1.原発不明がんについて
1)原発不明がんとは
がんは、初めに発生した臓器から、リンパ管や血管などを通じてリンパ節や離れた臓器に転移します。がんが転移したリンパ節や臓器が見つかったにもかかわらず、十分な検査を行ってもがんが初めに発生した臓器が分からないがんを原発不明がんといいます。がんが見つかりやすい(転移しやすい)場所は、リンパ節、胸膜、腹膜、肺、肝臓、骨などです。
2)症状
原発不明がんは、転移した場所に関連した症状が現れます。気になる症状が続く場合には、かかりつけの医師などに相談してみましょう。なお、転移があっても症状がないこともあります。
(1)リンパ節転移による症状
がんがリンパ節に転移すると、リンパ節が腫れてしこりをつくります。ほとんどの場合、痛みはありません。首の周り、わきの下、太ももの付け根など、体の表面近くにあるリンパ節に転移した場合は、皮膚の上から触ってしこりが分かることがあります。
(2)胸膜・腹膜転移による症状
がんが、胸膜(肺の表面や胸壁の内側をおおう膜)に転移すると胸水がたまり、息苦しさを感じることがあります。また、腹膜(胃や腸のあるおなかの空間をつくる壁を包んでいる膜)に転移すると腹水がたまり、腹部膨満感(おなかが張った感じ)が出てくることがあります。
(3)肺転移・肝転移による症状
肺や肝臓への転移は症状がないことも多いですが、転移したがんの大きさや数、場所によっては症状が現れます。肺転移では咳や胸痛などが出ることがあります。肝転移ではおなかの上部の不快感や膨満感が出たり、腫瘤に触れたりすることがあります。
(4)骨転移による症状
がんが骨に転移し、骨を包む骨膜や神経が障害されると痛みが生じます。また、転移したがんによって骨が弱くなり、骨折することもあります。脊椎骨(背骨)への転移ではがんが骨の外に広がって脊髄や神経を圧迫することで、しびれや痛み、麻痺などが起こることがあります。
3)さらに詳しい情報
原発不明がんは、診断される人が人口10万人あたり6例(人)未満のがんです。このように、診断される人が少ないがんのことを希少がんといいます。原発不明がんや治療に関する詳しい情報は、国立がん研究センター希少がんセンターのウェブサイトで公開されています。
2.相談先・病院を探す
希少がんの電話相談窓口や病院の探し方に関する情報は関連情報のページをご覧ください。
なお、がんに関する相談窓口「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されています。がんや治療、仕事やお金、生活の工夫や利用できるサポートなど、困ったときにはどのようなことでも相談することができます。情報や病院などが見つからないときにもご相談ください。
3.検査・治療や療養などに関する一般的な情報
がんの診断から治療までの流れや治療などに関する情報は関連情報のページをご覧ください。
作成協力
国立がん研究センター希少がんセンター
2024年11月06日 | 「原発不明がん診療ガイドライン 改訂第2版」より内容を修正し、構成を変更して更新しました。 |
2021年02月01日 | 関連情報に「がんの臨床試験を探す」へのリンクを追加しました。 |
2020年10月14日 | 構成を変更し、希少がんセンターへのリンクを追加しました。 |
2019年07月22日 | 新規に追加された用語へのリンクを追加しました。 |
2015年04月07日 | タブ形式への移行と、日本臨床腫瘍学会編「原発不明がん診療ガイドライン2010年版」より、内容の更新をしました。 |
2004年12月02日 | 内容を更新しました。 |
1996年06月24日 | 掲載しました。 |