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新しい職場への応募

  • Q57 採用面接時にがんの病歴について話さなくてはいけないのでしょうか。

    求職者
    A57

    自分から病歴を伝える必要はありません。応募職を遂行できる健康状態で面接に臨んでいるのなら、過去の病歴は採用の合否に関係しないはずです。また、仕事の遂行能力と無関係なら、雇用側が応募者に過去の病歴を質問することは不適切です。就職活動で人事担当者がもっとも知りたいのは、その応募者が職務をこなす能力があるかどうかです。

    ただ、提示されている職務内容に、自分のがん経験が関係する場合、例えば通院のために頻繁に休暇取得を申請するとか、副作用で職務の一部がこなせない可能性がある場合は、事前に採用者へ告げておいた方がよいでしょう。雇用側には、従業員の安全と健康に配慮する義務がありますので、健康上の理由で業務上配慮してほしいことがあれば、面接時に必要最低限を伝えておくほうがいい場合もあります。

    面接を受けることを機会に、自分の健康状態を確認し、自分が「やりたいこと」と「実際に遂行できること」を客観的に整理して、必要があれば主治医と相談しながら進めていくとよいでしょう。

    Column
    採用担当者が考える「がん既往歴」

    採用担当者が一番見るのは、応募者が会社に入社した場合に、いかに会社に貢献してくれるのかということです。現実問題として、仮に同じ能力の人と比べた場合には、がん既往歴がない方を採用する可能性はあると思います。採用担当者は最新の「がん治療」について知らないと思いますので、たとえ治療を受けていても、現在は業務遂行上の問題がないことをわかりやすく伝える必要はあると思います(よく言われるのが、中学生レベルが聴いてもわかる程度に簡潔に説明すること)。

    また、がんや難病の既往歴がある方は、面接時に闘病時の苦労を話される傾向が多いようですが、過去の自分史でなく、今何ができ、どう会社に貢献できるかを主張することが重要だと思います。

    資格については、誰でもとれるような資格をいくつもとるより、難易度の高い資格(例えば、簿記1級や社会保険労務士資格など)をとったり、取得した資格に関する実務経験をアピールすることがよいと思います。

    〈人事担当経験者(食品製造業)〉
  • Q58 仕事をフルタイムで始める自信がつきました。しかし、まだ通院治療は必要です。就職面接の準備をしていますが、採用者側に通院治療の必要性をうまく伝える方法はありますか。

    求職者
    A58

    通院治療や、治療による副作用が予測される場合、その具体的な期間の目安を主治医に確認しておいてください。通院回数が数ヶ月後から減っていくのか、それとも長期的に欠勤が続くのかで、採用者側の判断が変わってくるでしょう。

    また、配慮してもらいたいポイントを伝えるときは、働き手としてあなたの能力や長所を最大限アピールして、多少の欠勤があっても総合的に職場にとってプラスの人材になると理解してもらうのが面接のゴールとなります。

    得意分野や経験をうまくいかして、通院で欠勤することがマイナス評価にならないよう、自分の職能を見つめ直してください。

    採用が決まったら、勤務先の近くに引っ越すなど「仕事と通院を両立させる準備がある」という姿勢を示すこともひとつです。また、最近は在宅勤務を認める職場も増えていますので、そのような制度がないか確認することもよいでしょう。

    就職活動は、会社と応募者の「お見合い」のようなもので、相性とご縁があります。病歴を明らかにして就職活動がうまくいかなかったとしても、就労者としてのあなたの力を必要とする職場がほかにきっとあります。

    Column
    僕の就活

    新卒の就職活動もその後の転職活動も、自分の治療経験を会社に伝えながらやりました。自分のその当時の体力や募集している職種(総合職など)に縁がなく採用を見送られることもありました。面接では「営業は難しいな」「病気だから…」と言われたこともあります。なかなか内定をもらえず落ち込むこともありましたが、「病気のことで選考から外したわけではない」というフィードバックを頂けた企業もあり、治療の経験があったとしても仕事ができる会社もあることを実感しました。

