1.同級生やそのご家族へ
同級生へ
⼩児がんは⼈から⼈にうつる病気ではありません。また、⼤⼈のがんとも異なります。昔と違い、よい薬や治療法がふえたので治る病気になってきています。しかし原因はまだはっきりとはわかっていません。
⼩児がんという病気になると、大きな病院で治療を受けることが必要になります。
がんの治療では薬を使うことが多いので、その副作⽤で見た目に変化があらわれたりします。薬によっては髪の⽑が抜ける場合もあります。しかしこれは⼀時的なことで、髪の⽑は⽣えてきます。また、気を付けていても太りやすくなるなどの影響が出る場合もあります。こうした変化を周りでからかったりすることのないようにしましょう。
病気により、その⼈らしさが失われるわけではありません。本⼈もできるだけこれまでと同じように接してほしいと望んでいるはずです。
しかし、治療が終わってすぐは疲れやすかったり、通院のために学校の授業や⾏事に参加できないこともあります。治療で休んでいた間は学校の授業を受けられないため、わからないことがあるかもしれません。困っている様⼦がみられたら、できることを⼿伝ってあげましょう。
⼊院中にお⾒舞いに⾏きたいと思ったときは、家族にそのことを伝えて可能かどうか聞いてもらいましょう。⼊院中は検査や治療で忙しいことが多く、退院してからも体調によっては、会ったり話したりできない場合もあります。
病気になったとき、気に掛けてくれる⼈がいるのは、うれしく⼒づけられることです。負担にならないよう気を付けながら、都合のよいときに返事ができる⼿紙やメールなどの⼿段を活⽤するのもよいでしょう。
同級生のご家族の方へ
年齢的に内容を理解することが難しい場合は、ご家族が子どもに理解できる範囲で話してみてください。正しい知識を伝えつつ、これまでと同じように接するよう促すことが⼤切です。
2.学校で指導にあたる方へ
復学することは、⼦どもや保護者にとって、もとの⽣活に戻るという⼤きな⽬標の1つです。しかし、教師にとっては、⼩児がんを経験した児童・生徒と関わりをもつ機会は多くなく、⼾惑うこともあるかと思います。
言うまでもなく、学校は⼦どもにとって社会との接点をもつかけがえのない⼤切な場です。学校に戻れてうれしいという気持ちや、授業についていけるかという不安な気持ち、周りの同級⽣と元通りやっていけるかという⼼配など、学習⾯とともに、⼼と体への⽀援を必要としています。
⼀⽅、保護者は、退院した喜びを感じるとともに、⼊院中にはすぐに相談できた医療スタッフとも離れ、頼れる⼈が少ない中で⽇常の決断をひとつひとつしていかなくてはならないという重圧を感じている場合がほとんどです。そのようなときに、学校でさまざまな配慮がなされることは、⼦どもと家族にとって大きな安⼼につながります。
1)連携した⽀援体制づくり
支援にあたっては次の点が大切になります。
- まずは⼦ども⾃⾝にがんの告知がなされているのか、本⼈の理解や受け⼊れの様⼦はどうかなど、保護者に聞くことから始めましょう。
- ⼩児がんは⻑期にわたって通院が必要となります。早退や⽋席、体⼒や抵抗⼒の低下による運動制限や⽣活上の注意、服薬の有無について本人と保護者に確認してください。
- 薬の副作⽤による外⾒の変化や医療器具の装着などがある場合は、他の児童・生徒への説明が必要になるかもしれません。事前に本人と保護者の考えを確認し、意向に添うように対応しましょう。
- ⽔痘(⽔ぼうそう)や⿇疹(はしか)などの流⾏情報を得たときは、すぐに保護者に連絡しましょう。
- 進級や進学で環境が変わるときは、引き継ぎがとても重要です。本⼈を中心に家族を含めた⽀援について、担任や養護教諭、校⻑、教頭、そして学校医や医療機関、⾏政機関などが連携して⾏うようにしましょう。
2)⼦どものがんのことで迷ったら、まずがん相談⽀援センターへ
がんになった⼦どもへの対応に迷ったときは、お近くのがん診療拠点病院に設置されたがん相談⽀援センターに相談してください。必要な場合には、⼦どものがんを専⾨にしている機関などをご紹介してもらえます。
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