「がん相談支援センター」は、全国にある、どなたでも無料・匿名で利用できるがんに関する相談窓口で、がんの診断、治療や副作用、治療後の療養生活、お金や仕事、学校のこと、家族や医療者との関係、疑問や心配、不安など、どんなことでも相談できます。このページでは、「がん相談支援センター」で相談できることの例と利用者の声を掲載しています。「がん相談支援センター」に関する詳しい情報は、関連情報「がん相談支援センターとは」をご覧ください。
1.「がん相談支援センター」で相談できることの例
「がん相談支援センター」では、さまざまなことを相談できます。ここからは、「がん相談支援センター」で相談できる具体的な内容や、相談の例を紹介しています。
治療について
がんの検査や治療、セカンドオピニオン、緩和ケア、臨床試験や先進医療、がんゲノム医療、リハビリテーション、治療の副作用や生活面への影響や対処法などについて相談できます。
希少がんについて
希少がん(患者の数が少ないがん種の総称)の情報や治療、療養に関して相談できます。
相談の例
- これから、どのような検査が行われるのでしょうか。今後の流れを教えてください。
- 標準治療とはなんですか。
- 担当医から2つの治療を提示されましたが、決められません。また、ほかに治療法はないでしょうか。
- 先進医療、臨床試験とは何ですか。自分も受けられますか。
- 治療に伴う副作用やつらさも、緩和ケアで対応してもらえますか。
- 生活上、注意することはありますか。これまで通りの生活ができるでしょうか。
- 脱毛や手術のきずあとなど、外見の変化が心配です。どうしたらいいでしょうか。
療養生活、制度やサービスについて
がんと診断されてからの仕事、学校、家事、育児などの生活を送る上での困りごと、医療費や介護保険、さまざまな助成・支援制度などお金に関すること、介護・福祉サービスの活用などについて相談できます。また、患者会、ピアサポーターなどの情報を聞くこともできます。
相談の例
- どれだけ医療費がかかるか心配です。使える制度を教えてください。
- 仕事は続けられますか。
- がんについて職場や学校にどう伝えればいいですか。仕事や学校の都合に合わせて、治療のスケジュールを調整してもらえますか。
- 自宅で療養するために、訪問看護を頼みたいのですが、どうしたらよいですか。
今の気持ち、不安や心配などについて
診断や治療の過程で、つらい気持ち、心配や不安を感じる人が多くいます。「病気だから仕方ない」と我慢せずに、がん相談支援センターにご相談ください。お話しをお聞きしながら、どうしたらよいか、何ができるかを考えるお手伝いをします。また、特別に相談はなくても今の気持ちを話したい、何を相談してよいのか分からない、といった時にもご利用いただけます。
家族とのかかわりについて
がんについて、家族にどう伝えたらよいか分からない、家族に心配をかけるのではないかと気がかり、といった悩みを相談できます。また、患者の家族として患者とどう接するか、どう支えていくかなどのご家族の心配や悩みについても相談できます。
相談の例
- がんの診断を家族にどう伝えたらよいですか。ショックを与えると思うとつらいです。
- 家で療養したいのですが、家族に迷惑をかけるのではないかと気がかりです。
- 診断されて以来、本人が情緒不安定になっています。どのように接したらよいですか。
- 本人は治療を拒否しているが、家族としては受けてほしい。どう話をしたらよいですか。
医療者とのかかわりについて
医師や看護師などの医療者の説明の中で分からないことがあった、質問をしたいけれどきっかけがつかめない、伝えたいことがうまく伝わらない、いつも忙しそうで話しかけられない、などの困りごとや悩みについて相談できます。
相談の例
- 先生の説明は、専門的用語が多く難しいです。
- 先生にどんなことを質問したらいいですか。こんなことを聞いてもいいでしょうか。
- 医療者はいつも忙しそうで話しかけにくいのですが、話しかけてもいいですか。
- セカンドオピニオンを聞くことは、先生に申し訳ない気がします。先生の気分を害しませんか。
AYA世代のがんや治療、生活や周りの人とのかかわりなどについて
AYA世代とは、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています。AYA世代のがんの治療や療養、学校、就職や仕事、妊娠や出産、子どもとのかかわり、これらに関する疑問や不安などについても相談できます。
妊孕性、性に関することについて
がんやがんの治療が、妊娠や出産、性機能や性にかかわる気持ちに影響を与えることがあります。妊孕性や性に関する心配や悩みなどについて相談できます。
2.利用者の声
がん相談支援センターを利用したときの状況、相談の様子、相談後の気持ちなど、利用者の声を紹介しています。
治療について
治療について担当医から説明を受けましたが、もっとほかにいい治療法がないか、治療の副作用が生活にどう影響するのかを詳しく知りたいと思い、「がん相談支援センター」へ足を運びました。
相談員さんは、不安でいっぱいの私の話に真摯に耳を傾け、気持ちを受け止めてくださいました。
その上で、担当医が提案する標準治療が、今の私にとって最良の治療であると考えられること、治療の具体的なスケジュールと副作用が起こりうる時期、生活の注意点などを知ることができ、これからの自分の生活をイメージできました。
「がん相談支援センター」を利用することで、限られた時間の中で必要な情報を得て、納得した気持ちで治療を決断することができました。
療養生活、制度やサービスについて
手術のあと、担当医より、追加で薬物療法が必要と言われました。再発を防ぐために治療を受けたいと思いましたが、これ以上仕事を休むと経済面で余裕がなく、治療が続けられるか非常に不安でした。その旨を伝えたところ、「がん相談支援センター」への相談を勧められました。
「がん相談支援センター」では、利用できる制度と手続き方法について説明を受けたあと、社会保険労務士との相談をご提案いただきました。また、会社のどの部署に相談すればよいか、相談の仕方などをより詳しくアドバイスしていただきました。
さらに、担当医と相談の上、治療計画も工夫していただくことができ、安心して治療にのぞめました。復職の際も相談したいです。仕事のことを病院で話せると思っていなかったので助かりました。
治療開始後の不安について
治療開始後も、「治療がうまくいかなかったら」「再発したら」と、不安で仕方がありませんでした。また、友人の存在に励まされる一方、「なぜ自分だけがこんな目にあうのか」との思いが拭えませんでした。
「がん相談支援センター」で話をする中で、いっぱいいっぱいだった自分の気持ちが、少しずつほぐれてきたように思います。
また、「家族でも友人でもない関係」だからこそ、話せることもありました。不安もありますが、今は、一日一日を、自分を大事にしながら過ごしていきたいと思っています。
医療者とのコミュニケーションの取り方について
担当医の説明は、専門用語が多く淡々としていたため、外来の時間では聞きたいことも聞けず、十分に理解できませんでした。担当医とコミュニケーションを取ることが難しいと感じ、このまま治療にのぞんでよいのか不安になっていました。
「がん相談支援センター」に相談すると、担当医の説明の補足や解説をしてくださり、理解を助けていただきました。また担当医への質問の仕方についても教えていただき助かりました。
同じ病院内だったので「がん相談支援センター」を利用したことや、相談内容が漏れてしまうのではと心配しましたが、相談した内容が、医療者など病院のスタッフに伝わることはないということで、安心して相談できました。
まだ不安はありますが、担当医とのコミュニケーションに悩んだら、「がん相談支援センター」に相談できると思うと、とても心強いです。少しずつ担当医にも質問してみようと思います。
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