    その後、営業職が無理であれば事務能力をみてもらえるようにと国家資格の勉強をしたり、派遣社員や契約社員として事務職の経験を積んだりすることで、徐々に仕事への自信をつけ、自分がやりたい仕事に近づくために少しずつ経験を重ねました。転職活動でも治療の経験を話しましたが、それまでに積み重ねてきた経験を認めてくださる企業もあり、ご縁があって自分がやりたい仕事の第一歩を踏み出すことができました。

    仕事を通じて、自分の現在の体調でできることやできないことを相手に伝えるのも大切だと実感しました。以前の職場でも現在の職場でも、上司が「特別扱いはしないが、配慮はする」と言ってくれたのですが、純粋に仕事のアウトプットを評価してくれていたことがとてもうれしかったです。現在の職場でも通院への配慮はあり、仕事が続けられています。

    〈男性 診断時19歳 白血病 正社員〉

    Column
    息子の就活

    息子の就職活動は常に心配がついて回りました。何回か転職をするたびに、「残業時間は多いのか?」「自宅から通うことができる距離にあるのか?」といった心配をしていました。「また次の選考に進まなかった」という話を聞いたときは、「やはり健康な人と比べると病気をしたことが不利だととられているのではないか」と考えたこともありました。それでも、本人は「もっと自分が本当にやりたい仕事に就きたい」という思いで、夏の暑い、汗が噴き出るような環境下でがんばり続けていたことを思い出します。今は幸いに就職でき、やりたい仕事に近づけているようです。母としては無理のないように働いてもらいたいと思っています。

    〈女性 60代 家族〉
  • Q59 採用面接で病名を公表したら、不採用になりました。法的に問題ではないのでしょうか。

    求職者
    A59

    不採用の理由が病歴なのかどうかはっきりしないので、直ちに法的問題があるとは言い切れません。職務上、病名を告げたほうがよい場合、会社側に病名を伝えて自分の状況をきちんと説明することは、適切な配慮を得るためのコミュニケーションとしてとても重要かつ有効です。

    ただし、採用時にもっとも重視されるのは、あなたの職務遂行能力です。状況を説明するとともに、働き手としてのあなたの能力や長所を最大限アピールしましょう。

    障害者枠で面接を受ける場合には、障害者手帳を提示した上で、現在の症状をきちんと説明することが必要になります。

  • Q60 面接時にがんの治療歴を隠して採用された場合、あとで何か問題になることはありますか?

    求職者
    A60

    ないとは断言できません。問題になるかどうかは、隠したことを「就労に影響する重大な事実を偽った」と会社側が判断するかどうかによります。例えば、副作用で急激に体が動かなくなるような病状がある場合、事務職としてはほぼ問題なく勤務できるくらいでしょうが、公共交通機関の運転手としては不適切とみなされるでしょう。「就労に影響する重大な事実を偽って入社した」と会社に判断されれば、最悪の場合、懲戒処分となる場合もあります。がんに限らないことですが、ここでも重要なのは、仕事を安全かつ確実にこなす能力があるかどうかです。

  • Q61 一度退職しましたが、体調が回復したら再就職したいと思います。がん患者の再就職を支援する制度はありませんか?

    求職者
    A61

    地域のハローワークでは、さまざまな情報提供とともに、職業訓練も含めた就労支援を行っています。ハローワークインターネットサービスや地域のハローワークの窓口で、ご自分の状況にあった情報を集めてみてはどうでしょう。また、厚生労働省は「長期療養者就職支援事業」を全国展開しています。がん、肝炎、糖尿病などにより通院が必要な方の職探しを支援する専門相談員が、各都道府県で少なくとも1カ所のハローワークに配置され、一部のがん診療連携拠点病院への出張相談サービスも行われています。専門相談員がいるハローワークは、事業のサイトで確認できます。

