分らしい生活を送ることができるようにすることなど、患者さんのニーズに応じて幅広い対応をします。

そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことなど、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。

痛みが強いときには、痛みの原因によって、医療用麻薬を含めた痛み止めを使ったり、痛みの原因となっている悪性腫瘍のある場所に対して放射線治療を行ったりする対症療法により、つらさを和らげることもできます。

痛みの治療については、「がんの療養と緩和ケア-4.がんの痛みと緩和ケア」もご参照ください。

6.臨床試験

悪性腫瘍の治療は治療技術の進歩とともに変わっていきますが、その時点で得られている科学的な根拠から、最もよいと考えられる治療を標準治療と呼びます。よりよい治療を目指して、日々新しい治療方法を研究・開発し、それらの新しい治療の有用性を検証するのが臨床試験です。

新しい治療の有用性を科学的に検証する臨床試験によって、がんの治療をよりよいものにしていこうとする努力が世界各地で行われています。臨床試験の結果から、現在標準とされている治療より、よい治療であることが証明されれば、新たな標準治療が生まれます。現在の標準治療は、これまでに行われた臨床試験の積み重ねの中から生まれてきた治療法です。現在行われている臨床試験で採用されている治療法は、将来の標準治療となりうる治療であり、治療の選択肢の1つであると言えます。

現在国内で行われている軟部肉腫の患者さんを対象とした臨床試験(医師・研究者が実施する臨床試験、および製薬企業や医師が実施する治験の一部)に関しては、「がんの臨床試験を探す 骨・筋肉」で、開発の段階別に分類された情報を閲覧することができます。
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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1.治療後に日常生活を送る上で

病状や、受けている治療の状況により、日常生活の注意、食事の注意事項や運動できる範囲は異なります。自分の体調と治療の副作用をみながら、担当医と注意点などをよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう

1)手術(外科治療)後の日常生活

筋力の強化や動作の練習から、日常生活に戻る準備を始めます。義肢を装着したり、松葉づえや車いすを利用したりする場合でも、障害を受けていないほう(健側:けんそく)の手足はこれまで以上の筋力を必要とします。理学療法士の指導を受けて、できるだけ早めに手足の筋力を強化する訓練を始めましょう。ただし、以前できたような動作を少しでも早く取り戻したいという気持ちが先走って無理をしたりすると、体に過剰な負担がかかったり、転倒しやすくなったりします。治療を受けた担当医やリハビリ担当医、理学療法士、義肢装具士と相談し、近くの医療機関やリハビリ施設を利用しながら、無理のない予定を立てていきましょう。

作業療法や装具については、個々の患者さんに合わせた工夫が不可欠です。また、自宅の設備や職場環境の確認(段差や仕切りが障害にならないか、エレベーターの位置など)や改善の検討も重要になります。

義肢や装具を利用することは生活動作や行動の幅を広げます。義肢や装具にはさまざまな種類がありますので、担当医やリハビリ担当医から紹介された義肢装具士に相談して、生活環境や学業、仕事、通勤・通学状況などに応じた義肢や装具を準備しましょう。

障害者手帳の交付、治療や介護費用の助成を受けられることがあります。院内のソーシャルワーカーなどにご相談ください。

がん相談支援センターでは、患者さんや家族、地域の方々にご利用いただけるように、専門の相談員が、がんに関わるさまざまな質問や相談にお応えしています。かかりつけの病院かどうかは問いません。その病院にかかっていなくても、誰でも無料で利用できます。

がん相談支援センターについては「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」もご参照ください。

2.治療後の経過観察と検査

治療後の体の状況や再発の有無を確認するために、定期的に外来通院し、X線検査CT検査MRI検査などの画像検査を必要に応じて行います。

病状や受けている治療の状況により、日常生活で注意することや運動できる範囲は異なります。自分の体調と治療の副作用をみながら、担当医とよく相談して無理のない範囲で過ごしましょう。
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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更新・確認日:2016年02月22日 [ 履歴 ]
履歴
2016年02月22日 タブ形式への移行と、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編「軟部腫瘍診療ガイドライン2012」「米国がん合同委員会(AJCC)による病期分類(第7版)」「国際対がん連合(UICC)による病期分類(第7版)」より、内容の更新をしました。
2007年10月30日 内容を更新しました。
1997年04月01日 掲載しました。

1.転移

転移とは、悪性腫瘍細胞がリンパ液血液の流れで運ばれて別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。軟部肉腫は肺転移の頻度が高く、皮膚、リンパ節、骨に転移する可能性もあります。

リンパ節転移単独の場合や、肺のみの転移で手術により完全に切除可能な場合は、切除することにより予後がよいという報告もあり、手術を検討することがあります。

軟部肉腫が転移している場合の薬物療法は、悪性腫瘍の進行を遅らせたり、つらい症状を和らげたりすることを目標に行います。痛みなどの部分的な症状が強いときは、手術や放射線治療を組み合わせて対症療法を行うこともあります。骨への転移があるときには、痛みの悪化や骨折を減らすために骨吸収抑制薬(骨を破壊する細胞の機能を抑え、骨吸収を抑制する薬。BMA[Bone Modifying Agent]ともいいます)による治療が検討されます。

治療やケアの方針は、患者さんの症状や体調、あるいは希望に応じて決めていきます。

2.再発

再発とは、治療により悪性腫瘍がなくなったあと、再び悪性腫瘍が出現することをいいます。再発には、もとの悪性腫瘍と同じ場所あるいはごく近くに起こる局所再発と、転移により別の場所にあらわれる遠隔転移があります。

局所療法の場合は、再度、手術を行って治癒(根治)を目指します。状況によって薬物療法や放射線治療を組み合わせます。

遠隔転移の場合は、切除により転移した病巣を取り除く場合もありますが、病状により薬物療法あるいは症状緩和を目的とした対症療法を行います。

再発や転移、痛みが強いときの治療については、「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」の以下の項もご参照ください。

がんの再発や転移のことを知る患者必携サイトへのリンク
がんの再発に対する不安や、再発に直面したときの支えとなる情報をまとめた冊子です。がんの再発という事態に直面しても、「希望を持って生きる」助けとなりたいという願いを込めて、再発がんの体験者、がん専門医らとともに検討を重ねて作成されたものです。
(Webサイトでもご覧になれます。「もしも、がんが再発したら [患者必携]本人と家族に伝えたいこと患者必携サイトへのリンク
もしも、がんが再発したら 冊子画像
【参考文献】
  • 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会編:軟部腫瘍診療ガイドライン2012;南江堂
  • Edge, S. B., Byrd, D. R., Compton, C. C., et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed., 2010; 291-6, Springer, New York.
  • Sobin, L. H., Gospodarowicz, M. K., Wittekind, Ch., eds.: International Union Against Cancer, "TNM Classification of Malignant Tumours", 7th ed., 2010; 157-61, WILEY-BLACKWELL, Inc., New York.
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