    働きたいがん患者を支援する一般社団法人CSRプロジェクトでは、無料電話相談や体験者ミーティングを開催しています。

    小児がん経験者については、がんの子どもを守る会にも相談できます。

    Column
    職探しの相談に乗る立場から

    20年来、人材派遣と社員教育の会社を経営してきました。縁があって地元のがん患者会で働き方の相談に乗っていますが、お一人お一人の状況はさまざまなので、一般化することはできません。ただ、新たな職場を探す方に強くお伝えするポイントが2点あります。
    第一に、今の身体能力で何ができるか、限界を見極めること。以前の働き方にしばられず、職務内容も勤務時間も、これなら大丈夫と自信がもてる範囲から始めることをおすすめしています。無理は決して長続きしません。
    第二に、働き始めたら、たとえ病気があっても働いている時間は健康で、ほかの従業員にまったくひけをとらないという自信をもつことです。そのためにも無理のない仕事を見つけることが重要になります。

    現実として、治療歴を応募者の弱点とみなす会社もあります。もしその応募条件なら特に配慮をしてもらう必要がないと思うなら、健康人と同じことですから、あえて治療歴を伝えないという考え方もあります。治療歴を伝えず短時間勤務の条件で入職し、働きぶりが評価されて時間延長を提案され、その時点で体調の自信も戻ったので延長したケースもあります。
    一方、職場から何らかの配慮を期待するとき、あるいは職場にわかっておいてほしいと思うときには、ご自分の状況をきちんと伝えたほうがよいと思います。「月に一度通院する」「あと3年ホルモン療法が続く」など明確に伝えて、それでも仕事には遜色がないことを強調します。
    今の限界を見極めること、働き始めたら自信をもつこと。この二つは大切ですね。

    NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会 宮内美奈子(キャリアコンサルタント)
  • Q62 興味がある求人を見つけました。でも、後遺症のため働けるかどうか自信がありません。

    求職者
    A62

    興味があり、ご自分ができると思える仕事なら、応募してみたらどうでしょう。

    後遺症に対して何らかの配慮が必要な場合は、それを伝えるとともに、その仕事の担い手としてのご自分の能力をよくアピールしてください。働けるかどうかは、採用担当者が判断する話です。後遺症と、職務内容や就労条件の折り合いについて心配な部分があったら、医療スタッフに相談するとよいでしょう。会社側がもっとも知りたいのは、働き手としてのあなたの能力です。

    また、患者会などで同様の後遺症をもちながら就労している方に出会えたら、その体験談も参考になります。もちろん、仕事ができるかどうかの判断には慎重さも求められます。例えば運転技術のように仕事の安全面に影響する後遺症がある場合は、仕事を選び直したほうがよいかもしれません。

    さらに、就職活動には相性とご縁がありますから、病気の有無にかかわらず、誰にとっても楽なことではありませんし、採用されなかった場合、その理由は後遺症以外のところにある可能性も考えられます。

    Column
    「ひとりじゃないよ」~同じ病気をもつ仲間との交流

    ブログを通して知り合ったワーキングサバイバー仲間には助けられました。同じ乳がんで、フルタイムで働く女性。同僚にカミングアウトすべきかどうかなど、話し合いました。職種や職場環境にもよるので、彼女と同じにすることはありませんでしたが、愚痴のこぼせる相手がいることはワーキングサバイバーにとって不可欠だと感じています。独身で1人暮らしなので、働かなければ、いざ再発したときの治療費に困る。そういう不安を「ひとりじゃないよ」と共有できる仲間が必要です。

    術後半年からは乳房再建の勉強会に行くようになり、そこで知り合った仲間とはさまざまな情報のやりとりをしました。再建をしようとする人は前向きな人が多く、がんになってもオシャレもスポーツも恋もして以前より元気になってやろう、人生を再建していくのだと思えました。

    〈女性 診断時48歳 乳がん 正社員〉
更新・確認日:2019年03月26日 [ 履歴 ]
履歴
2019年03月26日 冊子第3版の内容に更新しました。
2014年12月22日 冊子第2版の内容に更新しました。
2013年10月25日 掲載しました。
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